2.和歌山市有功・直川地区のメガソーラー計画について
(1)「有功・直川地区の太陽光発電計画に係る林地開発許可申請書の提出について」の記
者発表の内容について
(2)千手川の維持管理について
3.紀の川流域における水害対策について
(1)台風21号による紀の川流域の浸水被害の原因及び紀の川市丸栖地区等における浸水
対策について
(2)七瀬川流域における避難勧告等の判断・伝達について
4.国民健康保険制度改革について
(1)都道府県単位化によって保険料はどのようになるか
(2)国民健康保険運営方針の問題について
・保険料統一の明示
・法定外繰入の対応
・標準保険料率の公表
・保険料の徴収強化
(3)国民健康保険の構造的問題について
1.沖縄の問題について
(1)沖縄の現状をどう感じるか
(2)パンフレットの活用について
《質問》奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので、通告に従い4点にわたって一般質問をさせていただきます。
まず1点目の、沖縄の問題についてお尋ねいたします。
私はこれまで、幾度となく県主催の「県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式」に参列させていただきました。今年も11月28日午後2時半より、沖縄県糸満市の「紀乃国乃塔」前で行われ参加させていただきました。この「紀乃国乃塔」周辺には、各都道府県の慰霊碑が建ち並んでいます。ご存知のように、沖縄は日本で唯一地上戦が展開された地であり、軍人、軍属だけでなく、一般県民も巻きこまれ、多くの尊い命が失われたところです。沖縄戦の犠牲者で最も多いのは沖縄県民ですが、全国から派遣された兵士の被害も大きく、和歌山県出身将兵の大半が、沖縄最後の抵抗線であった糸満市米須で戦死したといわれています。式典では戦没者を追悼し永久の平和を祈念して献花を行いました。再び戦争を起こすようなことがあってはならないという気持ちがさらに強くなりました。
少しでも沖縄の現状を知る機会になればと思い、短い時間でしたが、普天間基地が俯瞰できる嘉数高台公園の展望台にも行って参りました。あいにく曇り空だったので、姿が見えず轟音だけが響き渡っている中で、突然オスプレイが姿を現し機体の腹部がはっきりと確認できるほどでした。始めて白浜空港の防災訓練で見てから、間近でオスプレイを見るのが2回目です。その機体は轟音と共に、普天間基地に着陸しました。滑走路には何機かあり、しばらくすると一機のオスプレイがまた離陸し、わずか30分の間に、戦闘機やヘリコプターなどが現れ、住民の頭上を行き交う様をみて、世界一危険だといわれている普天間基地を実感しました。
このあと、沖縄県庁にも立ち寄り、お手元の資料を頂いて参りました。基地問題は基地のある地方だけの問題ではありません。全国民一人一人が考えなければならない問題であるとあらためて痛感しました。
沖縄県発行の「沖縄の米軍基地の疑問を分かりやすく解説Q&A
BOOK」をご紹介します。3ページの一番下の段落には、「戦後沖縄は、昭和47年(1972年)の本土復帰まで27年間にわたり、米軍の施政権下にありました。本土復帰後も、本土では基地の整理縮小が進む中、沖縄には多くの米軍基地が日米安全保障条約に基づく提供施設・区域として引き継がれ、県民は過重な基地負担を背負うことになり、現在もその負担は重くのしかかっています。」とあります。米軍人などによる犯罪、米軍機墜落事故など、これまでの米軍基地に起因する事件事故が書かれています。つい4日前にも、保育園に米軍ヘリの部品が落下するという背筋がぞっとするような事故が起こりました。また、普天間基地移設問題については、22ページに「土地を奪って、今日まで住民に大きな苦しみを与えておきながら、基地が老朽化したから、世界一危険だから、普天間飛行場の移設は辺野古が唯一の解決策だから沖縄が基地を負担しろというのは理不尽です」と書かれています。そして、県民の民意として「沖縄県は、辺野古への移設を反対しており、今後とも辺野古に新基地はつくらせないということを県政運営の柱にし、普天間飛行場の県外移設を求める」とあります。
そこで、知事にお尋ねいたします。沖縄のこういった現状をどのように感じておられますか。また、県民にありのままの沖縄を伝えるために、このパンフレットを活用してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
《答弁》 仁坂知事
2つの質問に一括してお答えしたいと思います。
その前に、議員のご質問の中で、我が国で唯一の地上戦というお話がありましたが、定義がたくさんあると思いますけど、いかなる定義を取っても、硫黄島を忘れてはいけないと私は思いますので、ご指摘させて頂いておきます。
