2018年2月県議会 雑賀光夫 一般質問 概要記録   中継録画



2018年3月5日
1.教育問題
(1)子どもの「指導死」について
(2)12月の文教委員会主催の「勉強会」での発言について
  ・福井県池田町の「第三者委員会報告書」の見解について
  ・上記「第三者委員会報告書」にある教員の指導について
  ・「偏見」という発言について
(3)教育条件整備
  ・教員のいそがしさ解消について
  ・教職員定数改善について

2.「太陽光発電事業条例」と海南市のメガソーラー
(1)「太陽光発電事業条例」
  ・事前協議の意味
  ・事前協議のあつかい
(2)海南市・重根のメガソーラー計画
  ・土砂災害警戒区域とは何か、住民説明の主旨は?
   森林伐採の河川・治水への影響はどうか


1.教育問題
(1)子どもの「指導死」について
《質問》雑賀光夫 県議
 議長のおゆるしを得ましたので質問に入ります。
 第一の柱は、教育の問題です。
 今年の1月30日、NHKが「“指導死”なぜ子どもの自殺がへらないのか」という番組を放映しました。
 去年10月、福井県池田町で出された調査報告が全国に衝撃を与えました。
 中学2年の男子生徒が校舎から飛び降りて亡くなった自殺。その原因が、教員からの厳しい指導や叱責を繰り返し受けたことだったと分かったのです。いわゆる「指導死」でした。
 
担任からは、行事の準備が遅れた際に、校門の前で大声でどなられていました。周りの人まで身震いするほどの声だったといいます。
 副担任に宿題の遅れを叱責された時は、土下座しようとするほど追い詰められていました。
 そして、母親の手記として「『教員による陰険なイジメ』で息子は尊い命を失ったのだと感じています」という言葉を紹介しています。
 幸い、和歌山県ではこれまでこうした問題はおこっていないと思いますが、全国的に問題になっている「指導死」という問題について、教育長はどう考えておられるでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 教職員の厳しい指導や叱責、体罰等が原因で、子どもの尊い命が失われることは、絶対にあってはならないことだと考えております。
 児童生徒の指導に当たっては、教職員は、児童生徒をよく理解し、信頼関係を築くとともに、個々の児童生徒の特性や発達の段階に応じて指導を行うことが大切です。児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、児童生徒に寄り添い共感的理解に努めつつ、指導方法や指導体制を継続的に工夫・改善することが必要であると考えております。

