2.自然破壊と自然エネルギー開発
(1)海南市・紀美野町・紀の川市を囲む超大型風力発電の問題
・「反対」の声が広がる中「環境影響評価」の進展
・林地開発との関係はどうなるのか
(2)重根のメガソーラー業者への指導について
(3)「地元同意」というものの重さ
(4)風力発電被害者の救済
3.IR・カジノ誘致について
(1)ギャンブル依存症の実態はどうか
(2)IR法案でギャンブル依存症への歯止めは
(3)「県IR基本構想」でギャンブル依存症への歯止めは
(4)使える金額の上限は
(5)「売上」の試算、日本人・県民の「賭け金」の試算
(6)「県への納付金」の行方は?
(7)「県IR基本構想」でカジノ資本の引き合いはどうか
(8)外国人専用で本気で考えていたのか
(9)海南市の意見は聞くのか
1.働き方改革と教員の長期間労働
《質問》雑賀光夫
県議
議長のお許しを得ましたので、質問に入ります。
第一の柱は「働き方改革」と教員の長時間労働についてであります。
教員の長時間労働を中心に据えてお伺いしたのは5年前のことでした。当時、県教育委員会は、小中学校の勤務実態はつかんでいませんでした。
あれから5年、「教員の長時間労働」は、もはや一刻も放置できない問題になっています。
文部科学省でも昨年12月に「働き方改革についての総合的な方策について(中間まとめ)」を発表し、県教育委員会も本年5月、「教職員等の働き方改革推進プラン」なるものを発表されました。
(1)教員の長時間労働の実態
第一に、教員の長時間労働の実態をどう把握しておられるのか、教育長にお伺いいたします。
《答弁》 宮下教育長
県教育委員会では、県立学校教員を対象に平成23年度から教員の勤務実態調査を実施しております。
また、文部科学省が平成28年度に小・中学校の教員を対象に抽出調査を行ったことを受けて、平成29年度に全ての公立学校教員を対象に勤務実態調査を実施いたしました。
全国調査と県調査では実施年度や時期が異なりますが、1週間の時間外勤務の平均は小学校教員は、全国が約19時間に対し、県は約12時間で、中学校教員は、全国が約25時間に対し、県は約20時間となっております。
また、過労死と関連が強いとされる時間外勤務時間が月約80時間を超えている教員の割合は、小学校では全国が33.5%に対して、県は7.2%、中学校では全国が57.6%に対して、県は20.6%でございました。高等学校、特別支援学校については全国調査は行われておらず、県では15.6%でした。
今回の調査で、小・中学校とも全国平均を下回っておりますのは、本県がこれまで取り組んできたことが1つの要因としては考えられますが、教員の長時間勤務の改善は本県においても重要な課題でございます。
(2)教員の長時間労働についての見解
《質問》雑賀光夫
県議
全国ほどひどくないといいますが、中学校では週平均20時間の超過勤務がつづいています。毎日平均4時間。その大部分が不払い労働。民間企業でいえば違法な労働実態になっている。民間企業であれば労働基準局から改善命令がでる状況です。
小中学校の教員の勤務実態を、はじめて県教育委員会が調査されたようです。調査の全体像教えてほしいといったのですが少し待ってくださいということです。
これまでも、「教員の長時間労働をなくすために努力する」と表明してきたにもかかわらず、長時間労働がつづいている。教育長は、どう考えておられるのでしょうか。
《答弁》 宮下教育長
教職員等の多忙化を解消することは、子どもと向き合う時間の確保につながるとともに、教職員等がやりがいをもって働き、心身の健康保持やワーク・ライフ・バランスを実現するためにも大切なことだと考えております。
教育委員会では、本年5月に「教職員等の働き方改革推進プラン」を策定いたしました。この中では、校務の効率化に向けた点検シートについての達成目標を設定しております。また、部活動の休業日・活動時間の設定や、教員の事務作業が課題となっている小学校へのスクール・サポート・スタッフの配置等についても取組を進めているところです。
さらに、教職員の校務を効率化する「校務支援システム」については、高等学校では平成23年から導入しており、小・中学校は昨年度、県が主導して共同調達に取り組み、今年度末には18市町に整備される予定となっております。
今年度スタートした「第3期教育振興基本計画」において、「教職員の勤務環境の整備」を掲げているところであり、今後も、教職員等の働き方改革に全力で取り組んでまいります。
《コメント》雑賀光夫
県議
