201月年6月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録   中継録画
 

 
2018621

1.IRの誘致について
(1)県民への説明について
(2)日本人の利用を認めることについて
(3)県民の是非の把握について
(4)カジノなしではIRは成り立たないということか
(5)基礎調査の結果と基本構想

2.太陽光発電事業における林地開発について
(1)太陽光発電事業の実施に関する条例制定に伴う林地開発許可制度事務取扱要領の改正点
   について
(2)条例制定に伴う利害関係者の同意書の取り扱いについて

3.県庁におけるハラスメントについて
(1)ハラスメントをどのように認識しているか
(2)職員への研修の取組について

4.地域医療構想について
(1)高齢者に対する医療の提供について
(2)看護職員の確保について


1.IRの誘致について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、IR(統合型リゾート)の誘致についてお尋ねいたします。
 県発行のIR基本構想のパンフレットによると、IRとは単なるカジノホテルではなく、国際会議場施設、展示場施設、劇場・美術館・博物館等、国内の旅行を提案・アレンジする施設、ホテル等一体となった複合的な観光集客施設で民間事業者により設置・運営されると書かれています。
 2011年に発行されたカジノ文化誌という本があります。この本の著者は知事と通商産業省(現在の経済産業省)入省の同期生の大川潤氏と佐伯英隆氏の共著になっています。筆者は知事から「『和歌山には米国ラスベガス型、欧州型のどちらのカジノがふさわしいのか』という問題提起があり、知事の質問にこたえる議論のなかでこの本が生まれた」と記しています。また、日本のギャンブル市場とカジノ導入への道の章には「刑法で禁止されている賭博行為の違法性を退けようというわけだから当然立法措置が必要である。法律をつくる以上は、法目的が明らかにされなければならないが・・・」と述べられています。
 県は、カジノ含むIRの誘致に向けて予算化し積極的に準備を進めています。報道では「8日には候補地として検討している和歌山マリーナシティホテルで説明会が開催され、海外のIR事業者をはじめ、国内外から49社が参加」と伝えられています。東京においても説明会が開催されています。さらに県は、県での開発に参画を検討している民間事業者からアイデアを募集する投資意向調査まで開始をしています。私は、カジノに頼らないまちづくりをすすめていくべきだと考えます。その立場から質問させていただきます。
(1)県民への説明について
 そもそも、賭博は刑事罰で禁じられているものです。なぜ賭博を禁じているとお考えですか。禁じている賭博を解禁するということを、将来、和歌山を担っていく子どもたちを含め県民にどのように説明するのですか。知事にお尋ねします。

《答弁》 仁坂知事
 賭博行為は国民の射幸心を助長する恐れがあるというようなことで、勝手にやっちゃいかんというのが、法律の趣旨だと思います。つまり自由に行ってはいけない。公営競技については、そういう賭け事を堂々と認めているわけですけれども、これは国や地方公共団体などが秩序を守って運営することや、あるいは公共政策の目的に沿った形で収益金の一部を使用できるので、これは認めましょうということを言っているわけであります。
 そうした中で、IR整備法案ではIRは民設民営である、公営ではないということになっているんですけれども、規制という点では、国による厳格な規制とか、県の関与の上で運営されるものであり、また、民間事業者がカジノ収益を活用して、普通だと採算を取るのが難しいような大規模な国際会議場やあるいは集客施設などの施設を整備し運営して、その投資によって地域経済の発展にも寄与するのでこれは認めようと考えたものだと思っております。
 そのようにIRというのは、莫大な経済効果があり、それに伴う所得の増加により、人口減少にも歯止めがかかるというメリットはあります。
 元々、私はカジノ自体、議員がご指摘のような本を元学友が書いてくれていたときなども、元々、カジノというのはヨーロッパでちゃんとした運営をされている模様なものであるから、そんなに危疑すべきものではないと思っていて、ホテルとカジノでも構わんないのじゃないかという意見でありました。ただ、国は成長戦略の一つとして捉えているようで、大規模な投資を求めると、そうでなければカジノ自体も認めないということで、IR型になったわけで、これは地方の発展にとっては望むところであると思う次第であります。