(2)12月の文教委員会主催の「勉強会」での発言について
《質問》雑賀光夫 県議
 12月県議会文教委員会で、私は学力テスト問題をとりあげました。議場にお配りしたパンフレットに、その概要記録を収録しております。急いで手作りしたものなので、誤字などあればお許しください。
 まず最初に、「学力テストの成績は、今年度はよかった。大変結構なことである」と評価したうえで「しかし私はこの学力テストのことに関していろいろと心配もしている」と申し上げ、3年前の12月県議会で申し上げたことを紹介しています。
 それは、「『若い芽を早く大きくなあれと、毎日引っ張っていたら、若芽を枯らしてしまう』という例え話があるが、子どもをある面から追い立てたとき、どんな歪みが生じるか。最も極端なものが少年犯罪である。当時、私が思い出していたのは、酒鬼薔薇聖斗と名乗った神戸の幼児を殺したあの事件でした。そういう事件が起こると大騒ぎするけれども、親は決してそのような子どもを育てようと思って育てたわけではない。優秀な子供にしたいと思って育てた。そのことが子どもを追いやって、このような歪みを生んでしまった。これは極端な例だけれども、教育界にはこういうことがあるのではないか。管理と競争の教育で、学校現場は息苦しくなってくる。そこで、起こってくるのは不登校の問題であり、いじめの問題である。現場のプレッシャーから逃げるのが不登校であり、それを他に転嫁して憂さ晴らしをするのが『いじめ』だといってよいのではないか。その行き着く先が子どもの自殺ではないか。教育は、総合的な問題なので、ある面だけを追い込んだ時に、思わぬところで歪みが起きる場合がある」という議論をしたことを紹介しました。
 そのうえで、前の年に、学校長に対して牧野教育企画監がお話になったことをとりあげ、「さすがだと思うこともあるが、相当焦っているのではないか」と申し上げました。
 県教育委員会は、「学力テスト日本一」といわれる福井県を、教育先進県と位置付け、教頭などを研修に派遣し、牧野教育企画監も福井県からおいでいただいて、指導いただいているわけです。
 そこに飛び込んできたニュースが、福井県の中学生が先生に責められて自殺をしたという事件でした。文教委員会では「副担任」といっていますが「担任」の指導にも問題があったようです。
 文教委員会の前日、福井新聞の記事がネットで配信されていました。福井県議会の総務教育常任委員会が11日に全会一致で決議をした。この男子生徒の自殺に関して学校に問題があったということであるが、教員の多忙化により生徒への適切な対応がなく精神的ゆとりを失っている状況にあったのではないかと懸念されている。これは、この教師だけの特殊な問題ではなく、教育全体の問題とすべきではないか。さらに、学力日本一を維持することが教育現場への無言のプレッシャーを与え、多様化する子どもたちの特性に合わせた教育は困難であると言わざるを得ないとして、同委員会は公教育の検証と見直しを求めたというのです。
 福井県で論議されていることは大変重要なことだと考えました。
 その一方で、牧野教育企画監が和歌山県でやっておられる指導には、あせりがあって教育にゆがみをもたらすと心配し、気になることを指摘しました。
 「福井県には大勢の人が学びに来ている。それに比べて、和歌山はどうか。全国から馬鹿にされている。私は、今は和歌山の住人だから腹が立つし、くやしく思う。名誉挽回しなくてはならない」
 「県教委の言うことを聞かない校長、校長の言うことを聞かない先生、先生の言うことを聞かない子どもたちが、和歌山にあると言われている。みなさん、知っているか」
 企画監の発言です。音声データーを聞きいたものを私が紹介し「概要記録」に収録されたものです。
 文教委員会では「教育のトップにいる人が感情的なものの言い方をして、それを聞いた校長が教員に対してものの言い方を増幅させる。そして、校長から締め付けられた教員がさらに焦って、子どもを締め付けたりして教育にゆがみを生まないか心配だ」ということを申し上げたわけです。
 ところで、こうした論議が文教委員会であったということを、なにも本会議に持ち出す必要はありません。ところが、事態は、それでは収まらないことになってしまったのです。
 その文教委員会の午後、文教委員主催の勉強会が行われました。その場で、今朝の会議では、雑賀委員の質問に対して牧野企画監が発言する機会がなかったから、本人のご意見を伺おうではないかということで、私も賛成しました。牧野企画監の発言も、そのままお配りしたパンフレットに収録しております。
 この発言を聞いた時、私はこういう指導を和歌山県の教育界でそのままにしておくわけにはいかないと考えました。そこで、牧野企画監がお話になったことについて検討したいと思いますので、しばらくお付き合いいただきたいと思います。
・福井県池田町の「第三者委員会報告書」の見解について
 その冒頭で、牧野企画監は、次のようにおっしゃっている。
 「まず、福井県の池田中学校の件で気をつけなければならないのは、マスコミの情報だけで判断するのは危ういということだと考える。先生のいじめによって、生徒が自殺したというのは誤りである。この事件で取り上げられている先生は非常にまじめな先生であり、私もよく存じ上げている。ややもすると、マスコミの情報だけで判断するということは気をつけなければならないし、気をつけていただきたいと思う。(当該事件の第三者委員会の)報告書を読んでいただいた上でお話いただければと思う」、こうおっしゃったのです。
 そこで、教育長にお伺いします。
 教育長は、福井県で起こった事件の第三者委員会の報告をお読みになっておられるでしょうか。どういう風に読み取っていらっしゃいますか。

