2018年9月県議会 福祉環境委員会
奥村規子委員の質問概要記録
 
2018
925
【福祉保健部】 【環境生活部

【福祉保健部】
《質問》奥村規子 委員
災害に関して冒頭に部長からも報告があったが、災害直後は、和歌山市ではブルーシートが不足して大変な状況であった。今度はブルーシートを確保できても個人では設置できないことや、和歌山県は一人暮らしが多いなか、災害になると大変な課題が浮き出てくる状況を感じている。
最初は応急処置で、ホームセンターへ行ってもブルーシートがなくて、やっと一部の地域で手に入るようになってきている。そういう状況の中で心配するのは、早期の復旧にあたり、業者の問題、材料が手に入らない問題、改修・修復するための費用の問題などがあると聞く。
 一人暮らしや高齢世帯の方に対する、特に費用の問題について、県の施策はどうか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 県内の住民の被災状況については、高齢者や障害者の状況を含めて、住民に身近な自治体である市町村が、把握することになっている。
 災害が発生したとき、または発生するおそれがあるときは、市町村が避難所を開設するなど必要な対策を行うものとなっている。例えば、台風21号の場合においても、台風が遠ざかったので一旦避難所を閉鎖したが、停電が長期にわたって、高齢者や障害者など配慮を要する方々が体調を崩されることが懸念されたことから、和歌山市と御坊市で再度避難所が開設された。これらすべて、状況をみて、市町村の判断で行われた。
 一方、県の役割としては、市町村と緊密に連携をとり、市町村から要請があれば必要な支援を行うことになっている。費用の面についても、県の制度で可能かどうかは、市町村から具体的な被害の情報があって対応することになる。
 県は、何もしないわけではなく、当然、県が情報を把握し、対応しなければならないことがある。例えば、福祉施設や病院については、利用者や患者の状況を定時的に確認して、必要な対応を行ったところである。
 具体的な対応については、所管があるので、関係課長から回答する。

《答弁》 子ども未来課長
 子ども未来課は、児童福祉施設を所管している。
 建物等の被害が73施設、停電被害が47施設であった。そのうち、保育所・認定こども園では、屋根や窓ガラスの破損などの建物被害が71施設、停電は43施設であった。
 当課では、被害にあった施設に対し、その都度連絡をとり、特に児童が入所している児童養護施設には児童の健康状態も併せて確認し、何かあればすぐに連絡をもらうこととし、復旧までの間、随時連絡をとりあった。
 また、被害額が大きい施設に対しては、社会福祉施設等災害復旧費補助金の活用を周知した。

《答弁》 介護サービス指導室長
 高齢者施設では人的・物的被害、また停電の状況、サービス提供への影響、断水などについて、電話等で聞き取り、電話不通の施設には、県職員が直接訪問し状況把握を行った。
 被害状況は、建物被害等92施設、停電50施設に及んだ。停電中の施設に対しては、被害状況に加えて、利用者の健康状態、他施設への移送の必要性、食事の支援・支障の有無などについて定時に状況把握を行った。
 また、県の支援については、自家発電機の貸出要請があった施設に、延べ8台、自家発電機を届けた。関西電力に対し、停電中の施設の情報を提供するとともに、早期復旧を依頼した。停電が長引いたため、休日の対応として、入所者の他施設への移送・受入体制について、関係団体に応援要請するとともに、体調急変時の医療機関での受診に関して、病院協会や災害拠点病院に協力依頼し、自家発電機用燃料の優先調達については、県石油商業組合へ情報提供し、協力依頼を行った。
 また、災害復旧費国庫補助金、県の地域企業等事業再開支援補助金などについても、広く周知を行った。

《答弁》 障害福祉課長
 障害福祉課の所管である障害者の入所施設、グループホーム、通所施設について、台風が来る前に全ての事業所に安全管理対策を徹底するよう注意喚起を行い、人的被害、建物被害が発生した場合や入所者の他施設等への避難を行った場合の報告を事前に周知している。
 主な被害状況として、人的被害はなかったが、建物については、窓ガラスや屋根の破損等の被害が34施設、停電は48施設、断水は6施設あった。被害状況について順次確認を行うとともに、入所施設の停電については、復旧状況及び健康状況の把握を1日2回実施した。関西電力への働きかけとしては、9月6日現在で6施設が復旧していなかったので、災害対策課を通じて関西電力への情報提供を行い、対応を依頼した。
 災害復旧については、補助金を申請するための調査を行っており、対象となるものについては対応できる旨の通知を行い、現在、取りまとめを行っている。

