2.児童虐待について
(1)県内の児童虐待の実態とその対策について
(2)虐待を受けた児童への対応について
(3)里親にかかる県の取り組みとその実態について
(4)児童養護施設に入所した児童の保護の状況について
3.医師不足・偏在について
(1)医師不足・偏在の現状
(2)医師不足・偏在の原因と対策
(3)学校での健康診断での専門医の配置
4.風力発電などでの低周波問題について
(1)県として国に求める環境基準
(2)低周波データー・健康被害データーの蓄積
(3)印南風力発電の計画への不安に応えて
・地すべりへの心配はないのか
・風力発電会社の事前説明と住民への対応
・低周波についての事前調査
(4)ヒートポンプによる低周波被害への対応
1.国体交通規制責任者の訃報について
《質問》雑賀光夫
県議
議長のお許しを得ましたので質問に入らせていただきます。
紀の国わかやま国体は目前です。関係者のみなさま大変ご苦労様です。このたび質問を準備している最中に、悲しいニュースが飛び込んでまいりました。それは、8月20日の夕刊、21日の朝刊での国体の交通規制責任者であった県警警視の方が自殺されていたという報道です。
県民期待の国体の交通規制という大変な仕事をになわれ、その仕事がようやく花開く国体の直前に自殺をされた。国体のための超過労働が原因であったとしたら、どんなに大変なことだったのだろう。こころからお悔やみ申し上げたいと思います。
この警視の方は、200時間を超えて超過勤務をしていたと新聞報道されています。ふつう、80時間で過労死ラインといわれる。警察職員だけでなく県庁職員、教育職員についても心配ですが、ここですべての問題をとりあげるわけにはいきません。
とりあえず警察本部長にお伺いいたします。
6月、7月、200時間を超えた超過労働という報道ですが、その実態はどうだったのでしょうか。そのことをどうお考えでしょうか。
《答弁》
警察本部長
我が県警察の職員がこのようなことになり、本部長として痛恨の極みであります。
当該職員の御冥福をお祈りするとともに、御遺族に対し、謹んで哀悼の意を表するものであります。
本県におきまして、本年7月には、全国高等学校総合体育大会が既に開催され、本年9月と10月には、第70回国民体育大会と第15回全国障害者スポーツ大会が開催されますが、全国的にも例がない3つの大会が近接した警備に県警察は総力をロ挙げて取り組んでいるところであります。
このような中、大会警備の中心となる部署では、当該職員を含め、全職員が、誇りと使命感と責任感を持って、与えられた役割を果たすべく、業務にまい進してきた結果、月に200時間を超える超過勤務となる職員が、かなり出てまいりました。
3つの大会の警備に万全を期するという崇高な使命のためとはいえ、部下職員が長時間勤務による疲労を慢性化させてしまったことを深く受け止め、当該部署の職員1人当たりの業務量を少しでも緩和するため、警察官6人を増強したところであります。
また、県警察職員の健康管理対策として、各級幹部に対し、部下職員には、必要な休暇を確実に取得させるよう指示し、一定時間以上の超過勤務を行っている職員に対しては、医師による面談を早期に実施することとしております。
県警察といたしましては、今後、二度とこのようなことが起こらないように、全職員の健康管理対策を徹底していくとともに、残る2つの大会の警備に万全を期する所存であります。
《コメント》雑賀光夫
県議
交通規制の仕事は、皇室への警護の関係もあり、たいへんだったのだろうと推察いたします。警察にかぎらず、関係職員の皆さん、くれぐれも健康に留意されながら、国体を成功させていただきたいと思います。
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2.児童虐待について
《質問》雑賀光夫
県議
児童虐待についての胸の痛むようなニュースが後を絶ちません。
親が人間として育ち切れていない問題など、深いところに根本的な問題があるように思います。
とりあえずは、起こってしまった児童虐待については、早期に発見して適切に子どもを保護することが求められます。