いろいろ努力はされていますが、私は、根本的な問題は、教職員定数の改善が進んでいないこと、もう一つの問題は、教育のためにはあれも必要だ、これも必要だということを学校現場に押し付けてきたことにあると思います。教育長の答弁には、その観点が抜けているように思います。
(3)教員の配置改善について
《質問》雑賀光夫
県議
何よりも必要なのは、教職員定数の改善、教員配置の増員であります。何度も申し上げた問題ですが、小学校2年生から3年生になるとき学級が減らされるというケースは、今年度はいくつあったのでしょうか。すこし教員を増やすだけで解決できるのです。また、一般の小学校に設置されている特別支援学級という少人数学級があります。その学級で多学年の子どもたちが学んでいる場合がある。こんな場合は、学級をわけるようにすべきだと思うのです。
せめてこうした問題を、教員配置の改善で解決してほしいと思いますが、教育長、いかがでしょうか。
《答弁》 宮下教育長
議員ご質問の、小学校3年生に進級した際に学級数が減った学校は、本年度12校ございました。そのうち、課題のある学校には、当該の市町村教育委員会と連携し、ティーム・ティーチング等にあたる加配教員や、学習及び生徒指導等の充実を図るための非常勤講師を配置するなど、それぞれの学校の課題に応じた対策がとれるよう配慮してございます。
また、特別支援学級においても、個々の障害の状態や発達の段階に応じ、きめ細かな指導ができるよう、1学級6人以上の学級又は1学級5人で3学年以上にわたる児童がいる学級には、非常勤講師を追加して配置しております。
なお、小学校の学級編制につきましては、第3学年以上が国の基準では40人学級となっているところを、本県では国の加配措置で一定の条件により、35人学級または38人学級と定めており、これまでも配慮してきたところです。
県教育委員会といたしましては、学級編制に配慮しつつ、学校及び児童の課題や状況等に応じた適切な支援を行うことが重要であると考えておりますので、今後も、引き続き市町村教育委員会と協力しながら、こうした支援の充実に取り組んでまいります。
《コメント》雑賀光夫
県議
「せめてこんなことぐらいは」と思う例を二つ挙げてお伺いしたのですが、教職員を増やすということは十分にはすすまない。ただ、いろいろやりくりして苦労しておられることはわかりました。
これだけ教員の長時間労働が社会問題になっている中ですから、クラスサイズを30人以下にする問題、国の基準を超えて県単独負担の教員を配置する問題など、抜本的な施策を要望しておきます。
(4)「部活動」の問題について
次に、「忙しさ」の大きな原因になっている「部活動」の問題です。特に気になる「運動部」、どういう指導をしていらっしゃいますか。実はあがっているのでしょうか。
高校の運動部についてはレベルが高くなるだけに、専門技術をもっていない教員が担当することの苦痛は、中学校の場合以上だと思います。どういう声があり、どういう対策をされているのでしょうか。
《答弁》 宮下教育長
運動部活動は、スポーツに興味と関心をもつ生徒が交流する中で、技術・能力の向上と責任感、連帯感の涵養(かんよう)に資するなど、大変意義のある教育活動です。しかしながら、少子化が進展する中、これまでと同様の運営・指導体制では維持が難しい学校もございます。
このような中で、昨年度、県教育委員会では、市町村教育委員会や中学校体育連盟等と協議し、策定した「和歌山県中学校運動部活動指針」に基づき、発達の段階に応じた望ましい活動が行われるよう指導してまいりました。その結果、9割を超える運動部が、休養日や練習時間を適切に設定するなど、効果的・効率的な運営を実践してございます。また、中学校に104名の部活動指導員等を配置し、専門的な指導力を確保することにより、顧問教員の負担軽減、安全性の向上など、改善に努めてございます。
本県では、今年3月、スポーツ庁が示した「運動部活動の指導の在り方に関する総合的なガイドライン」を受け、県の指針を改正し、活動方針の策定やその公表などを盛り込んだ「和歌山県運動部活動指針」を、改めて4月に策定したところです。
高等学校の運動部活動については、中学生より心身が発達していること、中学校での取組を基礎に多様な活動が行われていることなどから、競技の特性や学校の状況等に応じて、本指針を適用することとしてございます。
また、高等学校には、エクセレントトコーチや外部指導者の配置、実技指導の方法等を学ぶ指導者研修会の開催など、専門技能を持たない顧問教員を支援する手立てを講じてございます。
今後とも、関係機関と連携し、このような取組を一層進めるとともに、各学校が保護者や地域の方々のご意見もいただきながら、持続可能な運営体制を整えるよう指導してまいります。
