2018年2月県議会 奥村規子 予算特別委員会質問 概要記録
  
                                         201839
1.IRに関する予算、取り組み状況及び県民合意の進め方について

2.友ヶ島行き船乗り場トイレについて
(1)老朽化しているトイレの早急な改善について

3.大浦街道の安全対策について
(1)歩道整備事業の取り組み状況と今後の計画について

4.医療の充実について
(1)診療報酬のマイナス改定による地域医療提供体制への影響について

5.中学校卒業まで子どもの医療費助成拡大について
(1)県の制度で対象年齢の拡大を


1.IRに関する予算、取り組み状況及び県民合意の進め方について
《質問》奥村規子 委員
 新年度予算案では、「県勢活性化企画調整事業」に8100万円余りが計上されています。これは、「県勢活性化につながるIR誘致等の新たな施策の立案や施策化に必要な調査・検討を行うために要する経費」としています。そのうち、IR関連分として約7000万円が予算化されています。これは「地域の特性を生かした地方型IRの実現を目指し、関係自治体や経済界等と連携した誘致活動や調査研究を実施」するためのものとなっています。
 昨年度より大幅に増額されていますが、この理由と内容についてお尋ねいたします。また、現在の取組状況と、県民に対する合意をどのようにとってゆくのか、あわせてお答えください。

《答弁》 企画部長
 平成30年度予算に計上している県勢活性化企画調整事業について、本事業では、本県へのIR誘致実現に向けて、関係自治体や経済界等と連携した誘致活動や調査・検討を実施する。
 具体的には、IRの施設構成や地元との連携策の考え方などを示す民間事業者からのコンセプト募集及び新たなインフラ整備の必要性や渋滞緩和策などの検討を行うための交通アクセス調査等を実施する。
 これらの取組は、最終的に県が作成するIR区域整備計画に必要不可欠なものであり、国への計画提出スケジュールを鑑みると、平成30年度に実施する必要がある。
 現在の取組状況及び県民合意の進め方について、これまでも、海外の主要なIR事業者が集まるフォーラムへの参加、和歌山IR推進協議会の設立、IR事業者に対する積極的な接触など、前向きな誘致活動に取り組んできた。
 去る1月15日にはIRシンポジウムを開催し、地方型IRの必要性や有用性、和歌山の目指すべきIRの姿などについて、講演やパネルディスカッションを行い、約300名の県民、事業者の皆様にご参加いただいたところ。今後も継続的にこういった取組を行い、IRに関する正確な情報の提供を通じて、県民の理解を深めていきたい。
 また、昨年8月に国のIR推進会議が取りまとめた方向性においては、地元での合意形成に向けた仕組みが示されており、本県においても国の方向性に沿った取組を行うこととしている。
 現在、政府において検討されているIR実施に向けた制度や対策の内容に注視しつつ、他の誘致自治体の動きに遅れることのないよう、IR誘致実現に向けて引き続き積極的に放り組んでいく。

《質問》奥村規子 委員
 積極的にIR誘致に取り組んでいくとのことですが、候補地はどこで、何箇所ですか。

《答弁》 企画部長
 県としては当初、旧白浜空港跡地、コスモパーク加太、マリーナシティの3ヵ所を候補として誘致を進めてきたが、事業者・関係者と協議する中で、どの事業者もマリーナシティが最適という回答だったため、昨年からマリーナシティを最優先に誘致を進めていくことを決定したところである。

《質問》奥村規子 委員
 今年度の予算の中でトーマツと1000万円の契約をされていますが、3月末に出てくる報告書に関する報告はいつされますか。

《答弁》 企画部長
 現在委託しているトーマツの調査は、県の基本構想を作るための基礎調査である。トーマツで基本計画や基本構想をすべて作るのではなく、県が基本構想を作成するにあたり必要なデータや世界の情勢などを整理していただく。トーマツからの報告を受けて、県の基本構想をまとめることになる。

《質問》奥村規子 委員
 基本構想のベースになる基礎調査の結果が出ていないのでまだ分かりませんが、契約金で1000万円を使っています。「県民市民への理解を深めていきたい」とのことですで、報告書など節々の情報もきっちりお示しになられるということでよろしいでしょうか。

《答弁》 企画部長
 トーマツに委託しているのはあくまでも基礎調査である。それを受けて、県がそのデータを整理し、基本構想を作成する。その基本構想を県民にお示しし、県が考えているIRとはこういうもので、誘致したい、というような形で説明していきたい。

