1.大型太陽光発電計画について
(1)環境アセスメントとは、どのようなものか
(2)環境アセスメントの手続きの進捗状況について
(3)千手川の砂防指定地と砂防設備について
(4)森林伐採の影響をどう考えるか
(5)国の太陽光発電に係る事業計画策定ガイドラインについて
2.和歌山県立医科大学薬学部設置計画について
(1)学校の特色と進捗状況について
(2)薬剤師の需要と供給について
3.男女共同参画の推進について
(1)「女性活躍推進法」に基づく県の取組の方向性について
(2)県内事業所への「一般事業主行動計画」の取組について
1.大型太陽光発電計画について
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので通告に従って3項目にわたって一般質問をいたします。
最初に大型太陽光発電施設計画についてお尋ねいたします。12月の定例会の一般質問でも取り上げさせていただきました。
計画地のパネルをご用意しましたので手元の資料1と合わせてご覧ください。赤色の和歌山市園部地区他と青色の直川地区の2箇所の計画地を合わせると、甲子園球場の約53倍(206.5ヘクタール)の広さになります。赤色は発電出力48,800Kw・面積74.3ヘクタール、青色は発電出力76,600Kw・面積132.2ヘクタールで、それぞれ別々の事業所が計画しています。巨大な太陽光発電の計画です。
太陽光発電施設を建設する場合、環境影響評価はどうなっているか県に尋ねたところ、県は、太陽光発電事業そのものは、施設の供用に伴う大きな環境の影響は想定されないことから、環境影響評価法の対象とはなっていないが、和歌山県では太陽光発電事業であっても75ヘクタール以上の土地の造成を伴うものについては、環境への影響が想定されることから県環境影響評価条例の対象事業として環境アセスメントの実施を義務づけていると答弁がありました。そこでお伺いします。
(1)環境アセスメントとは、どのようなものか
そもそも環境アセスメントとはどのようなものですか。環境生活部長お答えください。
《答弁》
環境生活部長
環境アセスメントとは、一定規模以上の開発事業等を行うにあたり、事業者自らがあらかじめ環境への影響について「調査、予測、評価」を行い、その結果を公表して一般の方々や地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点から、より良い事業計画を作り上げていく制度でございます。
《再質問》奥村規子 県議
森林の開発や大規模なソーラーパネルの設置などに、住民の中で不安をもっている方は少なくないように見受けられます。事業をしたいと考えている業者がもっと前の段階で、住民や自治体に意見を聴くというシステムが必要と思います。
国の改正環境影響評価法が平成23年4月22日に成立し、平成25年4月1日から完全施行されました。事業の早期段階における環境配慮を図るための計画段階配慮書の手続き及び環境保全措置等の報告・公表の手続きが新たに義務付けられています。和歌山県はどうなっていますか。
《再答弁》
環境生活部長
和歌山県環境影響評価条例では、計画段階配慮手続きについては義務づけておりませんが、環境保全措置の報告・公表手続きについては法改正以前から事業者に義務づけております。
《要望》奥村規子 県議
都道府県の環境影響評価条例の制定状況を見ると、近畿圏内では兵庫、滋賀、京都、奈良が配慮書手続きの新設をしています。和歌山県もぜひ条例のご検討をよろしくお願いします。
また、事業実施を前提としてではなく、最初の段階から住民と話し合いが持てるような仕組みを考えてゆくべきと思いますので、あわせてよろしくお願いします。
(2)環境アセスメントの手続きの進捗状況について
《質問》奥村規子 県議
それでは、次にお聴きします。直川・府中地区に計画されている太陽光発電事業は、環境影響評価の対象事業となっており、山や千手(せんじゅ)川の希少生物についてもこの中で調査されると思いますが、現在、環境影響評価の手続きの進捗状況はどうなっていますか。環境生活部長お答えください。
《答弁》
環境生活部長
現在、当事業については、事業者が、事業の実施に伴う生活環境や自然環境への影響をどの「調査、予測、評価」していくのか、その方法を記載した「方法書」に対し意見を述べる手続きを実施しているところです。
県としての「方法書」に対する意見については、有識者で構成される和歌山県環境影響評価審査会の意見を踏まえて4月下旬には取りまとめる予定であり、現在、審査会では、方法書の記載内容について専門的な見地から、住民意見も充分考慮し審査を行っております。
《再質問》奥村規子 県議
先日、県環境影響評価審査会が開かれました。審査会において委員からどのような意見が出されましたか。環境生活部長お答えください。
《再答弁》
環境生活部長