《答弁》 医務課長
 今回の台風被害で屋根が破損し雨漏りがするなどの在宅療養が困難な方については、かかりつけ医や在宅医療サポートセンターがフォローに回り、支援が必要な患者については地域密着型協力病院で緊急の受入を行った。県としては、その地域密着型協力病院の状況を確認し、必要な支援を行った。

《答弁》 健康推進課長
 健康推進課では、在宅人工呼吸器の患者さんに対して安否確認を行った。
 常時人工呼吸器を使っている患者さん28人に対して各保健所を通じ安全を確認し、御自宅の方は外部バッテリーや非常用発電機を使って待機し、また、停電が長引いたので入院した方が、翌日の時点では16人となった。
 県の支援としては、在宅患者さんに非常用発電機を無償で貸与する医療機関の支援と、県立保健所に非常用発電機を配備し、それを貸出している。
 また、関西電力と貸出の申し合わせを行っており、関西電力が保有する発電機を保健所を通じて患者さんに貸出を行っている。

《要望》奥村規子 委員
 関係課から災害時の対応について説明いただいたが、まず関係課の職員の皆様には災害により、日常以上に大変な状態に対応いただいたことに感謝する。
 そのような中で、孤立化、孤独化にならないように、きめ細やかな支援を市町村と連携しながら、一層努めてほしい。
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《質問》奥村規子 委員
 障害者施策について、今議会で花田議員も一般質問しており、障害者の採用は人事課の関係になるので、そのことに関して発言するつもりはないが、国自体が法定雇用率を上げるという制度をつくりながら、このような事態(雇用率の水増し)が起こっていることに対して、福祉施策を進められている障害関係の部署はどのように感じているのか、お聞かせ願いたい。

《答弁》 障害福祉課長
 県の障害者の雇用率の関係については、一般質問でも総務部長から答弁があった。全国的な話もあるが、今回、和歌山県の場合には、本来、手帳や診断書によって確認していく手続をするが、結果的に障害者の雇用率に算入させる基準を満たさない状況の方を算入してしまっていた。
 これについては、県職員として、障害者の方、その家族、関係者の皆様に不快な思いをさせることになり、大変申し訳なかったと感じている。
 障害福祉課としては、障害者施策の中での雇用について、一般就労や福祉的就労もあるが、重要な取組と認識しており、引き続き、障害者の就労施設や労働局等の関係機関との連携を図りながら、障害のある方の就労支援を一生懸命頑張っていきたいと考えている。

《要望》奥村規子 委員
 1976年に国の制度ができたが、県もこれまで取り組んできた中で、今になってわかったという状況だと考える。これまで、対象として手帳を持たない方が、どれだけ働いてきたのかということも含めて、今後、障害者の働く環境づくりに力を尽くしてほしい。
 それと併せて、一般企業では法定雇用率に満たなければ罰則がある中で、企業との信頼関係も崩してしまったわけだから、ぜひ真剣な取り組みを、和歌山県から国に対して働きかけるようお願いする。
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《質問》奥村規子 委員
 全国の視覚障害者の会の女性の皆様は、特に大きな病院で安心して受診できるサポート体制について不安なところが多く、自分たちで作成したパンフレットで医師会などへ啓発するためにも県担当課の協力を得ながら取り組んでいるが、視覚障害者への支援について県立医大ではどうか。
 例えば、視覚障害のある方の親が入院するような機会も多くあるが、画像診断などが発達している中で、病状説明などはどのようにされているのか。県立医大のシステム自体も機械で操作するものが多く、不安を持っている方が多い。視覚障害者に対するサポート体制はどうか。