《コメント》雑賀光夫
県議
休養日の設定など順調にすすんでいるという答弁ですが、「実感と合わない」という声も聞くことがあります。「運動部」については、関係者がスポーツ医学の立場に立って、子どもの心身の発達にプラスになる部活動が充実するよう期待いたします。
(5)「学力テスト」は中止を
《質問》雑賀光夫
県議
最後に、教員の多忙に追い込んでいる問題としてあげたいのが「学力テスト」であります。せめて、県独自の学力テストは来年からやめませんか。
《答弁》 宮下教育長
全国学力・学習状況調査は、小・中学校の最終学年である6年生と3年生を対象に、前学年までの学習内容や生活習慣等について調査し、その結果から、各学校の取組の成果や課題を分析し、教科指導の充実や生活習慣等の改善に役立てるために実施してございます。また、教育委員会では、施策の成果と課題の検証にも活用してございます。
県教育委員会が実施している学習到達度調査は、小学校4年生・5年生、中学校1年生・2年生を対象に、主に当該学年の学習内容について調査し、担当している教員が、子どもたち一人一人の学力の定着状況をきめ細かく把握することで、個々の課題に合わせた指導を行い、各学年段階のつまずきをなくし、学習内容を確実に身に付けさせるために実施してございます。
この2つの調査を併せて実施することで、課題とその改善状況を把握しながら、基礎・基本の定着などに取り組むことができ、子どもたちの確かな学力向上につながっていると考えてございます。
今後とも、本県独自の学習到達度調査をはじめ、学力向上に向けた取組を計画的・継続的に進めてまいります。
2.自然破壊と自然エネルギー開発
《質問》雑賀光夫
県議
第二の柱は、自然エネルギーと自然破壊の問題です。
私ども日本共産党県議団は、ここ何回かの県議会で、自然エネルギー開発の名のもとに自然破壊をするメガソーラー・大型風力発電の問題を取り上げてきました。また「企業倫理」ということを問題にしてきました。このたび共産党国会議員団のお世話で、5月16日、経産省近畿経済産業局への申し入れ・要望活動をおこないました。この一連の経過を、議場にお配りした「配布資料1」で紹介しております。
資料中「大型風力の計画が72基から42基に」と紹介しているのは「43基」の間違いです。訂正しておきたいと思います。
風力発電会社が住民の口封じをする「覚書」問題が参議院経済産業委員会でとりあげられることになりました。こうした問題は、お金が出されても、表面にでないことが多いのです。この度の「覚書」問題というのは、問題を表面に引き出したところに、地域の民主主義が生きているということの証があると思っています。知事は、この問題を厳しく批判されました。大変立派な答弁で、岩渕参議院議員の委員会質問でも紹介されています。
私が繰り返しこの問題を取り上げ、国会でも問題にしたのは、「企業倫理の確立」「企業と地域住民の共存」を図っていきたいという、その出発点にしたいという思いからであります。
さて、その上での質問です。
(1)海南市・紀美野町・紀の川市を囲む超大型風力発電の問題
・「反対」の声が広がる中「環境影響評価」の進展
第一は、超大型風力発電の事業を認可するかどうかの問題。この度、「方法書」が発表され、有識者のみなさんで審議されています。そこには、住民のみなさんからたくさんの意見が寄せられていますが、圧倒的に反対意見です。
紀美野町議会でも紀美野町の区長会でも、全会一致で反対が決議されたとお聞きしました。
こうした中で、手続きさえ踏めばどんどんすすんでいくということにしてはいけないと思います。「環境影響評価」の手続きは、どんな具合にすすんでいるのでしょうか。環境生活部長からご説明ください。
《答弁》 環境生活部長
ご質問の風力発電事業に係る環境影響評価につきましては、今後、事業者から提出された「方法書」に対する知事意見を、住民、関係自治体及び和歌山県環境影響評価審査会の意見を踏まえて作成し、経済産業大臣に提出することとなります。
・林地開発との関係はどうなるのか
《質問》雑賀光夫
県議
次に、この事業を進めるうえでの林地開発の認可の問題です。林地開発の規模はどの程度になるのでしょうか。そのための地元同意となりますと、大変広範囲になると思うのですが、どういう範囲がこの場合、「地元」とみなされるのでしょうか。
《答弁》 農林水産部長
ご質問の風力発電事業については、林地開発の手続きが行われていないことから、林地開発の規模や地元同意の範囲については、現在、判断できないところであります。
(2)重根のメガソーラー業者への指導について