現状では、地政学的観点から、沖縄に基地が集中しておることは事実でございまして、それにより沖縄県民に多大な負担をおかけし、その負担のもとで日本の安全が何とか保たれているという状態でございますから、日本国民の一人として、沖縄の方々に対して、いつも私は心の中で頭を下げている次第であります。
ご提案のあった沖縄県が作成した米軍基地のパンフレットについては、米軍基地のできた経緯や基地が抱える問題、普天間飛行場の閉鎖撤去、県外移設などについての沖縄県の考え方が明確に書かれているものだと思います。
しかしながら、在日米軍基地は、日米両政府が合意して、日本と極東の平和と安全を確保するため、安全保障上の観点から配備されているものだと考えられます。沖縄における米軍基地も、このような安全保障上、地政学上の観点から配備されているものだと思います。
沖縄の米軍基地の縮小や移設、訓練の分散は、日本の安全保障全体にかかわる問題でありまして、沖縄の負担の問題も考慮しながら、国が責任をもって解決しなければならない問題だと思っております。
その意味でも、この問題について、議論をする人は、国家としての安全保障の問題も含め、全ての要請にきちんと応えるような議論をしないと問題の解決にならないと私は思います。
《要望》奥村規子 県議
ご指摘についてはありがとうございます。
「基地の負担については沖縄のみなさんに頭の下がる思いである」といわれた知事の言葉を重く受け止めます。知事であるからこそ、安全保障の問題について、またの機会にぜひ議論をさせていただきたいと、改めて強く思いました。
しかし、沖縄の状況を全国民として知っていただくいために、沖縄県自身がつくったパンフレットを様々なところで紹介していただきたいという思いで再度要望させていただきます。
辺野古の新基地の問題においても、沖縄の民意というものが示されているわけです。国と地方の関係のあり方について、極端に歪められた姿を見るのは沖縄ではないかと思います。沖縄県民は、辺野古における米軍新基地の建設に一貫して反対しています。さまざまな場面で民意を示しています。地方自治の原則に照らすなら、国は沖縄の民意を尊重して基地建設を断念するのが、憲法の下にある政府がなすべき姿勢ではないかと思います。
国の姿勢は地方自治をないがしろにするものであって、そのもとでは、住民と自治体は自らの運命を自ら選ぶことができず、国民は自治を担う主権者として育つ機会を奪われことになります。民主主義を死滅させることになってしまいかねないほどのことだと思います。憲法第8章の保障する地方自治とは、地域の政治はその地域の主権者である住民の意思にもとづいて行われるという統治の原則に反します。
2.和歌山市有功・直川地区のメガソーラー計画について
(1)「有功・直川地区の太陽光発電計画に係る林地開発許可申請書の提出について」
の記者発表の内容について
《質問》奥村規子 県議
2点目は、和歌山市有功・直川地区のメガソーラー計画についてお尋ねいたします。
県は10月27日、「有功・直川地区の太陽光発電計画に係る林地開発許可申請書の提出について」を記者発表されました。その内容は、住民同意を要する対象地域が明らかにされています。こういった県の姿勢を評価し、あらためて記者発表の内容についてお尋ねいたします。農林水産部長お答えください。
《答弁》 農林水産部長
和歌山市有功・直川のメガソーラー計画に係る林地開発許可申請が、平成29年10月16日に、事業者から海草振興局農林水産振興部林務課に提出されました。
森林法及び和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、申請書に必要な書類が添付されているかを確認したところ、開発行為区域内の権利者の同意書や開発行為に対する利害関係者の同意書等の必要な書類が一部添付されていなかったため、平成29年10月25日に補正文書を添えて返却いたしましたので、平成29年10月27日に、これら一連の経過を発表したところです。
なお、今回申請の開発行為に対する利害関係者については、開発地に隣接または下流域の直近に位置し、開発の影響を受けるおそれのある自治会及び権利関係者といたしました。
《コメント》奥村規子 県議
開発行為の区域内の権利者等の同意書の添付とありますが、計画地には和歌山市管理の 里道・水路などがあります。和歌山市の判断に期待するものです。
計画の隣接自治会では新に住民投票が行われ、反対と決定した自治会が増えています。
ある自治会では反対250:賛成30、もう一つの自治会では反対309:賛成101と聞いています。有功水利組合も反対を表明しています。このことをあわせて紹介しておきます。
(2)千手川の維持管理について
