2016年9月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録   議会中継録画



2016915

1.県民のくらしと医療・介護の充実について
(1)国保料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料の滞納問題について
  ・国保料(税)滞納による差押の状況と対策について
  ・後期高齢者医療保険料の滞納と差押について
  ・介護保険料の滞納処分等の状況について
  ・低所得者等への対応について
(2)国保の県単位化について
  ・納付金制度によりどう変わるのか
  ・市町村との協議のすすめ方について
  ・市町村独自の減免制度と法定外繰り入れについて
(3)介護保険制度について
  ・低所得者等への減免について
  ・要支援1、2の方への地域支援事業について

2.南海和歌山市駅前整備と関連して
(1)市堀川の浄化について

3.防災の取組について
(1)防災アセスメントについて
(2)中央構造線直下型地震対策について


1.県民のくらしと医療・介護の充実について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので通告に従い、質問に入らせていただきます。
 最初の項目で、県民の暮らしと医療・介護の充実についてお尋ねいたします。
 安倍政権は、社会保障の予算の増加が財政悪化の原因であるかのように言いますが、社会保障を削減しながら軍事費の拡大や大型公共事業へのバラマキを続けています。しかし、日本の社会保障支出は(国民一人当たり)はOECD加盟34ヵ国中17位です。政権発足後、4年間で1兆3200億円もの社会保障予算の「自然増」を削減し、年金支給の連続削減、70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げ、要支援者のヘルパー・デイサービスの保険給付はずし、介護報酬の大幅削減、生活保護費の切り下げなど、社会保障の連続改悪を行ってきました。
 このような中で、社会保障の負担が生活を圧迫する事態がおこっています。また、保険料を払えないことで国保の資格証の発行、介護保険サービスの給付制限などが行われ、本来、低所得者の人ほど必要な医療や介護サービスから締め出されるという深刻な事態も起こっています。さらに、滞納による差し押さえが急増しています。
 医療・介護について、まずこの高すぎる保険料負担と滞納への対応の問題を、福祉保健部長にお聞きします。
(1)国保料(税)、後期高齢者医療保険料、介護保険料の滞納問題について
・国保料(税)滞納による差押の状況と対策について
 1つ目は国保、後期高齢者医療、介護保険の保険料滞納の問題です。
 国保料(税)は高すぎると問題になっており、滞納者は平成26年度で県平均で14%にのぼっています。低所得の方が滞納になっている方が多いように見受けられます。
 滞納者に対し、納付のためにどういった対策を行っていますか。また、差し押えの状況はどうなっていますか、お聞きいたします。

《答弁》 福祉保健部長
 市町村では、滞納者の収入や生活状況を把握し、必要に応じて保険料(税)の分割納付など、それぞれに応じたきめ細かな納付相談を行っていると認識しています。
 このような取組を行った上で、所得や資産があるにもかかわらず、保険料(税)を納付する誠実な意思が認められない者については滞納処分を行っており、平成27年度中の差押えは2,154件、約6億7千万円となっています。

《要望》奥村規子 県議
 きめ細かな納付相談ということが言われました。しかし、差し押さえの状況は市町村によってかなり違います。極めて少ない市町村もありますが、たとえば平成26年度、白浜町では滞納世帯の25.7%、紀ノ川市では35.3%、岩出市では47.5%が差し押さえられ異常な数です。県の差し押さえ件数合計も一昨年より増えています。ある市の資格証発行状況の所得階層別を見ると0円がもっとも多く所得200万円以下が大半を占めます。保険料が高くて払えないことを示しています。滞納と差し押さえについても、ぜひ所得階層別に調べ対策をとるべきだと思います。
 飲食業を経営されていて営業不振で税と国保料を滞納している人、売り上げのお金から差し押さえられ仕入れが困難になった個人事業主、保険料を納めるのが精一杯で窓口負担が払えず治療を中断している方、子どもの被害弁償金を預かっていた通帳を差押えられた方、こういった相談が続いています。
 そもそも保険料が高いこと、和歌山市の場合でいえば、夫婦と子ども1人の世帯で世帯主の賦課対象所得金額150万円であれば年額37万円あまりの負担にもなるという問題があります。県としても国庫負担を増やすように働きかけられていますが、今回特に申し上げたいことは、この高い保険料を払う見通しが困難と思われる場合などに、気軽に相談できるように体制も含め取り組んでいただきたいということです。要望しておきます。

