2.一人親方の雇用保険加入の強要問題について
(1)県としての対応と対策について
3.園部・六十谷・直川の太陽光発電計画について
(1)環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全について
(2)希少動植物保護への配慮について
(3)林地開発行為の許可基準について
1.「共謀罪」法について
(1)最近の国会運営についての知事の所見について
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので、通告に従って3点について質問いたします。
まず1点目は、「共謀罪」法について、知事にお尋ねいたします。
通常国会が閉会しました。今国会で最大の問題となった、「共謀罪」法の問題点、学校法人加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑や森友学園疑惑など、徹底審議を求める国民の声がありながら、その声を無視しました。「共謀罪」法では与党は一方的に審議を打ち切りました。参院法務委員会審議を事実上封じ、委員会採決を抜きにした「中間報告」という形で国会ルールを無視し、強行採決。そして、国会を閉じました。このような最近の安倍政権の国会運営に対して、知事はどのように感じておられますか。お尋ねいたします。
《答弁》 仁坂知事
議員ご質問の国会運営につきましては、県議会に対する知事の対応ならばともかく、国会のこと、まして、国会が議事をどう進めるかということでありますので、県知事として意見を述べることは差し控えたいと思います。
《意見》奥村規子 県議
私は、国会運営に対して知事はどのように感じておられますかということをお尋ねしたのですが、国会運営に知事が介入してほしいという意味では全くありません。また、国会運営に参加することはできないことは重々承知しております。
そのうえで今、国会という国権の最高機関として法律が決められるところで、審議か打ち切られるという形で進められていることに、県民のみなさんの選挙で選ばれた県知事として、そのようなことに対しどのように感じられているのかお聞きしたかったのですが、残念です。
(2)「共謀罪」法についての知事の所見について
《質問》奥村規子 県議
次に、「共謀罪」法について知事にお尋ねします。
安倍首相は2020年までに、憲法9条を改憲すると表明をしました。国民に不安が広がっています。これまでの、特定秘密保護法、安保法制、そして共謀罪法成立という流れを見て、「戦争する国」になってゆくようで怖いという街の声をよく聴きます。私も大変危機感を感じるところです。
5月29日に、和歌山弁護士会からも、「共謀罪」法成立に反対する会長声明が政府や各政党に送付されました。この法律は、思想や内心を処罰する違憲立法であると思いますが、知事はどうお考えですか。お答えください。
《答弁》 仁坂知事
そもそもテロリズムは、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、社会に恐怖等を与えることを目的として人を殺傷するような行為でありまして、断じて許されるものではないと思います。私は、そうした思想を抱くこと自体、許されるべきものではないと思うのであります。
奥村議員は、そんな思想を抱き、犯行を心中で計画しているやからを、是認して良いと、あるいは、是認とまではいかなくても、等閑視して良いとおっしゃるのでしょうか。私は、心優しい奥村議員は、そんなことはないと信じております。
しかし、そういう正義の気持ちをそのまま可罰罪にするということは、やはり憲法との関係で、踏みとどまったと私は推測しております。
憲法で保障された思想・信条の自由を尊重する立場から、今回のテロ等準備罪処罰法は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に絞リ、かつ、対象犯罪を限定的に列挙するとともに、計画行為に実行準備行為が加わって初めて処罰されることになっておりまして、違憲の議論が出てくる可能性がある手前で、法秩序を作ったものだと私は思います。
これでも奥村議員は、違憲だと言うならば、その憲法解釈がどうなっているのかお聞かせ願いたいというふうに思います。
世界中で、現在、テロなどの凶悪犯罪が行われる中で、テロ等準備罪処罰法を制定することにより、テロ犯罪による被害の発生を未然に防止するための規範をつくるということは、私は市民として、一国民としてありがたいことだと思っています。
仮にそういう犯罪を実行しようとしている人々を、法の規定が無いからといって、分かっているのに、警察が手をこまねいていたら、それこそ恐怖でありますし、逆に、テロを起こしそうだというやからが分かっているので、法の規定がないんだけど、正義の気持ちから勇気をもって警察権力が動いてしまったとすれば、それこそやはり、一部喝采はあるかもしれないけれど、法治国家としては問題だということなので、法規範を作っておくということは大事なことだというふうに思います。
一方、法の規範を超えた運用が行われるということを戦前の警察の横暴になぞらえて懸念する声があるということも、私は承知しております。