《質問》奥村規子 県議
次に、台風21号による大雨時の状況からも、流域の住民の方からの不安が大きい千手川について、流れを阻害する堆積土砂や樹木の維持管理はどのようになっているのかを、県土整備部長にお尋ねいたします。
《答弁》 県土整備部長
県管理河川の維持管理につきましては、河川パトロール等により現地状況を注視し、大きく流れを阻害する状況が確認されるなど、その緊急性の高いところから、浚渫や樹木伐採等を実施することなどにより、適切な維持管理に努めているところでございます。
千手川につきましても、他の河川と同様に適切な維持管理に努めてございまして、今年度も観音橋の上流約300mの区間において浚渫を実施する予定としてございます。
《コメント》奥村規子 県議
パトロールにより、緊急性の高いところから浚渫するといわれました。千手川は今年度内に300メートルにわたって浚渫されるということで、住民の皆さんの不安に応えるものになっていると思います。今回の県の判断から考えると、相当な土砂の堆積があるということを示しているのではないでしょうか。このことからも、メガソーラーなどの大規模開発をすると、山崩れなどでいっそう土砂の堆積がすすむ可能性があるということではないかと思います。
3.紀の川流域における水害対策について
《質問》奥村規子 県議
3点目は、紀の川流域における水害対策についてお尋ねいたします。
最初に、10月22日の台風21号による浸水などの被害が発生しました。亡くなられた方や被害にあわれた皆様に、心からご冥福とお見舞いを申し上げます。
被災された地域を回らせていただくと、ある方は「ボランテイアのみなさんが来てくれ、涙が出るほどうれしかった」といわれていました。対応された職員の皆様も、本当にご苦労だったと思います。
(1)台風21号による紀の川流域の浸水被害の原因及び紀の川市丸栖地区等における
浸水対策について
それでは1つ目の、台風21号による甚大な被害についてお聞きします。ここでは特に、紀の川流域の浸水被害の原因についてどのようにお考えかをお尋ねし、特に紀の川市の丸栖地区等における浸水対策についても、県土整備部長にお聞きします。
《答弁》 県土整備部長
本年10月の台風21号による豪雨によりまして、紀の川沿川地域においては、紀の川市の丸栖地区をはじめまして、多くの地区で浸水被害が発生をしてございます。
これらの浸水被害につきましては、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、例えば、かつらぎ雨量観測所では、観測史上最大となる日雨量219mmを記録するなど、沿川地域において、近年、類を見ない大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
次に、紀の川市の丸栖地区等における浸水対策ですが、同地区周辺では次の二つの事業が現在実施をされてございます。
まず、紀の川本川においては、平成24年に国が策定した河川整備計画に基づき、平成28年度には岩出狭窄部を緊急対策特定区間に設定し、概ね5年間で岩出頭首工付近での拡幅水路の整備や頭首工上流の河道掘削を国直轄事業により実施することとされてございます。
もう一つは、農業用排水施設の排水機能を回復することを目的とした排水機や農業用排水路等の整備が国直轄事業により進められてございます。
これらの整備が進捗又は完了することによりまして、紀の川本川の水位が低下いたしますとともに、排水機能の強化が見込まれ、内水被害の軽減が期待されてございます。
今後も引き続き、内水被害の軽減に資する対策の早期完成を国に働きかけますとともに、関係機関との連携による浸水対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
《要望》奥村規子 県議
台風21号が過ぎ去った後、私も紀の川市貴志川の丸栖や竜門山の麓、橋本市などに行かしていただきました。特に、丸栖は以前にも浸水しています。調月のほうも、4年前にも市営住宅などが大変な浸水にあいましたが、今回はそれ以上に浸水がひどかったとお聞きしています。
丸栖地区を回っていると、田や畑から収穫後の藁がたくさん民家に流れこんだり、農業用機械が浸水したり、選果場の機械が浸水したりということが起こっていました。
外に出られている方に声をかけて、お見舞いも申し上げたのですが、2年前から丸栖にお住みになって、以前は沖縄に9年ほど住まれて、仕事の関係で他の県にも住まれていたという、富山県から来られた方がいらっしゃいました。その方は、以前にも浸水があったと聞いて「なぜ同じことがまた起こったのか」と怒っていました。私が「なぜ丸栖にお住まいになられたのですか」と尋ねると、「いろんな所に住んできたけれど、景色を含めここがすごくいい。一番いい所だと思って住んだんです」と言われていました。移住という中で、安全・安心の問題も大事なことだと改めて感じました。
