2016年12月和歌山県議会
 平成27年度決算の認定に対する反対討論  松坂 英樹
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                                                    20161219
 日本共産党県議団を代表して、議案第212号「平成27年度和歌山県歳入歳出決算の認定について」、および議案第213号「平成27年度和歌山県公営企業決算の認定について」の決算認定2議案について、反対の立場から討論を行います。
 2015年度は、前年に消費税が8%に増税されるなど、国や地方自治体がすすめる国民負担増により格差と貧困がますます社会問題化する状況となりました。2015年度決算に対する監査委員の意見書の中でも、「地方においては、経済政策の効果がなかなか行き渡らず、経済の好循環の実現が十分に進展していない」と分析されています。
 そんな中、和歌山県の2015年度の一般会計収支は、歳入5800億円、歳出5715億円で85億円の黒字となり、実質収支では36億円の黒字決算となっています。県債残高は1兆193億円と前年度よりさらに1.3%増の結果となりました。
 国は景気回復で税収が増えたと強がっていますがどうでしょうか。本県の2015年度県税収入は、たしかに前年度比83億円、9.6%の増加となっています。ところが、決算審査の中で明らかにされたのは、消費税の8%への増税による税収増が71億円だという試算です。83億円の増収のうち71億円、つまり県税収入増のほとんどの部分は、景気回復ではなく消費増税によるものだということが明らかになりました。また各種法人税においても、国との調整分による増減が主なものであり、県内企業の収益改善・県経済の復調とまでは言えない状況です。

 こうした中、2015年度は、きのくに和歌山国体・きのくに和歌山大会が、44年ぶりに開催された年でした。県民参加ですすめた国体・大会を期に、今後ともスポーツ振興とバリアフリーな社会をすすめる取組が期待されるところです。
 国体開催による県財政への影響を見ておきたいと思います。開催関連費用の高騰がこれまでも全国的な問題となってきました。決算審査の中では、国体、大会、これまでのトータルで大会運営に86億円、選手強化に36億円、施設整備には県が215億円、県内市町村が整備したものに137億円かかり、合計すると県予算で337億円、市町村分を合わせれば474億円かかったことが報告されました。
 ハード整備をしたことによる後年度負担はどうなるでしょうか。競技施設整備の関係では、今後年8億円ほどの起債償還が一定期間続きます。一方、道路整備の関係では、国体までに供用開始するため、前倒し整備した道路整備の県債総額は853億円となっていて、前倒しによる事業急増が後年度負担でも急増となって今後に影響します。前倒しで整備した道路の起債償還額は、2016年度には24億円ですが、3年後には64億円の予算が必要というふうに急増し、10年後でも引き続き年49億円の返済が求められます。
 全体としてみれば、国の事業も活用しながら、県財政への負担を軽くする努力がされたものの、他県より安くついたとはとても言えない状況です。その要因として、これまでの競技施設の計画的整備の遅れや、県内地域的バランスのとれた配置の遅れ等が、こうした一時の集中的な整備をせざるを得ない結果となったことを指摘しておきたいと思います。今後は、整備された立派な施設を有効活用し、レベルの高い大会や合宿などにも活用いただくとともに、県内のスポーツ人口のすそ野を広げ、県民の皆さんに大いに活用していただけるよう、運営に力を注ぐことを求めたいと思います。

 次に、県として県民の暮らしの願いにどうこたえてきたでしょうか。2015年度は市町村の介護保険料が改定され、和歌山県の介護保険料基準額の平均は、全国2番目に高い6243円となりました。このように増え続ける社会保障負担を軽減するために、県として国保や後期高齢者医療、介護保険などの負担軽減に取り組むことが求められましたが、そこに踏み出せませんでした。子育て支援に力を入れながらも、県内市町村から要望の強い子ども医療費無料化の対象拡大はおこなわれませんでした。
 経済対策としては、先進的な企業への支援、県内中小企業むけの融資などに力を入れてきたものの、小規模な事業所の多い和歌山県内の実態に即した、住宅・店舗リフォーム助成制度など地域の経済循環を良くする取組は、まだ十分とは言えません。

 教育の分野では、国の学力テストに加えて県独自の学力テストが続けられました。テストの順位を競うテスト漬けはやめるべきです。小学校2年生から3年生になるときに少人数学級編成ができなくなるケースが依然としてあります。定数内講師も528人が残されたままとなっています。

 最後に、例年指摘しているように、開発優先や同和対策の歪みという負の遺産が見受けられます。コスモパーク加太では、加太菜園の借地料補てんに5900万円が使われ、年間6億円の借地料を払い続けているものの、将来の債務負担の発生が県財政の時限爆弾となりかねない状況に変わりはありません。土地造成事業では、起債残高65億円に対して保有する企業用地の時価評価額は46億円にすぎず、資金不足を補うため一般会計から1億5700万円の繰入が続いています。高度化資金融資の延滞額は83億円にものぼり、同和対策事業のゆがみが原因であったと指摘するものです。以上で反対討論を終わります。


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