2016年12月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録   議会中継録画



20161213
1.子どもの貧困対策について
(1)子どもの貧困対策の推進に関する法律について
  ・法の内容と受け止め
(2)子どもの貧困対策の推進について
  ・どのように実態を把握し、対策を推進していくのか

2.国民健康保険の都道府県単位化について
(1)国保の財政運営を県が握る意味
(2)国保運営方針について
  ・標準保険料率は市町村を拘束することにならないか
  ・国保運営方針案の協議内容や経過について
  ・市町村の賦課方式について
(3)市町村の独自繰入れについて
  ・市町村の自主性、自立性について
  ・一般会計繰入れに対するペナルティについて

3.大型太陽光発電所施設の建設計画について
(1)太陽光発電の導入について
(2)環境影響評価について
(3)建設計画の規模について
(4)林地開発許可の同意の対象範囲について


1.子どもの貧困対策について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので通告に従い3つの項目について質問させていただきます。
 1つ目は子どもの貧困対策についてです。9月議会では藤本議員が子どもの貧困問題について質問されていました。重なる部分もあるかと思いますが、一時も早く貧困問題に抜本的な対策で解決にあたってほしいという思いで私の方からも質問させていただきます。
(1)子どもの貧困対策の推進に関する法律について
・法の内容と受け止め
 日本の子どもの貧困率は過去最悪の16.3%(2012年)になりました。OECD加盟国34カ国中ワースト10位の深刻さです。中でも深刻なのはひとり親世帯で、その貧困率は54.6%にも及びます。
 山形大学の戸村准教授の調査で1992~2012年の間に、最低生活費を下回る収入の18歳未満の子どもがいる世帯の割合を5年ごとにまとめたものがあります。2012年の子どもの貧困率は全国で13.8%と、1992年の5.4%から8.4ポイント増え約2.5倍になっています。地域特性としては、北海道や東北の一部と関西以西が高く最も高いのが37.5%の沖縄県で次いで21.8%の大阪府、3番目は20.6%の鹿児島県です。和歌山県は9番目の17.5%となっています。1992年と2012年の比較での増加幅では第5位です。
 貧困率が急増する背景には、国が進めてきた雇用、福祉、社会保障政策により「貧困と格差の拡大」が生じているものと考えます。
 国においては、2013年に子どもの貧困対策法(子どもの貧困対策の推進に関する法律)が制定されました。どういう状況が貧困なのかという基本概念がないことや貧困率の削減目標も盛りこめられていないのが残念です。この法律についての内容と受け止めについて福祉保健部長にお尋ねいたします。

《答弁》 福祉保健部長
 議員ご質問のように、子供の貧困率が先進国の中でも高いことが指摘されていますが、貧困の状況を客観的に判断することは難しい問題であると考えます。しかしながら、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の基本理念にあるように、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、貧困の世代間連鎖を断ち切ることは、社会全体の責任として取り組まなければならない問題として重く受け止めています。
 県におきましては、従来より教育支援、就労支援、経済的支援など様々な施策を実施してきたところですが、この法律の趣旨を踏まえ、子供の生活や成長を権利として保障することを第一に施策体系の整理を行い、子供の成育環境や保育・教育条件の整備や充実を図っていくことが必要であると考えています。