丸栖でも開発や分譲など、新しく家が建てられています。県の方にお話しすると「民間の話なので」という話も出てきますが、和歌山県へせっかく来た人が安心して住んでもらうという面でも、安心・安全の問題は非常に大切だと思います。早く対策を進めてほしいと強く要望します。
(2)七瀬川流域における避難勧告等の判断・伝達について
《質問》奥村規子 県議
2つ目は、和歌山市の七瀬川流域における避難勧告等の判断・伝達についてお尋ねします。
先日、七瀬川近くの団地を訪問させていただきましたが、「寝ていて手が冷たくなり初めて浸水していることに気がついた」、「トイレに行こうとして床が浸水していることがわかりびっくりした」など聞かれました。聞くところによると、住民への避難勧告などなかったということですが、どのようになっていましたか。
県民の友9月号には「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準を策定し、短長期の降水予測を行う独自の気象予測システムが整備され、市町村が早期かつ的確に避難勧告などを発令できるよう支援している」と書かれています。現状と課題について危機管理監にお尋ねいたします。
《答弁》 危機管理監
10月の台風第21号により、和歌山市では72時間で300ミリを超える大雨となりました。
市全域で、床上床下浸水等で387棟の住家被害が発生し、議員御質問の七瀬川近くの団地がある紀伊地域においても204棟の住家被害が発生いたしました。
災害対策基本法の規定に基づいて、避難勧告等の発令を行う和歌山市に確認したところ、今回の大雨により、亀の川の水位が氾濫危険水位を超え、かつ、当該河川流域では時間雨量20ミリを超えることが予測されたことや、和田川の水位が氾濫危険水位を超え、また、上流にある大池で越水のおそれがあったため、名草地区や西山東地区など7つの地区に対して避難勧告は発令しております。
一方、紀伊地区につきましては、七瀬川は小河川のため、水位変動が激しく、現場の状況で避難判断を行う必要があるとの理由で、消防隊による見回りを強化していましたが、夜間に浸水が発生したため、外出避難を危険と判断して、避難勧告等の発令を行わなかったとのことです。
県といたしましては、市町村に対し、議員御指摘の「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準」の運用等の徹底に努め、市町村が災害時に的確な避難勧告等を発令できるよう、引き続き取り組んでまいります。
《要望》奥村規子 県議
夜間に避難勧告を出すとなればさらに危険な状況になってしまうことや、それなら夜間の場合にはどうするか、住民が状況を十分理解できるか、市町村がどの時点でどう出していったらいいのかなどの課題について、県も一緒に市町村と具体的な事例など含めて十分検討していただきたいとお願いします。
七瀬川については今回、団地の60センチくらいのコンクリート堤防を水が乗り越えて浸水してきたということです。住民の方が越水に気が付きましたが、見る見るうちに浸水してきたと言われていました。七瀬川だけでなく、他でもこれから起こり得ます。
この気象予測システムは平成25 年度に導入されたとお聞きましたが、市町村との連携が非常に大事だと思います。
現在、浸水対策として川幅を広げるなど河川改修を行っていただいていますが、一日も早い完成を目指して改修を促進していただくよう、よろしくお願いします。
4.国民健康保険制度改革について
《質問》奥村規子 県議
4点目は、国保制度の改革についてお尋ねいたします。
国保は、75歳未満の被用者保険に加入していない人がすべて加入する公的医療保険制度です。国民皆保険体制を支える制度です。
今、加入世帯の4割が年金生活など「無職」、非正規労働者などの「被用者」が3割を占めるようになり、国保加入世帯の平均所得は1990年代前半から下がり続け、今や全国平均では140万円、和歌山県内では106万円です。
国保制度に対して政府は当初、「無職者が加入」し、「保険料に事業者負担がない」ことから、保険制度として維持するには、「相当額の国庫負担」が必要と宣言していましたが、その後、国保の財政運営に対する国の責任を後退させ、国保の総会計に占める国庫支出金の占める割合は、1980年代前半の50%から、2015年度には20.3%にまで下がっています。
加入世帯の貧困化と国の予算削減が同時並行ですすむなかで、一人当たり保険料は上がりつづけており、「低所得者が加入する医療保険なのに、保険料が高い」というのが国保の構造問題と考えます。
