2015年6月和歌山県議会 議案に対する反対討論
  松坂 英樹
  議会中継録画
                   2015626
  
 日本共産党県議団を代表して、議案第98号、101号、107号、108号に対する反対討論、議請第1号、2号を不採択とする委員長報告に対する反対討論を行います。

 議案第98号は、和歌山県税条例の一部を改正する条例案です。この内容の一つには、企業の外形標準課税の拡大が含まれています。5月臨時議会でも討論いたしましたが、国の法人税引き下げの動きに合わせ法人事業税の所得割を引き下げる一方で、外形標準課税の割合を2年かけて2分の1まで引き上げるものです。これでは黒字法人には減税、赤字法人には増税となり、さらなる格差拡大が危惧されるものです。
 加えて今回の県税条例改正には、いわゆる「ジュニアNISA」と呼ばれるような少額投資非課税制度の拡充に対応するものとなっています。そもそも未成年者に税制優遇までして投資を進める必要はなく、実際はそうした理由づけをした富裕層対象の投資家優遇策となっています。金融資産をもつ理由は老後や病気など将来の不安が理由ですから、貯蓄から投資へというのなら、富裕層優遇ではなく、将来不安をなくすことこそが重要だと指摘するものです。

 次に、議案第101号は、和歌山県安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例案です。この条例改正は、紀の川市や川崎市でおこった事件に対応すべく、県条例を改正し、県民に対し「通報」の「努力義務」を課すものです。
 前述のような悲惨な事件を未然に防止するためには、当事者はもちろんのこと、関係者や周囲の住民が、問題を抱え込まずに、適切な相談窓口等に相談し解決をはかることが重要です。
 ところが今回の条例改正案は、県民に通報の努力義務を課すものであり、マスコミでは「不審者の通報努力義務を明文化」と報道されたような受けとめもあります。他県の同様の条例がこの規定を盛り込んでいないのには理由があると考えます。不審者通報義務を課すとなると、いわゆる「変わった行動」や「とっぴな行動」ととられるおそれのある、発達障害のある方や精神疾患患者の方、ひきこもり等の課題をかかえた方や、外国人、深夜勤務などで生活時間の違う方、これらの方々や、またご家族が、そういう監視の目で見られるのではと思ってしまうとしたら、大変つらいことです。この問題では人権問題としても慎重であるべき、また相互監視社会につながるのではと危惧する声もあります。
 県行政としては、今回のような事件を未然に防止してほしいという県民の願いにこたえるためにも、県の相談窓口をはじめ、市町村の窓口や、保健所・警察など、それぞれの窓口に気軽に相談いただけるよう相談体制、窓口体制の充実をはかること、そして幅広く啓発し協力を呼びかけることこそが求められるのであり、県民に義務を課せば解決にすすむという考え方は疑問が残ります。
 また、条例改正による県民へのアピール効果を期待するものであるならば、積極的な受け止めや心配の声などを十分に議論した上ですすめるべきであり、今回のようにパブリックコメントや専門家・関係機関の意見を聞くという作業が十分でないままでの議案上程は拙速であると考えます。よって今回の議案には賛成できません。

 議案第107号は、建設事業施行にともなう市町村負担金の議案であり、災害対策の県単事業においては市町村負担の更なる軽減を求める立場から賛成できません。
 また、議案第108号は関西広域連合規約の一部を変更する議案であり、関西広域連合の所管事務拡大には反対です。

 次に、議請第1号は「年金削減の取りやめと最低保障年金制度の実現を求める請願」です。国はマクロ経済スライドを使って、この先30年間年金を下げ続けることを見込んでいます。年金は下げられ、年金から天引きされる負担は値上がりするばかりとなっていて、年金引き下げの中止は、高齢者だけでなく、将来の高齢者・現役世代にとっても切実な願いです。本請願は採択すべきであります。

 議請第2号は、『「集団的自衛権」行使を具体化する「平和安全法制」に反対する請願』であります。私ども日本共産党はこの「戦争法案」について、違憲性、対米従属性、歴史逆行性という3つの危険性をもつ法案であると指摘してまいりました。日本が攻撃もされていないのに他国どうしの戦争に首をつっこむことや、地球の裏側まで自衛隊が出かけていって米国の戦争支援をすることは、平和国家である我が国の憲法が決して許すものではありません。
 この間の国会審議を通じても、後方支援は武力行使と一体化しないとする政府の説明が世界で通用しない論理であることが明らかになりました。また政府は集団的自衛権の行使容認の根拠とする安全保障環境の変容についても示すことができず、これまでの憲法解釈からみても違憲であると参考人や専門家がこぞって指摘するなど、戦争法案の違憲性がいっそう明白になってきています。よって本請願は採択すべきであります。

 以上で反対討論を終わります。


  2015年6月県議会   松坂英樹プロフィール、質問一覧
 松坂英樹ブログ   松坂英樹facebook
 
日本共産党和歌山県議団HOME