《答弁》 宮下教育長
 議員ご指摘の第三者委員会の報告である「池田町学校事故等調査委員会報告書」につきましては、池田町から公開されておりませんので、地元新聞社の公式サイトに掲載されている報告書で確認しております。
 報告書には、生徒の状況や自死に関すること、今後への提言等が記載されており、自死の原因としては、厳しい指導叱責、不十分であった生徒理解、教員間の相談不足、管理職の指導監督問題等、複数の要因があげられ、それらに対して学校全体で対策がとれていなかったことが指摘されております。
 また、「教職員の生徒理解と生徒指導力の向上」「教職員の情報共有、上司への報告の徹底等」「校長、教頭等の指導監督責任の自覚」等について、再発防止の提言も記載されており、本県としても参考とすべき内容が掲載された報告書であると考えております。

・上記「第三者委員会報告書」にある教員の指導について
《質問》雑賀光夫 県議
 次に、牧野企画監は、「先生のいじめによって生徒が自殺したというのは誤りである」「この事件で取り上げられている先生は非常にまじめな先生であり…」と言っているわけですから、この先生の指導の問題には全く触れられなかったのです。
 まじめな先生だったのでしょう。しかし第三者委員会の報告は、この先生の指導にも、学校の対応にも問題があったとはっきり指摘している。
 牧野教育企画監の発言は、福井県で起こったこのたびの事件について、福井県の第三者委員会とは全く違った理解をしていると思うのですが、教育長、いかがでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 牧野教育企画監は、12月県議会文教委員会の午後に行われた勉強会において、御配慮いただいて発言の機会を得た中で、「この事件で取り上げられている先生は非常に真面目な先生であり」と発言いたしました。これは、雑賀議員が午前の文教委員会において「先生が子どもをいじめて自殺に追い込んだ」と述べられたことに対しての発言であったと思います。
 この教員の行為は、いじめることを前提にしたものではなく、自らの仕事に対して一生懸命、真正面から向き合っているということから「まじめな先生」と表現したものであり、この教員が粘り強くまじめに指導に当たっていた経過は報告書に記載されております。
 報告書の内容から、厳しい指導叱責となったことが、主たる要因ではありますが、報告書から分かる大切なことは、今回の事件は、厳しい指導叱責という一つの要素だけでなく、複数の要因が重なって起こったことであり、とりわけ指導体制が不十分であったということだと考えております。管理的な体制ではなく、この教員に対して、管理職や周りの教員から指導が十分になされていなかったことは非常に残念なことであります。これらについても、私も教育企画監も同様の考えであります。

《コメント》雑賀光夫 県議
 次の質問にお答えいただいたうえで、合わせて再質問させていただきます。

・「偏見」という発言について
《質問》雑賀光夫 県議
 牧野企画監は、次のようにも言っておられる。
 「福井県の池田中学校がこうであったから、福井県の学校が全部そのようであるという話し方は偏見のように思う。委員には申し訳ないが」
 ご丁寧に、「委員には申し訳ないが」といってくれているので、「偏見」というのが、私が文教委員会で発言したことに向けられていることがはっきりしています。「池田中学校がこうであったから、福井県の学校が全部そのようである」などとは、誰も言っていない。この問題で設置された第三者委員会も、福井県議会総務教育委員会が提起した決議も、担任・副担任の指導にも学校の対応にも問題があったことを指摘するとともに、教員の忙しさの問題(これは全国的問題です)さらには、「学力テスト日本一のプレッシャー」ということにも言及しています。これを紹介したことが「偏見」ということになるのでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします。

《答弁》 宮下教育長
 福井県は、学力や体力向上、幼児教育への取組、不登校・いじめ・暴力行為への対策、家庭や地域との連携等、多くの分野に渡って成果をあげております。本県は、それらの全てに渡って参考とするため、同じく全国から見本とされている秋田県に対しても、教員を派遣し学んでおり、現在進めている本県の教育にも生かされております。
 牧野教育企画監においては、本県教育の責任者である私を補佐する立場であり、県内から多くの要請を受けて、市町村教育委員会や保護者等の研修会に出席するとともに、学校を訪問し教員と直接話す機会をもってまいりました。和歌山県を第二のふるさととして熱意をもって取り組んでいただいており、教育企画監の本県教育への思いには多くの方々が共感されていると思っております。
 このように和歌山県の教育に携わってきた教育企画監が発言した、「福井県の池田中学校がこうであったから、福井県の学校が全部そうであるという話し方は偏見の様に思う」につきましては、議員が「その福井県でこういうことが起こった」「予算をつけて送っているわけだから」あるいは「全国どこでも起こるというのではなく」等発言が繰り返されましたので、一つの学校で起こったことを県全体のこととして非難しているのではないかというニュアンスで受け取り、「偏見」という言葉で表したのだと思います。私も議員は福井県に対して何か誤解なさっているのではないかというふうには感じました。
 第三者委員会の報告書にある、学校の取組が不十分であったという指摘において、池田中学校は生徒数が50人程度という小規模の学校であって、「小さな町、小さな学校」であるにも関わらず、指導体制が不十分であった点にこそ大きな課題があったと考えております。また、福井県の総務教育常任委員会が、今回のことを機に、福井県の教育全体に対して県議会が意見書を出され、検証されることは、非常に意義のあることであり、このことこそ本県の参考とするものであると考えております。

