2016年9月県議会 松坂英樹 一般質問 概要記録   議会中継録画


2016916

1.和歌山県地域医療構想について
(1)有田保健医療圏の現状と課題
  ・救急搬送患者の有田圏内での受け入れ状況
  ・産科医をはじめとする医師不足問題
(2)地域医療構想における有田保健医療圏の方向性

2.住宅・店舗リフォーム助成制度を
(1)国補正予算による店舗改修の支援策
(2)住宅リフォーム助成の県内市町村における状況
(3)経済対策・地域振興として住宅・店舗リフォーム助成を

3.介護職員養成と人材確保策について
(1)県の介護職員養成確保策
(2)福祉系列高校にも支援策を


1.和歌山県地域医療構想について
《質問》松坂英樹 県議
 通告に従い、一般質問をさせていただきます。まず、和歌山県地域医療構想について順次お伺いいたします。
 このほど和歌山県の地域医療構想が策定されました。この地域医療構想というものは、国による、医療費抑制のしくみづくりの一環であり、病床機能の再編として、ベッド数を全国で20万床削減する計画となっています。和歌山県でも約3,000床ものベッド数を削減するという計画となったわけで、「はたして必要な医療が提供できるのか」という不安の声が出されています。来年度策定予定の県保健医療計画本体の検討とあわせ、県民にとって必要な医療をどう提供・確保してゆくのかと、大いに議論が必要だと考えるものです。
 中でも、この地域医療構想でしめされた数字を見ると、有田保健医療圏の必要病床数は、高度急性期医療のベッドがないなど、他の保健医療圏と比べても特徴的なものとなっています。なぜこういう構想になったのか、はたしてそれで大丈夫か、これからどうなってゆくのかなど、有田の住民の皆さん、関係者の皆さんとしっかり議論をしてゆかなければならない課題です。
(1)有田保健医療圏の現状と課題
・救急搬送患者の有田圏内での受け入れ状況
 そこで、こうした地域医療構想策定の前提となる、困難をかかえた有田保健医療圏の現状と課題についてお伺いします。まず1点目に救急患者の有田圏域での受け入れ状況についてです。
 「有田は救急医療の谷間だ」という住民の声を、これまで何度かこの県議会で取り上げてまいりました。急ぐはずの救急車が、高速道路有田インターの入り口でハザードランプをつけて止まっている、そんな状況が頻繁に見られました。これは救急患者を有田地方の救急病院で受け入れてもらえずに、和歌山市内等の他郡市での受け入れ先をじっと探している姿でした。また、一口に圏域外への搬送といっても、1分1秒を争う高度医療が必要な重症患者さんを医大や日赤病院へ直接救急搬送するのは当然必要な措置なのですが、有田圏域での救急患者受け入れが不十分だったために軽症患者まで圏域外へ搬送されてしまっていたことを有田の課題として指摘してまいりました。
 その後、医療・行政関係者みなさんのご努力により救急患者の受け入れが向上しましたが、この間の急激な医師不足により再び悪化している状況だといいます。有田圏域内で救急搬送できたケースと、やむなく有田圏域から圏域外へ搬送されたケースの割合について、この間の推移と現状はいかがでしょうか。福祉保健部長より答弁を願います。

《答弁》 福祉保健部長
 有田保健医療圏内への救急搬送患者の受け入れの推移につきましては、平成19年の搬送割合は47.1%であり、圏域内への搬送割合が低かったことから、有田市立病院の救急搬送受入体制の強化を図った結果、その割合は、平成24年には、52.6%と改善されました。
 しかし、平成25年以降、有田市立病院内科医師の相次ぐ退職により、救急搬送患者の受入体制が維持できなくなり、比較的軽症の患者も和歌山市などに搬送されたことで、圏域内への搬送割合は、平成27年では44.6%となっています。
 現在、県では、有田保健医療圏の救急医療をはじめとする医療提供体制を確保するため、有田市立病院に内科常勤医を派遣し、圏域内への救急搬送の受入強化に取り組んでいるところです。

