和議第3
        捕鯨とイルカ漁業への妨害や不当な圧力に対する抗議と
        地域食文化を継承するための措置を求める意見書(案)

 和歌山県における捕鯨とイルカ漁業は、科学的な根拠に基づく国の捕獲枠の中で、資源の管理と利用の考えのもと、農林水産大臣あるいは和歌山県知事の許可を受け、合法的に行われている正当なものであり、紀南地方の重要な漁業の一つとして位置づけられている。

 特に、捕鯨発祥の地である太地町にとって、鯨肉の食文化や鯨漁に関する行事などは、約400年もの長きに渡り、地元の人たちが大変な努力によって守り続けてきた地域の伝統文化であり、イルカ漁や捕鯨は継承していくべきものと強い決意を燃やしている。即ち、これからも太地の人々が生きていくための重要な産業として欠かすことのできないものである。
 しかし、反捕鯨団体シーシェパードによる過激な批判や危険な妨害などは、すでに10年以上も続いている。県警察並びに海上保安庁のたゆまぬ努力での警戒体制強化により、沈静化も図られてはいるものの、終わりなき抗議活動によって与えられる精神的、肉体的な苦痛は計り知れない。
 それに追い打ちをかけたのが、本年5月、世界動物園水族館協会(WAZA)からの日本動物園水族館協会(JAZA)に対する会員資格停止問題である。
 JAZAが所属園館へ「追い込み漁で捕獲された小型鯨類(イルカ)の購入」の禁止をしたことは、誠に遺憾であり、JAZAが、言われなき不当な圧力に屈したものであると、断固として抗議するものである。
 よって、妨害や不当な圧力に対し、毅然とした態度をもって、偏見の解消に努め、以前からの問題である捕鯨に関する国際司法裁判所(ICJ)の不当な判決に対しても、新しい南極海鯨類捕獲調査、並びに、商業捕鯨の早期再開の実現など、下記の事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。

                         記

1 イルカ追い込み漁はWAZAが言う残虐な漁業ではなく、何ら非難されるものではないことを広く発信すること。

2 イルカ漁は、紀南地方の重要な漁業と位置づけられており、今後とも安定した経営を継続していくため、資源量の豊富な鯨種について、(例えばカズハゴンドウやシワハイルカなど)新たな捕獲対象に追加すること。

3 新しい南極海鯨類捕獲調査計画(NEWREP-A)の確実な実施を図ること。

4 鯨肉の食文化を継承すべく、安定的かつ安価な学校給食向けの鯨肉配分を実現すること。

5 商業捕鯨の早期再開を含む鯨類資源の持続的利用の推進に全力を挙げて取り組むこと。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成27年6月26日
           様
                                 和歌山県議会議長 前芝 雅嗣
                                             (提 出 者)
                              農林水産委員会委員長 濱口 太史
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 外務大臣
 農林水産大臣
 水産庁長官