《質問》雑賀光夫 県議
 聞いていないことまでたくさん言ってくれましたが、まず「偏見」という問題から再質問します。教育長は、「誤解」という言葉に置き換えて、私が福井県に対して「誤解していると感じた」と述べて牧野企画監を擁護しているわけです。
 「誤解」というのなら、「福井県でこういうことが起こった」ということが「誤解」なのか、「予算をつけて送っている」ということが「誤解」なのか、「全国どこでもおこると」という可能性はありますが、この度、福井県で起こり、福井県では「学力日本一というプレッシャー」といって自己分析されていることを指摘した。それが誤解なのかお答えください。

《答弁》 宮下教育委長
 私は、和歌山県の教育のためになることであれば、全国の全ての実践を参考にして、本県に必要なことであれば取り入れていくという立場でございます。
 この中で、福井県につきましては、議員のおっしゃっておる中では、「学力テスト日本一」というふうにあげられたわけでありますけれども、私どもは、福井県にはですね、この「学力」だけではなくて、先ほど申し上げましたように「体力」でありますとか、あるいは「豊かな心を育む」という全般的なことについて、大変取り組んでいただいているというような評価をしてきてございます。
 例えば、「自己肯定感」というのもですね、大変福井県は高いというようなこともございましてですね、これは一朝一夕にできるものではないと、日々の積み重ねの中でできているというふうに私は思っています。
 そんな中で、福井の取組がそういう全体的な、私が目指しております「知・徳・体を含めた人間的な総合力を高めていく」のに大変参考になるというふうなことで、私は福井のことにつきましてですね、議員が「学力対策日本一」ということだけで、福井県を見本にするというようなことに誤解をなさっているのではないかなというふうなことで、申し上げたかなというふうに思ってございます。
 議員のご答弁のお話の中で、「牧野企画監にもおいでいただいて指導をいただいている。ところがその先進県で、先生が子どもをいじめて自殺に追い込んだ事件があった」とか、というような、先ほどのお話にもありました「研修で怒った」とかありますけども、そんな中で、いいことも悪いことも私どもは福井県から学ぶ。しかし、その福井県から学ぶだけでなくて、全国から私どもは学んで、和歌山県の教育を作り上げていくという私の決意を持ってやってございますので、そういう意味で、福井県の取り組みに誤解もあったのかなという印象を持ちましたので、こういうふうに答弁させていただきました。

《質問》雑賀光夫 県議
 問題をすり替えてはいけません。
 あなたは、私に対して「雑賀議員は誤解をしているのではないかと思った」と言っているのですから、私が発言したことについて、どの発言が誤解なのかと指摘できなければ、人に対して公的な場で「あなたは誤解をしている」というふうなことを言ってはいけないと思うのです。
 あなたは私の発言の中の、どの点を誤解だというふうに言われるのですか。

《答弁》 宮下教育長
 1つ1つお答えするということを言われているわけでありますけれど、私は先ほど申し上げましたように、雑賀議員が牧野企画監においても、「おいでいただいて指導いただいている。ところがその先進県で先生が子どもをいじめて自殺に追い込んだ事件があった」とか、あるいは「予算をつけて教員を研修に送っているわけだから、その送った先でこういう問題が起こった」というご発言をなさいましたということがあります。
 それを受けて、そのことが福井県だから起こったということについてですね、少し誤解があるんじゃないかという、全般的な話をさせていただいているわけで、今ここで1つ1つのことをお話することはないかなと思ってございます。