《質問》雑賀光夫
県議
第二は、重根の旭メガソーラーの問題です。
お手元に「資料2」として、「重根メガソーラーを考える会」が配布したニュースをお配りしています。
この事業者は、なかなか事前協議書を出してこなかったので、私たちは、近接自治会関係者から相談を受けて、業者が考えていることを知るという状態がつづいてきました。
近隣のみなさんは、森林が伐採されると山がくずれる恐れがあるのではないかと心配しています。また、そうなると日方川が氾濫し下流の日方・大野地域でも心配ですが、住民のみなさんには計画が知らされていません。
「重根メガソーラーを考える会」のみなさんは、①日方川下流の住民のみなさんにも計画を知らせる説明会を行うこと、②開発を行う現地での「現地説明会を行うこと」を、旭メガソーラー海南発電株式会社に要望することにしています。
こうした要望に応えるように業者を指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
《答弁》 環境生活部長
ご質問の太陽光発電事業につきましては、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例に基づき「事業計画の案」の作成のため、事業者と、県・関係市町村との協議が開始されたところであり、本条例に基づく説明会につきましては、「事業計画の案」が作成された段階で実施されることとなっております。
なお、説明会の対象範囲については、事業計画の案が作成された段階で明らかになるものと考えており、事業実施により環境の保全上及び災害の防止上影響を及ぼすと認められる地域において適切に実施するよう、事業者を指導してまいります。
《コメント》雑賀光夫
県議
説明の範囲は、「環境保全上及び災害の防止上影響を及ぼすと認められる地域」とお答えいただきましたので、「考える会」のみなさんが要望していることに応えていただけるものと理解いたします。
(3)「地元同意」というものの重さ
《質問》雑賀光夫
県議
第三に、「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」にかかわって気になることがあります。
この条例は、メガソ-ラーへの住民の不安を取り除くためにつくられたもので、許可条件に住民の意見が反映するものだと理解しておりました。ところが、昨日、奥村議員が指摘したように「同意書」の扱いがわかりにくいことになっている。
和歌山県の住民運動の歴史で「地元同意」というのは、大変、重いものです。私は、紀伊半島に原発を許さなかった経緯を思い起こします。当時、和歌山県は、原発の認可条件として、「適地性」「安全性」「地元同意」を挙げていました。電力会社は「適地性」安全性」は大丈夫だと断言しました。福島の原発事故以前、のちに原子力村と呼ばれるようになった学者・専門家が、原発は、四重に五重にセキュリティがあるから、事故などはあり得ないんだと主張しておりました。しかし、そんな話は信用できないと和歌山県の漁師さんをはじめ多くのみなさんが頑張った。
専門家の言うことを信用しない人たちは、「なんと頑迷な人たちだろう」と非難されたことでしょう。しかし、福島原発事故は、頑迷と思われていた人たちこそ賢明であったことを証明したわけです。
こうしたことを振り返るとき、「専門家の意見を聞いて」ということで、「地元同意」に代えることは許されないと思います。
その地元意見が、太陽光条例の手続きの中で大切に取り扱われることになる、林地開発制度事務取扱要領に規定する利害関係者の「同意書」と同様の意味を持つ、決して林地開発許可にあたってのハードルを低くしたわけではないということを、農林水産部長から、再度、言明してください。
《答弁》 農林水産部長
昨日の奥村議員の質問でもお答えしたとおり、林地開発許可申請書に添付が必要な「開発に対する利害関係者の同意書」については、金銭により強引に同意を得るといった不合理な面も考えられます。
一方、新しく制定した太陽光条例では、利害関係者の意見や、その意見に対する事業者の見解を踏まえるとともに、必要に応じて専門家の意見を聴くなど手続きを制度化したため、透明性・客観性・理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたところです。
以上のことから、同条例に規定する住民の意見を反映するため必要な措置を講じたことを証する書面をもって、同意書に代えることができるとしただけでありまして、決して開発許可処分のハードルを下げたわけではございません。
《コメント》雑賀光夫
県議