(2)子どもの貧困対策の推進について
・どのように実態を把握し、対策を推進していくのか
《質問》奥村規子 県議
 国は2014年の8月には貧困法の課題や目標を示した「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定しました。「親から子への貧困の連鎖を断ち切る」ことをうたっています。現状把握のため進学率や就職率を含む25の指標を示しています。また、子どもの家庭環境の相談に乗る「スクールソーシャルワーカー」の増員や給付型奨学金の創設に向けた議論を開始しています。地方自治体独自に貧困率の調査を行ったり、家計収入のアップにつながる、入札者に指定した賃金以上の支払いを約束させる公契約条例を定めたりといった動きがあります。県として貧困をなくすための対策をどう考えているのか。子どもの貧困問題の解決は喫緊の課題です。県子ども貧困対策推進計画の取組状況はどのようになっていますか。計画策定の方針と推進体制についても福祉保健部長にお尋ねいたします。
 また、先に述べた国が公表している子どもの貧困率は厚生労働省が3年ごとに実施する「国民生活基礎調査」です。この調査は全国調査ではありますが、5万世帯によるサンプル調査であり都道府県ごとの集計もありません。子どもの貧困の実態に迫るためには各自治体でのしっかりとした調査が必要だと考えます。
 そこで、どのように子どもの貧困の実態を把握し、対策を推進していくのか、福祉保健部長にお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 子供の貧困問題を解決するためには、教育支援、生活支援、就労支援、経済的支援など多岐にわたる施策を総合的に実施し、貧困の世代間連鎖を断ち切ることが必要です。県計画の策定にあたっては、福祉保健部を中心に庁内事業関係課による連携体制のもと検討を重ねてきたところですが、本年11月に各部局主管課を含む9部局18課で構成する「子供の貧困対策庁内検討会」として体制を再編し、今後の対策の推進に全庁的に取り組んでまいります。
 また、計画の策定途中ではありますが、既存施策に加え、新たな取り組みとして「和歌山県大学生等進学給付金」、「子どもの居場所づくり」、「和歌山こども食堂支援」の3事業を創設し、平成28年度から実施しているところです。
 なお、貧困の実態把握については、従来施策の実施過程における実態の把握や調査等により現状を把握をしているところですが、県全体での子供の状況として調査した実績はなく、今後さらなる施策の検討に向け調査の必要性は十分認識しています。子供の貧困は、子供の置かれている状態や生活習慣による学習への影響など、内面的なものも含めた幅広く根深い問題でありますので、今後の調査のあり方については国の動向や先進事例を参考に、引き続き検討していきたいと考えています。

《要望》奥村規子 県議
 子どもの貧困問題の解決に当たっては労働政策や社会保障政策など包括的な取組が必要であり、なかでも直接的な経済的支援は重要な柱です。特に小中学生の貧困対策で不可欠なのは就学援助制度です。例えば和歌山市の場合は、2015年の和教組の調査で小学校1年生の学用品への支援額は国が1万1,420円、和歌山市は6,860円です。国基準よりも低い市町村があると思いますが、これに対して本日は、教育委員会には特に質問しませんが、しっかりと状況を把握していただきたいと思います。また、入学準備金が入学後の7月に支給される問題については改善するよう市町村へ働きかけていただきたいと思います。
 貧困対策には様々な課題がありますが、高校現場の教師からお手紙をいただき、奨学金制度への切実な要望が書かれていました。紹介します。和歌山県奨学給付金を受給している生徒は17.15%です。その奨学給付金受給対象世帯は保護者等が生活保護、または課税証明書等の市町村民税が非課税であることとなっていて、たぶん250万円くらいだろうということです。この先生は3年ぶりに3年生の担任をして、子どもたちの姿がずいぶんと変わったと感じられました。保護者の年収が減っているようにも感じているということです。年度当初に集める学級費2万円を11月になってもまだ払わない、払えない、そこのところは厳密にはわかりませんが、払わない生徒もいらっしゃるようで、逼迫した家計状況がみられます。商業科では進路保障にために、様々な検定受験が義務付けられており、その検定料も多額になります。新入生説明会で、教科書代、制服代、体操服代、体育館シューズ代、副教材と説明が続くと、徐々に空気がざわついて、変わってくるそうです。学校の先生自体も20代の先生4名のうち3名の方が奨学金を返済中という状況だそうです。薬学部に合格した生徒がいるのですが、保護者が自営業で世帯年収が大変低いそうで、卒業まで6年間高い学費を払えるのか、担任はじめ皆心配しているということです。無事卒業、国家試験にも合格し晴れて薬剤師となっても、1000万円近い借金をもって社会に出ていくことになるのです。前途ある優秀な学生にこんな過酷な状況を押し付けていることに暗澹とした思いを訴えられています。
 今年度より県独自の大学生の給付金制度が実施され大変歓迎すべきものですがさらに拡充をすべきと考えます。
 すでに県として、子ども食堂の支援も始めていますが、ぜひ小学校区ごとにつくっていかなければいけないと思います。また、運営についても人件費への補助などにも拡充をして、定着し広げていっていただきたい課題です。
 子どものいのちに直結する問題で、今までも質問してきましたが、子どもの医療費助成が和歌山県の就学前より高い補助をしているのが全国で現在26都道府県に増えました。以前に質問させていただいたときは3県ほどしかなかったと思いますが、広がってきています。
 子どもは生まれながらにして人権を持つ権利の主体であると同時に、次の世代を担っていく社会の未来そのものだといえます。子どもが生まれてくる環境は恵まれていることもあれば、時に貧困や虐待によって過酷である場合もあります。だからこそ、社会全体で子どもたちの尊厳と社会の未来を守らなければならないのではないでしょうか。子どもの貧困は子どもの権利が守られていない状態の一つです。日本では、憲法や児童憲章、子どもの権利条約などの理念に基づき子どもの権利を保障する様々な制度があるにもかかわらず子どもの権利が守られていない。いったい子どもの何を守るためにつくられたのか疑問に思います。ぜひスピードアップをして実効ある対策を強く要望いたします。


