2017年6月県議会 文教委員会 雑賀光夫委員の質問概要記録
  
  2017
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《質問》雑賀光夫 委員
 不登校の問題で有識者会議について、こういう話がある。子どもが不登校になり、学校に行けない。居場所はどうなるかという問題がある。保健室登校もあるし、学校に来られない子どももいる。そういう中で、民間の施設でお世話になっている場合がある。
 この間、女性が教育委員会と話し合いをした時に、不登校の子どもを勉強させるような場所をつくっているが、全く教育委員会から支援がないという話になり、大変な議論になったことがある。
 不登校によく似た、学校を卒業し学齢期を過ぎた子どもの引きこもりの問題については、エルシティオなどの施設に対して、福祉保健の関係で支援があり、支援をまた増やしていくという話がその場で出た。
 しかし、教育委員会の場合は、民間の施設、学校外の施設に支援し助けていく、施設や生徒を応援していくという考えがないようである。
 有識者会議の委員の中には、レインボーハウスの理事長が入っていて、教育委員会としても意見をもらっている。ところが、そのレインボーハウスでやっていることに対しては、まったく支援がない、こういう矛盾がある。私は、不登校の問題は、そんなに簡単に解決するわけではないので、学校外の施設を含めて、力を借りるというつもりで考えていった方がいいのではないかと思う。

《答弁》 児童生徒支援室長
 不登校に関する有識者会議の提言を受けて、本年度、着手できるところから取り組んでいる。例えば、不登校問題対応の手引きを昨年度作成して、今年から県内すべての学校、小・中・高等学校、特別支援学校に配布し、すべての学校に対して研修を行っている。
 また、市町村が設置している適応指導教室にも不登校の子どもたちはいる。適応指導教室とも連携し、学校復帰を促していくという不登校児童生徒支援員を新たに今年21市町村に40人配置し、取り組んでいる。
 またスク-ルカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの拡充にも引き続き取り組んでおり、県としては、有識者会議の提言を受けて取り組みを進めている。
 県教育委員会としては、不登校の子どもを受け入れている民間施設等に公費の助成を行うことは、法的な関係もあり、困難な状況である。

《質問》雑賀光夫 委員
 いろいろやっていることを否定しているわけではないが、民間の施設で実際に世話になっている実態があって、それも引きこもりの問題であれば、福祉の施策として、該当する支援がある。
 しかし、教育委員会は、不登校の問題を学校関係だけで取り組んでいくと考えているのではないか。民間の施設については全く目を向けていないのはどうかと言っているわけで、このことについてもう一度検討してみる気はないのか。

《答弁》 宮下教育長
 今、お金のことについて室長が話をした。私たちの有識者会議にフリースクールの代表者を入れたのは、子どもたちにどのように対応していけばよいかということについて、フリースクールの方々の意見をしっかりと聞くためである。私たちのつくった手引き等でも、フリースクールについて触れており、力を貸してもらうこともあると思っている。私たちは、どのようにすれば子どもたちが学校に復帰できるかという観点が大事だと思っている。適応指導教室では、市町村の方々が一生懸命取り組んでいるので、施策の中に入れている。フリースクールについては、国の不登校の会議の中で議論もあったようであるが、私たちはフリースクールを無視するというのではなく、子どもの居場所ということで協力ももらわなければならないと思っている。趣旨はそういうことであり、私たちが進めている施策である。

《質問》雑賀光夫 委員
 話がちょっとかみ合わない。フリースク-ルといえば、きのくに子どもの村学園は違うのか。

《答弁》 宮下教育長
 きのくに子どもの村学園は学校である。

《質問》雑賀光夫 委員
 レインボーハウスのようなものをフリースクールと呼んでいるのか。

《答弁》 宮下教育長
 学校と学校を取り巻くいろいろな環境の中で、子どもたちの復帰支援を私たちは進めていく。フリースクールが、子どもたちを支援していることを私たちは認めている。いろいろな意味で連携をしていくことが必要であると思っているということを申し上げた。

《意見》雑賀光夫 委員
 今日はけりがつかないので、また、どこかで議論していていきたいと思う。私は福祉の分野でエルシティオは支援してもらっているのに、教育の分野でいろいろお世話になっている施設であるのに、なぜ支援できないのか、わかりにくい。また、改めて議論したいと思う。
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《質問》雑賀光夫 委員
 運動部活動の問題の改善に取り組まれているようで、これは今度、文部科学省も本気でやっておられるように、週に1日は休養を設けるということに対して、これはすぐに出来る話だと思うのだが、どのくらいに進んでいるのか。

《答弁》 健康体育課長
 中学校の運動部活動の休みの定着率についてお答えする。4月から5月の定着については、全市町村に調査をしたところ、休養日を、原則土日に設定した運動部は、98.2%であった。