委員からの意見の主なものとしましては「環境影響を審査する上でもっと具体的な事業内容、管理体制を示す必要がある」、「事業規模がかなり大きいことから環境影響については長期的な視点で評価すべき」や「付近で別の事業者が太陽光発電事業を計画しており、そのことも踏まえて環境影響を評価すべき」などとなっております。
《要望》奥村規子 県議
住民の皆さんが疑問に思われていることと、同じ意見が出されているようにお聴きしました。何度も言うようですが、この太陽光発電事業は超大規模な開発計画になっています。
和泉山脈は、南麓を通る中央構造線活断層系の活発な断層運動によって隆起が著しく、その活断層に隣接する山地を開発するという計画のため、県としては審査会の意見をしっかり受け止めていただきたくお願い申し上げます。
(3)千手川の砂防指定地と砂防設備について
《質問》奥村規子 県議
先日、千手川沿いに現地視察をしたおり、千手川の上流に砂防指定地の表示看板が立てられていました。ここで砂防指定地について、県土整備部長にお尋ねしておきたいと思います。
砂防指定地の範囲といつ指定をしたのかお答えください。また、砂防設備が造られた時期についてもお答えください。
《答弁》
県土整備部長
千手川の砂防指定地につきましては、JR阪和線と千手川が交差する地点から上流600mに位置します観音橋付近を下流端といたしまして、そこから上流約3kmの区間において、川岸から両側10mから20mの範囲で、区域を、昭和27年、29年、52年、55年と段階的に指定をしてございます。
また、流水による川底や川岸の浸食を防止するための床固工や護岸工の砂防設備につきましては、昭和27年から28年、昭和49年、昭和54年から59年、平成4年から5年の4期に分けて整備をしてきてございます。
(4)森林伐採の影響をどう考えるか
《質問》奥村規子 県議
千手川は土砂流出の大きな河川で、上流域は谷底堆積物がみられ、下流域には大量の土砂が流出し堆積しています。千手川は一部天井河川をなしています。事業計画地は、主に白亜系和泉層群の砂岩泥岩互層で砂岩が分布しています。千手川流域には多くの急斜面が見られます。事業計画地は、一般に北東側斜面が流れ盤、南西側斜面が受け盤の構造をなし、岩盤の緩みや地すべりなど、地盤の変動が多く発生しています。直川地区は、千手川の流路低地、古期扇状地堆積物、谷底堆積物等に立地しているということです。
林地が大規模に開発されれば、千手川流域では土砂災害、洪水などの危険性が著しく高くなると考えられます。申し上げるまでもなく、森林は「水を蓄える」「洪水を予防する」「水をきれいにする」「表土の流出を防ぐ」「土砂崩れを防ぐ」「野外教育や環境教育の場所」「野生の鳥獣を守る」「二酸化炭素を吸収する」という大切な役割があります。
事業者は太陽光パネルを設置するため、森林を伐採するということですが、その影響をどのようにお考えですか。農林水産部長にお聞きします。
《答弁》
農林水産部長
議員ご指楠のとおり、森林には水源の涵養や土砂の流出防止などの様々な機能があり、大規模な森林伐採を伴う開発は、その機能を損なうものと考えます。
そのため、森林法では1ヘクタールを超す森林の開発については、林地開発許可が必要となっています。
その、許可要件として「災害の防止」「水害の防止」「水の確保」「環境の保全」があり、それぞれの基準に照らし合わせて、防災施設等が計画されているかなど、適正に審査することとなっています。
《再質問》奥村規子 県議
許可要件の基準に照らして審査するということですが、もう一度、資料1をご覧ください。赤色の園部地区の計画地と青色の直川地区計画地に挟まれたところに千手川が流れています。園部地区計画地は千手川流域の約10%、直川地区計画地は約30%を占めています。
資料2をご覧ください。千手川の狭窄部は、大雨の時はよく崩壊が発生していす。そのときは、河動閉塞が発生することがあります。
資料3をご覧ください。流れ盤斜面では、地盤のゆるみやすべりが発生しています。
次に資料4です。この地域の岩盤は、裂か(れっか)がよく発達して、開口性の裂かがやや深くまで達しています。
また、わかやま土砂マップを見ると、山地災害危険地区、土砂災害危険箇所、急傾斜地崩壊危険区域が、計画地付近及び近隣の住宅地に見られます。このようなところを適正に審査するとはどういうことですか。
《再答弁》
農林水産部長
許可申請があった場合、書類審査に加え、現地調査などを実施し、土砂災害を発生させないような法面保全対策や低下した保水力を補う防災調整池などの防災計画が許可の基準を満たしているかを適正に審査します。
《要望》奥村規子 県議
事業者は平成28年10月28日、六十谷・直川・園部地区の太陽光発電所計画の事前協議申出書を提出し、それに対して県は意見を取りまとめ、平成28年12月21日に事業者に回答しています。一方、事業者は、昨年11月13日と20日の2日間、5つの自治会に対して説明会を行っています。質疑応答議事録が回覧されたと言うことです。