しかし、これは仮に警察がそのようなことをしても、今それを懸念して、問題にしておられる奥村議員のような方が何も言わないで、マスコミも全然騒がないで、司法も判断を放棄して、最後は国民が選挙という最大の手段で何もしないという前提で、考えている議論ではないかと私は思うわけであります。
現実には、今の民主主義の日本においては、そんなことが行われるはずがない、あるいは、許されるはずがないというふうに私は思います。
一般に起こりうる不都合をいろいろ想像して、議論しておくことは大変大事でありまして、そのための対策をとっておくということも同様であります。
しかし、昨今よく起こることは、その生じるかもしれない不都合を恐れるあまり、その原因となる本当の不都合を等閑視する風潮ではないか、そんな風に私は思います。
「あつものに懲りてなますを吹く」という言葉があります。しかし、現在よく起こるのは、あつものに懲りて一切ものを食べなくなって死んでしまうというようなことがあっては、やっぱりいかんのではないかと。社会でもそうであろうと思います。今回の議論では、そういう心配があるのに、皆がそういうことを言わないなあと、そういういうふうに私は感じております。
いずれにしても、近年、世界各地において大規模なテロが続発するなど、国際情勢が不安定な状況にあり、3年後の2020年には東京オリンピックリ・パラリンピックの開催を控えていることを踏まえれば、我が国において、テロを含む組織犯罪を防止し、国民の生命の安全を守る体制を整備しても、それが欠けているところがあったら、欠けていないように補っていくということは、極めて重要なことであると私は思います。
《要望》奥村規子 県議
今年は、憲法施行70年です。安保法制の強行可決により、立憲主義が危うくなっていると感じずにはおれません。
TPPや年金、カジノと3つの重大法案も、会期末の衆議院で強行採決によって可決しました。山本農水大臣は審議前から、TPP承認案を強行採決する発言を行い、三権分立を犯す大問題となりました。年金カット法案では、衆議院厚労委員会で安倍総理は「私が述べたことを全く理解いただけないのであれば、こんな議論を何時間やっても同じ」と、審議打ち切りを示唆する発言まで行いました。カジノ解禁推進法に至っては、会期延長して審議入りし、わずか6時間足らずで強行採決、さらに再度の会期延長まで行い成立させました。そして、先日の「共謀罪」法の強行採決です。どう考えても横暴なやり方です。トップの政治姿勢が大きく問われる問題だと思います。
「共謀罪」法の成立は、県民生活にも大きく影響するものです。監視社会をつくるものだと考えます。この法律はその人が何をしたかではなく、何を考えたか、何を合意したかが処罰の対象になり、内心の処罰につながるのが問題の本質だと考えます。憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由などを侵害する違憲立法です。
政府は、「東京五輪・パラリンピックを開催するには、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が必要であり、そのための『テロ等準備罪』」だといいます。TOC条約がテロを対象としていないのは明らかです。この条約は2000年につくられ、その主眼はマフィア等による麻薬の密輸、人身売買など、国際的な経済犯罪の処罰化です。国連がテロ防止のための国際社会の文書としてあげている14件の条約に、TOC条約は入っていません。このうち日本は13件の条約に加入しています。そもそもこの条約を持ち出してくるのが筋違いではないでしょうか。安倍首相は、東京五輪・パラリンピック開催では「東京は世界有数の安全な都市」といって誘致したのに、全く矛盾しています。
日本には、銃刀法、凶器準備集合罪、他66の重大犯罪について、未遂の前段階で処罰できる国内法が整備されています。ハイジャック防止法、サリン防止法など、具体的なテロを想定した法律もあり、すでに現行法で対応できるものです。戦争法をやめるほうが、日本がテロのターゲットにならないことにつながると思います。
政府は、「『組織的犯罪集団』や『実行準備行為』という要件を加えたから、一般人は対象にならない」といってきましたが、金田法相は、NPO法人サークルや草野球チームも対象となることを認めています。捜査機関が怪しいと思った時点で、その集団を調べる、結局、誰もが対象になりうると言うことだと思います。金田法相は行為の目的を「しっかり調べる」と答弁しています。まさに、内心を探って処罰すると言うことです。日本弁護士連合会や単位弁護士会52のうち47弁護士会、日本ペンクラブ、刑法学者有志、地方紙の社説・論説でも反対しています。「共謀罪」法は廃止すべき法理であることを述べて、次の質問をさせていただきます。
2.一人親方の雇用保険加入の強要問題について
(1)県としての対応と対策について
2点目は、元請企業による「一人親方」への雇用保険加入の強要問題についてお尋ねいたします。
建設業などで、労働者を雇用せずに自身のみで事業を行う事業主を「一人親方」と言います。従業員を持たない点で個人事業主とは異なるということです。今回、民主商工会の団体の方から相談を受け、私自身、新に認識することになった、一人親方の問題についてお伺いします。