来年度から国保が県単位化され、県も運営主体となりますが、この構造問題にどう対応するのかが県に問われます。
国は国保の広域化となる都道府県単位化をすすめ、都道府県を司令塔にして、「国保運営方針」に基づく財政管理、「医療費適正化計画」での医療給付費抑制、「地域医療構想」による病床削減を一体ですすめるものです。県民から医療を遠ざけることになるのではないかと心配するところです。
そこでお尋ねいたします。
(1)都道府県単位化によって保険料はどのようになるか
「低所得者が加入する医療保険なのに、保険料が高い」という構造的問題についてです。
資料2をご覧ください。収入・所得・世帯人員の各ケースで、和歌山市の国保料と協会けんぽの保険料比較を出しています。
ケース1と2は単身者の場合です。40代になると介護保険料が加わってきます。いずれも国保は、協会けんぽの1.7倍前後です。
次にケース3や4です。家族数が多くなると、国保はうんと高くなります。ケース4では、収入360万円で4人家族、この場合は2.3倍にもなります。収入360万円で保険料が47万7,840円にもなります。1.6ヵ月分の収入が保険料に消えてしまうわけです。
さらに、国保加入世帯の4割に当たる年金世帯の場合、ケース5です。年金収入200万円で国保は5割減免の対象ですが、それでも協会けんぽの同じ収入の世帯と比べてもまだ高いのです。「払いたくても払えない」という声は当然だと思います。
そこで福祉保健部長にお尋ねします。県単位化によって保険料はどのようになりますか。
《答弁》 福祉保健部長
来年度の国民健康保険の保険料は、県が算定し市町村へ通知する国民健康保険事業費納付金の額をもとに、各市町村が決定することになります。今回の制度改正により、全国規模で約3400億円の公費拡充が図られていることから、保険料負担の軽減に一定の効果があると考えております。
平成29年度に制度改正があったと仮定した場合の一人当たりの県平均保険料は、法定外繰入前で95,564円となり、平成28年度の106,634円と比較し、11,070円下がりました。なお、市町村別の一人当たり保険料は2市で増額となっております。
県では現在、この試算結果をもとに、被保険者の方に過度な負担増とならないよう、市町村と継続的に協議を行っておるところでございます。
(2)国民健康保険運営方針の問題について
・保険料統一の明示
《質問》奥村規子 県議
県の国保運営方針の問題について、福祉保健部長にお聞きします。
保険料の県内統一は当面無理と言いながら、平成39年度には統一を目指すと踏み込んだのはなぜですか。他の都道府県では、期間を明示して保険料統一を目指すとしたところは少数ですが、和歌山県はなぜ運営方針に入れたのですか。
《答弁》 福祉保健部長
県が国民健康保険の財政運営主体となることから、県内どの市町村に住んでも、同じ所得であれば同じ保険料となることが、公平性の観点から望ましいと考えており、国が示すガイドラインにおいても、将来的に都道府県での保険料水準の統一を目指すことが求められているところでございます。
しかしながら、本県の現状では、各市町村間で、一人当たりの医療費格差が約1.7倍あり、当面、保険料を統一することは難しいため、県と市町村が連携して、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」をはじめとする生活習慣病の予防対策や後発医薬品の使用促進など、医療費を下げるための様々な対策を継続実施しながら、平成39年度までに県内統一保険料を目指すとしたところでございます。
・法定外繰入の対応
《質問》奥村規子 県議
法定外繰り入れの解消期限を示していますが、法定外繰入は市町村の判断といっていたのではないでしょうか。
《答弁》 福祉保健部長
現在、一部の市町では、政策的な判断で保険料負担の軽減を目的に、一般会計から法定外繰入を行っておりますが、県内統一保険料を実現するには、法定外繰入は解消される必要があります。
県といたしましては、法定外繰入の解消による保険料の急激な上昇を避けるため、市町村と連携して医療費を下げるための様々な取組等を進めることで、法定外繰入の計画的・段階的な解消につなげてまいります。
《再質問》奥村規子 県議
再度お尋ねします。市町村が判断し、法定外繰入をしている理由を、どのように把握していますか。
《再答弁》 福祉保健部長
法定外繰入を行っている市町からは、一人当たりの医療費が県平均より高いため、保険料負担も高くなることから、法定外繰入を行っていると聞いております。
《要望》奥村規子 県議