《意見》雑賀光夫 委員
 まだ2%あるが、かなり進んでいる。というのは、かなり現場でも趣旨が理解されてきたようである。
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《質問》雑賀光夫 委員
 働き方改革と言われている中で、昔のように残業する社員が良い社員なんだとか、あるいは年次有給休暇を取らずに働く社員が良い社員なんだという時代ではない。この点は教員も同じだと思う。教員が非常に忙しいという中で、年次有給休暇がほとんど取れていないのではないかと思うのだが、どのぐらい年次有給休暇は消化されているか。

《答弁》 学校人事課長
 県立中学校を含む県立学校のデータによると、平成26年度には平均して10.5日、平成27年度には11.2日、平成28年度の調査では11.9日とれているという集計になっている。

《質問》雑賀光夫 委員
 先ほど委員が指摘されたように、小中学校の様子は掴んでおられないようで、おそらく小中学校ではもっと少ないのではないかと心配している。やはり、子どもが学校へ来ている中で、教員はよほどの事でないと有給休暇は取れないという状況があるだろうと思う。
 長期休業中に、もっと自由な行動をしたらよいのではないかという気がしている。10年ほど前から夏休み中の学校の雰囲気が変わって、子どもは休みだが先生は休みではないのではないか。それはそのとおりだが、そういうことが言われた時期があった。その頃に、学校へ行ってみると、子どもが学校へ来ていないのに先生はネクタイを締めて職員室でパソコンを打っているという姿を見て、ちょっと異様な雰囲気を感じたことがある。
 長期休業中というのは、教員がもっと年次有給休暇を取って自由に休めばよいし、あるいは勤務場所を離れての研修ということで、例えば生石山へ行って理科の先生が植物採集をしてもよいし、あるいはもっと広く言えば、たまには旅行でもして見聞を広めてもよい。あるいは図書館で調べ事をしてもよいし、家で調べ事をしてもよい。勤務場所を離れての研修ということを含めて、夏休みの期間が学校に縛り付けられるのではなくて、前に一度、自転車でイギリスを旅行した先生の話を紹介したことがあるが、そういう自由な活動で、教員に活気が出てくるということが、もっと出てきたらいいのではないかと思っている。
 今の夏休み中の教員の勤務の状況をどんな風に思っているか。

《答弁》 宮下教育長
 私は、そういう異常という感じで受け止めていない。学校で仕事ができるというのはとても大事なことだと思っている。例えば、学校でとても大事な書類があって、学校から持ち出してよいのかということを含めて考えれば、やはり学校でしっかり勤務し、日頃できなかった仕事をやれるのも夏休みの期間中であるわけである。そのことだけを捉えて言われると委員が言われていることは少し違うと思う。研修についても、研修であるということを校長が判断できるものかという事になると思う。例えば旅行と言われると、その間にもし事故があると誰の責任になるのか。勤務という中で誰が責任を取るかということであらためて問題が出てくる。それであればきちんと年休を消化する方がゆったりと気分を縛られることなく、研修なのかどうなのかということを考えなくても、自由にやっていただいたらということなのかなと、1つずつあげるとそういうことになるのかなと思う。子どもたちが夏休みの間に、先生方が有効な時間の使い方をするということでいうと、年休や研修などに使うということについては、私はそのとおりだと思う。

《意見》雑賀光夫 委員
 別に年休でも研修でもいろいろあってよいので、夏休み中はもう少し先生方が活力を蓄えられるような時期になったらよいと思う。
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《質問》雑賀光夫 委員
 教育の充実の中で、教員の定数改善は大事だが、少人数学級の問題やいろいろ難しい問題があり、苦労されていると思う。その中で、教育委員会の権限でできるのは、定数内講師を減らす問題である。500人ほどいる定数内講師を減らすと言って、なかなか減らない。来年度の教員採用人数との関係でどのように減らそうと考えているのか。胸算用を聞かせて欲しい。

《答弁》 宮下教育長
 定数内講師の人数は多いと承知している。今後、教員の大量退職が続いていく中、それを踏まえ、採用も十分に考える必要があった。昨年度は388名の募集だったが、今年度は306名と80名ほど募集人数が減った。一方で大量退職は続くという状況の中、定数内講師は咋年度末から減っている。今、500人程度いる定数内講師を努力目標として5年で半減させたい。胸算用ということだが、努力義務としていきたい。

《意見》雑賀光夫 委員
 数値目標が示されたので大いに期待している。年度ごとの差はあると思うが、5年で達成できるように大いに期待している。
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《質問》雑賀光夫 委員
 3月末に「和歌山県子供の貧困対策推進計画」が発表されたが、これには、県教委各課が計画に関わっていると思うが、どういう施策を考えているのか。