《再質問》奥村規子 県議
 カジノは経済効果が大であると言われました。
 賭博行為を法律で禁止し、罪にしている理由は何でしょうか。IRは子どもたちも一緒に行ける施設です。カジノを和歌山市につくることについて、子どもにどう説明するのでしょうか。この場合は法律に抵触する、この場合はいいというような話を、どうしていくのでしょうか。和歌山の将来のためにどう舵を切っていくのか、大きな影響があると思いお尋ねしました。
 カジノを開くことが目的なのか、それとも国際会議場など付設施設を建てるためにカジノが必要なのか、どちらに考えておられますか。もう一度お聞かせいただきたいと思います。

《再答弁》 仁坂知事
 まずは弊害が大である、と言った覚えはございません。弊害がある可能性があるので、だからある一定のルールの下でないと認めない、勝手にやってはいけません、というふうになっているんじゃないでしょうかと申し上げたわけです。
 従って、後でご説明したように、私はきちんと規制をすれば、ヨーロッパなんかでもカジノは健全なる観光のメニューになっているから、別にいいんじゃないかと思ったわけですが、そのときもちゃんと規制はしないといけないということだろうと思います。
 今、後半の方のご質問は、カジノは悪いことだ、悪いことだけれどもひょっとしたら他にたくさんの投資があるから悪いことでも我慢しましょう、というふうに思っているのですか、それともそんなに悪いことだと思っていないんですか、というご質問でしょうね。そのご質問にお答えすると、そんなに悪いことだとは思っていません。だけど、やっぱりちゃんとした規制をしてそれでやっていかないといけない、と思っているというのが答えだろうと思います。悪いことだったら、よっぽど他のことが良くても悪いことをやっぱり許してはいけないというのが、当たり前のことなんで、悪いことだけれどもいいことがいっぱいあるからいいことにしているのね、と言われたらそれは違うと言わざるを得ないと思います。私は、もっと経済学的に言うと賭け事と言っても、その中で人々はそれに参加して効用を得ているわけですから、それにお金を使うということについて一概に間違いだとは言えないし、もし賭け事が絶対に悪だと言うんだったら公営であれ何であれ、そんなもの認めてはいけないというのが基本的な考え方だろうと思います。ただ、勝手にやっちゃいけないというのは、どうしてもいろいろな弊害が出やすい、他の行為よりも出やすいということだから、例えば主体の方に対する規制も厳しくなるし、それから利用者に対しても配慮しなきゃいけないと、そういうことが要請されるようなものだと考えております。

《意見》奥村規子 県議
 カジノは民間企業が私的利益のために開設するという、民設民営ということですので、公益を目的に認められた公営競技とはまったく違うと思います。
 また、カジノの仕組みというものは普通の経済活動ではないと思っています。広辞苑では、経済とは「国を治め人民を救うこと。また、人間の共同生活の基礎をなす財・サービスの生産・分配・消費の行為・過程、並びにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体。転じて金銭のやりとり」と書かれています。
 賭博は刑法で禁止され、最高裁判決でもその違法性が認定されてきました。賭博は知事もおっしゃったようにいたずらに射幸心をあおり、勤労意欲をそぎ、それによって経済的な基盤を掘り崩し、地域社会と個人生活を崩壊させる危険があるからです。賭博行為は、いったん深みにはまれば個人的な判断や行動だけでは制御できなくなるからこそ、法律によって社会的なしばり規制がかけられてきたと考えます。カジノは健全な経済活動とはいんません。
 私は次の質問にいきたいのですが、知事が手をあげられていますので、反論があればどうぞおっしゃってください。

《発言》 仁坂知事
 別に反論ではないんですけど、先ほど、「いたずらに国民の射幸心を助長する」、「いたずらに」と言ったかなというのがあります。
 言ってたらすいません。それから、「勤労意欲をそぐ」というのは口にしてないと思います。ただ、勝手にやっちゃいかんというのはそういうことが基本にあって、例えば賭け事というのははまってしまうという恐れが他の行為以上にあるということだろうと思います。従って、ちゃんと規制をやらないといけないので、勝手にやっちゃいけませんよということだろうと思います。ただ、奥村議員のように賭け事は絶対いけないんだと言っちゃうと、それは公営ギャンブルもみんないけないし、それからはまることはみないけないんだと言ったら、これも大問題だと思いますけれども、スマホなんかにはまっているような子どもたちが結構いて、これは何とかせないかんと実は思っているところなんですが、こういうものもとんでもなく悪いことだということになってしまうわけでございます。従って要は、健全なる社会生活が破壊されないように、うまくバランスをもって手当をしながら成長を目指して地域おこしを頑張っていくということが大事なんじゃないか、そんなふうに思っております。