《要望》松坂英樹 県議
 答弁をいただきました。やはり救急搬送患者の有田圏域内での搬送率が44.6%と50%を切っている、つまり半分以上が和歌山市をはじめとする有田圏域以外へ搬送せざるをえない実態が改めて明らかになりました。和歌山市への交通の便が良くなったとはいえ、救急隊にとっては、救急搬送を呼ばれて、受け入れ病院を探して、行って、帰ってくるまで数時間かかります。複数の救急出動が出てしまえば、非番の職員まで呼び出してスタンバイしなければならないという例も、以前にも紹介したとおりです。引き続きこの問題の改善にむけ努力をお願いしたいと思います。
 こうした救急医療の問題は、救急指定病院の体制の問題と、それ以上に深刻な医師不足が根底にあり、ここを解決してゆかなければ、かえって医療現場に困難をおしつけることにもなりかねません。

・産科医をはじめとする医師不足問題
《質問》松坂英樹 県議
 次に産科医をはじめとする医師不足の問題について伺います。有田地方では、3年前の秋に有田市立病院の分娩中止により、赤ちゃんを産むことができる医療機関が民間クリニック1か所となっていて、地元で安心してお産をしたいと、お母さん方からの切実な声が出されています。有田市立病院での産科分娩再開をめざしつつ、関係者の皆さんの様々な努力がされてきたと思いますが、どのような到達となっているでしょうか。また現在、有田圏域で生まれる赤ちゃんの出生数のうち、圏域内で分娩できている人数・割合はどうなっているのかもお示しください。
 加えて、この間県としても努力をしてきた、有田市立病院における内科医・小児科医不足への対応と現状はいかがでしょうか。福祉保健部長より答弁を願います。

《答弁》 福祉保健部長
 有田保健医療圏における産科医療体制につきましては、平成25年11月以降、分娩取扱医療機関が診療所1ヵ所となったため、妊婦健診は有田市立病院や近くの診療所で行い、分娩は和歌山医療圏の連携病院で行うなど、安心して出産できる体制を構築してまいりました。
 有田圏域の出生数は、平成27年で517人となっており、当該地域で分娩している人数は、329人、約6割となっています。
 次に、有田市立病院における内科医につきましては、常勤医師の相次ぐ退職により、一時期1名となっていましたが、県が有田市立病院に対し、自治医科大学卒業医師の派遣や県立医科大学と連携した医師確保対策を講じたことなどにより、現在、5名の体制となっています。
 また、小児科につきましては、常勤医が確保できない状況が続いており、現在、非常勤医師による外来診療を行っているところです。
 県では、医師不足の抜本的対策として、平成20年度以降、県立医科大学の入学定員を増員しており、現在、定員増の地域医療枠1期生が県内の公立病院で勤務を開始し、その効果が現れ始めてきたところです。また、不足する産科医を早期に確保するため、今年度新たに、県内の産科医療に貢献する医師向けの返還債務の免除付き研修・研究資金の貸与制度を創設しました。
 今後、これらの医師を適正に配置することにより、医師不足の解消に取り組んでまいります。

《要望》松坂英樹 県議
 有田市立病院へは、県と県立医大が対応にがんばっていただいていることに敬意を表します。しかし、緊急対応で配置している医師派遣のおかげでなんとか持ちこたえているという実態だと思います。県としての臨時的緊急的措置がなくなっても大丈夫なように、常勤医師の配置にむけ、一層のご理解とご努力を関係者のみなさんにお願いするものです。

