和議第55号
           海洋ごみの処理推進を求める意見書(案)

 昨年、全国各地を襲った台風と台風崩れの温帯低気圧は、甚大な被害をもたらした。中でも、山地崩壊により流れ出た流木は、漁業被害をもたらし、海岸に漂着した大量の流木の処理に長期間を要する事態が発生した。
 以前には、海岸保全区域外での漂着物対策に「地域グリーンニューディール基金」を利用できたが、現在は「海岸漂着物等地域対策推進事業」だけで、しかもこの事業は災害対応を想定したものとはなっていない。
 海洋ごみは災害関連のものだけではない。2015年のG7エルマウ・サミットにおいて、プラスチックごみによる海洋汚染が取り上げられ、海洋ごみ対策は世界的課題として初めて認識された。2016年のG7伊勢志摩サミットにおいても、海洋ごみの発生抑制及び削減に向けて対処することが確認されている。
 海洋ごみは、国内外を問わず多様な地域由来のものが混在しており、市町村にとっては自ら発生抑制対策を行ったとしても問題解決につながらない状況にある。特に、海洋ごみの約7割は河川経由との推定もあり、その多くを占める流木についての発生源対策は重要課題である。そこで、海洋ごみの処理の推進並びに発生抑制及び削減に向けて下記の事項に取り組むよう求める。

                         記

1 海洋ごみの多くを占める流木の主要な発生源となっている森林の崩壊を未然に防止するため、治山事業等の防災施設の設置や間伐等の森林整備を推進する予算を拡充すること。また、ダムにおける流木除去に対する十分な予算を確保すること。

2 地域グリーンニューディール基金のような市町村が機動的に活用できる海洋ごみ対策を進めること。

3 海洋プラスチックごみについては、国際社会と連携してその発生抑制及び削減に努めるとともに、マイクロプラスチックを含む海洋ごみの量・分布等の実態を把握するための調査をさらに推進し、国民生活への影響を回避するための研究を進めること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年3月16日
           様
                                和歌山県議会議長 浅井 修一郎
                                              (提 出 者)
                                               山下 直也
                                               長坂 隆司
                                               多田 純一
                                               雑賀 光夫
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 環境大臣