「ハードルを低くしたわけではない」というなら、他の手続きで「地元同意」に代えることができるという但し書きは、削除すべきであるということを申し上げておきます。
(4)風力発電被害者の救済
《要望》雑賀光夫
県議
最後に、既設の風力発電被害者救済の問題です。参議院委員会質問にかかわったヒアリングデで、ユーラスエナジーの有田川ウィンドファームは、大窪地域に迷惑をかけていることは認めているわけです。被害を訴えている方との間で、因果関係を認めて「賠償」とまではいかなくても、まずは「お見舞い」ぐらいあってしかるべきだと思います。経済産業大臣がおっしゃる「コミュニケーション」の一つです。被害者が話し合いに応じるかどうかはわかりませんが、被害者との間で話を進めるよう、県として取り持っていただいては、いかがでしょうか。要望といたします。
3.IR・カジノ誘致について
《質問》雑賀光夫
県議
第三の柱は、「和歌山県IR基本構想」についてであります。
IR、カジノとギャンブル依存症への心配について、私は、昨年2月県議会でとりあげました。その際、知事は 「…ギャンブル依存症については、ものすごく重視しております。…だから少なくともその懸念がなくなるまでは、…和歌山県民ないしは日本人をカジノに入場できないようにしたい」とお答えになりました。
ただし、知事の発言は「少なくてもその懸念がなくなるまでは」という但し書きがついておりましたので、どうせ、どこかの時点で、「懸念がなくなった」といって、県民の入場を認めることになるだろうと思っておりました。
あにはからんや、「和歌山県IR基本構想」では、和歌山県民の入場を認めるということを打ち出しております。だれもが「どうせ」と思っていたことですから、だれもびっくりした人はいないと思います。
その一方で、尾花和歌山市長は、条件抜きで「外国人専用」ということを打ち出しておられます。
(1)ギャンブル依存症の実態はどうか
まず、ギャンブル依存症の問題です。心配するのなら、まずその実態をつかまなくてはならないのですが、一昨年、私が質問した時も、ギャンブル依存症の実態はつかめていませんでした。福祉保健部長にお伺いしますが、パチンコ、競艇などをふくめたギャンブル依存症の問題は、少しは把握できるようになってきているのでしょうか。
《答弁》 福祉保健部長
ギャンブル依存症は、医療機関を受診することにより、疾病と診断されますが、患者自身に病識がなく、患者本人や家族が相談や医療につながりにくいという特徴があるため、国においては、実態の把握は困難であるとされており、県におきましても同様に困難であると考えております。
なお、県では、精神保健福祉センターや保健所において、ギャンブル依存症の相談を行っており、本人や家族からの電話や来所による相談延べ件数は、平成28年度で24件、平成29年度は30件という状況でございます。
(2)IR法案でギャンブル依存症への歯止めは
《質問》雑賀光夫
県議
ギャンブル」依存症には、パチンコもあれば競艇もあります。カジノ解禁は、その要因を増やすことになることは、だれも否定しないでしょう。ギャンブル依存症の実態さえもつかめないままに、国はカジノ解禁をすすめようとしています。それでは、国の方でのギャンブル依存症への歯止めは、「IR法案」ではどうなっているのでしょうか。
《答弁》 企画部長
IR整備法案によりますと、日本人の入場回数については「7日で3回、28日で10回」に制限し、入場料として「1回あたり6千円」を徴収するとともに、その際の本人確認手段としてマイナンバーカードを使用するものとされております。
さらに「本人や家族からの申告による入場制限の措置」や「現金のみの利用」など、重層的で多段階的な対策が盛り込まれているところです。
《コメント》雑賀光夫
県議
週に3回、一カ月に10回のカジノ通いをすれば、立派な「ギャンブル依存症」でしょう。カジノというのは、入場すると「居つづけ」することもできる。「ギャンブル依存症だ」と本人・家族から申告があれば入場させないなどというのは、深刻なギャンブル依存症が起こることを予測したものではないでしょうか。
(3)「県IR基本構想」でギャンブル依存症への歯止めは
《質問》雑賀光夫
県議
次に、和歌山ではもっと厳しい規制をもうけるから大丈夫だとおっしゃりたいようです。和歌山では、どうやってギャンブル依存症を防ぐのか、企画部長からご説明ください。
《答弁》 企画部長