《答弁》 県立医科大学事務局長
 視覚障害者に対して、わかりやすく説明することが必要だと考えるので、具体的にどのように対応しているか把握した上で、わかりやすく説明する必要があれば医師に要請していきたい。
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《質問》奥村規子 委員
 東京医科大学の入学試験で女性差別があったが、同じ医大としてどのように感じたか。

《答弁》 県立医科大学事務局長
 最近、文部科学省の調査があった。過去6年間の平均で女性の合格率を1とした場合の男性の合格率の全国平均が1.18であり男性の合格率が高いが、本学の場合は1.01とほぼ男性と女性の合格率が同じである。
 東京医科大学の方法は、我々としてもいかがなものかと思っている。女性の合格割合を操作するということは言語道断だと考える。女性が働きやすい環境づくりが大事であり、今後も、本学としてはその方向で取り組んでいく。
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《質問》奥村規子 委員
 今回、自殺防止対策強化のため、SNSを活用した相談体制を構築することであるが、自殺対策計画の中で和歌山県が自殺者の割合が高い。
 平成28年では、40代の男性が特に高い。このような背景の分析はどうなっているのか。

《答弁》 障害福祉課長
 自殺者の年齢別による要因については、例えば、お子さんの場合はいじめや不登校など様々な要因があり、全体的には、健康上の問題がある。
 要因としては、そういうものだけではなくて、借金や経済状況、身体の話なども含めた全体の中で、最終自殺に至ってしまうという経過だと考える。
 SNSについては、若年層を対象として自殺に関するメッセージを確認したときに、相談につなげていきたいということで今回補正予算を上げている。

《質問》奥村規子 委員
 SNSを活用して相談しやすい窓口を広げることで、ここから相談の内容によっては連携が大事になってくるが、相談体制の構築を具体的にどう考えているか。

《答弁》 障害福祉課長
 先ほども答弁したとおり、自殺に係る要因については様々なものがある。借金については、法律的な法テラスや弁護士、借金等については、警察、司法書士があり、生活困窮の場合は、福祉事務所、身体については、県の保健所や精神保健福祉センターが関わっていくが、それを連携してどうつなげていくかについては、相談にお越し頂いた窓口が保健所とか精神保健福祉センターであれば、そこからつないだあとも継続して対応していく状況になっているが、相談を受けてつなげただけで止まらない仕組みの強化ができればと考えている。

《要望》奥村規子 委員
 相談浩動をしている方にお話を聞くと、一日何度も電話があったり、深夜を問わずに電話対応しないといけない場合もあるとお聞きする。電話での話で済む場合もあるが、対面により解決していくことが必要となる場合もある。そういったことも含めて、相談体制も併せて充実させてほしい。
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《質問》奥村規子 委員
 国民健康保険の問題であるが、従来から議会でも世帯所得が200万円、250万円の方の保険料負担が、年40万円、50万円となっている資料を示したことがあり、保険料が高くて払えないという声も聞く。今年4月から国保の都道府県単位化で県が国保の財政運営を担い、将来、保険料を統一化していく方向で取り組んでいる現状と、今年の保険料がどうだったのか教えてほしい。

《答弁》 国民健康保険課長
 平成30年度の市町村国民健康保険料は、今年度から県が財政運営の責任主体となったことに伴う制度改正の関係もあり、市町村ごとに保険料が上がったところも下がったところもあるが、1人当たり被保険者の県平均保険料は年間8万9,244円となっており、平成29年度の9万1,586円と比較して2,342円減少している。
 これは、今年度から施行された国保改革に伴う国の公費拡充の効果が大きいと考えられる。
 しかし、今回の国保改革では、被保険者の年齢構成が高くて医療費水準が高い、所得水準が低くて保険料負担が重い、という国保特有の構造的な問題は解消されておらず、今後も医療費は増加することが見込まれている。そのため、かねてから全国知事会を通じて、被保険者の負担軽減や医療保険制度間の公平が図られるよう、更なる公費拡充や、医療保険制度の全国レベルの一元化を要望しているが、今後も要望していく。