(2)地域医療構想における有田保健医療圏の方向性
《質問》松坂英樹 県議
 以上おたずねした有田医療圏の課題を解決してゆく上でも、今回の地域医療構想がどうかかわってくるのかという点で、地域医療構想における有田保健医療圏の方向性について質問をさせていただきます。
 配付資料をご覧ください。左の表が県内各医療圏の現状のベッド数、2014年の状況です。そして右側が地域医療構想で示された「2025年における医療需要及び必要病床数について」という表で、10年後のベッド数目標という関係です。
 まず右の表ですが、ここの有田圏域のところで、高度急性期の医療需要と必要病床数を見てください。どちらもゼロとされていています。県内7つの保健医療圏があるわけですが、他にこんな所はありません。
 今度は資料の左の表をご覧ください。これを見ていただくと、高度急性期の現状のベッド数は、和歌山が1,644床、御坊が4床、田辺が36床、あとの4医療圏はゼロというのが現状なんですね。この現状からスタートして、たとえ現在は整備されていなくても、地域医療構想で目指すべき目標、必要病床数がそれぞれの医療圏ごとに示されているのです。
 次に、慢性期病床を見てみると、右の表下の注釈にあるように、有田圏域は、他の医療圏よりも削減スピードの緩やかな計算方式を採用しているようです。
 これらのことは、有田圏域の困難な現状・実態を反映したものだと考えますが、この表を見た有田地方の住民からは「なぜ有田はこうなのか」「いったいどうなるのだろう」との疑問や不安の声が出されています。
 そこで、有田医療圏の地域医療構想策定までの経緯においてどんな議論がされてきたのか。また、有田圏域の今後の医療提供体制を県はどう展望しようとしているのか。福祉保健部長より答弁を願います。

《答弁》 福祉保健部長
 有田保健医療圏における地域医療構想の策定にあたっては、地域の医療関係者などで構成する圏域別検討会の開催を重ね、地域の意見を反映させたところです。
 具体的には、重症患者に対応する高度急性期の医療機能に関しては、隣接する和歌山医療圏の救命救急センターなどに、今後も引き続き委ね、機能分担を図っていくことになりました。
 また、慢性期の医療機能に関しては、療養病床に係る入院受療率が県内の医療圏の中で最も高い状況にあり、今後、在宅医療の充実などを一体的に進めていく必要があることから、地域医療構想の目標達成年度を本来の2025年度から5年間延長できる国の特例を適用することとなりました。
 有田保健医療圏の今後の医療提供体制につきましては、高度急性期医療は和歌山医療圏に依存するものの、急性期医療やリハビリなどの回復期医療及び慢性期医療は、管内でバランスをとりながら、住み慣れた地域で安心して適切な医療を受けることができる体制の構築を目指してまいります。

《要望》松坂英樹 県議
 高度急性期医療のベッドは、現状を追認して10年後も和歌山医療圏に頼るということのようです。機能分担が十分できるかみきわめてゆく必要があると思います。また、慢性期のベッドについては、高齢者の入院が多いということですが、裏返すと、有田圏域では在宅医療や介護施設もまだまだ十分ではないという面もあるということだと思います。
 また、この構想とは別に、国は、近々介護型病床をゼロにせよというのが規定方針です。こうしたことから、この有田地方に限らず、和歌山県全体にとって、団塊の世代も含めた高齢化がすすむ中、いったい入院患者さんはどうなるのか、また病院にとっても病院経営がいっそう厳しさを増すということになるわけです。
 今後は、この構想に基づいた地域の調整会議が重ねられ、一方で県の保健医療計画の策定にも取り組んでゆくことになります。県としても、県民とよく議論し、しっかりと県民の立場に立って医療行政に取組んでいただくよう要望するものです。今後ともこの医療・介護問題の方向性については継続的に取り上げてゆきたいと思います。