・後期高齢者医療保険料の滞納と差押について
《質問》奥村規子 県議
 後期高齢者医療保険料、介護保険料については、いずれも高齢者への賦課となります。後期高齢者医療保険制度の保険料は年金天引きが基本であり、滞納する方は、年金が年に18万円以下なので「普通徴収」とよばれる、納付書で納付する方となると考えられます。
 こうした低年金の方の滞納は、実際上、払いたくても払えない状況で滞納がおこっているのではないかと考えますが、滞納者の率やその状況についてお聞かせください。また、この滞納者への差し押さえ状況についてもお聞かせください。

《答弁》 福祉保健部長
 平成27年6月1日現在の後期高齢者医療保険料の滞納者数は1,839人で、被保険者に占める割合は1.2%であり、滞納額は約1億円となっています。
 また、平成27年度中の差押えは55件、約440万円となっています。

《コメント》奥村規子 県議
 先ほども申し上げたように、75歳以上で年金が年に18万円しかない人の生活は、生活保護基準にも程遠い状況であり、その方に差し押さえするようなことがあってよいのでしょうか。そういう人にはすべきでないと考えます。

・介護保険料の滞納処分等の状況について
《質問》奥村規子 県議
 介護保険では、保険料の滞納が1年以上になるとサービスの利用の際、いったんサービス費用の全額を自己負担し、後から払い戻しを受ける「償還払い」となります。1年半以上では、滞納分の保険料を納めるまで払い戻しがとめられ、保険給付の一時差し止めになります。滞納2年以上では、利用料の自己負担が1割から3割に引き上げられることになっています。
 厚生労働省の調査では、2014年度で介護保険料の滞納により、差し押さえ処分を受けた高齢者が1万人を超え、給付制限を受けた人も延べ13,263人いたことがわかりました。
 県内ではどうなっていますか?

《答弁》 福祉保健部長
 本県における第1号介護保険料の未納者の状況につきましては、平成26年度保険料の未納者数は6,774人で、これは普通徴収の第1号被保険者32,870人の20.6%にあたります。
 滞納処分の状況につきましては、同年度の差押え決定人数は67人で、そのうち滞納保険料充当人数は61人、充当額は2,875,785円となっています。
 滞納者に対する保険給付の制限につきましては、同年度の償還払い化は49人、給付の一時差し止めは該当者なし、自己負担が3割に引き上げられる給付の減額等は110人となっています。

《再質問》奥村規子 県議
 介護保険も同様に、年金が年18万円以下の人が差し押さえとなっています。給付制限やペナルテイが生じ、サービスを受けられない事態に追い込んでいるやり方についてどう考えますか

《再答弁》 福祉保健部長
 介護保険料については、高所得者に対しては標準的な保険料額の2倍以上の負担をお願いするとともに、低所得者に対しては公費を投入して、標準的な保険料額の100分の45まで軽減するなど、負担能力に応じた保険料額に設定されています。
 多くの高齢者が、負担能力に応じた保険料を納付していただいている状況において、負担の公平性を確保し、介護保険制度を維持するためにも、滞納者に対して、給付の償還払い化や一時差し止め等を行うことはやむを得ないものと考えています。

・低所得者等への対応について
《質問》奥村規子 県議
 こうした、高齢で無年金を含むきわめて低所得等の方々の滞納に対しては、生活そのものが成り立つ相談体制が必要です。生活保護制度・生活困窮者自立支援制度の活用や、処遇困難な場合に関係者が支援策を検討することができるような仕組みをつくるべきではないかと考えますが、この点について県としてどのように対応されているのですか。

《答弁》 福祉保健部長
 滞納者を含む低所得者や生活困窮者に対しては、平成27年4月から生活困窮者自立支援法の施行に伴い、生活保護を行う振興局や市の福祉事務所に相談員を配置し、生活や就労など様々な相談の対応を行っています。
 また、相談の中で就労支援を希望する方には、就労支援員がハローワークに同行し、求職支援を行うとともに、個々の事情に応じて専門機関への紹介を行っています。
 なお、生活が逼迫されている方には生活保護を適用するよう、保護の実施機関を指導しているところです。
 今後とも、生活困窮者の自立を図るため、必要に応じて市町村の国保や介護保険担当者と支援調整会議を開催するなど、関係機関との連携を密にしながら、きめの細かい支援を行ってまいります。