(2)日本人の利用を認めることについて
《質問》奥村規子 県議
 知事は最初、外国人専用のカジノといいました。なぜ、日本人の利用を認めるようになったのでしょうか。
 また、和歌山市の市長は外国人といわれています。6月議会においても、わが党の森下議員が一般質問で市長の考えをお聞きしています。
 そこでお聞きしたいのですが、立地自治体の意見は重いと考えますが、いかかですか。

《答弁》 仁坂知事
 私は以前から、IRは和歌山県の発展のために雇用やあるいは経済成長とかそういう点でものすごく役に立つんだけれども、しかし一部にそういう方もいらっしゃいますけれども、賭け事にはまるのは自己責任なんだからそんなものはほっといたらいい、という意見ではありません。いいことであるけれども依存症その他の弊害がいっぱい出てはやっぱり問題であると人一倍思っていました。そこで、国が整備法案を作っていくわけでございますけれども、やっぱり皆さん心配であろうと思って、実効性のある依存症対策が講じられるまでは心配をする必要がないように、和歌山県民、日本人はカジノ施設だけは入ってもらったら困るとしたら、全く心配はないでしょうと発言をしていたところでございます。
 もっともそれでも、とにかく反対だから反対だ、という人がいるんだとちょっと驚いた記憶もあります。今、奥村議員が賭け事は絶対だめだと言っておられるようなタイプの人かもしれません。実は私の発言、あるいは方針ですね、こういうものは恐らく法案を検討していた政府に大きな影響を与えたのではないかと勝手に推測をしているわけでございますが、IR整備法案をみますと、ものすごく厳しい規制になりました。まずマイナンバーカード、これは反対も多かったようなんですが、それを必ず持って来い、それから入場回数制限をする、入場料も結構高い、それから本人・家族申告による入場制限措置がある、現金でないと認めない、クレジットカードの使用は不可、カジノルームの中には、現金引き出し機を置いてはいけない、そういう大変重層的に多段階的な規制が設けられていまして、また、家族や本人が登録しておくとその方は入れないというようなことも決まっているわけでございます。私はこれでカジノ行為に対するいわゆる依存症の防止対策、何度も何度も通ってとらまえられてしまうというようなことについての依存防止対策はほぼ万全ではないかなというふうに評価をしています。
 しかしながら、実はじっとよく考えますと、一回の賭け事で全財産を無くしてしまうという可能性はないことはないな、現金をたくさん持ってきて、全財産持ってきてこれでやってくださいというようなことをする人がいると、一回限りだからその人が破産するリスクもあるな、それも勝手だという意見の人もいますけれども、やっぱりこういう人も救いたいと私は思っておりまして何かうまくやる余地はないかと考えました。
 そこで本県独自の取組として、「IRカード」を導入して、所持する現金、これは現金を持ってこないと入れてくれないわけでございますけれども、所持する現金の範囲内で使用する額を入場の際にお客様と相談をしてチャージをして頂く、ということによって使いすぎることを抑制できるなと考えました。また、賭け事に熱くなっている人に休憩とか退場を促すような「依存症対策専門員の配置」などを事業者に求めたりいたしまして、事業者がこれらの運営をちゃんと行っていただけるならば、論理的に考えると依存症や破産リスクはなくなるだろうと考えているところでございます。
 多くの事業者に、実はこの「IRカード」のアイデアとか、これは規制でございませんので、協力してもらわないといけません。それで、県の提案を披露したところ「大変良いアイデアだ」と皆さん評価してくださっていますので、先に述べたような本県独自の取組も含めて全部実現するだろうなと考えております。
 事業者を選定する段階では、本県の考える依存症や破産リスクの防止に関する提案にちゃんとコミットしていただけるのであれば、「事業者にしますよ」ということで、そうなれば外国人専用である論理的な理由はないと思っております。
 尾花市長も私と同じように和歌山市民の安全を一番心配しておられるんだろうと思います。たぶん同時に、和歌山市が成長するようにということを考えておられると思いますが、この2つを考えておられるのだと思います。ところが市は、このIRについてはそれをどういうふうに扱って、どういうふうに仕組んでいくかということについて何の権限もありません。全て権限は県でありまして、市は、唯一の権限は区域整備計画を国に出していいかというところの同意権限だけでございます。従って市長としては、県はそういっているのだからいいでしょうというわけには中々言いにくいだろうと思いますので、今は元のポジションであろうなと思うわけであります。とにかく市民の安全を守ろうということだろうと思います。そこで、県で今私が申し上げましたようなことを2年ぐらいかかると思いますが、きちんと形にしてこれなら大丈夫でしょうということを、市によく理解してもらいに将来行きたいと思っておりまして、現在は心配しておられるのはごもっともではないか、そんなふうに思います。

