和議第32号
       かつお来遊資源の確保のための措置を求める意見書(案)

 古来より日本国沿岸漁業は、かつお漁業が重要な業の柱であるが、かつおの水揚げが数年前より激減し、とりわけ昨年の水揚げ量は過去最低となり、本県かつお漁業者にとって大変深刻で生活が立ち行かなくなるなど、水揚げ量の急激で大幅な減少は、地域社会に重大な影響を及ぼしている。
 その原因として、太平洋熱帯域でのまき網漁業によるかつおの大量漁獲があり、近年、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)において、集魚装置の使用期間が制限されるなどの管理強化が図られている。
 また、昨年12月のWCPFC年次会合において、かつお資源の回復のための、長期管理目標が合意された。
 さらに、本年8月に開催された科学委員会において、かつお資源は増加傾向にあるとするSPC(WCPFCと資源評価で業務提携を結ぶ機関)の資源評価に対し、我が国からは「評価モデルの設定等に問題があり、我が国漁業者の現場感覚ともかけ離れているため、支持できない。」と主張し、結果としてその資源評価が承認されなかったことは評価される。
 しかし、現在においてもまき網漁船の大型化や隻数の増加等により、2014年の中西部太平洋におけるかつお漁の漁獲量は過去最高の199万トンとなるなど、今後さらなる資源状況の悪化が懸念される。
 かつおは、本県の重要な基幹産業の一つである沿岸漁業において、大切な漁業資源であるばかりでなく紀南地方の観光資源としても大変重要な役割を果たしており、将来に亘って、かつお・まぐろ類資源を持続的に利活用出来るよう、下記の事項について適切な措置を講じること。

                          記

 我が国近海への一定量のかつおの来遊を確保するため、中西部太平洋熱帯地域でのかつおの資源状況の把握を進めると共に、熱帯地域における各国大型まき網漁船の漁期短縮など、かつおの資源保全に係る国際協調を、更なるスピード感をもって進めていくこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成28年9月28日
           様
                                和歌山県議会議長 浅井 修一郎
                                              (提 出 者)
                               農林水産委員会委員長 立谷 誠一
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 外務大臣
 農林水産大臣
 経済産業大臣
 水産庁長官