本県では、国によるギャンブル依存症対策に加え、県独自の取組といたしまして、民間事業者に対しましては、カジノ施設での使用上限額を設定して現金をチャージする「IRカードの導入」や、賭け事に熱くなっている人に休憩や退場を促す「依存症対策専門員の配置」、また、カジノ施設が非日常空間であるという心理的ハードルを設けるために、これは入場を抑止するという意味ですが、例えばジャケット着用などといった簡易な服装規程である「ドレスコードの設定」などを求めてまいります。
県といたしましては、これらの運用を行って頂ける民間事業者がいるのであれば、論理的に考えてギャンブル依存症や破産リスクはなくなるであろうと考えているところです。
《コメント》雑賀光夫
県議
「ドレスコードの設定」という聞きなれない言葉をつかわれましたが、「基本構想」の冊子にある「サンダル・短パンでは入れません」ということですね。高級レストランがそういう規制をすることはありますが、県がそんなことをいってもいいのか、そんなことをしてギャンブル依存症を防げるのかなと首をかしげます。
(4)使える金額の上限は
《質問》雑賀光夫
県議
「使いすぎを防ぐ」として、「IRカードを導入する」つかえる額の上限を設定ということですが、この金額はだれが決め、どんな金額になるのでしょうか。企画部長にお伺いします。
《答弁》 企画部長
「IRカード」につきましては、入場者が所持する金額の範囲内で、その日実際に使用する額を、入場の際に事業者と入場者が相談をしてチャージして頂くことによって、使い過ぎを抑制しようと、そういう考えのものです。
《コメント》雑賀光夫
県議
私は、100万円とか1000万円とか決めるのかと思っていました。そうでなくて、あなたは資産家だから1億円、あなたは100万円とお客とカジノ業者で決めるのですね。
(5)「売上」の試算、日本人・県民の「賭け金」の試算
《質問》雑賀光夫
県議
「IR基本構想」では、「カジノ施設の売上高1401億円」「県への納付金210億円」「入場料金34億円」などきめ細かに試算されています。この試算は、どこでやられているのでしょうか。また、ここまで試算できるのなら、日本人が、あるいは和歌山県民が、どれだけ売り上げに貢献するか、つまり賭け金を払うかということも試算されているのだろうと思いますが、どうでしょうか。
《答弁》 企画部長
IR基本構想でお示ししたカジノ施設の売上高等の試算につきましては、有限責任監査法人トーマツに委託して算出したものです。
カジノ施設の売上高は約1401億円と試算しておりますが、その内訳といたしましては、日本人が約381億円、外国人が約1020億円と見込んでおります。
なお、日本人売上高に占める和歌山県民の割合につきましては試算しておりません。
《コメント》雑賀光夫
県議
日本人381億円、外国人1020億円という試算が示されました。昨日の答弁でも「IR入場者400万人については、同社が独自のノウハウ・知見を用いて推定を行い、試算した」とお答えになった。
監査法人トーマツまかせで、その根拠もよくわからない。「ノウハウ・知見」の中身は、企業秘密でわからないといいます。
「IR基本構想」そのものが、監査法人トーマツやカジノ資本の試算にお任せの産物ではないかという思いがいたします。
(6)「県への納付金」の行方は?
《質問》雑賀光夫
県議
「県への納付金210億円」といわれますが、このお金の行方はどうなるとお考えなのかもお聞かせください。
《答弁》 企画部長
IR整備法案において、カジノ事業者からの納付金につきましては、観光の振興、地域経済の振興、社会福祉の増進及び文化芸術の振興に関する施策などに、必要な経費に充てることとされており、その具体的な使途につきましては、区域整備計画において定めることとなっております。
なお、納付金は、立地市町村等その他関係地方公共団体へ交付することができますが、その場合にも、具体的な内容につきましては区域整備計画において定める、そういうふうに規定されております。
(7)「県IR基本構想」でカジノ資本の引き合いはどうか
《質問》雑賀光夫
県議
和歌山がIR誘致に熱心になる中、カジノ資本の期待が集まっていると思います。国内資本もあるのでしょうか。海外資本が多いのでしょうか。どうした資本から引き合いがあるのでしょうか。
《答弁》 企画部長
議員ご質問の「本県に興味を示しているカジノ運営事業者」につきましては、これまで10社以上と意見交換を行っているところです。
そのほとんどが海外の事業者ですが、国内の事業者も含まれております。
(8)外国人専用で本気で考えていたのか
《質問》雑賀光夫
県議
カジノ・IRについての様々な試算では、お客の70%から80%は、日本人だとされています。カジノ資本は、日本人客を狙って、日本のカジノ解禁に期待しているのです。シンガポールとは条件が違うと思います。