議事録には、「土地の面積はどのくらいで申請されているのですか」との住民からの問いに対して、業者側は「開発面積は75ヘクタール、坪数でいうと約22万坪です」と答えています。先の答弁にもあるように、75ヘクタールであれば環境影響評価が必要となってきます。実際の申請は74.3ヘクタールです。業者に対する不信の声が出ています。
「絶対に森を守ってほしい、いっぱい自然があったからここに住んでいるのに」、「昔から森にしょっちゅう行ってるけど、雨が降っても土がすぐ吸収してくれるので水溜りがあまりできない」、「木を絶対に切らないで」、「がけ崩れが当たり前の山で木を切ってしまったらアカン。もとに戻るのに何十年もかかる」、「説明会知らなかった、反対です。」などなどです。
このような開発を次々とやってゆくとどうなるでしょうか。山が壊れます。
平成19年4月1日からスタートした紀の国森づくり税の適用期間が、平成29年4月1日から5年間延長されました。県民1人当たり年額500円を負担しています。「森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いで行く」、「森林環境の保全及び森林と共生する文化の創造に関する施策」につかうと謳われています。やはり、大規模な森林伐採、乱開発を行うべきではないと言うことをのべて次の質問に行きます。
(5)国の太陽光発電に係る事業計画策定ガイドラインについて
《質問》奥村規子 県議
最近、住宅地に隣接する形で太陽光発電所が設置される場合が見受けられますが、近隣住民から心配の声や事前の説明がないなどの苦情を聞きます。
これらの問題に対応するため、国は事業者に対して発電事業計画の策定を求め、その事業計画策定のためのガイドラインを制定すると聞いていますが、どのような内容となっているのでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
《答弁》
商工観光労働部長
再生可能エネルギーの固定価格買取制度において、平成29年4月から新たな認定制度が開始されることとなっており、発電事業を行う者は、事業計画を策定し、国の認定を受ける必要があります。
現在、国において、再生可能エネルギーの導入が進められていく中で顕在化してきた課題に対応するため、事業計画策定のためのガイドラインの制定を進めており、本年1月にガイドライン案が示されたところです。
その案では、発電事業の企画立案段階から設計・施工、運用・管理、撤去・処分に至るまで適正に事業を行うことを求める内容となっております。
議員ご指摘の地域住民への説明については、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図り、説明会を開催するなど、事業について地域住民の理解を得られるよう努めることを求めております。
また、認定された事業計画に則って事業を実施しない場合、国が改善命令や認定の取り消しを行えるよう法改正がなされたところであり、これらの措置によって一層適正な事業実施の確保が図られていくものと考えております。
《要望》奥村規子 県議
県の長期総合計画案にも記されていますが、地球温暖化対策の推進を図ってゆく上で、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーの導入推進を掲げています。
一方では、二酸化炭素吸収源対策を推進させるため、植林による森林の再生の促進により樹木の炭素貯蔵効果を最大限発揮させて環境負荷を低減すると述べられていることからも、ぜひ、森林を壊すことのないように計画的に取り組んでいただきたく要望します。
2.和歌山県立医科大学薬学部設置計画について
(1)学校の特色と進捗状況について
《質問》奥村規子 県議
次に2項目目の、和歌山県立医科大学薬学部設置計画について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
公立大学は、学術の進歩に貢献し、住民要求にこたえた高等教育を行い、地域の文化・経済の発展に寄与するものです。大学は「学術の中心(学校教育法)」であり、知的基盤として、社会の知的・文化的な発展、県民生活の質の向上や、地域経済に大きな役割を果たすものと考えます。学術の衰退は社会の大きな損失であり、大学が担っている基礎研究が枯れてしまえば、政府がいうイノベーション(新しい社会的価値や技術の創造)も望むことができません。大学教育の充実は県民の願いであると思います。県立医科大学の学部の増設は平成16年4月に開設した保健看護学部以来で期待している県民も多いと思います。
県議団では、岐阜薬科大学・県立静岡大学に視察に行ってまいりました。開校して100年など、歴史の重さや深さを知ることができ、新設校としてしっかりした理念のもとで取り組んでいくことが大事だと感じました。そこで、お尋ねいたします。