最初にお示ししたように、国保料(税)が他の医療保険と比べても、また加入者の所得からみても非常に高いことがお分かりいただけたと思います。それは、国費の削減が原因です。それを補填するために、市町村が政策的に保険料負担の軽減を目的に繰入をしているわけですから、それは市町村の姿勢として尊重するべきだと思います。保険料統一のためにこれをなくすのは、その自治体の自治権を侵害するものです。
市町村が法定外繰入している理由は、医療費が大きいからというだけの問題ではないと思いますので、その把握をしっかりお願いします。
・標準保険料率の公表
《質問》奥村規子 県議
新制度では県が各市町村に「納付金」の額を提示する際、あわせて各市町村の「標準保険料率」を公表することになっているが算定の仕方や公表をどのように考えているのか。
《答弁》 福祉保健部長
国民健康保険事業費納付金は、県全体の医療費を推計し、保険料として必要な額を積算した上で、市町村ごとに被保険者数、世帯数、所得水準、医療費水準を反映させ、算定することになります。
平成30年度の各市町村の保険料のもととなる国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率につきましては、現在、県において算定作業を行っているところであり、今月末に決定する診療報酬改定などを踏まえ、来年1月上旬には市町村に通知し、その後、標準保険料率を公表いたします。
・保険料の徴収強化
《質問》奥村規子 県議
保険料の徴収の適正実施についてお尋ねします。徴収を強化すると運営方針には書かれていますが、徴収を強化すれば大変なことになると思いますが、いかがですか。
《答弁》 福祉保健部長
徴収を強化するというふうには書いていないと思いますが。
お答えいたします。保険料の適正な徴収につきましては、国民健康保険制度の健全な運営及び被保険者間の公平性の観点から、大変重要であると考えております。
徴収につきましては、今回の制度改革後も、引き続き市町村が担うこととなっており、和歌山県国民健康保険運営方針では、保険料を滞納している被保険者に対し、納付相談等きめ細やかな対応を行うこととしております。
《要望》奥村規子 県議
以前にも国保について、滞納や回収の問題などで質問させていただきましたが、今回、部長がきめ細やかな対応をすると答えていただいたことは非常に大事だと思います。
ある市で、子どもが難病で医療費がかかるため保険料が払えず滞納していた方が、役所と相談してきちんと分割で払っていたのに、突然催促状が来るなどいろいろありました。窓口での納付相談をきっちとしないと、機械的に地方税回収機構に送られるようなことになれば本当に大変なことなので、県としても市町村としっかり連携してやっていってほしいと思います。
(3)国民健康保険の構造的問題について
《質問》奥村規子 県議
最後に、国保の構造的問題について、知事にお尋ねします。
「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるよう努めなければならない」と、国保法4条で規定しています。国の公的責任で、国保の健全な運営を図るべきと考えます。構造的欠陥を持っている制度の根本問題の解決が必要ではないでしょうか。
《答弁》 仁坂知事
国民健康保険制度は、「年齢構成が高く医療費水準が高い」、「所得水準が低く保険料負担が重い」といった構造的な問題がございます。
そのため、今回の制度改革では、全国規模で約3400億円の公費拡充が図られておりまして、保険料負担の軽減に一定の効果があると考えております。
しかしながら、今後も医療費の増加が見込まれる中で、ナショナルミニマムとして国民皆保険制度の根幹をなす国民健康保険制度を持続可能なものにしていくことは、国の責任であろうというふうに思います。
そのため、全国知事会では、これまでも繰り返し国庫負担金の増額など、財政支援の拡充を国に要望してきたところでありまして、今後も、被保険者の方の負担軽減が図られるよう、全国知事会を通じて要望していきたいと思います。
《要望》奥村規子 県議
県単位化そのものや保険料の統一で、国保の構造的問題の解決にはならないことは明らかです。
あくまで、公費負担を増やすことが必要です。3400億円の公費が投入され、一定の効果を評価していますが、まだまだ負担が重いと思います。
今回の3400億円の投入で少し保険料が引き下げられますが、県単位化によって国保制度が改善されるものではありません。
資料2の保険料の比較を見ても、企業負担がない分、また低所得者、無所得者が多い国保に、相当の公費投入がなければ当然高くなります。知事も「国民皆保険制度の根幹をなす」といわれました。国に要望すると同時に、県単位化で県も国保の運営主体となることから、県での公費投入を行うべきと考えます。また、市町村の繰入の努力は尊重すべきと考えますので、今後検討していただきますよう強く要望して、今回の質問を終わります。