《質問》雑賀光夫 県議
 公的な場で、人が誤解していると言うのなら、どの発言がどう誤解なのかをはっきりさせなくてはなりません。
 また「一つの学校で起こったことを県全体のこととして非難しているというニュアンスとして受け取り」というのは、勝手な推測であり、それこそ「偏見」でしょう。
 教育長は、私が「誤解」していたという事実を指摘できない以上、「誤解と感じましたが、それは根拠をあげることができません。根拠のない発言で失礼いたしました」と表明するのが、ものの道理だと思いますが、いかがですか。

《答弁》 宮下教育長
 私がそういうふうに誤解というふうに感じとりましたということを申し上げたわけでありますので、そのようにしかお答えすることしかないと思います。

《質問》雑賀光夫 県議
 次に、「いじめでない」「まじめな先生」という問題にもどります。
 「いじめ」という言葉は、教育の世界では、「子どもがいじめること自体を楽しむためにいじめを繰り返す」ことを指して使われます。問題の先生は、厳しい指導で子どもを追いつめてしまったけれども、いじめることを楽しんだわけではないから「いじめ」ではない。
 私もそういう意味で「いじめ」とは言っていない。
 ただ、冒頭紹介されたお母さんの手記で、「先生のいじめで」といっていることが、間違いだといえるのだろうか。私も、いじめるような指導であったということから「先生が子どもをいじめて」と表現した部分もある。それほど本質的な問題とは思いませんが、「あなたの言い方は不正確だ」と指摘していただいて結構だと思います。
 ただ、ものごとにはいろいろな側面がありますが、一番大事な問題を伏せて、他の面だけを強調したら、それはごまかしになります。この問題の一番大事な側面は、「先生が厳しい指導によって子どもを自死に追いやってしまったという事実です。
 「『教員による陰険なイジメ』で息子は尊い命を失った」と手記に書いているお母さんに対して「教員によるいじめというのはあやまりです。この先生は私もよく知っているが大変まじめな先生です」と説明したらいったいどうなりますか。
 教育長、どうお考えですか。

《答弁》 宮下教育長
 牧野教育企画監からはですね、そのように新聞報道の中での話をもとにされたということがありましたので、そういう発言をなさったかなと思っております。
 先ほど、議員からも報告書を読んだかというお話しもありましたので、私も報告書を読ましていただいて、その中で、そういう表現上のことも含めてですね、お話しさせていただいたということであります。
 なによりも、このことで今回問題になったのはですね、そうやって教員が取り組んだことがですね、主たる要因はやはりその叱責であったということはありますけれども、そこに至った周り全体の指導というのは、いったいどうだったのか、つまり教員集団はどうだったのか、校長の指導がどうだったのか、ということが大変大きいということがあったかなというふうに報告書には書かれておりますので、そんな中で、その真面目なというふうな表現でありますけれども、指導に、教員として、指導していた教員が、そこまで至るようにするまでの、学校の指導体制はどうであったのか、やはりそのことこそ、大きな課題であったかなと思っております。

《質問》雑賀光夫 県議
 問題に全く答えていないと思います。
 さらに教育長は、「この教員が粘り強くまじめに指導にあたっていた経過は報告書に記載されています」とお答えになりました。
 たしかに、まじめな先生なのかもしれません。私も管理的な指導がまじめな先生をこういう指導に追い込む場合があるということを言っているわけです。
 そこでお聞きしたいのですが、そういう経過は「報告書」のどこにそんなことが書かれていますか。探したけれども見つからないのです。

《答弁》 宮下教育長
 経過につきましてはですね、詳細に報告書には書かれているかなと思っております。しかし、それぞれの生徒にあった指導であったかということについてはですね、甚だ、やはり今回は、この指導については、よくなかったということが明確になってきたんじゃないかなと思います。
 しかし、この先生が、この生徒に継続的に、諦めることなくやっていたということは、私は、この報告書からですね、読み取れるかなと思っています。ただし、そのやり方が、その子どもの状況であったり、あるいは、保護者との関係性をしっかりと作ったりということでは、大きな課題があったかなと思います。