(2)国保の県単位化について
《質問》奥村規子 県議
 2つめは、国保の県単位化についてお尋ねします。
 国は、2018年(平成30年)度から都道府県が保険財政の運営主体となる「国保の広域化」を決めました。新制度では、都道府県が医療費実績などを元に市町村ごとに納付金を割り当て、市町村が徴収して都道府県に納めるものです。市町村が独自に決めていた保険料(税)を「平準化」させることなどを通じて、住民に保険料の負担増や保険料徴収の強化をもたらすことになるのではないかと思います。そこで、福祉保健部長にお伺いします。
・納付金制度によりどう変わるのか
 現在は、医療費1円から共同化されているため、市町村からの拠出金と国保連からの交付金で国保会計が運営されていると思います。拠出金については、医療費実績50:被保険者割50で市町村の額が決められており、これによって拠出が大きくなるところには県の調整交付金を多くして、負担が大きくならないような対応がされていると思います。
 これが県単位化になることで、どのように変わっていくのか、県単位化した際の納付金とどう変るのか、お聞かせください。

《答弁》 福祉保健部長
 平成30年度以降、市町村が県に納付金を納付し、県が市町村に対し、医療給付費として必要な額を交付することとなります。
 納付金の按分方法については、現在、保険財政共同安定化事業で採用されている医療費実績と被保険者数に加え、所得水準も加味することが原則とされており、現在、市町村とその方法について協議を行っているところです。

・市町村との協議のすすめ方について
《質問》奥村規子 県議
 県単位化に向けて、市町村とはどういう協議を進めていくのか、お答えください。

《答弁》 福祉保健部長
 現在、市町村担当課長の代表者との協議の場として和歌山県国保運営方針連携会議を設置し、納付金や標準保険料率の算定方法を含む国民健康保険運営方針について協議を行っており、その後、全市町村に意見聴取を行うこととなります。

・市町村独自の減免制度と法定外繰り入れについて
《質問》奥村規子 県議
 現在の市町村独自の減免制度、及び市町村の法定外繰り入れの状況はどのようになっていますか。県単位化に移行しても、市町村独自の減免制度や市町村の法定外繰り入れが継続されていくことが必要だと考えますが、どうですか。

《答弁》 福祉保健部長
 現在、全ての市町村において保険料の減免制度があり、平成30年度以降も継続されるものと考えています。
 また、赤字補填や保健事業などの法定外繰入れは全ての市町村で行われており、平成26年度は約12億円となっています。
 本来、保険制度で運営している国民健康保険では、赤字補填のための法定外繰入れは解消すべきものであり、今回の制度改革により公費の拡充が図られるため、赤字補填を行っている市町村については、それを活用し、赤字解消に取り組んでいくものと考えています。

《再質問》奥村規子 県議
 市町村との協議で納付金の按分や標準保険料率の算定方法を決めてゆくということでしたが、充分協議していただきたい。国のガイドラインでは、各市町村ごとに標準保険料率を示すということにもなっていますが、その際にこれまで市町村が努力してきた保険料引き下げのための一般会計からの繰り入れは尊重されるよう、県から制限するようなことがないように、その点についてお答えください。

《再答弁》 福祉保健部長
 現在、市町村独自で減免制度と赤字補填等をされておりますけれど、国保運営方針連携会議では、国保運営方針に市町村ごとの赤字解消・削減の取組、目標年次等を記載する方向で協議を行っております。平成30年度以降は、新たに策定された国保運営方針に基づいて、市町村が赤字補填のための法定外繰入れの解消に取り組んでいくことになると考えています。

(3)介護保険制度について
・低所得者等への減免について
《質問》奥村規子 県議
 3つめは、介護保険制度についてお尋ねします。
 先に滞納問題はお聞きしましたが、保険料の低所得者の減免について、県の考えをお聞きします。
 県は国への要望で、介護保険の国庫負担を30%に増やすよう求めています。これは、このままでいけば保険料が、2030年度には県平均の保険料が9,179円(現在は6,243円)にもあがり、とうてい高齢者の負担にはたえられないということからです。また、国が平成29年度におこなうとしていた、低所得者の減免の実施が先送りされる心配もあります。
 このことについて、現在での県の考えはどうですか。国が打ち出した低所得者の減免の実施を求める考えはありますか。高すぎる保険料引き下げのために、国に求めるとともに、県としても対策を講じる考えはありませんか。

《答弁》 福祉保健部長
 低所得者の介護保険料軽減につきましては、平成27年4月に所得階層区分の中で最も低い第1段階の第1号被保険者を対象として実施されており、平成29年4月に消費税が引き上げられた時には、この第1段階から第3段階までの者を対象として更なる軽減措置が行われる予定でしたが、消費税引き上げが延期されたため、今後の対応については、国の予算編成過程において検討されることとなっています。
 県といたしましては、これまでも、国の責任において恒久的な保険料の軽減措置を講ずるよう要望してきており、引き続き、国の対応を注視していきます。