どのような特色のある学校を目指そうとしていますか。また、進捗状況もあわせてお尋ねいたします。福祉保健部長お答えください。
《答弁》
福祉保健部長
学校の特色につきましては、医学部及び保健看護学部を併設する医療系大学の特長を最大限に活かした薬学教育を目指しています。
具体的には、医学部と連携した創薬研究や専門職種を積極的に活用し多職種間の協働を図る「チーム医療」に重点を置いた薬学教育を実施することとしています。
進捗状況につきましては、現在、県立医科大学に設置された薬学部設置準備委員会で、学部の特色に応じた教育方針の検討が行われているところであり、県では、県立医科大学と連携しながら施設の設計を行っているところです。
《要望》奥村規子 県議
チーム医療に重点を置くということです。患者さんの立場に立って、医師とともに薬物治療を行っている薬剤師の役割は重要です。また、和歌山県下には栄養士の資格を取得できる食物栄養専攻をもつ大学もあります。薬と同時に食養生は治療の一環です。大学を越えた連携もぜひ考えていただきたいと思います。
全国的には、6年間の薬学大学教育プログラムをしっかり学んでも、薬剤師の国家試験合格率は、一昨年は63.2%、昨年は76.9%です。いのちを大切にする心を育みながら、国家試験に合格する力をつけなければなりません。ハード・ソフト含めしっかりと教育環境を整えていただきたいと思います。
(2)薬剤師の需要と供給について
《質問》奥村規子 県議
薬剤師の需要と供給についてどのように考えているかお尋ねいたします。
《答弁》
福祉保健部長
県内の薬剤師の有効求人倍率は、高い状況が続いており、一定の需要があります。
また、薬剤師は、医薬分業や在宅医療の進展に伴い、これからも重要な役割を担うこととなることは明らかであり、今後も安定した需要が見込まれます。
従いまして、薬学部設置により薬剤師が県内に供給されることは大変有意義なことと考えております。
《要望》奥村規子 県議
次期診療報酬改定では、病院に近接した中規模以上の薬局の更なる技術料改悪がすすめられようとしています。医薬分業の見直し議論も起こっています。本来あるべき医薬分業の基本は「経済的、機能的、構造的にも独立した組織、事業所の医師と薬剤師による医薬品使用の個々患者への適正化のシステム」と言われています。そのためにも、地域包括ケアにおいて、地域に根ざした保険薬局の役割が必要と考えます。国も「かかりつけ薬局」を提言していますが、卒業後は薬剤師として希望の持てる働く環境づくりが大切です。そのためには、日本の利益相反マネジメントの後進性を改めてゆくことが重要であることを述べておきます。
3.男女共同参画の推進について
(1)「女性活躍推進法」に基づく県の取組の方向性について
《質問》奥村規子 県議
昨日も、男女共同参画社会の実現について、藤本議員から質問がありました。重なるところもありますが、私からもさせていただきます。
女性活躍推進法に基づく、県の取組の方向性についてお聴きします。
明日、3月8日は国際女性デーです。国際女性デーは、女性に対する差別撤廃と平等な社会参加に向けて行動する日で、世界各地で女性がさまざまな要求を掲げて運動します。私は、男女平等の社会を願って、一般質問を通してこの運動に参加したいと思います。
1979年に、「世界女性の憲法」と言われる女性差別撤廃条約、すなわち「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」が国連で採択されました。日本は1985年に批准しており、今年は批准して32年を迎えます。
この間、男女雇用機会均等法やパートタイム労働法、配偶者からの暴力防止法、さらに育児介護休業法も男女双方になり、1999年には「男女共同参画社会基本法」が制定されました。すべての分野で「男は仕事、女は家庭」という伝統的性別役割分担を改め、仕事も家庭責任も社会活動も、男女がともに担い、ともに参画する社会をめざす方向を示したことは新しい前進だと思います。
そこでお尋ねいたします。基本法に基づき、国・都道府県には「男女共同参画基本計画」を定めることが義務づけられています。また、2016年4月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」いわゆる女性活躍推進法が完全施行されました。この法律では、国の基本方針を勘案して、都道府県はそれぞれの地域での女性の職業生活における活躍について推進計画を策定することが、努力義務として定められています。そこで、県としての取組の方向性を環境生活部長にお尋ねします。
《答弁》
環境生活部長
県では、「男女共同参画基本計画」に基づき、さまざまな施策を総合的・計画的に推進してきました。現在、平成29年度からの5年間を計画期間とする第4次「基本計画」の策定を進めているところであり、この計画の中に、女性活躍推進法に基づく県の推進計画を包括し、一体的に策定することとしています。