子どもを育てられない親は、自分がしていることの意味をよく理解できずに「子どもをかえせ」と言ってくる場合もあるでしょう。和歌山県ではその問題に適切に対処できずに、子どもを返してしまい、子どもを死に追いやったという事件もありました。
私自身も、「子どもを返してくれない」と訴える親について児童相談所にお伺いしたこともあり、判断のむずかしさを痛感したこともあります。
しかし、親と子どもを引き離すだけがすべてではないでしょう。まずは、緊急の措置として、子どもを保護すること。さらには、子どもが、どういう環境で今後育っていくのかという問題があります。
(1)県内の児童虐待の実態とその対策について
まず、和歌山県での児童虐待の実態はどうか、その対策についてお伺いいたします。
《答弁》
福祉保健部長
本県における児童虐待について、児童相談所に寄せられる相談件数は、近年、増加の一途をたどっており、平成26年度は932件で、この5年間で倍増し、過去最多の件数となっています。
児童虐待防止対策としては、児童相談所の専門職員の増員による体制強化や警察等関係機関との連携推進、市町村への体制支援など、児童相談体制の充実を図るほか、虐待をしてしまった保護者に対する支援プログラムを重点的に実施し、虐待への早期対応・再発防止に努めているところです。
(2)虐待を受けた児童への対応について
《質問》雑賀光夫
県議
第二は、虐待を受けた児童が、その後どういう環境のもとで育つのかという問題です。
虐待の原因を究明し、親と子が一緒に生活できるようになれば一番いいでしょう。しかしそれは、たいへんな困難をともなうのではないかとも思います。実情はどうなのでしょうか、お聞きしたいとおもいます。
《答弁》
福祉保健部長
虐待により児童の安全が確保されない状況にある場合は、児童相談所が一時保護を行い、安全を確保します。
児童相談所では、児童の家族再統合を第一に、個々の児童ごとに援助方針を決定します。
具体的には、家庭の状況調査や保護者面談、児童の行動観察や心理判定、保護者支援プログラム等を実施した上で、虐待について保護者の正しい理解が得られず、当面の家庭引き取りが困難である場合には、児童養護施設への入所または里親への委託を決定することになります。
施設入所後における児童の心理状況や家庭の事情により施設入所が長期にわたる場合もありますが、児童の生活環境を最優先に対応を行っているところです。
(3)里親にかかる県の取り組みとその実態について
《質問》雑賀光夫
県議
次に考えられることは、親代わりになる里親をみつけて、家庭に近い環境を保障することだろうと思います。そのとりくみと実態はどうなっているのでしょうか。
《答弁》
福祉保健部長
里親にかかる県の取り組みと実態については、平成26年度において、里親への委託を行った児童の割合を示す里親委託率は約14%となっています。
県としては、温かい家庭環境のもと、実の親に代わり児童を養育する里親制度は、児童の健全育成の観点から非常に有用な制度であるとの認識から、将来的には委託率30%を目標に、里親登録制度の普及啓発や里親支援制度の充実など積極的に取り組んでいきたいと考えています。
(4)児童養護施設に入所した児童の保護の状況について
《質問》雑賀光夫
県議
家庭にひきとられることが困難な場合、施設で家庭に準ずる環境の下で大事に保護されなくてはなりません。施設に暮らす子供たちは、いろいろな事情があると思います。今日は、児童虐待にかかわってお伺いしていますので、児童虐待で家庭や里親に引き取られなかった子どもたちの、短期的、長期的な保護の状況についてお聞かせ下さい。
《答弁》
福祉保健部長
児童養護施設に入所した児童の状況については、施設の児童指導員や家庭支援専門相談員など、専門職員の指導のもと、集団生活を通じた人間関係の中で必要な社会性を養うことのできる環境で生活しながら、学齢期の子どもは、小学校、中学校、高等学校へ通学しています。
また、虐待を受けた児童に対しては、児童心理司によるカウンセリングなど心理的ケアに十分配慮しつつ、児童が安心して生活できる環境を確保しています。
《コメント》雑賀光夫
県議
里親14%を30%に引き上げるというはなしがありました。「児童虐待の連鎖」ということにならないように、愛情につつまれて育ってほしいと願います。