・要支援1、2の方への地域支援事業について
《質問》奥村規子 県議
 要支援1、2の方への地域支援事業について、来年度からは全市町村で移行しなければならないことになっています。市町村のとりくみ状況と課題はどうなっているか、お聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 平成26年度の法改正により、介護保険の要支援1と要支援2の方向けの予防給付のうち、「訪問介護」と「通所介護」を、遅くとも平成29年4月までに、市町村の地域支援事業へ移行させる必要があります。
 また、この地域支援事業では、「訪問介護」、「通所介護」の現行相当のサービスだけでなく、地域の実情に応じて、国の定める事業者の設備、人員基準よりも「緩和した基準によるサービス」、有償・無償のボランティア等により提供される「住民主体による支援」、保健・医療の専門職により3ヵ月~6ヵ月の短期間提供される「短期集中予防サービス」など様々な事業を実施することが可能とされています。
 県内では、「訪問介護」、「通所介護」の現行相当のサービスは、すべての市町村で実施する予定で準備しており、橋本市では、本年10月から実施する予定と聞いています。
 また、他の「緩和した基準によるサービス」などは、現在、検討作業中でございます。

《要望》奥村規子 県議
 現行相当のサービスを希望すれば受けられるようにし、サービス提供する事業所の運営もできるように報酬の切り下げをしないこと、これまでどおり介護認定を受けられるように市町村に働きかけることを要望します。
 これまで、国保・後期高齢者医療・介護保険にかかわって質問してまいりましたが、社会保障の負担軽減でくらしを支え、くらしの底上げをしてゆく施策の充実に取り組まれることを願っています。

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2.南海和歌山市駅前整備と関連して
(1)市堀川の浄化について
《質問》奥村規子 県議
 2項目は、南海市駅前周辺整備と関連して、市堀川(しほりがわ)の浄化について、県土整備部長にお尋ねいたします。
 「南海和歌山市駅前再開発整備計画」が公表され、関係者の議論が行われています。また、昨年から取り組まれている「グリーン・グリーンプロジェクト」により、市駅前に賑わいを取り戻すための社会実験が行われています。今年も、昨年以上に様々な取り組みが計画されています。
 その一つとして、「市堀川クルーズ」という企画では、寄り合い橋付近から小船で周遊します。
 私も、昨年は始めて乗船し、川から眺める景観を楽しみました。その際にあらためて感じたのは、子どものころには真っ黒に汚染されていた川も、きれいになってきていることです。市堀川においては、浚渫がなされ、水質も基準内に維持されています。
 河川の水質が、さらに良くなることで人が集まり、人々の繋がりが深まって行くと思います。今後、さらに、市堀川の浄化を進められる取り組みの考えはないでしょうか。

《答弁》 県土整備部長
 和歌山市の市街地では、戦後の急激な工場の規模拡大や人口増加に伴い、工場排水や生活排水が増加し、河川の水質が著しく悪化しました。
 このため、昭和44年度以降、和歌川や市堀川の底泥の浚渫を行い、さらに、昭和53年度には和歌山市塩屋に和歌川ポンプ場を整備し、和歌浦から導水することにより、水質改善に取り組んできたところです。
 現在、その効果もあり、市堀川の環境基準点であります住吉橋では、水質基準を満足している状況となっており、引き続き水質の保全に努めるべく、現状の水質を注視してまいりたいと、このように考えてございます。
 ご指摘のありました市堀川の更なる浄化に取り組むためには河川等に流れ込む生活排水等の対策が有効と考えてございます。南海和歌山市駅前周辺は既に和歌山市において、下水道の整備が完了しておりまして、引き続き接続率の向上が望まれます。
 このため、市堀川の浄化を進める観点からも、今後とも和歌山市と連携し、下水道への接続率の向上を図るべく、啓発等を行ってまいりたいと考えてございます。

《要望》奥村規子 県議
 和歌山市の中心部を流れる市堀川は、和歌山城の北外堀に当たります。市堀川を含めた和歌山市内を流れる5つの河川、和歌川・大門川・真田堀川・有本川は、県としても観光資源や地域活性化に寄与できるようにと、取り組みが行われています。
 いっそう取り組みを強めていただきたく、要望します。
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3.防災の取組について
(1)防災アセスメントについて
《質問》奥村規子 県議
 9月1日は防災の日です。10万人以上が犠牲となった、93年前(1923年)の関東大震災発生の日にあたり、災害に備える認識を深めるとりくみが各地で行われました。
 東日本大震災・紀伊半島の豪雨災害から5年です。今年4月に、中央構造線活断層系の西端で起こった熊本地震は阪神・淡路大震災級の震度7で、その後2,000回以上の余震が続くという、前例のないものです。複数の活断層が連動して地震が起こりました。和歌山県では中央構造線の活断層は、和泉山脈の南麓に沿って東西にのびています。この活断層は近い将来、直下型の地震災害が予想されています。南海トラフ地震とともに、この直下型地震への対策が必要かと思います。最近では、北海道・東北・関東などに、次々と台風が上陸し被害が広がりました。「災害多発国」である日本の国民の生命と財産を守るという、防災の原点を貫く政治の役割がますます日々求められています。
 県においても、災害が発生した後の応急対策や復旧・復興対策、減災・予防対策が取り組まれていますが、地震や台風などの災害に関して、急傾斜地や軟弱地盤、災害の履歴等を考慮して、どのような被害があるかを事前に調べる「防災アセスメント」が重要となりますが、どのようにお考えですか。危機管理監にお聞きします。

