2019年6月県議会 福祉環境委員会
 奥村規子委員の質問概要記録
                            2019624
【福祉保健部】 【環境生活部

【福祉保健部】
《質問》奥村規子 委員
 少子化対策について、国の合計特殊出生率は2017年より2018年は0.01ポイント下がり、1.42となっているが、本県の状況についてはどうか。

《答弁》 子ども未来課長
 本県の合計特殊出生率については、2017年は1.52であったが、2018年は1.48と0.04下がった。

《要望》奥村規子 委員
 かなり対策をとっているが、数字的には下がっているという状況をどうしていくのか、国の保育料無償化、在宅育児支援を実施していくということだが、実際に子育てしている人が何を求めているかということを把握していただきたい。
 また、在宅で0歳児を育てる世帯への支援は市町村で行われているが、手続の期限が制限されたり、短かったり、活用・申請しにくい状況を聞くが、子どもがちょうど熱を出したり、他の子どもがおられたり事情がいろいろあるので、制度を活用しやすいように柔軟な対応をしていただきたい。
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《質問》奥村規子 委員
 児童相談所の体制について、ケースワーカーがかなりのケース数を担当していると聞いているが、現在の状況及び今年度の体制はいかがか。

《答弁》 子ども未来課長
 児童相談所の現状について説明する。
 まず、児童相談所では虐待だけではなく様々な相談を受け付けている。2017年度の相談の内訳は、虐待を含む子どもの養護に関する相談が1,324件、子どもの障害に関する相談が1,457件、非行に関する相談が112件、家庭内のしつけや不登校に関する育成に関する相談が362件、その他諸々の相談が23件、合計3,278件の新規の相談があったところである。
 次に、児童福祉司数は、中央児童相談所と紀南児童相談所合わせて現在、32名である。一人当たりの担当件数について、先程言った諸々の相談全て込みの件数で全国と和歌山を比較し説明する。2017年度の児童福祉司一人当たりの全国平均の件数は144件で、和歌山県は109件である。
 国では、相談種別によって虐待と非行相談などで事務的な分量が若干異なることから、例えば非行相談には0.1の数字を掛けて、虐待1件当たりに換算して一人当たりのケース数を算出している。日頃はその数字が使われているので、そちらも紹介する。全国では児童福祉司一人当たり54.7件の新しいケースを持っているのに対し、和歌山県は47.1件となっている。
 この数字だけを比較すると和歌山県は全国平均よりも若干少なくなっているので、数字上は全国より状況はよいのかと思われるが、例えば一時保護の日数では全国より長めに保護して子どもの安全を図るというような状況もあるので、一概にこの数字だけをもって、和歌山県は全国に比べて状況がプラスであるとは言えない。
 また、今年国の方でも児童相談所の体制を強化するために専門職を増やしていくという方向で、法律の改正が行われているので、法律の趣旨を踏まえ今後より一層、児童相談所の相談体制を強化していく。

《質問》奥村規子 委員
 ケースによって、非常に複雑な問題を解決していかないといけないこともあるかと思う。和歌山県では47.1件ということであるが、これでも多いのではないかとも思う。十分に対応をしていくという体制の整備を、国もようやくとったところである。今年度、県の増員計画はいかがか。

《答弁》 子ども未来課長
 児童福祉司については社会福祉士等の資格を持った者を任用する。一般行政職が即児童福祉司になれるということではないので、資格を持った職員を増やしていくということが必要である。この点については、いわゆる福祉職が児童福祉司に任用されるので、今年度については5名採用したところで、今後については委員から指摘のあったとおり国の計画にも合わせて増やしていく必要があるので、この場で来年度以降何人と具体的な数字は示せないが、しっかりと対応できるように増員する方向である。
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《質問》奥村規子 委員
 歯科条例は議員提案でつくったが、特に子どもの点からみた成果については、どういった状況か。