大手企業の現場で働く一人親方に対し、元請企業から平成24年11月施行の「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」の主旨を無視して法令上加入義務のない保険への加入を迫られた結果、廃業に至るという異常な事態が起き、多くの相談が和歌山民主商工会に寄せられました。昨年春以降だけで10数件に上ります。
「雇用保険に入ってくれ、そうでないと仕事を出せない、現場から出て行ってもらうことになると言われた」――県内大手企業の下請けで働く一人親方の事業主Aさんが、元請企業の管理職から突然声をかけられました。「最初は何を言われているのかさっぱりわからなかった」といわれていました。雇用保険の対象は労働者・従業員であって、事業主ではありません。さらにこの管理職の方は、Aさんを含め一緒に仕事をしている5人の一人親方のグループに「事業体をつくり、雇用保険に入ってくれ」と打診してきました。ほかにも、電気工事や鍛冶工、とび工などの一人親方からの相談が相次いでいるということです。
インターネットでも、以下のような声を見つけました。一人親方の雇用保険加入について、質問されている方のお話です。
「今年から、建設業界で仕事を請ける場合、労災や雇用保険の加入が必要になってるようで、当方も仕事をもらうために、労災や雇用保険の加入を余儀なくされています。労災に関しては、数ある労災組合の中から適宜選んで加入すれば済むことなのですが、問題が雇用保険です。雇用保険は、一人親方である当方には加入資格がありません。加入するには、誰か一人でも雇用しているということが条件になるようです。当方に仕事を投げてもらうには、雇用保険が必須と言われ、それなら、投げてくれる会社の雇用保険に加入させてもらえればと考えたのですが、その会社の従業員ではないので加入させられないとの回答でした。そこで、是が非にも仕事をもらうために、雇ってもいない人を雇用していると言う状況を作ってまで、雇用保険に加入しなければならないと思いつめています。(要するに知人に頼み、当方で雇用していることにしてもらうということです。)大手建設会社→A社→工務店→当方という順番で仕事を投げられてきますが、私の収入は、A社から工務店の口座を挟んで振り込まれてくるそうです。当方に仕事を回す条件として、労災に加入・雇用保険に加入・工務店を挟む、ということが条件です。ただ、労災と雇用保険の加入に関して、元請の大手建設会社がうるさく言ってくるので、A社が当方に雇用保険の加入の強要をしてくるわけです。それがなされないと、仕事を回せないとA社がいってくるわけです。今後、建設関係は、一人親方の雇用保険の問題をどうすればいいのか、わかりません」と、このようにつづられています。
建設業に従事する一人親方については、建築物が完成するまでそれぞれ専門的な技能が要求され、さまざまな工事が建設工事全体をなしています。ひとり一人プライドを持って仕事をしています。出入りする業者さんを見るとわかります。全国商工新聞には「私は事業主として生きてきた。従業員になることは自分の性に合わない。これからも一人親方としてやってゆきたい。事業主としてのひとり親方は、生き方の問題でもあります」と書かれています。
プライドを踏みにじられ希望をなくし、その上に生活不安がのしかかってくる事態を、早急に改善すべきと考えます。県としての対応と対策について、県土整備部長にお尋ねいたします。
《答弁》 県土整備部長
雇用保険につきましては、社会保険とともにその未加入対策の推進が労働者の就労環境の改善となり、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保が可能となりますとともに、各事業者の公平な負担により健全な競争環境の構築が可能となりますことから、国土交通省をはじめとする関係者が一体となって取組を進めてございます。
それに際し、国土交通省が平成24年11月に「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を施行し、建設業における雇用保険や社会保険の加入促進の取り組みを進めてまいってございます。
このガイドラインにおきましては、「遅くとも平成29年度以降、適切な保険に未加入の作業員は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべき」としてございます。しかしながら、この「適切な保険」については、雇用する企業の法人と個人事業主の別や規模等により加入すべき保険が異なっておりますため、ガイドラインでは法令上義務のある保険への加入を求めているものでありまして、義務のない保険への加入まで求めているものではないとされてございます。
和歌山県としては、県内の建設産業においてガイドラインの内容を十分にご理解いただけるよう、ホームページや建設業協会を通じて正しい趣旨の周知に努めますとともに、建設業全般に関する相談窓口を県庁技術調査課及び各振興局建設部に設置してございますので、この利用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
《要望》奥村規子 県議