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2.住宅・店舗リフォーム助成制度を
(1)国補正予算による店舗改修の支援策
《質問》松坂英樹 県議
 住宅や店舗のリフォーム助成制度は、地域経済に対する景気対策の効果が大きいとして、全国的に広がりを見せています。私どもも、県民の期待の声を紹介し、こうした取組をぜひ和歌山県内でもと、かねてより提案してまいりました。今日は、この間の国の動向、県内市町村の動向もふまえて、改めてこの住宅・店舗リフォーム助成制度について提案させていただきたいと思います。
 まず最初に、国の景気対策補正予算として実施されている「小規模事業者持続化補助金」という制度についてお尋ねをしたいと思います。この制度は、個々の個人商店など小規模事業者を対象にして、販路拡大などの取組に補助金が出る仕組みです、これまでの商店街アーケード設置補助のような集団的・面的な事業に対する補助から一歩踏み出した事業です。
 この事業では、販路拡大のためのチラシ作成などと並んで、店舗改修・リフォームが補助対象メニューとなっています。私は国事業の窓口となっている商工会を訪ねて取組状況をお聞きしてまいりました。
 お伺いした有田川町商工会では、今年約30件の採択を得て、その約3分の1が店舗リフォームだといいます。和式トイレを洋式にしたり、内装や看板等のリニューアル、店内のバリアフリー化などに活用されていて、商売に取組む姿勢も前向きになり喜ばれているそうです。上限50万円で事業費の3分の2補助という少額の改修補助ですが、こうした小規模工事は地元の業者さんに受けてもらえるので、地元の経済効果も大きく地に足のついた支援策だと歓迎されていました。
 県はこれまで、仕事おこしと地域経済活性化のために店舗リフォーム助成をとの要望に対しては、「個人資産の形成には公的助成はなじまない」とか「店舗は営業用資産だから、公益性が明確でないと公的助成は適当ではない」との見解を示されてきました。しかし、この国の補助制度は、先に申し上げましたように、個人の営業用資産である店舗のリフォームに、景気対策として補助対象にするという施策に踏み出したんですね。それも25年補正予算、26年補正、27年補正と、ここ3年続けてきて、先月閣議決定された今度の補正予算でも4年目の事業をやることになったと聞いています。これは、まさに国の中小業者向け経済対策の看板メニューとなっているんですね。
 こうした既存の商店街振興の枠を超えた国による経済対策としての店舗改修助成の取組の意義や効果を、県としてどのように考えておられますか。商工観光労働部長の答弁を求めます。

《答弁》 商工観光労働部長
 小規模事業者持続化補助金につきましては、小規模事業者が売上げや生産性向上等を目的に経営計画を作成し、その計画に基づく取り組みに対し費用の一部が助成されるもので、販売促進用の広告作成や店舗の改装など、幅広い経費が補助されるのが特徴であると考えております。
 また、ここ3年間で、全国で70,144件、うち県内で922件が採択され、店舗リフォームだけでなく様々な経費に活用されており、国の経済対策として一定の効果があったものと考えております。