知事は、日本人の入場をさせないカジノが誘致できる、本気で考えておられたのか。知事の本心をお伺いしたいと思います。
《答弁》 仁坂知事
先ほど本件に関しまして、雑賀議員から私の議会答弁に関しまして、私の人格を否定するような発言がありましたが、その扱いを私が議会のことですからどうこうできませんので、ただいまのご質問だけにお答えいたします。
これまでの議会答弁においても、パチンコ依存症などから類推して、ギャンブル依存症を心配する県民の気持ちというのは結構あるだろうなと思いまして、実効性のある対策が講じられるまでは、心配でしょうから、日本人についてはカジノルームに限り入場させない、という方針を示してきたところであります。
驚くべきことに、それでも反対という人も少しいて、そういう人は本当に依存症の心配をしているのか、ただ政争の道具にしているだけなのか、大変疑問に思われます。
すべてのカジノの運営業者ではございませんが、何社か有力なカジノ運営業者が外国人専用でもコミットをしてくれていました。また、海外には外国人専用のIRはたくさんあるのでございます。成功する可能性はあると思っているから、私はそういうふうに言っていた訳であります。人格を否定されては困ります。
そこで、実はそういう考えを可能とするような制度を作ってくれるように、政府にずっとお願いに行っていました。
しかし、そこは大変ネガティブな結果でした。しかし、カジノ規制は、実は私が当初考えていたよりも、予想よりもはるかに厳しいものになって、現在の法案になっています。
そこで、県独自の運営上の工夫と合わせれば、弊害は完全に除去できると思っているので、現在はそういう方向で話をもっていこうと思っているわけであります。
なお、外国人専用のカジノとする計画は、IR整備法案の趣旨に合致しない、すなわち、IR整備法案というのは大きな投資を求めたい、だからIRにするんだ、というような考え方でございますから、多分合致しない、さらには、他への波及もあると思われますので、政府が認定してくれないだろうと、そんなふうに思っているところであります。
《コメント》雑賀光夫
県議
私は、「外国人専用」というのがどうせ覆されるだろうと思っていたと申し上げただけで、知事の人格を否定したわけではない。そのうえ、「本気で考えておられたのか」と知事の発言の機会を保障したわけですから、悪く思わないでください。
(9)海南市の意見は聞くのか
《質問》雑賀光夫
県議
次に、地元自治体の同意についてお伺いします。
和歌山市長は、との関係は奥村県議の質問で知事の考えはお聞きしました。
2年前に質問した時も申し上げましたが、海南市はマリーナシティと目と鼻の先にあります。マリーナシティにいく観光客は、車で来る場合は、和歌山インターでおりるよりも、二つの海南インターで降りる人が多いのです。
海南市の意見というものは、聞いていただけるのでしょうか。
《答弁》 仁坂知事
IR整備法案では、区域整備計画の認定申請にあたり、立地市町村の同意は必要とされておりますが、隣接市町村の同意は必要とされておりません。
しかしながら、手続きを進めていく上では様々な事案が想定されますので、その際には必要に応じて隣接市町村、今、海南市というお話がありましたが、そういう関係のところにも相談をして参る所存であります。
《コメント》雑賀光夫
県議
情報はやるが、県につてこいというのでは困ると思います。
3日ばかり前に、和歌山市の女性から電話がありました。
「母がギャンブル依存症で悩んでいる。和歌山県で専門的な治療を受けられるか県に問い合わせたら、公共病院はないと返事された。県民の友に載っている病院にも聞いたが、そういう取り組みはしていないと言われた。大阪・奈良に入院施設があるが、年10~20万円かかる。ギャンブル依存症を考える会の代表・田中紀子さんにも会い、山梨の開業医を紹介されたが、年20万円かかる。カジノを誘致している和歌山だが、今、ギャンブル依存症で困っている人に対して公的機関として対策をとっていない。共産党にも目を向けてほしい。」という要望でした。
いろいろお伺いしましたが、ギャンブル依存症の心配は払拭できない。カジノ・賭博というものは、何の価値も生み出すものでなく、多くの人の不幸で一部の人が喜ぶ、もともとは犯罪であったものですから、こんなもので観光客を呼び込もうという考えがまちがいだと思います。
以上申し上げて、質問を終わります。
仁坂知事の答弁を聞く、雑賀光夫県議(右)
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