(3)県民の是非の把握について
《質問》奥村規子 県議
 ひとつは、今お話を聞いたなかで、お金をどこかから調達して、またいろんなところから借りて、カジノにつぎ込んでいくことは絶対にないとはいえないことがわかりました。財産がある人は財産をお金に換えることができますが、財産もなく、入ってくるお金の見通しもなくても、巻き込まれて大変なことになっていくのではないかと心配をするところです。
 もうひとつは、区域整備計画への和歌山市の同意は必要だということで理解しました。
 次の質問にいきます。カジノ・エンターテイメントに関する県民意識調査が満20歳以上の県民1,000人を対象にアンケート調査が行われています。そのなかで、カジノ誘致の是非についての問いに対して県への誘致については条件付賛成を含め「賛成」36.3%、「反対」28.7%、「現時点で判断できない」35%と、「賛成」が上回っているものの、居住している市町村へカジノを誘致することに対しては、「賛成」29.8%、「反対」41.3%、「現時点で判断できない」28.8%と、「反対」が「賛成」を上回っています。2016年7月、2017年1月に行われた和歌山市の結果も同様です。
 国会では先月の15日、カジノ実施(整備)法案が衆議員内閣委員会で自民・公明・日本維新の会が強行採決し、19日の衆院本会議でも野党の反対を押し切って採決され可決しました。法案の内容を私たち国民に知らせず推し進めようといていることは議会制民主主義の蹂躙(じゅうりん)だといわざるを得ません。
 報道各社の世論調査では、カジノ実施(整備)法案の今国会成立に6~7割が反対しています。TBSテレ」ビ系ネットワークJNNの世論調査では法案成立に「賛成」23%に対し「反対」は59%、テレビ朝日系ANN調査では今国会の成立に支持しないは67%にのぼり、支持するの23%大きく上回っています。法案の賛否でもNHK調査では「反対」38%、「賛成」16%の倍になっています。
 カジノ誘致に対して県民の是非をどのように把握していますか。企画部長、答弁よろしくお願いします。

《答弁》 企画部長
 議員ご質問にありました、カジノエンターテイメントに関する県民意識調査は、平成21年3月に県が実施したものでございます。それ以降、県が主体となった調査は行っておりません。
 今取り組むべきことは、県がIR誘致を目指す理由やIRに関する正確な情報を県民に提供することだと考えています。そのため先般、和歌山県IR基本構想を公表し、IRが地域にもたらす莫大な経済波及効果や雇用効果等のメリット、また一方でギャンブル依存症などのデメリットへの対策についてもわかりやすくお示ししたところです。
 加えて、シンポジウムの開催や説明会の実施、広報番組の活用等様々な機会を捉えてIRに関する正確な情報の提供に努めておるところです。
 IR整備法案では、県と民間事業者が共同で区域整備計画を作成する段階において、立地市町村に協議するとともに、公聴会の開催やパブリックコメントの実施などが義務づけられております。
 さらに、区域整備計画を作成し、国土交通大臣に区域認定の申請を行うに当たっては、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である県議会の議決を得ることになっておりまして、これらの手続きを通じまして、住民の是非と言うことが反映することが出来るというふうに考えております。

(4)カジノなしではIRは成り立たないということか
《質問》奥村規子 県議
 カジノなしではIRは成り立たないということですか。企画部長、ご答弁をよろしくお願いします。

《答弁》 企画部長
 日本型IRは、国際会議場や展示場、宿泊施設、魅力増進施設、送客施設等に加えて収益面での原動力となるカジノ施設が、民設民営で一体的に運営されることを通じて、これまでにない国際的な競争力を有する総合的なリゾート施設を整備するものであり、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業の収益無くして日本型IRの実現は出来ないと、そういうふうに認識しております。

(5)基礎調査の結果と基本構想
《質問》奥村規子 県議
 昨年度、委託した基礎調査の結果がどのように、基本構想に反映されているのでしょうか。また、基本構想には経済効果が波及している例としてカジノ施設の収益により財政改善に寄与と紹介されています。経済発展、雇用創出、観光振興への期待する効果についても根拠をお示しください。企画部長、ご答弁をお願いします。