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3.医師不足・偏在について
《質問》雑賀光夫
県議
「医師不足」ということがよく言われます。「不足でなく偏在だ」とも言われます。
私の地元で市民病院の建て替えは市民の長年の念願でした。新しい海南医療センターが完成しました。ここに産科を置いてほしいという強い要望があり、お医者さんさえ確保できればいつでも産科を開けるように施設は整備しているのですが、お医者さんが確保できない。「産科医」の不足、特定の診療科のお医者さんの不足です。
もう一つは、公立病院のお医者さんが開業していく。優秀な人気のあるお医者さんがやめて行かれるとたいへんだといわれています。開業医は多いのに、公立病院では医師不足になるという「偏在」です。また、地域的「偏在」もあります。
(1)医師不足・偏在の現状
和歌山県の「医師不足」あるいは申し上げたような「偏在」の状況はどうなっているのでしょうか。
《答弁》
福祉保健部長
厚生労働省の調査では、和歌山県の人口10万人あたりの医療施設に従事する医師数は、269.2人となっており、全国平均の226.5人を上回っています。
しかし、診療所で働く医師の割合が高く、公立病院をはじめとする病院勤務医の不足が見受けられます。特に、産科医師については、全国的にもなり手が少なく、本県においても同様の状況です。
また、和歌山保健医療圏に医師の約6割が集中しており、地域偏在も見られます。
(2)医師不足・偏在の原因と対策
《質問》雑賀光夫 県議
その「医師不足」「偏在」の原因と対策について、お聞かせいただきたいと思います。
《答弁》
福祉保健部長
病院勤務医の不足や偏在の主な原因は、臨床研修制度が導入され、若手医師の都市部民間病院志向が高まり、大学病院に医師が集まりにくくなったため、大学病院から病院への医師派遣機能が低下したことなどが考えられます。
県では、地域の拠点病院の医師不足を解消する抜本的対策として、県立医科大学の40名の定員増、医師不足が特に深刻な産科などを目指す研修医を対象とした修学資金制度の創設、若手医師の定着を支援する地域医療支援センターの県立医科大学への設置といった医師確保対策に取り組んでまいりました。
引き続き、安全・安心な医療提供体制の充実に向けて、医師不足と偏在の解消を図ってまいります。
《コメント》雑賀光夫
県議
和歌山県は、県立医科大学の定数増など努力していただきたいと思います。同時に、勤務医の労働条件の改善も大きな課題ではないかとおもいます
(3)学校での健康診断での専門医の配置
《質問」雑賀光夫 県議
紀南地方の小中学校養護教員から「学校の健康診断で耳鼻科の専門医の検診が長い間やられていない」という悩みをお聞きしました。おそらく、「地域的偏在」の結果ではないかと思われます。実態はいかがでしょうか。病院へのお医者さんの確保には一定の時間がかかるのですが、健康診断への専門医の参加が得られないという問題は、交通がここまで便利になっている今日、解決できないことはないと考えますが、いかがでしょうか。教育長におうかがいいたします。
《答弁》
教育長
学校における健康診断は、児童生徒等の健康の保持増進を図り、学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資するため、大変重要でございます。
耳鼻科検診につきましては、高い専門性を有する医師が健康診断を行うことが望ましいと考えます。
しかしながら、県内の専門医の現状から議員御指摘のように、紀南地域を中心に専門医による検診ができていないことは、認識してございます。
今後、県医師会をはじめ関係機関と協議を進めながら、専門医の検診の実現に向けて、市町村教育委員会に働きかけてまいります。
《コメント》雑賀光夫
県議
医師会の協力も必要ですが、必要な予算化も考えていただきたいと思います。
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4.風力発電などでの低周波問題について
《質問》雑賀光夫
県議
