和議第72号
        浸水被害の回避等を目的とした断面確保のための
      中小河川の河道掘削の予算の確保等を求める意見書(案)


 一昨年8月の北海道・東北豪雨や、昨年7月の九州北部豪雨など、近年、地方における中小河川の被害として、土砂の流出による河床上昇や流木等による橋梁での河道埋塞が発生しており、まさしく河床が上がっていることが浸水被害発生の一つの原因となっている。
 しかし、これまでの都道府県及び市町村が管理する河川の断面確保のための河道掘削については、自治体各々の交付金や単費予算で行われているが、遅々として進んでいないのが実情であった。
 そのような中、国土交通省は、今回、中小河川の豪雨対策を強化するため、防災・安全交付金を活用し、全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえた「中小河川緊急治水対策プロジェクト」を取りまとめ、中小河川の河道掘削についても再度の氾濫防止対策の一つとして緊急治水対策プロジェクトに盛り込んだ。
 しかし、この緊急治水対策プロジェクトは、概ね3か年を目途に推進するものであり、河道掘削の対策箇所についても「重要水防区間のうち、近年、洪水により被災した履歴がある区間」と限られている。
 よって国においては、今回の緊急治水対策プロジェクトが、中小河川を管理する地方自治体にとって真に利用しやすい施策となるよう、下記の事項について取り組むことを強く求める。

                          記

1 河道掘削を含む「中小河川緊急治水対策プロジェクト」については、平成29年度補正予算で約1300億円が盛り込まれているが、次年度以降についても、地方自治体の要望を踏まえ、十分な予算を確保すること。

2 「中小河川緊急治水対策プロジェクト」では、河道掘削の対策箇所を「重要水防区間のうち、近年、洪水により被災した履歴があり、再度の氾濫により多数の家屋や重要な施設の浸水被害が想定される区間」と限定しているが、今後は、中小河川を管理する地方自治体がより柔軟な対応ができるよう、対策箇所の拡大も含め検討すること。また、国直轄河川の河道掘削についても、周辺自治体の要望を踏まえ、必要な対策を行うこと。

3 今回の「中小河川緊急治水対策プロジェクト」は、概ね3か年を目途に推進するものであるが、それ以降についても、引き続き、浸水被害が頻発する中小河川における治水対策が着実に推進できるよう、継続的な措置を講じること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成30年3月16日
          様
                                  和歌山県議会議長 尾﨑 太郎
                                              (提 出 者)
                                               山田 正彦
                                               長坂 隆司
                                               多田 純一
                                               雑賀 光夫
(意見書提出先)
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 国土交通大臣