《答弁》 危機管理監
 地震や台風等想定される災害に対応した人的被害、構造物被害等を算出する被害想定を作成するため、地震、台風等の災害誘因、地盤や危険物施設の立地状況などの災害素因、災害履歴などを考慮し、総合的かつ科学的に地域の災害危険性を把握するいわゆる「防災アセスメント」を、事前に実施することが必要とされております。
 県では、南海トラフ地震や中央構造線断層帯による地震の被害想定を実施するにあたり、従前から詳細な地形や津波の履歴、地盤調査などの「防災アセスメント」を行い、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定するなど、実効性のある防災・減災対策に取り組んでいるところでございます。

(2)中央構造線直下型地震対策について
《質問》奥村規子 県議
 わかっているだけで、全国に2,000もの活断層があるとされています。どこで大地震が起きてもおかしくない状況です。
 そこで、和歌山県北部を横切る中央構造線直下型地震対策も強める必要があると思いますが、どのような取り組みをされていますか。

《答弁》 危機管理監
 地盤調査等を基にした防災アセスメントの結果、中央構造線断層帯による直下型地震だけでなく、紀伊半島は南海トラフ地震においても、震源域に近く、南海トラフ巨大地震で県内のほぼ全域において、震度6弱以上と、直下型地震と同様に非常に激しい揺れが想定されております。
 そのため、東日本大震災直後から、「防災・減災対策の総点検」を実施して、公共施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化について、全国トップクラスの助成制度を用意するなど、地震に備える対策に強力に取り組んでまいりました。
 しかしながら、住宅の耐震化や家具固定は決して進んでいるとは言えず、行政報告会、各種メディア、県庁のルートなどを通じ、あらゆる機会をとらえて必要性を訴えるなど、住宅の耐震化、家具固定、ブロック塀の安全対策を、より一層推進してまいります。また、議員各位におかれましても、このような主旨から県民の皆様方に呼びかけていただきますようにお願いをいたしたいと存じます。
 併せて発災後の救出・救助等の防災活動や初期消火、避難所の運営等を担う自主防災組織の充実による地域防災力の強化などに取り組み、直下型地震などの災害に備えてまいります。

《要望》奥村規子 県議
 中央構造線活断層のこの地域には、災害を素因とする被害が潜在的に存在します。これが地震の発生や台風、豪雨によって被害が顕在化します。このようにして、県内ではしばしば大きな災害が起こってきました。そのために県民の命や財産が失われる大きな被害を受けました。公共の施設や産業施設、農地でも突然大きな損失を受けます。
 2014年に起きた、広島での土砂災害では多くの住宅が被害を受け、たくさんの死者が出ました。また今年、岩手県では台風10号により、高齢者グループホームに入所されていた方9名が亡くなりました。これらの被害は、建物を建てる事前の段階で防災アセスメントを行っていれば防げた部分もあると考えます。
 特に、自然災害により広範囲にわたって被害を与える施設、例えば、原発や放射性廃棄物処理施設、産業廃棄物処理施設など、自然災害の後に2次災害が予想される施設については、建設計画の前の段階で、きちんとした防災アセスメントを厳重にする必要があります。この事前の防災アセスメントによって大きな被害が予想される場合は、建設計画の中止もあり得ます。
 広範囲に被害を与える施設をつくる場合には、現在実施されている環境アセスメントに加え、防災アセスメントとの2つの視点で慎重に対応することを、県独自で検討する必要があると指摘しておきます。
 現在、県は市町村に対してハザードマップの作成を支援しています。現状で災害を受けた場合の防災アセスメントもされています。これらは評価できるものですが、災害県である和歌山県として、さらに進んだ事前の防災アセスメントを実施することを検討していただきたいと要望します。



  
                                                     福祉保健部長の答弁を聞く、奥村規子和歌山県議(右)

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