《質問》雑賀光夫 県議
 まともな答弁にならないので、何度も再質問をしなければなりません。
 教育長が、「この教員が粘り強くまじめに指導にあたっていた経過は報告書に記載されています」とお答えになったのです。たしかに、この報告書の事実経過は端から端まで読むわけにはいかないけれども、その一端を報告するならば、
・副担任から「宿題をできないならやらなくてもよい」といわれて「やらせてください」と土下座しようとした。
・生徒会の日に担任から「お前やめてもいいよ」と大きな声で叱責された。
などの事例が列挙され、「担任、副担任の厳しい指導叱責に晒され続けた本生徒は、孤立感、絶望感を深め、遂に自死するに至った」と第三者委員会報告書には記載されています。私は報告書をそのまま読んでいます。
 この報告書を教育長が読むと、「この教員が粘り強くまじめに指導にあたっていた経過は報告書に記載されています」と読み取れるのでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 この教員がですね、指導を、これが一番正しいというような方法だと信じてずっと継続的にやっていたということは、この報告書から読み取れていると思っています。
 しかし、それはやはり大きく方法としては間違っていたということは、またこれも報告書に書かれているということを何度も申し上げているわけです。

《コメント》雑賀光夫 県議
 議場のみなさんは、「なぜ雑賀がここまで向きになるのか」といぶかるむきもあるのではないかと思います。
 私のいつもの質問はあっさりしてるんです。これ以上言っても何にも出てこないと思うときには、自分の言いたいことだけ言って終わる。ところが今回だけは、大変ねちねちと再質問しています。
 本来、この問題は、本会議にもちだすまでもなく、昨年の12月にでも、教育長が企画監をつれてやってきて、「勉強会での発言は、不十分でした。また、議員に対して根拠もなく『偏見』などと申し上げて失礼しました」と言ってくれれば、「私も頭に来やすいほうですが、あなたも頭に来やすい方ですね。アハハハハ」と笑ってすんだかもしれない問題です。
 しかし、そうはならずに、教育長は無理な理屈をこねてまで、この本会議で企画監を擁護しようとしていらっしゃる。ここには一体、どういう力が働いているのだろうか。私はあえて、この場で取り上げたのです。
 もう少し申し上げましょうか。教育界には、企画監は教育長より偉いのではないかという推測がある。これは推測ですから、「それは偏見です」と言ってもらってもかまいません。しかしこれは、労働組合の幹部が言っている話ではなくて、一般の現場の先生から聞こえてくる話です。
 こういう極めて不十分な企画監の発言でも、あくまでも体を張って守ろうとする。こういう立場に教育長は置かれているのではないか。私は大変このことを心配しています。それこそ、教育界の歪みをいっそう大きくするのではないか。そういう心配があるから、あえてこういう場所ではっきりと申し上げたほうがいい。
 みなさんにお配りしたパンフレットの前書きの最後に書いています。
 「4 これまで、教育問題、たとえば『体罰』の問題で、周辺で多くのまじめな教員が胸を痛めているのに、その声が大きくならず、子どもの自殺という不幸なできごとを引き起こし、『子どもが自らの死をもって告発』して、はじめて、政治や行政やマスコミが動き出すという事態を少なからず見てまいりました。これは、教育に携わる者として、恥ずかしいことと言わなければなりません」
 私はこの質問をしたことで、のちに恥ずかしい思いをしなくてもいいように、この場で言うべきことは言ったと思っています。またこの質問について、学校現場の方々にもお知らせして、みなさんのご意見をお聞きしたいと思います。