私は、風力発電の低周波被害について何度もとりあげてまいりました。それは、自然エネルギーの利用としての風力発電には期待しながら、あまりにも集落に近いところで、しかもますます大規模な風力発電、一基2000キロワット、3000キロワットというものが建てられ、健康被害の訴えがあっても、個人差があるために少数の訴えが無視され、地域や家庭から排除されるのは問題だというものでした。
県当局の答弁は、「国の環境準ができていないので、規制できない」というものですが、同時に、毎年の県の対政府要望には、「環境基準の早期策定を」ということが、1項目としてあげられるようになりました。
(1)県として国に求める環境基準
まず、どういう意味で県として国に「環境基準」の早期策定求めるのかお示し下さい。
《答弁》
環境生活部長
国に環境基準の早期策定を求めてございますが、その理由ということでございます。全国的に風力発電施設が増加するなかで、周辺の住民から健康被害の訴えが起こるなど、全国的な課題となってございます。風力発電施設からの低周波音に関しましては、評価するための基準が現在存在しないため、環境に配慮した風力発電事業を推進していくうえで非常に不都合な状況になってございます。
風力発電施設からの低周波音の影響について、客観的かつ適切な評価及び対応ができるよう、国に対して低周波音に係る環境基準の早期設定を求めているところでございます。
(2)低周波データー・健康被害データーの蓄積
《質問》雑賀光夫
県議
和歌山県は、「風力発電低周波被害」では、ある意味で先進県として注目されています。
県民からの被害の訴えがあり、「環境基準」を国に要望している和歌山県だから、手ぶらで要望するのでなく、低周波測定と健康被害調査のデーターを集積して、国に対してそれを示しながら要望することが必要ではないかと考えるものです。
低周波測定の実績としては、和歌山県は大変優れた実績をもっています。
それは、海南市下津町大窪での測定です。今から5年前、私が被害の訴えを聞いて県の環境生活部の担当課にお願いして測定してもらっている。県の担当課では、快く応じてくれ、海南保健所、海南市、そして風力発電を運営するユーラスエナジーとも連携して、測定が始まったのです。
第一回の測定には、私も立ち会いました。被害を訴える方の家の前、あるいは家の中に県が測定器を置き、会社は、風車の根元に測定器をおいて、トランシーバで連絡を取りながら、10基もの風車を動かしたりとめたりしながら(これをON&OFというのですが)測定をするものです。
あれから毎年、9回の調査が行われた。被害者の救済にはなりませんが、測定だけは誠実にやってくれたということで、地元では感謝しています。
もう一つの問題地域は、由良町畑地区などです。こちらで被害を訴える方の症状については、2013年2月県議会で詳しくお話ししました。私が畑地区に入っておどろいたのは、集会に集まってきた方に、アトランダムに「あなたは風車で何か異常を感じますか」と聞いて回ると、口々に症状を訴えることでした。こんなことは、大窪ではみられません。
昨年、東京大学の大学院生が論文をお書きになるために健康異常についての聞き取り調査に入り、私の場あたり的な聞き取りよりも客観的な資料が出されています。
私は、国に「環境基準」を求めるのは結構ですが、県として責任を持てる「測定データー」と「健康データー」をつくることが、国に環境基準をつくらせるうえでも、住民と県の信頼関係を作る上でも大切だと考えますがやっていただけませんか。
環境生活部長、福祉保健部長、いかがでしょうか。
《答弁》
環境生活部長
由良町畑地区の低周波音を県が測定するべきとのことでございますが、事業者、地元区、由良町が締結いたしました協定に基づきまして、すでに計量法の登録をうけた一般社団法人日本気象協会が、平成23年に低周波の被害を訴えている方のご自宅を含め11ヵ所で測定してございます。
現時点で、県があらためて測定することは考えておりません。
今後も引き続き、由良町、地元区の意向をふまえ、県として必要な対応について検討してまいります。
《答弁》
福祉保健部長