《答弁》 健康推進課長
 平成23年12月に議員提案による「和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例」が制定されたことに伴い、「和歌山県歯と口腔の健康づくり計画」を策定し、ライフステージに応じた歯科口腔保健の各種施策を実施してきた。
 また、平成26年10月には歯科医師・歯科衛生士各1名の歯科専門職を配置し、口腔保健支援センターを設置し、実施体制を強化してきた。
 平成30年3月には、これまでの取り組み状況を確認するため、計画で策定した11指標の評価を実施した。評価の結果、改善した指標が9指標あり、そのうち6指標については目標を既に達成している状況のため、目標値をさらに引き上げるなど、取り組みを強化しているところである。
 一例を挙げると、12歳児の虫歯のない者の割合は計画策定時には54.2%であったものが、中間評価時には66.4%となり、計画目標値を上回るとともに、全国平均値も上回ったことから、新たな目標を73%と大幅に引き上げて取り組んでいる。
 また、子どもの虫歯を減らすためには、妊娠期から乳幼児期、学齢期に至るまで、切れ目のない施策展開が重要となることから、2019年度新政策として「子供のむし歯ゼロ推進事業」を立ち上げ、フッ化物洗口を実施する小学校数をさらに増やすなどの取り組みを進めているところである。
 今後も県民の健康の増進及び元気で健やかな生活の実現に寄与するという条例の目的が達成できるよう、歯と口腔の健康づくりに一層取り組む所存である。

《要望》奥村規子 委員
 0歳児を育てる世帯への支援ということでは、経済的支援も含めてこういった制度ができてきた中で、0歳児から3歳児健診の間に虫歯が増えるという報告を聞いたりしているが、その点でも着目して、支援をしっかりとしていただきたい。
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《質問》奥村規子 委員
 医療的ケアを受けている子どもの問題で、在宅の子どもは県内に何人いるか。

《答弁》 障害福祉課長
 県内には、約180名と把握している。

《質問》奥村規子 委員
 180名の子どもの環境から、その子どもの発達状況、支援状況等、多岐にわたると思うが、一人ひとりの支援ということを含め、総合的な支援について、県はどのように取り組んでいるか。

《答弁》 障害福祉課長
 医療的ケアを必要とする方への支援については、2018年度から相談支援の充実を図るため、医療的ケア児のための研修を実施しており、相談支援事業所に勤めている研修の修了者に対し国がサービス加算するようになった。県内には57名が修了しており、各圏域で相談支援を行っている。

《質問》奥村規子 委員
 学校へ通学する場合、支援学校の教諭の労働も大変になっている。
 痰吸引等の研修もしていると聞くが、保護者が付き添うケースもあると思うが、保護者の負担軽減も含め、県の考え、取り組みはどうか。

《答弁》 障害福祉課長
 日中生活の場としている放課後デイサービスにおいては、看護師を配置することで加算する仕組みがあり、家族の方の負担軽減を図っているところである。併せて相談支援事業所においても体制をとっている。

《質問》奥村規子 委員
 支援学校への通学の場合、本県では保護者の付き添いは必要か。

《答弁》 障害福祉課長
 特別支援学校については、看護師がおり、医療的ケアに対応している。

《質問》奥村規子 委員
 学校の先生が対応することではないということか。

《答弁》 障害福祉課長
 看護師を中心に、先生も含め対応している。

《質問》奥村規子 委員
 保護者の付き添いは求められていないか。

《答弁》 障害福祉課長
 特別支援学校については、求められていない。
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《質問》奥村規子 委員
 高齢者の移動について、高齢者が自由に出かけることができる環境を整備するという点で、バス路線が廃線になり、移動が不自由になっている問題を、根本的に解決していかなければならないと思っている。
 交通政策をどのようにするかということについては、当委員会で議論する内容ではないが、高齢者の生活の質を高めていくという観点から、交通政策部局と連携を強化していく必要があると思うが、その点はどのように考えているのか。