《要望》奥村規子 委員
 年間保険料が、県平均で言えば2,342円減少したということで、それも激変緩和措置によるものであるが、個々の世帯の状祝からすれば非常に厳しい中で、県として保険料の減免等を考えてほしい。また、かなり保険料が上がった市町村もあるので、対応をお願いしたい。

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議案等に対する採決
議案第117号 平成30年度和歌山県一般会計補正予算
については全会一致で原案可決
知事専決処分報告報第3号 平成30年度和歌山県一般会計補正予算
については全会一致で承認


【環境生活部】
《質問》奥村規子 委員
 台風21号の災害関連廃棄物の量と大まかな種類を教えてほしい。

《答弁》 循環型社会推進課長
 台風20号・21号の災害廃棄物の種類と量について、現在、集計途中の数字ではあるが、暴風による住家の破損、住家の浸水により発生した廃棄物が約2,200トン、流木等が約80トン発生している。

《質問》奥村規子 委員
 流木を減らしていくことについては、農林整備や山の整備があるかと思うが、今回の80トンは多いのか、どの程度のものなのか。

《答弁》 循環型社会推進課長
 決して多くない数字と把握している。

《意見》奥村規子 委員
 多い少ないよりも、このようなことで二次災害が起こるので、流木を減らしていくことも課題ではないか、改めて考えていきたい。
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《質問》奥村規子 委員
 食品の安全対策について、今回法が改正された。食品事業者の支援というが、HACCPを導入して運用することについて、一定の経費や人材の育成の問題などがある。食品関係でも中小事業者が非常に多い中で、具体的にはどのような支援を考えているのか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 現在、HACCPの導入・運用ができる人材を、各地域や各業種において育成するため、食品衛生協会を初めとする業界団体の役員の方々を対象に講習会を実施している。今後は、これらの方々にまず手本として実践をしていただき、各地域や各業種の事業者が導入をする際にアドバイスをしていただくことをお願いしている。
 それともう1点の委員ご質問の事業者の負担について、HACCPは工程管理、すなわちソフトの基準であり、必ずしも施設設備等のハードの整備を求めるものではない。現行の施設設備で対応が可能である。
 しかし、HACCPの導入を機に、自主的に施設設備の整備を希望する事業者は、「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」により、金融上の支援措置を受けることが可能となっている。

《要望》奥村規子 委員
 衛生管理や安全性が高まることは良いことだが、それが中小事業者の経営の圧迫等にならないように支援を十分お願いしたい。
 来年は、消費税10%という課題があって、中小企業の事業者が成長・活性化していくことも含めて、安全を確保すると同時に、そういう側面からの支援もお願いしたい。
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《質問》奥村規子 委員
 水は命と同等のもの、命を守るものである。今国会で水道法の改正が議論されており、水道事業の実施主体は市町村となるが、県としては国の方針や市町村の状況をどのように考えているのか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 委員ご発言のとおり、人口減少に伴う水需要の減少や水道施設の老朽化、深刻化する人材不足などの直面する課題に対応し、水道の基盤強化を図るため、水道法の改正案が秋の臨時国会で引き続き審議されると聞いている。
 法案では、水道法の目的をこれまでの「水道の計画的な整備」から「水道の基盤の強化」に変更するとともに、都道府県に水道事業者の広域的な連携の推進役としての責務を新たに規定している。
 当課では、この改正に備え、県内の水道が将来にわたり、安全な水の安定供給が維持されるよう、目指すべき姿を示すため、県水道ビジョンの策定に取り組んでいる。
 法案が成立した暁には、このビジョンの実現に向けて、水道の基盤強化にリーダーシップを発揮していきたい。

《要望》奥村規子 委員
 ビジョンなど、市町村と協議しながら取り組むべき。水道が民間市場に委ねられることは、住民の一人として不安である。課長の答弁にあった人口減少などの原因の分析が、国でも十分にされていない。このような状況に至っていることに反省も必要だと考える。分析も含め、ぜひとも水を守っていくという立場でお願いしたい。

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議案等に対する採決
議案第117号 平成30年度和歌山県一般会計補正予算
については全会一致で原案可決
知事専決処分報告報第3号 平成30年度和歌山県一般会計補正予算
については全会一致で承認


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