和議第31号
   和歌山県の社会資本整備に必要な予算の確保等を求める意見書(案)


 近年、全国的に自然災害の発生が局地化・激甚化の傾向にあり、本年も4月には熊本地震、8月には岩手県や北海道での台風10号の豪雨等により、多くの被害が発生している。
 和歌山県は、かねてより南海トラフの地震や豪雨など自然災害発生の危機に直面しており、県民の命と財産の保護のため、また、被災時に迅速な復旧・復興がなされるよう、ソフト・ハード一体となった対策を進めるとともに、国に対して支援を働きかけてきた。
 その結果、「命の道」である紀伊半島一周高速道路が実現に向け順次開通するなど、県土の強靱化が進められてきた。それにより、交通の利便性が向上し、近年増加しているインバウンドへの対応など、地方創生に寄与する社会資本整備が着実に進められ、県内に好循環の影響が波及している。さらに、この効果を増大させるための基盤整備として、クルーズ船の大型化などの新たな要請に対応することも必要となっている。
 また、地震・津波対策では、津波避難困難地域を早期に解消するため、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、堤防、避難路、避難ビルの整備等により、死者ゼロをめざす対策に着手している。更に、今後、老朽化が進み更新時期が集中する社会資本についても、持続的に効果が発現するよう、計画的な維持管理・更新に取り組んでいる。
 こうした必要不可欠な社会資本整備を一層推進するため、平成28年度補正予算の配分や平成29年度予算編成にあたっては、必要額を確保するとともに、下記の事項に特段の措置を講じられるよう強く要望する。

                            記

1 国土強靭化及び地方創生に資する社会資本整備の推進
  社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金における国土強靱化及び地方創生に資する本県の社会資本整備に必要な予算を確保すること。

2 直轄道路事業の整備推進
  京奈和自動車道「岩出根来IC~和歌山JCT間」、第二阪和国道、鍋谷峠道路について、平成28年度内に供用を図ること。
  また、すさみ串本道路、新宮紀宝道路、冷水拡幅、有田海南道路、奥瀞道路(期)等の整備を推進するための必要な予算を確保するとともに、未事業化区間である近畿自動車道紀勢線「串本~太地間」、「新宮~熊野間(新宮紀宝道路を除く)」を早期に事業化すること。

3 津波から"命を守る"対策の強化
  津波から住民の命と財産を守るため、県内の河川・海岸堤防、港湾・漁港施設の強化に必要な予算を確保すること。

4 港湾事業の整備推進
  和歌山下津港、日高港、新宮港等の整備を推進すること。特に、大型クルーズ船の増加に対応するため、施設改良等に必要な予算を確保すること。

5 河川・砂防事業の整備推進
  紀の川水系の総合的な洪水対策の推進、紀伊半島大水害からの復興の推進、県内主要河川整備の推進等に必要な予算を確保すること。
  また、紀の川の治水上ネックとなっている箇所に位置する岩出狭窄部の対策については、国直轄により緊急対策特定区間として重点的に事業を実施しているが、5年間を目途に完了できるよう事業推進に必要な予算を確保すること。

6 直轄砂防事業等の整備推進
  熊野川における堆積土砂の原因となっている支川からの土砂流入を防止するため、荒廃が著しい支川流域において、国による調査や対策の検討を実施すること。
  那智川及び熊野地区において、引き続き国直轄による砂防事業を実施するとともに、「大規模土砂災害対策技術センター」の更なる組織・体制の充実を図ること。

7 土砂災害警戒区域等の早期指定
  平成31年度までに区域調査を完了できるよう、必要な予算を確保すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成28年9月28日
          様
                                和歌山県議会議長 浅井 修一郎
                                              (提 出 者)
                                 建設委員会委員長 濱口 太史
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 農林水産大臣
 国土交通大臣
 内閣官房長官
 内閣府特命担当大臣(防災)
 国土強靱化担当大臣