《答弁》 企画部長
 基本構想を作成するにあたって、客観的な指標に基づく評価が求められる事業性分析、経済波及効果、雇用効果などの事項については、専門機関の知見が必要となるため、有限責任監査法人トーマツ社に基礎調査を委託し、その内容を反映したところです。
 経済効果等の根拠についてでございますが、まず、運営等に係る経済波及効果約3000億円につきましては、カジノ売上約1401億円、ホテル売上約255億円、アリーナ施設売上約14億円、駐車場売上約20億円及び来場者の飲食代等の推計値約325億円をもとに、産業連関表を用いて算出しております。
 次に、運営等に係る雇用創出効果約2万人は、IR内で雇用される雇用者については海外事例を参考に約5,000人、IR外での雇用者は、算出した経済波及効果をもとに需要量に対する労働量を推計し、約15,000人と算出したところです。
 また、IR来場者約400万人については、トーマツ社が独自のノウハウ・知見を用いて推定を行い、試算をしたものです。

《意見》奥村規子 県議
 カジノを導入すれば観光客が増え、地域経済がうるおい税収も増えるなど主張されています。しかし、世界的に見てもIR型のカジノで成功しているのは、ほんの一握りの施設・地域だけです。圧倒的多数はさまざまな問題をかかえているのではないでしょうか。マイナスへの影響も考えるべきと思いますので、指摘させていただきます。


2.太陽光発電事業における林地開発について
(1)太陽光発電事業の実施に関する条例制定に伴う林地開発許可制度事務取扱要領の改
   正点について
《質問》奥村規子 県議
 「県太陽光発電事業の実施に関する条例」が明日から全面実施されます。この条例は、県民の理解と環境との調和を確保し、環境にふさわしい太陽光発電事業の普及を図ることを目的にしたものです。建物の屋根や屋上に設置するものを除く、出力50キロワット以上の太陽光発電設備が対象です。その設置、維持管理及び廃止を適正に行うための計画を作成し、知事の認定を受けることを事業者に義務づけています。また、認定の申請前に事業計画の案について、地域住民への説明会の開催を義務化しています。事業計画の認定に当たっては、市町村長、自治会等の意見を踏まえ、必要に応じ専門家の意見を聞いて、安全面、環境面、景観面、法令面等の認定基準に適合しているかを科学的かつ総合的に判断するというものです。
 本条例ができたことにより、林地開発許可制度事務取り扱い要領の「改正点」は何ですか。農林水産部長にお尋ねします。

《答弁》 農林水産部長
 太陽光発電事業の適正な審査を行う「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」が公布されたことから、その条例との整合性を図るため、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領を次の4点について改正いたしました。
 先ず1点目は、太陽光条例に規定する認定申請までの協議をもって、本事務取扱要領に定める林地開発の事前協議とみなすことといたしました。
 次に、事業実施予定者による太陽光条例の認定申請手続きと、林地開発の許可申請手続きとは同時に行うことといたしました。
 続いて、林地開発の許可申請に添付が必要な「開発行為に対する利害関係者の同意」については、金銭により強引に同意を得るといった不合理な面も考えられることから、太陽光条例施行により、透明性・客観性・理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことにより、同条例に規定する住民の意見を反映させるための必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意に代えることができることといたしました。
 最後に、林地開発の許可等の処分を行うに当たっては、太陽光条例に規定する認定等の処分との整合性を充分に留意した上で判断を行うこととしたところであります。

(2)条例制定に伴う利害関係者の同意書の取り扱いについて
《質問》奥村規子 県議
 条例の制定に伴う利害関係者の同意書の取り扱いが変更になっているということです。これまでは利害関係者同意書の提出が必要でしたが、本年4月1日より太陽光事業については太陽光条例が制定されたことで、必ずしも必要でなくなったこととなり、住民のみなさんから非常に不安の声が聞かれます。林地開発許可制度のハードルが下がったのではないかということです。この点でいかがですか。農林水産部長にお聞きいたします。

《答弁》 農林水産部長
 「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」では、事業計画の周知、利害関係者への意見聴取、その意見に対する事業者の見解提示などが規定されており、各々の意見、見解を述べる機会が設けられております。
 また、必要に応じて専門家から構成される審議会の意見を聴くこととしており、客観的かつ理論的な視点において審査されるよう制度化がされているところです。
 先ほど申しましたように、このことにより、金銭の受け渡し等で同意が左右されるような不合理なことが排除され、透明性・客観性・理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことから、同意書に代わる措置がなされたと判断したものであり、決して許可処分のハードルが下がったわけではありません。

