2017年2月和歌山議会
 議案、請願の不採択に対する反対討論 雑賀光夫
  2017316
  
  中継録画(29:50~)
 討論に入る前に、お詫びを申し上げたいと思います。
 このたび、私たちの会派の松坂英樹が、不祥事により議員辞職を申し出、昨日、皆様からご承認いただきました。
 県民のみなさま、県議会関係者のみなさまへのお詫びを申し上げたいと思います。まことに申し訳ありませんでした。
 では、議長のおゆるしをいただきましたので、日本共産党県議団を代表しまして、議案第1号、3号、7号、16号、32号、43号、45号、46号、55号、69号から71号、119号に対する反対討論及び議請第5号を不採択とする委員長報告に対する反対討論を行います。
 議案第1号は、平成29年度和歌山県一般会計予算です。県債残高は前年度に1兆円を超えてからも増え続け、2017年度は72億円増の1兆355億円で、県民一人あたり109万円に達する見込みです。
 地方消費税の引き上げによる増収分63億円については全て社会保障費の財源に活用するとしています。しかし、消費税増税に伴う経費増と自然増分をのぞいた社会保障への充当は25億円にとどまり、給付削減と負担増が毎年続けられていることを合わせてみれば、社会保障が充実されたとはいえません。
 予算案では、医師への返還免除付研修・研究資金の対象を拡大したことをはじめ、災害対策や子育て支援などで前進したものもあります。
 しかし、抑制・削減された事業も少なくありません。県単独福祉医療費助成では、老人、重度心身障害児(者)は、制度改悪以来、減額されてきています。子育て世帯や市町村から要望が高い子どもの医療費助成の対象は拡大されていません。
 中小企業支援では、循環型の地域経済活性化に有効な住宅リフォーム助成制度が県内市町村で広がるなか、県としても実施すべきと考えます。
 教育問題では、学力問題や不登校が大きな問題になるなか、新年度でも県独自の学力テストの実施や先進県への教員派遣などが予算化されていますが、先進県に学ぶと言うなら、教員定数の改善などを進めるべきです。
 過大な寄港見込みに基づき、大型クルーズ船を誘致するための港湾整備を2016年度補正予算とあわせて行います。ムダな大型公共事業として凍結された紀淡海峡道路の推進のための経費も引き続き計上されました。
 県が運営する南紀白浜空港では、運営権を民間会社に譲渡できる道を開きます。運営の中身については契約する民間会社と、この先、協議していくとしており、それらが抱えるデメリットへの対応は不確実なものです。
 コスモパーク加太対策事業として、新年度も6億3600万円を支出しています。毎年指摘していますが、行き過ぎた優遇措置は見直すべきです。
 以上のことから、一般会計予算には反対します。
 次に、議案第3号は、中小企業振興資金特別会計予算です。ゆがんだ同和行政についての反省もなく、高度化資金の貸し付けや債権管理の実態が不透明なものを残しており、県民の理解を得ることはできません。
 議案第7号は、県営競輪事業特別会計予算です。カジノ推進法成立でギャンブル依存症のさらなる増加が懸念されるなか、県が公営ギャンブルを運営することには反対します。
 議案第16号は、土地造成事業会計予算です。呼び込み型開発失敗の責任を反省し、説明責任を果たすことなしに、県民の税金から損失補填を続けることには賛成できません。
 議案第32号、45号及び46号は、行政によるマイナンバーの利用を拡大するものであり反対です。
 議案第43号は、消費税の10%への引き上げ延期に伴う県税条例の改定です。消費税引き上げは延期ではなく、きっぱり中止するべきという立場から反対します。
 議案第55号は、国保運営協議会の設置条例です。国保の財政運営を市町村から県に移行させ、医療費を抑制していく国保県単位化をすすめるための運営協議会設置には反対します。
 議案第69号は、迷惑防止条例の規制強化です。盗撮行為の取り締まりを強化することには反対しませんが、今回の条例は盗撮したという結果が発生しなくても未遂段階にまで処罰を拡大するものです。盗撮目的があったか否かは内心の問題であり、恣意的な判断で捜査対象になる懸念があることや、明確な証拠がないがゆえに自白の強要で冤罪を生むおそれがあるなどの問題を指摘しておきます。
 議案第70号は、使用料・手数料条例の改定です。喀痰(かくたん)の吸引は、本来は医療行為であり、介護職員に担わせることに反対してきましたが、今回の条例改定では、さらにその研修をすべて民間まかせにするための県の手数料廃止が含まれており、賛成できません。
 議案第71号は、建設事業施行に伴う市町村負担金を求める議案です。市町村負担金のさらなる軽減を求める立場から反対です。
 議案第119号は「新長期総合計画」です。人口減少社会に対応した政策がならべられており、各分野において一定の改善も見られますが、県民の生活を底から支え、地域に根差したすべての産業を応援することで、豊かな和歌山をつくっていく発想と取り組みは不十分といわざるをえません。
 また新長計には、「IR(統合型リゾート)の誘致を目指す」として、カジノ誘致がもりこまれています。刑法が禁じる賭博そのものであるカジノは、ギャンブル依存症を増やし、人の不幸を踏み台に儲けるものです。観光振興どころか地域を荒廃させます。
 次に、議請第5号は「テロ等準備罪という共謀罪新設に反対する請願」です。テロ等準備罪は、過去に3度廃案となった「共謀罪」の名を変えただけのものです。政府は「テロ対策のために必要」といいます。しかし、すでに日本は5つの国連条約と8つの国際条約を採択しテロ対策を十分講じており、共謀罪創設は必要ありません。犯罪について「話し合い・合意」したことを処罰する、こんな法律をつくらせてはなりません。本請願の採択を訴えます。
 以上で、反対討論を終わります。


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