和議第63号
  国立高等専門学校の安定的・継続的な学習環境の確保を求める意見書(案)

 国立高等専門学校は、1962年(昭和37年)の制度創設以降、我が国の経済成長に貢献すべく、モノづくり分野における専門的技術者の養成を50年余りに亘って取り組んできた。今後、科学技術の進展はもとより、少子高齢化やグローバル化の進展による社会構造・産業構造の変化が予測されているが、国立高等専門学校においては、社会情勢の変化に柔軟に対応するとともに、尚一層の地域に密着した教育を実施し、地域産業を担う人材育成や地域課題の解決に向けた役割を果たすことが期待されている。特に、社会的要請が高いサイバーセキュリティ、IoT・組み込み技術、ロボット分野をはじめとした我が国の成長戦略を下支えする情報科学分野での人材養成が喫緊の課題となっている。
 しかしながら、国立高等専門学校は独立行政法人法に基づく高等教育機関という位置付けであるため、より厳しい業務運営が求められており、一層のコスト削減や教員数の見直しが計画されている状況にある。これまで国立高等専門学校が社会の信頼を勝ち得てきたのは、授業の密度の高さによる教育の質であり、今後大幅なコスト削減や教員の人員枠の見直しが実施されると、教育の質の保証が失われ、今日まで積み上げてきた教育や地域貢献が立ち行かなくなる事が必定である。
 よって、国においては国立高等専門学校の運営にあたり、教育の質の確保と地域貢献の視点からも、一方的なコスト削減や教員の人員管理の見直しを行うことなく、今後とも地域社会から求められる優秀なモノづくり人材を育成するため、安定的・継続的な学習環境の提供に必要となる予算や教員を確保するよう強く求める。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成29年9月28日
           様
                                和歌山県議会議長 尾 﨑 太 郎
                                              (提 出 者)
                                               山田 正彦
                                               長坂 隆司
                                               多田 純一
                                               雑賀 光夫
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 文部科学大臣