2.国民健康保険の都道府県単位化について
(1)国保の財政運営を県が握る意味
 2018年度から国民健康保険が市町村と都道府県が共同で運営する制度に変わります。国保の財政を都道府県が一括管理し、都道府県が各市町村に「納付金」を割り当て、市町村が住民から集めた保険料を県に「納付」する形で、国保財政がまかなわれる仕組みです。「納付金」は市町村の医療費水準、所得水準で調整して決められ、100%完納が原則となっています。
 国は都道府県に「国保運営方針」の策定を義務付け、別途県が策定する「医療費適正化計画」や「地域医療構想」と整合させることを義務付けています。医療費のなかで大きなシェアをもつ国保の財政を県が握ることで、「医療適正化計画」による給付抑制や「地域医療構想」による病床削減とあわせて、権限をすべて都道府県に集中して、強権的に給付費の削減を推進させるものではないかと考えます。
 また、県が市町村に納付金を賦課し、標準保険料率を示すことで、市町村の保険料率の「平準化」がはかられようとしています。
 国民健康保険制度は、年金生活者、非正規労働者が増加し、加入者が貧困化するなか、生活困窮者も含めた全住民に医療を保障するという、国民皆保険をささえる社会保障制度です。国が本来はたすべき責任を後退させ、国庫負担をどんどん削減するなか、あまりにも高すぎる保険料引き下げのために、市町村が一般会計からの繰り入れを行ったり、独自の減免制度などを設けることは、住民の医療保障のための地方自治体としての努力です。これを県単位化によって、崩してしまうことは、さらに国保の構造的な問題を深刻化することになります。
 そこで福祉保健部長にお伺いします。
 県に権限が集中する仕組みの中で、国保の財政運営を県が握る意味はどこにあるのでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等、国保運営に中心的な役割を担うことによって制度を安定化させることが、今回の国保制度改革の目的であります。

(2)国保運営方針について
・標準保険料率は市町村を拘束することにならないか
《質問》奥村規子 県議
 9月議会でもこの問題についてお聞きしましたが、現在、国保運営方針について市町村の協議をしているということでした。今後、実施に向けて、県は各市町村の医療給付費の見込みと所得水準を加味した、納付金を決定し、市町村に賦課すること、国の保険料算定方式にもとづき、県の標準保険料率、市町村ごとの標準保険料率を出す、ということになります。
 保険料率は市町村が決定することだと考えますが、市町村ごとの標準保険料率は市町村を拘束することにならないでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 市町村の算定基準に基づく標準保険料率は、市町村の実際の算定方式に基づき、それぞれの収納率等を用いて算出するものであり、保険料率を決定する市町村に対し、県が参考として示すものです。

・国保運営方針案の協議内容や経過について
《質問》奥村規子 県議
 国保運営方針案が、市町村との協議で、今年度中にも決められていくと思いますが、その協議の内容や経過を公開するべきだと考えますがいかがでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 国保運営方針案につきましては、現在、県と市町村の担当課長の代表者による和歌山県国保運営方針連携会議で協議を行っているところであり、県としての案ができた段階での公表を考えております。

・市町村の賦課方式について
《質問》奥村規子 県議
 国保運営方針は県内の統一的な運営方針ということになるが、各市町村の賦課方式はこれまでどおりのやり方となるのかどうか。

《答弁》 福祉保健部長
 県としましては、将来的には県内統一の賦課方式による統一保険料を目指すべきであると考えていますが、賦課については市町村の権限であり、県が強制的に統一を図るものではありません。

