2019年2月和歌山県議会
   議案と請願の不採択に対する反対討論 奥村規子
     
                                         中継録画23:20~)
                                            201936
 日本共産党県議団を代表いたしまして、議案第1号、3号、7号、8号、16号、43号、44号、51号、56号、57号、59~76号、78~80号、83号、84号、86号、87号及び100号と、議請第7号の不採択に対する反対討論を行います。

 議案第1号は、和歌山県一般会計予算です。
 2019年度予算は、前年度比0.1%減の5531億円で、過去8年間で最も低い水準となっています。
 歳入では、法人二税など県税収入は8億円増、地方交付税は18億円増加し、地方交付税の不足分を補う臨時財政対策債は30億円の減少を見込み、地方消費税収は7億円増える見通しです。
 県の借入金である県債は臨時財政対策債を含めて41億円増の737億円で、県債残高は過去最高を更新し続け1兆595億円、県民1人あたり113万円の借金を背負うことになります。借金返済のための公債費は8億円増加しました。
 「新行財政改革プラン」にもとづき人員削減が進められ、2008年度から11年間で6.9%の262人が減らされてきました。2019年度予算でも人件費は前年度比で13億円減少します。近年の風水害や地震・津波への対策に人的資源の不足が懸念されるなか、2017年度からの「中期行財政経営プラン」でも引き続き5年間で50人削減する目標を掲げています。
 教員は新たに403人を採用します。前年度よりも増えていますが、教員定数全体は38人減となります。国で教員定数の改善が進まないなか、教員の多忙化の解消や、県独自の少人数学級にみあうよう、教員を増やすことが不可欠です。さらに、非正規教員である500人もの「定数内講師」を5年間で半減させる計画でしたが、2018年度は逆に55人増えました。計画が遅れた分、19年度で削減幅を広げ、正規教員を増やしていくことを求めます。
 カジノ・IRを誘致するための予算を2億3200万円計上しました。2017年度1000万円、18年度7000万円から急激に増やしています。県はカジノ・IRを誘致しないと人口減少が進み経済発展が損なわれると主張しています。県民の掛け金で海外の事業者がもうけるカジノで地域経済がよくなるはずはありません。地域密着型の健全な経済発展にこそ力を入れるべきです。
 また、ギャンブルなどの依存症対策として1100万円計上しています。どのような対策を講じてもカジノは賭博場です。最大のギャンブル依存症対策はカジノをつくらないことしかありません。
 和歌山北港沖の関西電力LNG発電所計画のための南防波堤建設は、総事業費300億円で国が100億円、県が50億円を負担します。発電所の着工のめどはないまま、防波堤工事だけが進められています。全長1000メートルのうち600メートルがすでに建設済みで、県は35億円を負担しました。毎年1億6400万円を負担していますが、2019年度は5000万円にとどめました。これは昨年の台風被害により、18年度補正予算で県負担7億1700万円かけて災害復旧に力を入れるためです。また、和歌山本港や日高港では、過大な入港見込みに基づく大型クルーズ船誘致のための港湾整備も進められています。これらの港湾整備はムダな大型公共事業であると指摘しておきます。
 コスモパーク加太の問題では、2019年度も6億3300万円を支出し、銀行への返済にあてます。20億円かけて造成した土地へのカゴメ加太菜園からの賃料が4億円にしかならないことが問題になってきましたが、台風被害により加太菜園が撤退することからそれも入らなくなりました。大企業への県民の税金を使った優遇策はやめ、社会的責任を果たさせるべきです。
 医療の問題では、2025年までに病床を2割以上の2600床を減らす地域医療構想のもとで、2014年から3年間で261床が減らされました。また、削減を含む病床機能再編を進める医療機関への施設改修・設備整備への補助が毎年行われ、2019年度も6億円が計上されています。補助金で病床削減を促す仕組みとなっています。
 また、介護職員の処遇は依然として改善されていません。国に求めるだけでなく、県独自の支援策で抜本的に処遇を改善し、介護人材を大幅に確保していくことが急務です。
 さらに、現在の障害者の工賃水準では自立して生活できる状況ではありません。障害者就労施設への支援を強め、障害者の工賃水準を高めるべきです。
 食事などを提供する「こども食堂」への支援は、2017年度までの200万円から2年連続で減らされ、19年度は60万円だけです。利用実績が少ないための減額ですが、施設整備などに用途が限られている上に半額の自己負担があり、施設にとって使いにくいためです。要望に応え、人件費など運営費へも使えるよう改善を求めます。
 また、子どもの医療費無料化の対象も拡大されないままです。
 以上のことから、一般会計予算には反対します。

 次に議案第3号は、中小企業振興資金特別会計予算です。
 ゆがんだ同和行政のもとで行われた中小企業高度化資金貸付では、ずさんな融資審査と債権管理により、82億円以上ものこげつきを残しています。またそれとは別に、これまで7件、30億円近くの債権を放棄してきました。とても県民の理解を得ることはできません。

 議案第7号は、国民健康保険特別会計予算です。
 今年2月の県国保運営協議会では2019年度の市町村からの納付金が示され、県合計で2.9%の8億9100万円増え、加入者減少の影響も伴い1人当たり8,103円上がります。市町村の納付金額は加入者一人ひとりの保険料算定のもとになり、19年度の県平均国保料・税は値上がりする見込みとなるため、今回の国保特別会計予算には賛成できません。また、県国保運営方針には高すぎる保険料を少しでも抑えるための市町村からの一般会計繰入をなくしていくことや、医療費を平準化し統一保険料にすることが明記されており、今後のさらなる保険料値上がりが予想されます。

 議案第8号は、県営競輪事業特別会計予算です。
 県が公営ギャンブルを運営することには反対します。

 議案第16号は、土地造成事業会計予算です。
 呼び込み型開発失敗の責任を反省し、説明責任を果たすことなしに、県民の税金から毎年損失補填を続けることには賛成できません。

 議案第43、44、51、56、57、59~66、68~76、78~80、83、86、87、100号は、今年10月の消費税の10%への増税に伴う料金等の引き上げです。
 消費税は、低所得の人ほど重くのしかかる逆進性をもった最悪の不公平税制です。消費税増税の中止を求める立場から、増税を前提とした料金等の引き上げには賛成できません。
 加えて、昨日の総務委員会で、議請第7号「国に対し『消費税増税中止を求める意見書』の提出を求める請願書」が不採択すべきものと決せられたことに反対します。

 議案第67号は、建築基準法施行条例の改定です。
 建築基準法の改定に伴い、既存の建築物の用途を変更できるようにするものですが、防火・耐火規制の緩和が含まれており、賛成できません。空家等を活用すること自体は必要なことですが、安全性を確保した上で行われることが大前提です。

 議案第84号は、建設事業施行に伴う市町村負担金を求める議案です。市町村負担金のさらなる軽減を求める立場から反対です。

 最後に、議案第58号、森林環境譲与税活用基金の設置、管理及び処分に関する条例制定について意見します。
 森林整備の促進強化は重要であり、国からの森林環境譲与税を活用した事業のための交付金を管理するための基金設置には反対しません。しかし、和歌山県ではすでに紀の国森づくり税が県民1人当たり500円課されています。森林環境譲与税も1,000円の均等割になります。重複課税であることと、森林整備の財源に均等割の目的税を充てるという、税制のあり方に問題があることを申し上げておきます。

 以上で、議案と請願の不採択に対する反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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