国のガイドラインを示して、誤った形で元請会社がそれぞれの一人親方に雇用保険への加入を強要することが実際にあったことを知っていただけたと思います。相談に来られた方については適切な形で働きかけができますが、どうしたらいいかわからない方も実際たくさんいると思います。県庁の技術調査課や各振興局においても相談窓口を通して利用促進を図っていきたいとおっしゃって下さったので、ぜひともしっかりとやっていただきたいと思います。
そうでないと、無理にグループをつくって、一人親方から事業主になって、それぞれに給料を払わないといけないことや消費税の納付も生じてくる中で、生活困難に陥っている状況も出てきていますので、実態をつかんで対応を今後とも強めていただきたいと思います。
3.園部・六十谷・直川の太陽光発電計画について
(1)環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全について
《質問》奥村規子 県議
最後に、3点目の質問をさせていただきます。
これまで、昨年の12月議会、今年の2月議会において、太陽光発電計画についてお聞きしてきました。今回は、園部・六十谷・直川地区の計画についてお尋ねします。
一つ目は、環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全についてお尋ねいたします。
まず、最初に環境生活部長にお尋ねします。この事業は、国の環境影響評価法、県の環境影響評価条例の対象外になっていますが、75ヘクタール未満であれば要件を満たせば次々と事業が可能となります。これでは、環境保全を進めている県にとっても具合の悪いことになると思いますがいかがですか。
《答弁》 環境生活部長
環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全についてですが、土地の状況や事業内容に応じ、森林法など個別法令による規制がありますことから、その中で環境の保全が図られることになります。
なお、事業者が環境影響評価手続きを免れるため、意図的に事業を分割していると認められる場合には、手続きの実施を求めてまいります。
《要望》奥村規子 県議
他県では、環境アセスをきびしく行っているところもあると聞いています。
例えば、隣の三重県では20ヘクタール以上はアセスをするということです。他にも、30ヘクタール以上など、全国的にもいくつかあります。
政府も「わが国の環境保全施策は一般的に、地方公共団体による先駆的な取組により開始されやがて国の施策を定着させることにつながっていった」と、環境庁の「平成11年版環境白書」で認識を述べています。また、日本の環境行政における自治体の役割の重要性は、OECD環境委員会の国別レビューでも指摘されており、国際的認識になっています。
地方分権の進展にともなって、自治体環境行政現場からの法政策の発信を積極的に行っていただきたい。和歌山県・和歌山市はある程度、景観を守る立場からガイドラインなどを決め、取り組みが進められていると思います。さらに、和泉山脈全体を守る立場から積極的な取り組みを検討していただきたいと思います。
先日、「和歌山県森林による二酸化炭素の吸収等環境保全活動認証事業認証実績」の資料提供を受けました。現在、企業の森の団体数は48団体、これまでの植栽面積125ヘクタール、100年で53,200トンの二酸化炭素を吸収できると計算をされています。今度の太陽光発電の林地開発は74.3ヘクタールですが、隣の太陽光発電開発計画と2つ合わせると206ヘクタール、植栽面積125ヘクタールよりも大幅に大きくなっています。一方では森を作りながら、一方では森を伐採し壊していくことになっています。和泉山脈全体の森をどう守っていけるのかの観点から、県として取り組んでいただけますよう要望します。
(2)希少動植物保護への配慮について
《質問》奥村規子 県議
県は、事業の執行にあたって、周辺の自然景観ならびに種の保存法で指定されている、国内希少種及び和歌山県レッドデータブック記載の絶滅危惧種の保護について、十分な配慮を求めています。
私はこの間、何度か専門家の方や住民の方のご協力をいただき、ごく一部の地域ですが、現地調査に出かけました。そこで、レッドデータブックに掲載されている希少動植物にも出会うことができました。十分な配慮とはどのような内容ですか。環境生活部長にお尋ねいたします。
《答弁》 環境生活部長
開発事業者に配慮いただきたい内容としては、種の保存法及び和歌山県レッドデータブック記載の絶滅危惧種につきまして理解し、開発予定区域内における状況を把握すること、また、対象種の存在が判明した場合の保全方法といった点について、適切な対応をお願いするということでございます。
《要望》奥村規子 県議
事業者が適切な対応をしているかどうか、県がしっかりと見て事業者に求めていただきたいと思います。この間、現地調査に行きましたら、鳥ではキビタキ(準絶滅危惧種)、両生類ではヤマアカガエル(準絶滅危惧種)、絶滅危惧Ⅱ類の植物を発見することができました。県として、山の自然の実態をしっかりと調査・把握していただき、市民のみなさんからも協力を得て、通報があれば積極的に対応していただきたいと要望します。
