和議第9号
        「企業・団体等による部落差別撤廃のための法律」の
               早期制定を求める意見書(案)


 人権は、すべての人が生まれながらにして持っている誰からも侵されることのない権利であり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別などによって差別することは決して許されないということが日本国憲法や各種法律によって保障されている。
 しかしながら、部落出身者や障害者、外国人、HIV感染者等への差別、児童・高齢者等に対する虐待、ドメスティックバイオレンスなどの様々な人権侵害事件が依然として発生しており、それらを抑止し被害者を救済するための実効的な法整備が急務の課題となっている。
 特に部落差別については、封建社会の中で生まれ何百年も差別が継続している非常に根深い問題であり、近年においても多くの差別事件が発生していることから、その解決に向け一歩でも前に進むためには、部落問題に特化した法律が必要である。
 例えば、一部週刊誌による部落差別を助長する報道事件では、裁判により和解がなされ個人としては法的に解決に至ったが、被差別部落として名指しされた地区の人々には許しがたい差別を受けたという実態だけが残り、何も解決されることなく放置されている。また、インターネット上での差別書き込みや不動産会社による土地差別調査などの差別事象も後を絶たない状況である。
 このような深刻な状況にあるにもかかわらず、部落差別についてはこれに対応する法律が存在しないのが現状であり、特に企業・団体等による差別行為は社会的影響が大きく看過できないものであるため、個別の法律により抑止することが重要である。
 よって、国においては、「企業・団体等による部落差別撤廃のための法律」を早期に制定するよう強く要望する。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成27年9月3日
           様
                                  和歌山県議会議長 前芝 雅嗣
                                              (提 出 者)
                            人権・少子高齢化問題等対策特別委員会
                                          委員長 中村 裕一
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 総務大臣
 法務大臣