健康被害調査の実施については、事業者・区・市町が締結した協定に基づき、3者が連携し実施すべきであり、当該調査を実施する場合は、県も協力いたします。
なお、現在、県立保健所のクリニックにおいて、健康不安・体調不良に対し健康相談を実施するとともに、地元区及び市町と連携し、個別訪問をするなど対応しております。
《コメント》雑賀光夫
県議
由良町では、これだけ被害がでているのに、県は手をこまねいている。行政と住民の信頼関係ができていない。
低周波の測定はやられたのですが、測定した会社が「人体への被害はない」とコメントして住民に配った。風力発電業者を擁護する測定ではないかという不信を生んでいます。
下津町大窪では、県が主導して9回も測定をしているのですから、由良町の測定に県が乗り出してもおかしくはないと私は思います。
健康調査にしても、大学院生による調査が行われて問題提起がなされているわけですから、保健所としてもほうっておけないのではないかと思いますが、行政が待っているだけで腰を上げようとしないのは大変残念です。
(3)印南風力発電の計画への不安に応えて
《質問》雑賀光夫
県議
風力発電でその後問題になったのは、日高町、白浜町ツバキの風力発電でしたが、住民の皆さんが、由良町畑地区の様子を伝え聴く中で、計画が中止になりました。
いま、印南町での風力発電建設は、環境アセスメントは終わって建設が始まろうとしています。ここで私が心配しますのは、集落から1.3キロメートルしか離れていないところで、2000キロワットのもの風車13基が建設されるという問題です。地滑りはないのかという心配の声も上がっています。そこで質問です。
・地すべりへの心配はないのか
第一に、この地域の地質・地形は、地滑りなどの心配はないのでしょうか。
《答弁》
農林水産部長
地すべりをおこしている区域及びこれに隣接する地域のうち、地すべりを助長もしくは誘発する恐れの極めて大きい地域などは、地すべり等防止法により「地すべり防止区域」として指定されるところでございますが、当該開発区域は、「地すべり防止区域」に指定されておりません。
《コメント》雑賀光夫
県議
現状では心配なくても、山の木を切って大きな風車を立てるが大丈夫だろうかというのが、住民のみなさんの心配の声だということも申し上げておきたいと思います。
・風力発電会社の事前説明と住民への対応
《質問」雑賀光夫 県議
第二に、風力発電会社は、「健康被害があれば風車を止めます」と住民の皆さんに説明しているようです。そうであるならば、風力発電所近くで健康被害が生じた場合、風力発電会社は誠実に対応すべきだと考えますが、県はどう考えますか。商工観光労働部長の答弁を求めます。
《答弁》
商工観光労働部長
一般的に、風力発電による低周波と健康被害との因果関係が明らかになっていない段階では、発電事業者が所要の措置をとることは困難だと思いますが、それぞれの発電事業者が自らの責任により、地元住民の声を十分に聞きながら事業を行っていく必要があると考えています。
《コメント》雑賀光夫
県議
いま「因果関係」ということがいわれました。
発電事業者が住民の声を聞いて誠実な対応をすべきだが、因果関係が明らかになっていない段階では、対応することは困難ではないかというのが県の考えだということでした。
これでは、風力発電会社が何を約束しても、「因果関係」という壁にぶつかって、どうにもならない。住民の皆さんの心配は解消できないと思います。
・低周波についての事前調査
《質問》雑賀光夫
県議
第三に、大窪地区の低周波測定結果を見て考えることですが、風車を止めた時でも一定の低周波が測定されるわけです。止まっている風車にも風があたって低周波がでるのではないかと考える方もいる。風車ができるまえに測定をしておけばよかったが、いまから風車を取り除いて測定することはできない。
そこで、風車がつくられようとしている印南で風車ができていない時点での測定をやってほしいという住民の方の要望があります。環境生活部長いかがでしょうか。
《答弁》
環境生活部長
印南町で計画されております風力発電施設に関する環境アセスメントでは、この中で風車ができる前の低周波音の測定が実施されており、その結果については環境影響評価書に記載され、現在、印南町、みなべ町両役場に備え付けられており、また、事業者のホームページにも公開されているところです。