《答弁》 生涯学習課長
 子どもの貧困対策の一環として、昨年度から実施している大学生に係る給付型奨学金を紹介する。これは、進学意欲と学力が高いにもかかわらず経済的理由により、進学を断念することがないようにするため、非課税世帯の子どもの大学進学を支援する県独白の制度で、40名を選考し、年間60万円を4年間給付する。要件は、成績が3.5以上で、日本学生支援機構第1種奨学金の貸与を受けること、卒業後は、県内へ在住し、就業することなどとしている。

《質問》雑賀光夫 委員
 今言われたことは、積極的取り組みとして評価をしている。私は、子どもの貧困対策推進計画をつくるにあたって非常に大事なことは、子どもの貧困と一般的に言われているが、実際どういうふうに子どもの貧困が進んでいるのかという状況を、リアルに掴むことだろうと思っている。計画を見て感じるのは、例えば子どもの貧困率についての全国的な推計が出てくるが、和歌山県についての推計がそこには入っていない。和歌山では子どもの貧困の状態が掴めていない。これは教育委員会だけの責任ではない。ただ、研究者の中では、全国的な各県別の貧困の状況を推計した方もおられるが、少なくともここには和歌山県の数字が入っていない。
 そこで、教育委員会にお願いしたいのは、すべての子どもが小中学校、高校、90何%の子どもが高校へ入ってきて、つまり教育委員会の管轄のところにすべての子どもが掌に乗っているわけである。そこで、子どもの貧困がどうなのかという時に、県の統計にない場合でも状況を掴めるのが教育委員会なんだというつもりで、掴んでいただきたいという気持ちをもっている。それは、いろんな場所で出てくるだろう。学校現場でも、もっといろいろな報告もあるから、そういうものにも目を向けていていただきたいと思う。
 今日は一つだけお聞きしたいのは、学力テストを年に国と県と2回もやらなくてもいいと思うが、学力と貧困の関係についてどういう分析をしているのか。これだけたくさんの学力テストのデータをもったら、一方では貧困の問題も国も取り上げているわけであるから、学力と貧困には非常に大きな相関関係があると思うので、当然分析をしていると思うが、どうなっているのか。

《答弁》 義務教育課長
 本県学習到達度調査を実施しているが、学習到達度調査を活用して、貧困との関わりについての大きな調査はしていない。ただ、家庭環境に左右されずに学力をつけていくということを、子どもたちに保障していくことが必要だと私たちは思っている。その中で、各学校では、家庭環境であったり経済状況であったり、そういうことを、担任やいろんな先生方が関わり合う中で、把握しているし、また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の助言も得ながら、状況を把握している。市町村も県教育委員会も学校訪問とか事あるごとにいろいろ状況も把握し、一人ひとりの子どもを大切にしながら、学力を高めていく、そういう施策をとっているところである。

《質問》雑賀光夫 委員
 学力と貧困というのは、教育委員会は貧困対策の計画が出てきたときに、これだけ学力の問題を議論しているわけだから、真っ先にどうなんだろうかと関心を持たないといけないようなテーマだと思う。
 かつて、和歌山県の教育委員会は、同和教育がやられていた頃の話であるが、同和教育の現状と課題、あるいは平成6年には学習状況調査の報告というものもやったことがある。そのときは、1回の学力テストをやって、これだけの分析の本を出している。その中では、例えば、子どもの学力で小学校4年生、小学校6年生、中学校2年生で学力テストをやっているが、生活保護の家庭は、小学校4年生でいうと、全体と比べて11.6%正答率が低かった。また、単身の1人親家庭の子どもはどうだったかなどの数字をきちんと出して分析している。
 私は、学力テストを年2回もやる必要はないと思っている。やるのであれば、5年に1回でいいと思う。やったら、これぐらいの結果を報告して、生活の問題や、特に暮らしの問題、子どもの貧困が大きく全国紙で問題になっているわけで、そういう問題を分析するような観点がいると思う。今の学力テストでは全国平均との比較ばかりやっていて、全国平均よりずっと低いから、危機的であるといっている。そういうことをしているのは、ちょっと本末転倒ではないかと思っている。やはり、和歌山県の教育は、過去のこういう遺産に学んで、一つ一つの結果を子どもの生活の関係で、きちんと分析をしていただきたいと思う。これを要望とする。

《答弁》 義務教育課長
 全国学力・学習状況調査なので、学力だけを測っているわけではなく、学習状況もとらえている。朝ご飯を食べるとか、スマホの件とか、いろんなことも状況を把握させてもらいながら、取組を進めているので、学力も大事ではあるが、それを取り巻く状況もみて取り組んでいるので、その点を御理解いただきたい。
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議案に対する採決
議案第128号 平成29年度和歌山県一般会計補正予算
は、全会一致で原案可決



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