(3)市町村の独自繰入れについて
・市町村の自主性、自立性について
《質問》奥村規子 県議
 前回の答弁で、「国保運営方針に市町村ごとの赤字解消・削減の取組、目標年次等を記載する方向で協議をおこなっている」とされましたが、この問題について、再度福祉保健部長にお聞きします。
 「赤字解消」というのは、一般会計からの繰り入れなしに、国保会計の独立採算として赤字を解消することを言っていると考えますが、自治体が、生活困窮者を含む全住民に医療を保障するという、国保本来の機能を守るために、一般会計から繰り入れて、保険料(税)の引き下げをおこなうことは、市町村の自主性、自立性の問題であると考えますが、いかがでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 市町村が国民健康保険特別会計に対し、一般会計から赤字解消のための法定外繰入れを行うことは、国民健康保険の被保険者以外の住民の方にも負担を求めることとなるため、本来、解消すべきであると考えます。

《再質問》奥村規子 県議
 国保制度というのは、そもそも構造的な問題があるわけです。その国保の加入者は、退職した方や所得が厳しい方も含めて成り立っている制度で、国庫や県の税金を入れて国保制度をつくっているわけです。その国保制度の運営が大変厳しいということで、各市町村が一般会計から繰入れて保険料の引き上げを抑えたり引き下げたりしているのは、各市町村の政策判断で取り組まれていることではないですか。その点でもう一度、どうお考えかお尋ねいたします。

《再答弁》 福祉保健部長
 先ほどもお答えしましたとおり、法定外繰入れに関しましては、国民健康保険の被保険者以外の方の負担にもなることであり、本来、解消すべきであると考えています。そして、この国民健康保険自体に関しましては、退職された方など無職の方が多く、構造的な問題があるということは私も認識しておりますので、県としましては、引き続き、全国知事会等を通じて、国が責任を持って持続可能な制度を構築するよう要請してまいりたいと考えております。

・一般会計繰入れに対するペナルティについて
《質問》奥村規子 県議
 一般会計からの繰り入れについては、調整交付金などで何らかのペナルティを考えているのかどうか、福祉保健部長におたずねします。

《答弁》 福祉保健部長
 法定外繰入れに対し、調整交付金などによるペナルティは考えておりません。ただし、県が策定する国保運営方針に赤字解消の取組、目標年次等を記載することとしており、県としては、これに基づき市町村を指導していくことになります。


3.大型太陽光発電所施設の建設計画について
(1)太陽光発電の導入について
《質問》奥村規子 県議
 3つ目の質問です。大型太陽光発電所の建設計画についてお尋ねいたします。
 エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤です。しかし、日本のエネルギー自給率はわずか6%に過ぎません。再生可能エネルギーを大量に導入するとともに、無駄な不要不急のエネルギー需要を削り、エネルギー効率の引き上げや省エネの徹底で、地球環境・資源の上で持続可能な低エネルギー社会をめざすことが必要です。再生可能エネルギーについて第2次和歌山県産業技術基本計画ではエネルギー自給率の向上や地球温暖化対策に資するのみでなく地産地消・分散型エネルギーとして地域振興への貢献も期待されることから県として太陽光発電や風力発電などの導入を進めてきたと述べています。ここでは特に太陽光発電の導入についてどのように考えているのか、知事にお伺いします。

《答弁》 仁坂知事
 エネルギー政策は、安全性を前提とした上で、安定供給、経済郊率性、環境適合を基本的な視点として進めて行く必要があると思います。太陽光発電はエネルギー自給率を上げますし、温室効果ガスを排出しませんので、そういう意味では良いエネルギーだというふうに一応考えられます。
 そういうことでございますので、再生可能エネルギーの大きな柱であり、和歌山県の豊富な日照時間など本県の持つ特性を活かすことができるものだと考えております。
 またですね、あんまりこれは雇用は生まないんですけれども、遊休地の活用とか、市町村にとっての固定資産税を稼げるというようなことでですね、積極的に取り組んでいったらいいんじゃないか、そんなふうに思っております。
 そういう考え方で取り組んできました結果、有田市には一般家庭約9千世帯分の発電能力を有する約30メガワットの発電所が設置されるなど、色々取り合わせてですね、県内の太陽光発電の容量は平成27年度末で固定価格買取制度導入前と比べますと約8倍の348メガワットとなっております。
 またですね、橋本市においてダイオキシン類の汚染の無害化処理対策を講じて、利用困難であった地域があるわけですが、そういうところに太陽光発電所が設置されたことで、この地がよみがえったというような県にとっての土地利用上のプラスもあったと思います。
 一方ですね、太陽光発電は地元雇用などの経済効果が大変限定的でありまして、またパネルを設置しようといたしましてそれが斜面でありますときに森林の伐採をいたしますと、保水力がなくなって防災上問題が出るおそれも出てくるんじゃないかというようなこともよく調べないといけませんし、またそういうことまでいかなくてもですね、景観を損なうことで観光面あるいは地域としてのメリット、そういう面で悪影響が出たりする懸念もありますので、その推進に当たってはいろんな自然との調和を図るなどいろんな問題を総合的に考え、かつ、地元の意向、これがですね大事でございますので、その意向も踏まえながら取り組んでいくべきだと考えております。