《要望》奥村規子 県議
 今のご答弁で、「許可処分のハードルが下がったわけではない」ということですので、県の方で今後、適正に審査していただけますよう、よろしくお願いします。


3.県庁におけるハラスメントについて
(1)ハラスメントをどのように認識しているか
《質問》奥村規子 県議
 いま、国においては女性が平等に社会に参画していくに当たって、個人の尊厳を深く傷つける「女性に対する暴力」が大きな障害となっていることが表面化してきました。
 厚生労働省では、性別を理由とする差別や、妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取り扱い、、セクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、パワー・ハラスメント、育児介護休業、パートタイマー労働についてハラスメント関係の相談窓口があります。ILOではセクハラを含め、ハラスメント全般を扱う国際基準の議論が行われているところです。職場・地域・学園など身近なところで一人ひとりの問題として考えなければと思い質問させていただきます。
 県庁での職員からの相談状況は、セクハラは年に2~3件、パワハラは年5~6件とお聞きしていますが、ハラスメントをどのように認識しているか、知事にお尋ねします。

《答弁》 仁坂知事
 私は、一般に、はやり言葉、特に外来語を無限定に使うことについては、ちょっと抵抗があるんでございますけれども、奥村議員のご質問の用語でございますので、そのまま使わせていただきます。
 人間生活にとって、人格や個人の尊厳を侵害することは、いけないと思います。別の言葉で言うと、人権を侵害するのはとてもいけないというふうに思うわけであります。そういう意味で県では、セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント、妊娠・出産・育児・介護に係る不当な不利益をもたらすような行為の対応指針を定め、職員が知っておくべきことや注意しなければならないこと、あるいは、被害が生じた際にどのように対応しなければならないか、そういうことなどについて、研修や啓発を行っているところであります。
 特に上位の地位を利用した、あるいは、利益で誘導するようなセクシュアル・ハラスメントについては、一番いけないことであると私は思っておりまして、なんかあった際に安心して相談をできるように、相談を受ける職員の特定化、あの人がそういう場合には、相談を受けますよというのを分かってもらっておくというようなこととか、あるいは、被害にあった職員にはその意に反しての人事異動等の不利益な扱いは絶対にしませんよというような旨の方針を示して、安心して相談や通報を行って欲しい、というメッセージを全職員に発したところであります。もし、そのような事態が本当に発生したら、厳しく対処する所存であります。
 今後も、職員がその能力を十分発揮し、だれもが働きやすい職場環境を確保するため、ハラスメントの防止と排除に努めてまいりたいと考えております。

(2)職員への研修の取組について
《質問》奥村規子 県議
 県庁においても、特に今年度も女性の採用人数が以前よりも割合が高くなってきていて、うれしいことなんですが、妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントに関して職員が認識すべき事項等についての指針で「職場におけるハラスメント防止に関する基本方針」が出され、職場全体に徹底していくということで、「所属長として認識すべき事項」では、みんなで気を付け合いながら職場で働きやすい環境をつくるということになれば、業務体制の整備や客観的な状況も、働く環境づくりというものが大事になってくるかと思います。
 県庁での働きやすい職場づくりを進めていただきたいと思い、総務部長にお尋ねします。職員への研修の取り組みはどのようになっていますか。

《答弁》 総務部長
 ハラスメントの防止に関する職員の研修につきましては、平成11年度に「職場におけるセクシュアル・ハラスメント防止に関する基本方針」が定められた後、「職場研修指導者セミナー」の一環としまして、各職場の職場研修委員を対象に行ってまいりました。
 また、平成20年度に「人権・同和特別研修」の一環としまして、全職員を対象に実施して以降、平成26年度、平成28年度、平成29年度にも全職員を対象に研修を実施しまして、ハラスメントとは何か、ですとか、ハラスメントを防止するための心構えなど、職員が認識すべき事項について、講義ですとか事例研究により研修を行ってまいりました。
 さらに、今年度から新任の所属長を対象とした研修においてハラスメントの事例を盛り込みまして、ハラスメントの防止及び排除に努めることは所属長の責務である、ということの認識を徹底させているところでございます。
 今後も様々な機会を捉え、継続して職員への研修に取り組み、職員によるハラスメント防止に努めてまいります。