《要望》奥村規子 委員
 県民にもその情報を公開してほしいと思います。

《質問》奥村規子 委員
 地元での合意形成に向けた取り組みについて、2年前から県は、誘致する方向で話を進めていますが、どのように県民との合意形成を図っていくのでしょうか。

《答弁》 企画部長
 現在議論されているIR実施法案が出てから、さらに詳細なことが決まっていくことになるが、こうした情報を全て県民の方に提供する。
 今後、何度もシンポジウム等を開催し、県としてどうしていくかを丁寧に説明する機会をつくり、県民理解を求めていきたいと考えている。
 最終的には、市町村はもちろん、県議会の同意を得ることが必要になる。そういった手続きをきちんと踏んでいきたい。

《要望》奥村規子 委員
 カジノ解禁法案が国会で議論された際、カジノ誘致に反対の声もあったかと思います。2016年12月の共同通信のアンケートだけでなく、和歌山市が実施したアンケートでも「反対」が28.5%、「どちらかと言えば反対」が19.3%ありました。そんな状況のなか、着々と誘致の方向に進めているのは問題だと思います。
 将来、良かったと思える街づくりを考えるうえで、説明をするということではなく、カジノを含む街づくりについてまず県民にしっかり意見を聞くべきではないでしょうか。観光立国推進基本法の理念は「住んで良し訪れて良し」というものですが、刑法違反の賭博を区域指定して解禁するのがカジノ・IRだと私は理解していますので、カジノで街づくり・観光振興・活性化というのは良くないと考えています。
 こういった声があることも踏まえ、十分意見を聞いていただくことをお願いします。


2.友ヶ島行き船乗り場トイレについて
(1)老朽化しているトイレの早急な改善について
《質問》奥村規子 委員
 県は観光振興に力を入れ、「多彩な魅力に出合える観光地づくり」を推進しています。
 このような中で、和歌山市加太の住民の方から大変残念な苦情を頂きました。早速現場を見させていただき驚きました。市の公衆トイレの老朽化がひどく、折角訪れていただいた観光客のみなさんに不快な思いをさせているということです。
 友ヶ島の入島者数は、過去最高が昭和39年度の96,000人、最低が平成22年度で16,363人まで減少しましたが、平成28年度には69,477人にまで増加しています。
 このトイレについて、全国から来ていただいた観光客の方々の声がノートに記されています。市のトイレですが、県として早急に改善すべきと考えますがいかがですか。

《答弁》 商工観光労働部長
 加太港の友ヶ島行き汽船桟橋公衆トイレについては、県もかねてから改善すべき状態にあると認識しており、管理者である和歌山市に対して、その改修を継続的に働きかけている。現在、和歌山市において、早期の改修に向けて、関係者と整備手法や整備後の管理体制の検討が行われている。県としても、引き続き必要な支援を行っていきたいと考えている。


3.大浦街道の安全対策について
(1)歩道整備事業の取り組み状況と今後の計画について
《質問》奥村規子 県議
 大浦街道沿いには店舗が立ち並んでいて、付近には県和商、和工、星林高校などもあり、自転車通学の学生など、大変交通量が多いところです。
 住民の方からも、安全対策について声が届けられており、7年前の2011年2月議会においても一般質問をさせていただきました。その際の答弁は、「段差修正等の(現在の道)現道対策に取り組むとともに、自動車及び歩行者等の交通の状況を見ながら、地元の皆様の意見を伺い歩道整備のあり方について検討する」と答えられています。
 新年度予算案では、歩道整備事業に3億円が計上されていますが、これまでの取組状況と、今後の計画についてお尋ねいたします。

《答弁》 県土整備部長
 (通称)大浦街道、県道新和歌浦梅原線の西浜交差点から舟津町交差点までの区間については、現状の歩道が狭く、段差もあるなど、歩行者等の円滑かつ安全な通行に支障を来していることから、道路の両側に幅員3メートルの自転車歩行者道を整備することとし、平成27年度に事業化した。
 事業全体の延長が約1.8キロメートルと長く、沿道には事業所や店舗等が多数連担していることから、早期に事業効果の発現を図るため、中でも、花王前交差点から舟津町交差点までの約700メートルの区間について、重点的に取り組んでいる。
 現在、物件調査や用地取得を鋭意進めているところである。
 今後も引き続き、用地取得の推進に努め、一定区間のまとまった用地が確保された段階で、工事にも着手していく。