女性の就業率が年々増加していることなど、現在、多くの分野で女性の活躍が進んできている一方で、固定的な性別役割分担意識を背景に、家事・育児・介護等家庭生活における女性側の負担が大きくなっていることや、長時間労働を前提とするような働き方などにより、女性が仕事と家庭を両立して働き続けることが困難になっています。
女性活躍推進法に基づく県推進計画では、あらゆる分野で女性の参画を推進するとともに、就業環境の整備や子育て・介護支援の充実など、「仕事と生活の調和」が実現できる環境を整備し、男女がともに働きやすく暮らしやすい社会づくりを推進してまいりたいと考えております。
(2)県内事業所への「一般事業主行動計画」の取組について
《質問》奥村規子 県議
平成27年に県が実施した「男女共同参画に関する県民意識調査」によると、働く場で男女が平等でないと思うことについての問いに、昇進・昇格が50.4%と最も高く、ついで賃金が49.4%、仕事の内容が43.6%なっているということです。
また、平成24年総務省「就業構造基本調査」によると、本県の非正規の職員・従業員数は、男性が19.4%と全国の22.1%を下回り、逆に女性は59.6%と全国の57.5%を上回っています。また、平成28年度「賃金構造基本統計調査」によれば、フルタイムで働く女性の所定内給与は、男性の73%ということです。まだまだ、男女の格差があると言わざるを得ません。
厚生労働省では、企業が独自に賃金や雇用管理のあり方を見直すための支援ツールとして、2010年に「男女間の賃金格差是正のためのガイドライン」を作成しています。さらに、女性活躍推進法では、採用や管理職における女性比率などの状況把握や、「一般事業主行動計画」の策定・公表、情報の公表を国や地方自治体、大企業に義務付け、常時雇用する労働者が300人以下の事業所には努力義務としています。全国では努力義務となっている事業所のうち、本年1月末までに2,276社が「一般事業主行動計画」を策定し、届けているということです。
そこで、県内事業所への「一般事業主行動計画」の取組について、商工観光労働部長にお尋ねします。
《答弁》
商工観光労働部長
議員ご指摘のとおり、本県の女性を取り巻く雇用環境は、依然として厳しいものがあると認識しております。
そのため、事業主に女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」の策定に向けた取組を促進しており、平成29年1月末現在においては、行動計画の策定義務がある常時雇用する労働者301人以上の事業所では58社のうち57社、努力義務の300人以下の事業所では21社が計画を策定しております。
本県では中小企業がほとんどであることから、女性が個性と能力を十分発揮できる社会を実現するためには、「一般事業主行動計画」の策定が努力義務となっている300人以下の事業所が計画を策定し、定期的に進捗状況を確認しながら目標達成に向けて取り組むことが重要と考えております。
そのため、県では、中小企業に社会保険労務士を派遣し、行動計画の策定を働きかけるとともに、新たな部署への女性の配置や女性管理職育成を目的としたキャリア研修等、実情に応じた取組目標の設定や国の助成制度の案内などの助言・指導を行っております。
引き続き、女性の活躍推進の取組を着実に進めるため、事業所に対して、労働局と連携して行動計画策定や円滑な実施を働きかけてまいります。
《要望》奥村規子 県議
真に女性が活躍できるためには、その要として、男女の賃金格差の是正や、女性に対する差別の撤廃の政策を、強力に進めることが大事です。成長戦略のために、都合よく「女性を活用」するということにならないようにしていく事です。
不当な差別、格差をなくし、女性が個人として尊重される社会にしてゆくために、男女賃金格差・昇進昇格差別などの是正をはかり、職場での男女平等をすすめること、法律的にも社会的にも個人としての尊厳、女性の人権が守られる社会をつくること、民法を改正して選択的夫婦別姓の実現、DV・性暴力被害の防止、被害者の保護の支援充実を図ること、あらゆる政策・意思決定の場に女性の平等な参加を保障し、国会議員と地方議会議員の男女同数をめざしてゆくことです。
先日やっと、選挙の際に候補者を男女均等にするよう、各政党が取り組む法案についての見通しが報道されていました。ぜひ、あらゆる分野で男女平等が実現できるよう取り組んでいただきたいと思います。
農林水産部長の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
2017年2月議会 奥村規子プロフィール、質問一覧
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