和議第24号
            地方財政の充実・強化を求める意見書(案)

 地方自治体は、子育て支援、医療、介護などの社会保障など、果たすべき役割が拡大する中で、地方版総合戦略に基づく各種施策の実施など、新たな政策課題に直面している。一方、新たなニーズに対応するため、人材の確保とともに、これに見合う地方財政の確立を目指す必要がある。
 よって、平成29年度の政府予算、地方財政計画の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、社会保障予算の充実、安定的な地方財政運営の確立を目指すことが必要であり、国において、次の事項を実現するよう強く要望する。

                          記

1 社会保障、被災地復興、環境対策、地域交通対策、人口減対策など、増大する地方自治体の財政需要を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保をはかること。

2 子ども・子育て支援新制度、地域医療構想の策定、地域包括ケアシステム、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の見直しなど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保および地方財政措置を的確に行うこと。

3 地方交付税における「トップランナー方式」の導入は、地域によって人口規模・事業規模の差異、各自治体における検討経過や民間産業の展開度合いの違いを無視して経費を算定するものであり、これ以上、拡大しないこと。

4 2015年度の国勢調査を踏まえた人口減少・増加自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう、地方交付税算定のあり方を引き続き検討すること。

5 地域による税財源の偏在是正のため、偏在性の小さい所得税・消費税を対象に国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めること。同時に、各種税制の廃止、減税を検討する際には、地方財政に与える影響を十分検証した上で、代替税財源の確保をはじめ、自治体の財政運営に支障が生じることがないよう対応をはかること。

6 地方財政計画に計上されている「歳出特別枠」「重点課題対応分」および「まち・ひと・しごと創生事業費」については、自治体の財政運営に不可欠な財源となっていることから、現行水準を確保すること。また、これらの財源措置について、臨時・一時的な財源から恒久的財源へと転換をはかるため、社会保障、環境対策、地域交通対策など、経常的に必要な経費に振り替えること。

7 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化をはかり、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成28年6月21日
          様
                                和歌山県議会議長 浅井 修一郎
                                              (提 出 者)
                                               山下 直也
                                               岸本  健
                                               長坂 隆司
                                               多田 純一
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 総務大臣
 厚生労働大臣
 経済産業大臣
 内閣官房長官
 内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)
 内閣府特命担当大臣(地方創生担当)