和議第62号
      難病法における軽症患者登録者制度の実現を求める意見書(案)

 「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が平成26年5月に成立し、平成27年1月から施行された。これにより、医療費助成の対象はこれまでの56疾患から順次拡大され、平成29年4月には330疾患となっている。
 一方、難病患者への医療費助成は持続可能な社会保障制度として制度設計され、軽症患者は医療費助成の対象となっていないため、次の課題がみられる。
 まず、難病法以前の医療費助成制度では、軽症患者に「特定疾患登録者証」が交付されており、ホームヘルプサービスなどの福祉サービスを利用する際、病名の確認として活用されていた。しかし、現時点ではこの制度が盛り込まれていないため、軽症患者が福祉サービス等を利用する際には診断書の取得が必要となっている。
 次に、難病法施行以前より、医療費助成の受給者証は毎年更新することとなっており、その際、経年的に疫学データが蓄積されてきた。難病法では重症患者などが医療費助成の対象とされ、軽症患者は医療費助成の対象外となり、登録証を発行する仕組みもないことから、更新申請を行う動機づけを失っている。多くの難病は患者数が稀少であるため、治療研究を進めるためには重症患者だけでなく、軽症から多様な段階での疫学データを集めることが望ましいが、軽症患者の疫学データの収集ができなくなっている。
 よって、国においては軽症難病患者の療養生活の充実及び治療研究の促進のため、難病法における軽症患者登録者制度の実現を強く求める。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年9月28日
           様
                                和歌山県議会議長 尾 﨑 太 郎
                                              (提 出 者)
                             福祉環境委員会委員長 奥 村 規 子
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 厚生労働大臣