(2)環境影響評価について
《質問》奥村規子 県議
 持続可能な発展をめざすための一環であるはずの再生可能エネルギーの取り組みも環境規制の弱い日本では、事業化にあたってきちんとしたルールや規制を整備しないままに利益追求を優先した開発がおき、他県では環境保全や住民の健康・安全にかかわる問題を引き起こしています。事業者と地域住民の間で亀裂や紛争が生じることは再生エネルギーの導入を進めてゆく上で望ましい状況ではないと思います。太陽光発電の場合、環境影響評価はどうなっていますか。環境生活部長にお伺いします。

《答弁》 環境生活部長
 太陽光発電事業そのものは、施設の供用に伴う大きな環境への影響は想定されないことから、環境影響評価法の対象とはなっておりません。
 しかしながら、本県では、太陽光発電事業であっても、75ヘクタール以上の土地の造成を伴うものについては、環境への影響が想定されることから、環境影響評価条例の対象事業として、環境アセスメントの実施を義務づけております。

(3)建設計画の規模について
《質問》奥村規子 県議
 現在、直川・六十谷・園部地域に2箇所の建設計画があると聞いていますが、その規模について商工観光労働部長にお聞きします。

《答弁》 商工観光労働部長
 まず、和歌山市園部地区他に設置予定の発電所については、林地開発許可に基づく事前協議申出書によると事業区域面積が約74ヘクタール、発電容量が約48メガワットとなっています。
 次に、和歌山市直川地区他に設置予定の発電所については、環境影響評価方法書によると事業区域面積が約132ヘクタール、発電容量が約77メガワットとなっています。

(4)林地開発許可の同意の対象範囲について
《質問》奥村規子 県議
 私は先日、建設計画地のごく一部ですが土木設計の専門家の方に案内をお願いして山に入ってきました。写真では傾斜がわかりにくいですが足元のほうは35度ぐらいの急な傾斜で前方の日がさしているところあたりにパネルが置かれるようになっています。ちょうど3時ごろに虹がかかり、燃えるような紅葉とあわさってすばらしい景色に驚きました。ハイキングコースもありました。また、調整池の予定している場所にも行って参りました。地元の方と出会い、水道が敷かれていないため井戸水を使われているお話も聞きびっくりしました。山の水が流れ込む千手川がありますが川幅が狭いです。資料の下段の写真は昨年7月17日の降水量合計185mmで、1m30cm近くまで増水している写真です。水は濁っています。この日は街を巡回し紀ノ川の堤防にも行きました。紀ノ川大橋の橋桁の上のほうの高さまで増水していました。ちなみに気象庁のデータによると、和歌山市における一日の降水量の観測史上最高は2000年9月11日の353.5mmとなっています。
 住民の方からも不安や疑問の声をお聞きしました。
 2箇所の建設計画は森林地域であり、林地開発許可の対象となると考えますが、一般的に林地開発許可に必要な利害関係者の同意については、対象範囲をどのように考えていますか。農林水産部長にお伺いします。

《答弁》 農林水産部長
 林地開発許可申請書における利害関係者の同意につきましては、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき添付を求めております。
 対象範囲につきましては、森林法の許可基準である「災害の防止」「水害の防止」「水の確保」「環境の保全」に関する4つの要件で直接的に影響が及ぶ範囲内の関係者で、一般的には隣接する土地所有者や地元自治会、水利組合等を想定しております。

《要望》奥村規子 県議
 林地開発することについて、県としても県民の疑問や心配事に含めて十分受け止めていただきたいと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。


 
                                                          仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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