《コメント》松坂英樹 県議
 国の経済対策を評価されたご答弁でした。続けて、2問目の県内市町村における状況について質問をさせていただきます。

(2)住宅リフォーム助成の県内市町村における状況
《質問》松坂英樹 県議
 和歌山県内に目を向けてみますと、3年前には、高野町と海南市の2自治体だけであった県内市町村での住宅リフォーム助成制度ですが、今年度では3市3町の計6自治体で取組まれています。
 私は地元の広川町と有田市を訪ね、担当者から直接お話を伺ってきました。広川町では、若者定住策を動機として「広川町住宅リフォーム補助金」をはじめたそうですが、1年目は募集開始初日で予算いっぱい受付終了となり、9月に補正予算を組んで再度受付したが昼までに完了したそうです。こうした経験から、2年目となる今年度は、事業費の2分の1補助で上限50万円、1000万円の予算をくみ、最初から上半期と下半期に分けて募集を行っていて、公平性の観点から役場会議室で公開の抽選を行ったそうです。町民むけの補助金事業で抽選なんてやったことがなかったのでたいへんでしたと笑っておられました。リフォームの内容は住宅内部を対象としていて、トイレの改修や、台所・水回りなど、毎日の生活で一番使う所に人気があるようです。
 有田市の「住宅リフォーム工事費補助金」も今年が2年目です。景気対策として1年限定のつもりで試してみたものの、非常に人気があり今年度も継続しているとのことです。ここでは事業費の20%補助で上限は20万円、今年は600万円の予算です。有田市は外装工事も対象で、工事の内容をみると、外壁塗装や屋根防水など外装工事が48%、システムキッチンやユニットバス・トイレ改修など水回り工事が36%、畳入れ替えや床張り替えなど内装工事が16%という状況です。
 また、助成事業による効果という点では、利用者アンケートによると、補助金がなくてもリフォームする予定だった方が28%であったの対して、リフォームを検討していたが、補助制度を知って時期を早めた方が60%、リフォームは考えていなかったが、補助制度を知ってリフォームした方が11%ということで、合わせて新規顧客の獲得状況が72%という効果が出ています。また、昨年度補助金1000万円により、事業費ベースで合計7760万円の消費喚起額が報告されていました。
 他にも、和歌山県内で一番早くから住宅リフォーム補助制度に着手した高野町では、住環境向上と定住促進、経済活性化を目的にして使いやすい制度としたため、人口3,000人の町において、3年間合計でなんと町内の16%もの世帯が利用した計算になるそうです。ここでは店舗リフォームも対象で、高野山開創1200年にむけてお店もきれいにできたと喜ばれています。
 このように、市町村にとっては「安心して住み続けられる地域づくり」「人口減少対策」「若者定住対策」「地元業者支援による地域活性化」などの目的が相乗効果をあらわす魅力的な事業となり、住民にとっては日頃不便を感じていた住宅リフォームに踏み切る機会となり結果にも満足、地元の中小業者にとっては仕事づくりとなって地域の生きた経済対策につながっていると、3方よしの結果となっています。
 県としてはこれまで、「政策目的のはっきりしない住宅リフォーム助成ではなく、耐震やバリアフリー等を優先したい」という姿勢でありました。しかし、こうした市町村での取組をみると、「地域活性化」「経済対策」などの目的・効果もはっきりしていると考えますがいかがでしょうか。また地域振興の魅力的なツールとして取り組む、住宅リフォーム助成の県内市町村での広がりを、県としてどう考えておられますか。県土整備部長より答弁を願います。

《答弁》 県土整備部長
 議員ご紹介のとおり、今年度は、海南市・有田市・新宮市・高野町・広川町・日高川町の計3市3町が、住宅リフォームに関する助成を実施しておられます。
 これらは、それぞれの市町が「居住環境の向上」、「定住促進」、「経済の活性化」を目的として制度をつくられたものと聞いておるところでございます。
 今年度、県内の6自治体において住宅リフォームに関する助成が行われておりますのは、それぞれの市町がそれぞれの課題認識のもとで、実施が必要と判断された結果であると私どもは考えてございます。
 しかしながら、このリフォームが昭和56年以前の住宅において行われた場合、耐震改修が行われないままになるという懸念もあるというふうに認識をしてございます。

《コメント》松坂英樹 県議
 市町村は、それぞれの政策目的をもって取り組んでいるという受け止め、ご答弁だったと思います。
 耐震補強にならない心配も言われていましたが、逆に耐震補強の推進になっている工夫もあることを紹介したいと思います。有田市では、耐震補強工事の受付期間と住宅リフォームの受付期間を少しダブらせておいて、耐震工事に踏み切ろうかどうしようか迷っている方に、耐震補強を申し込めば住宅リフォームの優先枠がありますと案内しているそうです。耐震工事だけではカバーできない部分も住宅リフォーム助成で支援されるので、「それなら思い切ろう」ということで、なかなか苦労していた耐震補強工事に踏み切ったケースが2件できたのだそうです。こんな知恵や工夫はたいへん参考になると思いました。
 それでは、経済対策の部門と住宅政策の部門の2人の部長からご答弁をいただいたところで、今度は知事におたずねをしたいと思います。

(3)経済対策・地域振興として住宅・店舗リフォーム助成を
《質問》松坂英樹 県議
 この間、国や市町村による取り組みが広がっているように、県内中小業者と地域経済に効果が期待される経済対策・地域振興として、県としても住宅リフォーム助成、店舗リフォーム助成に取組むことを検討すべきだと考えますがいかがでしょうか。また、地域振興という点では、市町村が取り組む住宅・店舗リフォーム助成に県が支援をするという形もいいと思いますがいかがでしょうか。知事より答弁を願います。