4.医療の充実について
(1)診療報酬のマイナス改定による地域医療提供体制への影響について
《質問》奥村規子 委員
 県は長期総合計画において、「県内どこで住んでいても必要な医療を受けられる体制づくりが必要」としています。
 そこで、医療体制を支える診療報酬制度についておききいたします。日本の公的医療保険制度を支える診療報酬制度は大変重要です。診療報酬は医療行為の財源であり、県民が受ける医療水準に直結するものと考えています。2018年度の診療報酬の改定率は、診療報酬全体ではマイナス1.19%の改定となりました。実質、3回連続のマイナス改定になっています。
 国の調査によれば、一般病院の経営状況は悪い傾向にあります。先に述べた診療報酬については、今回の改定により全体としてマイナスになるなか、今後、地域の医療提供体制を維持できるのか疑問です。
 県としてどのようにお考えでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 平成29年11月公表の国の医療経済実態調査によれば、開設主体別の損益率は、医療法人では1.8%の黒字を保った一方で、国立では1.9%、公立では13.7%の赤字となっている。
 このような状況を受けて、今回の改定では、全体としてはマイナスであるが、医師等の技術料などである診療報酬本体部分がプラスとなり、病院経営に配慮がなされたことから、今回の改定が地域の医療提供体制を崩壊させるものとは考えていない。
 また、具体的には、医療機能に応じて重症患者を受け入れる病院や、入院患者のリハビリ等を行い在宅復帰に向けて取り組む病院が評価される内容となっており、今回の改定は、県が目指す患者の状態に応じた質の高い医療提供体制の構築と一致した方向性となっている。
 県では、この方向性に沿った医療機関の自主的な取組を積極的に支援し、地域の医療提供体制を維持していく。

《要望》奥村規子 委員
 和歌山県下の公立病院の平成28年度収支では、2病院を除いて赤字と聞いています。そういった状況で、公立病院が医療活動を行うなかで、総務省が新公立病院改革ガイドラインを示しました。
 採算や経営面だけを重視するわけにはいかないと思いますが、県民の命を守るうえで、公的病院の役割が非常に大事であるという計画だと聞いています。
 公的病院のあり方など、地域ごとに要望や医療活動のあり方が違うため、しっかりと各地域の病院関係者と相談しながら計画を作ってほしいと思います。


5.中学校卒業まで子どもの医療費助成拡大について
(1)県の制度で対象年齢の拡大を
《質問》奥村規子 委員
 子どもの医療費助成については、全国的に都道府県レベルでの制度が実現してきています。和歌山県内でも、すべての市町村で中学卒業まで医療費の無料化が実現するという状況になってきました。さらに、対象年齢18歳までとしている自治体が10市町村になっています。どこに住んでも、安心して子育てができる環境がより前進したことは、大変歓迎すべきことです。
 国は、国保の国庫負担金の減額調整措置、いわゆる「ペナルテイ」を、未就学児までに限り廃止することを決定しました。2018年度から実施されます。
 県は、国の制度として子どもの医療に関わる全国一律の制度の創設をもとめていますが、県としても市町村への支援をさらに拡充すべきと考えますがいかがでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 乳幼児は、抵抗力が低いため病気にかかりやすく、病気にかかった場合には重症化しやすいことから、早期に医療機関を受診できるよう、乳幼児を対象に県と市町村で医療費助成を行い自己負担分を無料化している。
 医療費助成の対象年齢の拡大については、各市町村がそれぞれの実情に応じ施策の特色を出すために実施しているものであり、近々、全市町村で中学卒業までの拡大が実現することになる。県としては、対象年齢を拡大することは考えていないが、引き続き、乳幼児を対象とした医療費助成は堅持していく。

《要望》奥村規子 委員
 全国的に医療費助成の拡大が進むなか、全国で入院・通院とも「18歳まで」は、福島、鳥取で、近畿で「中学卒業まで」入院・通院とも実施しているのは、京都、兵庫、奈良です。
 それぞれの自治体での子育て支援のあり方は、施策的な違いがあり、和歌山県で言えば、保育料無料化の実施など、子どもの医療費だけを見ているのではなく、子育て全体の総合的な施策の中で考えていくことも必要であると思っています。
 しかし、近畿でそういったことが進むなか、市町村段階でよくなっているのではなく、全国的な違いをなくし、引っ越しをしてどこに住んでも同じ制度で子どもを育てられる全国一律の制度を願っています。
 和歌山県も、子育てしやすいイメージをどんどんつくっていくなかで、進めていくべき施策ではないかと思うので今後とも、ぜひ検討をお願いしたいと思います。



 2018年2月議会   奥村規子プロフィール、質問一覧
 ブログ「おくむらのり子のぴょんぴょん日記」
 奥村のり子 facebook   県議団HOME