(3)教育条件整備
・教員のいそがしさ解消について
《質問》雑賀光夫 県議
 第1点、福井県の第三者委員会の報告書も福井県議会決議も指摘している、教員の多忙化の問題です。この問題は、なにも福井県からの指摘を待つまでもありません。文部科学省でも、教員のいそがしさしさ解消のためのとりくみが必要だと言う認識を示されているのでしょうか。また、県教育委員会として、どう取り組んでいくのでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 文部科学省では、昨年12月に取りまとめた「学校における働き方改革に関する緊急対策」において、業務の役割分担・適正化を着実に実行するための方策、学校が作成する計画等や組織運営に関する見直し、勤務時間に関する意識改革と時間外勤務の抑制のための必要な措置を講ずることとしているほか、これらの方策の実施に必要な環境整備を行うこととしております。さらに、「学校における働き方改革」を進めるに当たり、関係者への情報提供や必要な予算の確保に努めるなどの取組を進めることとされております。
 県教育委員会では、これまでも教職員の多忙化について対策を講じてきたところであり、「和歌山県長期総合計画」にも記載しております。その内容に沿ってさらに具体的な取組を示すため、現在策定中の「第3期教育振興基本計画」に「教職員の勤務環境の整備」を項目として取り上げ、教職員が心身ともに健康でやりがいをもち、子どもと向き合う時間を十分確保できるよう、勤務時間を十分に認識した働き方や、学校・教職員の業務改善の取組など、「学校における働き方改革」を進めることで、教育に責任あるものとして、着実に対応することとしております。

・教職員定数改善について
《質問》雑賀光夫 県議
 第2点、教職員定数改善の問題です。県民のみなさんが分かりやすいように申し上げますと、小中学校高校の教員数は、「定数条例」で決められます。「定数条例」というのは、国が一定の負担し、交付税措置などすることを前提に「条例」で何人の教員をおくかを示し、予算の裏打ちもされるものです。
 「条例定数」が、文部科学省が定めた基準を上回る場合があります。それは、国の負担金や交付税措置にたよらない県単独負担(略して県単)教員といいます。
 教育長にお伺いいたします。現在、県単独負担の教員は何人いるのでしょうか。また、教員の忙しさ解消、学力・いじめ・不登校などの課題解決のために増やそうという計画はお持ちでしょうか。

《答弁》 宮下教育長
 定数条例でお示ししている教員数につきましては、学力向上や生徒指導上の課題など、様々な課題に対応するための加配教員を含め、すべて国庫負担金や地方交付税措置の対象となっており、県単独で費用を負担している者はございません。
 加えて、様々な課題解決に向けては、「チームとしての学校」という考え方に基づき、国費及び県費により、専門的な技術や知識を有する250名を超える外部人材を活用した取組を進めているところです。
 具体的には、中学校及び高等学校の運動部を対象に、技術指導を行う部活動指導員等を配置するとともに、来年度からは、教員の事務作業が課題となっている小学校にスクール・サポート・スタッフを配置するなど、教員の多忙解消に努めてまいります。
 また、いじめ・不登校などの課題解決のためには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員などを、それぞれの課題に特化して取り組むことができるよう配置しているところです。
 今後も、国に対しては、教員定数の確保を強く要望していくとともに、外部人材を有効に活用しながら、多様な課題の解決に積極的に取り組んでまいります。


2.「太陽光発電事業条例」と海南市のメガソーラー
(1)「太陽光発電事業条例」
《質問》雑賀光夫 県議
 第二の柱は、「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」であります。
 今議会冒頭の「知事説明要旨」では「太陽光発電事業による環境への影響や災害の発生に対する県民の不安が拡大していることに鑑み、事業の実施に関し、安全性等総合的に管理する条例を制定することにより、本県の環境にふさわしい太陽光発電の普及を図ってまいりたい」とのことでした。
 この条例全体については、さらに議論していかなくてはなりませんが、とりあえずの質問です。
・事前協議の意味
 環境生活総務課のホームページを見ますと、「手続きの流れの概要」が、わかりやすく表にされております。そのスタートは「事前協議(事業計画案)事業者→県・市町村と協議」となっています。
 この事前協議は、どういう意味を持っているのでしょうか。環境生活部長からご説明いただきたいと思います。

《答弁》 環境生活部長
 今議会に提案しております「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」における事前協議につきましては、事業者が太陽光発電事業計画の案を作成するにあたり、あらかじめ、県及び市町村と協議することにより、当該条例及び関係法令に基づく諸手続きについて明らかにするために実施するものでございます。