(3)林地開発行為の許可基準について
《質問》奥村規子 県議
私は12月議会で、一般的に林地開発許可に必要な利害関係者の同意についての対象範囲をお聞きしました。農林水産部長は「対象範囲については森林法の許可基準である『災害の防止』『水害の防止』『水の確保』『環境の保全』に関する4つの要件で直接的に影響が及ぶ範囲内の関係者で、一般的には隣接する土地所有者や地元自治会、水利組合等を想定しております」と答弁されました。林地開発事前協議申出書に対する意見では地元関係住民の理解を得ることとなっています。
この「森林法の許可基準」とはどういったものでしょうか。農林水産部長、具体的に答弁をお願いします。
《答弁》 農林水産部長
林地開発許可制度では、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全という4つの要件が、許可要件となってございます。
まず1点目の「災害の防止」につきましては、切取勾配や盛土勾配が適切に計画されているか、法面保護の法面安定対策がなされているか、開発地内の土砂流出対策、排水対策が適切であるかなどを審査いたします。
次に2点目の「水害の防止」につきましては、森林を開発することによって増加する水量を下流河川等に安全に流下させるよう、適切に調整する計画になっているかなどを審査いたします。
3点目の「水の確保」につきましては、飲料水やかんがい用水等の水源となっている森林を開発する場合、周辺における水利用の実態等からみて、必要な水量が適切に確保されている計画となっているかどうか、などを審査いたします。
最後に4点目の「環境の保全」につきましては、開発行為の目的に応じて定められている、残すべき森林の割合やその配置が適切か、などについて審査することになります。
《再質問》奥村規子 県議
4つの基準について答弁していただきました。住民のくらしに直接かかわってくる、非常に大事なことばかりです。特に災害の防止の点で、具体的にどう調査・探査をするのか、再度お聞きしたいと思います。
といいますのは、現地調査では、計画地内に地すべりが認められる状況がかなりあったからです。地すべりは、斜面の一部あるいは全部が、重力によって斜面の土砂や地層が塊となって斜面下にすべり、移動する現象だといわれています。したがって、すべり目がない土砂崩れによる斜面崩壊や、がけ崩れとは違うということです。地震、地層、地すべりは密接に関係しているということです。降雨や地下水の上昇とともに、地震や斜面形状の変化あるいは人為的な変化などがあれば、それがきっかけとなって地すべりを発生させる。地層災害は、地すべりなど地層の突然の動きによる災害といわれています。
4つの基準について審査するということですが、地層図を見ることも含めてしっかりと災害防止をしていただきたいと思います。どのように調査を進めていくのか、再度お尋ねいたします。
《再答弁》 農林水産部長
申請書が提出された場合、申請書に記載されている地形、地質等について、地質図や参考文献等により確認するとともに、主要防災施設の設置計画箇所が適切であるかどうかや森林の状況等を現地にて調査いたします。
《要望》奥村規子 県議
みなさんのお手元に、※地層図を配らせていただきました。左側に加太から今回の計画地の全体を示して、右側に詳しく計画地の地質図を出させていただいています。計画地は、白亜期の泥岩砂岩の地層からなっています。茶色の部分は泥岩優勢の砂岩泥岩互層、黄土色の部分は砂岩優勢の砂岩泥岩互層となっています。千手川は川幅が非常に狭く、水位が上昇することもあります。下流の辺りは堆積域になっていて、点々部分の古い扇状地に挟まれ、土地が低くなっています。堆積域ですので、洪水時には危険な状況があると思います。
こういう地域の森を伐採することで、どんなことが起こってくるか、大変不安な要素であると思います。しっかりと地質の調査をしていただきたいと思いますし、今回の計画前の段階でも、どういう基準でどうされているのか、住民の方が安心できるようにわかりやすく丁寧に対応していただきたいと思います。
また、こういう大変な計画の中で、まだまだ住民の方がいくつも不安を持っています。例えば、事業者が防災のために調整池をつくりますが、20年後に事業を終えれば、調整池を砂防ダムとして地域にお返しすると説明しています。しかし、砂防ダムと調整池の構造は違うと思います。事業者が住民の皆さんにそういう説明をしていることを知っていただきたい。また、井戸水で生活している方にとっては、水の問題は切実です。水の確保や水の汚染も含めた現場の基礎調査をやっていただきたいと思います。
5月13日には、「いずみ山系の巨大太陽光発電を考える会」が結成されて、「林地開発を許可しないでください」という署名3,455筆が県知事あてに届いていると思います。今後も、住民のみなさんの疑問や不安に寄り添って県が対応していただきたいとお願いします。
仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
2017年6月議会 奥村規子プロフィール、質問一覧
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