《再質問》雑賀光夫
県議
「環境アセス」に盛り込まれたのですね。5年前に私が「低周波ではないか」ととりあげ、地域の皆さんと一緒にとりくんできたことが、「環境アセスメント」の在り方も変えてきた。このことには確信をもちたいとおもいます。
ただ「環境アセスメント」報告書は、大変分厚いもので、役場で公開されているといっても、簡単に目を通せるものでもない。会社のHPにアップされているが、印刷やダウンロードできないような特殊な仕組みになっている。住民の立場に立った「環境アセスメント報告書」公表にしなくてはならないということを申し上げておきたいと思います。
このまま、建設がすすんだ場合、低周波がどんなあらわれ方をするのか、地域住民の皆さんと一緒に検証していきたいと思いますが、県としても一緒にやっていただけるでしょうか。
《再答弁》
環境生活部長
この事業に係る環境アセスメントでは、事業者が、施設の供用開始後、騒音、低周波音に関する調査を実施して環境影響の程度を検証し、その結果を公表するとともに、県、地元自治体に報告することとなっております。
県といたしましては、この報告書が提出されれば、報告を基に環境影響評価書に記載された環境保全措置が適正に実施されているか等、チェックしてまいりたいと考えております。
《コメント》雑賀光夫
県議
検証いただけるということです。それでも、検証結果への対応が、「因果関係」の壁にはばまれるという問題はのこるわけです。
一定以上の低周波を出している風車の近くでは健康被害がある、そこから離れれば症状が消えるという単純明瞭な事実を因果関係として認めるような「環境基準」がつくられるように、「低周波測定」「健康調査」のデーターを積み上げていく必要があるということを、改めて申し上げておきたいとおもいます。
(4)ヒートポンプによる低周波被害への対応
《質問》雑賀光夫
県議
次に、今年の2月県議会で、松坂県議が、由良町の介護施設に設置されたヒートポンプの低周波被害についてとりあげました。国の参照値をこしているとして行政指導をいただいたわけですが、当該の介護施設が、これまで指導のテーブルについていたものの、「費用のかかる対策はできない」という姿勢に転じたのに対して、県は行政指導をやめたとききます。施設の姿勢が後退しているというのに、県が指導を強め改善を求めるどころか、指導をやめてしまうというのは、逆ではないかと思いますがいかがでしょうか。
《答弁》
環境生活部長
県、地元自治体、また健康被害を訴えている方及び介護施設の話し合いの中で、施設側はヒートポンプ給湯機の運転時間帯を深夜から昼間に変更するとともに、昼間の運転出力を60%に低減するなどの対策を講じてまいりました。
しかしながら、健康被害を訴えている方の症状が解消されないため、介護施設に対して引き続き行政指導を行ってまいりました。介護施設側も施工業者や製造メーカーと協議しながら更なる対策を検討しましたが、残念ながら新たな改善には至りませんでした。
行政指導では、これ以上の改善を図ることは困難であると判断をしたものでございます。
《コメント》雑賀光夫
県議
被害を訴える方が今日、傍聴にみえていますが、症状は少しもよくなっていないといわれています。国の参照値をオーバーして行政指導をしてもいうことを聞かなければどうしようもないというのでは、被害者は救われません。何のための行政指導なのかわかりません。風力発電被害でも、「環境基準」が示されても同じことになりかねません。
低周波被害というものは、被害を訴える方からいうと地獄だといわれます。個人差が大きく、周りから理解されないことが苦痛を大きくします。
風力発電であれば夜間止めるとか、転居された方への補償を考えるとか、被害を訴える方に寄り添った会社の対応や行政をすすめていただけるように、これからも取り組んでいきたいと思います。
以上で質問を終わります。
福祉保健部長の答弁を聞く、雑賀光夫和歌山県議(右)
2015年9月県議会 雑賀光夫プロフィール、質問一覧
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