《要望》奥村規子 県議
 先だって、国際労働機関ILO総会で、職場でのセクハラを含むハラスメントをなくすための条約制定を目指す委員会報告が採択されました。日本は勧告が望ましいということに消極的姿勢ではないかと感じます。そういった点について、国へもしっかりと働きかけをしていただきたいと思います。


4.地域医療構想について
(1)高齢者に対する医療の提供について
《質問》奥村規子 県議
 厚生労働省の「地域医療構想ガイドライン」は、現行の一般病床を診療報酬の取得点数で区分し、医師や看護師を手厚く配置する病床・施設を、報酬点数の高い「高度急性期」などに限定する一方、そこに至らない一般病床は、2025年度までに再編・淘汰してゆくよう都道府県に指示をしているものです。高齢者・障害者・難病患者が長期入院する療養病床については全国でも病床数が少ない県にあわせて大幅削減し、患者さんを在宅に向けていくのが、ガイドラインが示す方針です。高齢化のピークとされる2025年の病床数を本来必要とされる152万床から119万床に、33万床削減してゆくのが政府の計画です。
 このような中で、県民からは「療養難民にならないか」と不安の声があがっています。鼎としても約2,800床、特例とされる重度心身障害児・者の病床420床を除いても2,400床を削減するという計画があります.高齢先進県として、高齢者に対して必要な医療が提供できるのか、福祉保健部長にお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 和歌山県地域医療構想では、2025年における療養病床を主とする慢性期病床の必要病床数を2,164床と定めており、構想策定時と比較し、1,413床の削減となっています。
 算定に際しては、医療の必要度が高く長期の療養が必要な入院患者に対し、その医療需要に見合った病床数を確保する一方で、療養病床の一部を、本年4月に創設された介護保険施設である介護医療院へ機能転換していくことを見込んでいます。
 この介護医療院は、医療と介護のニーズを併せ持ち、長期の療養が必要となる高齢者に対し、日常的な医学管理と介護に加え、「住まい」の機能を提供するものです。
 また、入院ではなく、在宅医療を希望される方に対しては、わかやま在宅医療推進安心ネットワークを構築し、住み慣れた地域で在宅医療を受けられる体制の充実を図っています。
 このような取組を進めることで、長期の療養が必要な高齢者に対し、医療、介護、住まい等の必要度に応じた適切な医療と介護を提供できる体制を整備してまいります。

(2)看護職員の確保について
《質問》奥村規子 県議
 地域医療構想を進めることで、病床数が削減され、看護職員の需要も低下するという考え方もありますが、看護の現場は依然として「専門性のある仕事だが、もうやめたい」「患者さんの高齢化・重症化で鳴り止まないナースコール」「夜勤がつらい」「依然として厳しい救急の現場」「医療事故が不安でやめたい」などの悲鳴が聞こえてきます。いつになったら笑顔があふれる看護現場になるのかと思います。
 そこで、お尋ねいたします。これからもいっそう看護職員の需要が高まると思いますが、看護職員の確保について、しっかりやっていただけるのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

《答弁》 福祉保健部長
 看護職員の平成29年度の有効求人倍率は、約2倍であり、医療機関等では、看護職員を十分に確保できていない状況であると認識しております。
 さらに、今後は、超高齢社会を迎え、訪問看護ステーションや介護保険施設などで働く看護職の需要も見込まれると考えております。
 また、医師の働き方改革に関する検討会において、医師から看護職への業務移管も議論されるなど、看護職の裁量拡大のニーズも高まってきております。
 こうしたことから、病床機能の転換等による影響があったとしても、全体としては、看護職の需要が大きく低下することはないと思われます。
 そのため、県では、医療や介護の現場で求められている看護職の確保を図るため、新たな看護大学の開設により養成数の確保を図るとともに、高度化する医療への対応やチーム医療の一翼を担うことができる、専門性の高い看護職の育成支援と、在宅医療の要である訪問看護師の養成にも取り組んでいるところです。
 今後も、これからの時代に対応できる、看護職員の確保に取り組んでまいります。

《要望》奥村規子 県議
 地域医療構想は、県民のみなさんは病床を削減することを非常に心配していますので、それぞれの保健医療圏で、十分な医療需要や実態にもとづいた計画にするよう、よろしくお願いしたいと思います。


 
                                              仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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