《答弁》 仁坂知事
 私有財産であります住宅・店舗の単なるリフォームへの補助は慎重に行うべきであると考えていることには変わりはございません。従って県がリフォームへの補助や市町村事業への支援を実施することは考えておりません。
 住宅リフォームについて、県では県民の命を救うための住宅の耐震化をこれはぜひ促進させにゃいかんというふうに思っておりまして、耐震診断・設計・改修に対する全国でもトップクラスの補助を実施しております。
 また、安価にそれができますように耐震ベッド・耐震シェルターを新たに補助対象に加えるなど、補助制度の拡充にも努めてまいりました。
 さらに、耐震改修補助のほか、バリアフリー改修、省エネ改修などの施策目的に応じた補助も対象が私有財産とはいえ制度化しております。
 店舗リフォームについては、金融機関と協調して「低利、長期、固定金利」の県中小企業融資制度を実施しているので、店舗部分の改修・増築等の事業活動に必要な資金を利用していただきたいと考えております。
 なお、小規模な店舗併用住宅でございますと、住宅向けの耐震改修補助の対象としております。
 今後も、各種補助制度の有効な活用を図り、それぞれの施策目的の達成に努めてまいりたいと思いますが、ぜひそれぞれの立場でですね、このような制度を利用してどんどん目的を達成してもらえるように、ご協力を議員諸公にもお願いしたいと思っております。

《要望》松坂英樹 県議
 ご答弁をいただきました。つれない答弁のようにも聞こえましたが、大事な答弁をいただいた部分もあると思っています。
 行政には、「やれない理由」というのと「やらない理由」というのがあると言われたりしますが、私は、今回の質問で、県がこれまでリフォーム助成を「やれない理由」としてきたものを上げて、①個人資産にも、景気対策としては集団でなくても補助やってますよね、②営業用資産にも補助やってますよね、③「政策目的がはっきりしない」といってた住宅リフォーム助成ですが、政策目的も効果もはっきりしてますよね、ぜひやりましょうよ。と提案したわけです。
 知事からは「私有財産に対する単なるリフォーム補助は慎重におこなうべきものとの考えにはかわりない、だからやらない」という趣旨の答弁があったと思いますが、「やれない理由」はもうおっしゃらなかったと思います。国も市町村もドンドンやってるわけですからね。
 また地域振興という点では、昨年から、交付税において、地方創生ということで県と市町村にも交付税算定がされていると思います。それぞれの自治体が特色ある仕事をすすめています。今回提案したように、市町村のそれぞれの政策目的で取組む住宅・店舗リフォーム助成を県が一部支援するという形は、和歌山県の地域振興・地方創生という点では効果が大きいと思います。
 ぜひ今後とも、こうした県民に身近な経済対策をご検討いただくよう要望をさせていただきます。

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3.介護職員養成と人材確保策について
(1)県の介護職員養成確保策
《質問》松坂英樹 県議
 今年度の新政策の中で、介護職員養成支援策として「介護職員等修学資金貸付」が始まりました。資格を取得して、和歌山県内の施設で5年間従事すると、貸付金の返還は免除という制度です。
 和歌山県は、人口構成と高齢化の状況からみても、介護人材の養成・確保は、他県にも増して喫緊の課題であり、待遇改善策と合わせ、地域をささえる雇用の場としても重要な位置づけが求められている課題であることは言うまでもありません。修学資金貸付については、これまでも国予算がついた時には実施されていましたが、国の予算終了とともに和歌山県では休止されていた制度です。昨年の2月県議会一般質問でも再開を求めたところであり、復活を歓迎するものです。
 一方で先日、地元の県立有田中央高校でお話を伺う機会がありました。この高校には総合学科の中に福祉系列のカリキュラムがあり、3年間の勉強や実習を経て、卒業時に介護福祉士の国家試験受験資格の得られる、県内高校ではただ一つの貴重な介護人材育成コースとなっています。ところが、今回スタートした修学資金貸付は、専門学校が対象であり、高等学校の福祉系列は対象外だということなんですね。なんとかこの生徒たちにも支援をしてほしいとの要望もお聞きしました。
 そこでまず1点目に、和歌山県として、介護職員養成と人材確保にむけてどのような施策に取り組んでいるのかお伺いします。
(2)福祉系列高校にも支援策を
 次に、こうした福祉系高校にも支援策をできないかを伺います。介護福祉士としての資格を持ち、専門性を高めた介護職員を養成するということは、これからの介護施策にとっても介護職員の待遇改善のためにも欠かせない課題です。現状では国の修学資金貸付が福祉系列高校は対象外となっているということなのですが、有田中央高校のような福祉系列高校にも、修学資金貸付の対象を拡大するなど、介護職員養成・確保のための支援策を講じるべきではないでしょうか。以上2点合わせて、福祉保健部長より答弁を願います。