・事前協議のあつかい
《質問》雑賀光夫 県議
 私の出身地である海南市では、重根・田津原という地域で、旭電業株式会社という業者が、メガソーラーの計画をすすめています。私どもは、県との「事前協議」が行われないままに、住民説明が、どんどん進められることを心配しておりました。
 今までの「事前協議」については、協議の時期は申請前ということで、住民説明の前などの決まりはありませんでした。
 しかし、この度は「太陽光発電事業」を冠した条例を制定するわけであります。
 先ほど事前協議とはどのようなものかお答えいただきました。では、この条例が施行された場合、事前協議の取り扱いはどうなるのでしょうか。行政機関や一般市民が事業の内容を十分把握できていないまま計画がすすめられていくことはないのでしょうか。
 環境生活部長からお答えいただけるでしょうか。

《答弁》 環境生活部長
 本条例案では、適用となる事業について、事業計画の案を作成する段階で、県及び市町村と事前協議を行うよう事業者に義務付けております。
 また、事前協議を経て作成した事業計画の案について、地元自治会等への説明会の開催も事業者に義務付けており、行政機関や地元住民が事業の内容を十分把握できていない状況で、一方的に計画が進められることはないものと考えております。

(2)海南市・重根のメガソーラー計画
・土砂災害警戒区域とは何か、住民説明の主旨は?
 森林伐採の河川・治水への影響はどうか
《質問》雑賀光夫 県議
 これまでとは違って、県への事前協議をし、県がどういう指導をしたのかが住民にわかれば、住民の側でも検討しやすいと思います。そういう点では、この条例は一歩前進かなとも思います。
 今後、住民の皆さんとともに検討していく参考としてお伺いいたします。
 重根のこのメガソーラー計画地域は、土砂災害警戒区域として1月末に県振興局から説明があったとお伺いしました。土砂災害を警戒しなくてはならない地域で、森林伐採や開発とはなんだという声が上がっています。土砂災害警戒区域とはどういうものなのでしょうか。住民にこの区域の説明をした趣旨はどういうものなのでしょうか。
 また、こうした森林伐採が行われた場合、河川にはどういう影響が考えられるかということを含めてお答えください。

《答弁》 県土整備部長
 まず、土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法に基づき、「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」、これを県が指定するものでございます。
 土砂災害警戒区域の指定を行うにあたりましては、県は、土地の地形や利用の状況等に関する調査を踏まえて区域の指定の案を作成し、当該区域の存する市町村長に意見照会を行うこととなってございます。
 海南市は県からの区域指定に関する意見照会に対する回答に先立ち、住民の方に土砂災害により被害を受けるおそれのある区域を知っていただき、住民の方の避難に役立てていただくことを目的として説明会を実施しました。
 県は市からの要請を受けて、その説明会において土砂災害防止法や区域指定の案などについてご説明を行ったところでございます。
 次に、森林伐採が行われた場合の河川への影響についてでございます。
 一般的に、森林には水源の涵養(かんよう)などの様々な機能があり、森林伐採を伴う開発は、その機能を損なうこととなり、河川への雨水の流出が増加する恐れがあると考えてございます。
 現状においては、森林法に基づき県で定めた林地開発許可制度の手続きにおいて、河川担当部局に対する協議が位置づけられておりますので、事業者からその協議の申出があれば、河川への影響の有無について確認し、適切に対応してまいります。

《要望》雑賀光夫 県議
 現在、自然破壊をする開発が多いので大変心配しております。これからも県の方でよろしく指導いただきたいと思います。
 今日の質問では、教育長の答弁は質問となかなか噛み合っていなかったと思うのですが、むしろそういう答弁しかできないだろうと思いながら、質問させていただきました。私は教育長とは昔からよく知っている、親しい間柄のつもりで自分では思っています。しかし、今の和歌山の教育の学力テストをめぐる問題は、このまま放っておくわけにはいかないという気持ちから、今日はいろいろと聞かしていただいたわけでございます。途中で、私がなぜそこまでやらなければならないか、ということもお話いたしましたから、ご理解をいただきたいと思います。
 この問題は今後、全県的な討論にもなっていくと思いますので、子どもたちの教育を歪めないように、私もこれからがんばっていきたいと思います。
 以上で私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。


 
   宮下教育長の答弁を聞く、雑賀光夫県議(左)
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