《答弁》 福祉保健部長
 介護人材確保対策につきましては、現在、就職セミナーの開催や職場体験事業などの従来の取り組みに加えて、高校生を対象とした取組などを重点的に進めているところです。
 具体的には、昨年度から高校生が在学中に、介護職員初任者研修を取得できるよう支援を行っています。昨年度は有田中央高校の生徒9名、今年度は県内15校の生徒128名が、資格取得のために研修を受講しており、卒業後は、介護職員として県内で働いてもらうことが期待できます。
 本年6月には、漫画を使った高校生向け介護のイメージアップ冊子「GOGO介護」を作成し、県内の高校に配布するとともに、現在、地域の介護事業所と高校が連携をして、介護職のイメージ改善に向けた取組を進めています。
 これに加えて、今年度からは新たに、介護福祉士の養成施設等に通う際の修学資金の貸付や、離職した介護人材の再就職準備金の貸付を行うとともに、地域医療介護総合確保基金を活用し、介護事業所内保育所の整備や運営の支援を行っています。
 福祉系高校につきましては、公立高校は授業料を無償化されていること、公立高校での修学にかかる奨学金制度があることなどから、「介護福祉士等修学資金貸付」のような更なる支援は困難と考えています。

《要望》松坂英樹 県議
 ご答弁にありましたように、国は、高校には奨学金があるからそっちでやってねということですが、それはちがうと思うのです。高校生向けの奨学金制度は、経済的に困難な生徒の就学を助け保障するための制度です。介護人材確保のための奨学金は、試験に合格して、地元に何年か勤めたら、立派な社会への貢献になるから、返さなくてもいいよ、という優遇策ですよね。この人材確保の優遇策から、福祉系列高校の生徒たちがはずされているのは、放っておけないと思うのです。
 専門学校で介護福祉士をめざす人には国の修学資金貸付という優遇策がある、また一方で国の医療介護人材確保基金を使った初任者研修を経て介護の現場へスタートを切る高校生向けの支援もしている。ところがその高校で介護福祉士めざして頑張ろうという福祉系列の人むけの優遇策がない。これは何とか考えてあげようという問いかけです。
 答弁では、県としての幅広い介護職員養成と確保策の努力をお示しいただきました。まさに和歌山県にとっては、ここが一番大事なところだと思うのです。他県よりももっともっと力を入れなければならない分野ですよね。特に、介護福祉士という資格をめざす人材育成は、介護の仕事の骨組みを作る役割をはたすものです。
 今回取り上げました福祉系列高校の話は、対象が小さいだけに光があたっていない部分だと思うのです。でも、地域にとってはかけがえのない、地域にのこって地域をささえてゆく人たちなんです。
 政治の責任・役割は、こうした人数的には小さいけれども、制度の光が当たっていないところに光をあてるのが仕事だと思います。
 他の県でも、福祉系列高校への修学資金貸付の対象拡大を願う、同じような条件の生徒たちがいるはずです。国にぜひ働きかけていただきたいと思います。また県としても、介護職員確保策として、県は応援していますという支援策を、教育委員会・学校ともよく相談しながら検討していただくよう、強く要望をいたしまして、質問を終わります。


 
                                                       仁坂知事の答弁を聞く、松坂英樹和歌山県議(右)
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