《答弁》 長寿社会課長
 高齢者の移動手段について、一義的な手段ということになると、先程委員も言われていたように、企画部で公共交通体系の整備を担当している訳だが、高齢者の移動に関して、福祉保健部の回答としては、まず、介護が必要な方は、そもそも移動が非常に困難な状態となっていることから、要介護認定を受けた上で、生活支援として、買い物等は基本的にホームヘルパーが対応することとなっている。また、介護度に応じ、介護度が低い高齢者の方は、日常生活上必要な物品の購入については、一定の必要性が認められた上で、介護保険制度において、外出介助を利用することができる。他に、通院等に使う「介護タクシー」と言われているものだが、介護保険制度において、通院等乗降介助という形で利用することができる。
 また、民間が主導で実施している事業として、いわゆる「福祉有償運送」という事業があり、県内でそれほど多くの事業者は行っていないが、NPO法人や社会福祉協議会が中心となり、「福祉有償運送」を展開しており、このようなサービスの周知にも努めているところである。
 また、市町村独自の取り組みでは、タクシー券の配布など、様々な取り組みも実施している。
 長寿社会課としては、「わかやま長寿プラン」を策定し、福祉保健部の取り組みだけでなく、企画部総合交通政策課や警察本部などとも連携を図りながら、さまざまな施策に取り組んでまいりたいと考えている。

《要望》奥村規子 委員
 介護度が認定されると、いろいろなサービスが利用できるが、それだけでは、県民の要望に応えられず、不自由な面があると思う。また、介護認定を受けていない方でも、バス停まで非常に遠いとか、いろいろな高齢者の状況から見て、もっと高齢者が移動しやすい環境をつくるということは、高齢者の生活から見ても重要であり、ぜひ、総合交通政策課の方にも、しっかりと働きかけをよろしくお願いする。
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《質問》奥村規子 委員
 要支援の方の問題で、以前、要介護の時はデイサービスに週3回行くことができたが、今回、要支援になると、週2回しか行くことができず、高齢者の方が1日中、誰とも話をしないという日が、何日も続くという問題がある。この方は、非常にデイサービスを楽しみにしており、そこに行くことが生きがいになっており、介護保険では、週2回しか行けない。
 高齢者の生活を支援していくということから、県において、介護保険以外でも、そのようなサービスを利用できないか、それに代わるものを、ぜひ考えてほしいと思うが、その点について、どのように考えているのか。

《答弁》 長寿社会課長
 委員指摘の要介護から要支援に認定の区分が変更されたことに伴い、サービスの利用回数が減少したということに回答する。
 まず、認定については、非常に多岐にわたる74項目の認定調査を行い、その方の身体の状況や、主治医の意見を聞きながら、要介護を認定することとなる。その方が、要介護から要支援に変更になったということであれば、おそらく介護の必要性が基本的に低くなったことが要因ではないかと推測する。そのことにより、これまでと同じ回数が行けなくなるということだが、介護保険というものは、今までのサービスをずっと続けていくということが主な目的ではなく、できるだけ、自分でできることは、自分でやっていこうという「自立支援」という言葉を我々はよく言っている訳だが、そのような取り組みを積極的に進めているところである。
 よって、要支援や要介護1というような軽度な要介護者については、自立につながるような取り組みを一生懸命実施しているとごろであり、確かに、デイサービスに行ける回数が減ってくると、他に悪い影響が出て来ないとも限らないことから、そのような場合には、市町村が実施している高齢者サロンへ行くなど、社会参加の機会を減らさないような形で取り組んでいくとともに、我々もそのような受け皿づくりを、市町村に求めていきたいと考えている。

《質問》奥村規子 委員
 私は、高齢者の方があっちへ行ったり、こっちへ行ったりするのではなく、その方が望むところで、望むサービスを受けられるような仕組みが大事であり、環境や人間関係が変わることについては、よくなるケースがあるかもしれないが、個々の状況を考えて、その人が望むようなサービスを受けられるようにすることが、一番大事なことだと思う。先程言われた、自分のことは自分でできるということも含め、その人が心地よい環境にいられるかどうかが大事なことだと思う。せっかくよくなったのに、精神的なことも含め、一日中話することがない、話し相手がいないというような人はたくさんいると思う。
 そのような方が、介護保険サービスでなくても、県や市独自で、そこでサービスを受けることができるような状況をつくり出すということを、検討してほしいと思うのだが、いかがか。

《答弁》 長寿社会課長
 先ほど、一つの例として高齢者サロンを挙げたが、やはり自立を促して地域に戻すだけでは、また介護が必要な状態になるという課題もあるので、そういう受け皿づくりも含めて、積極的に集いの場というものをつくっていく施策に取り組んでいくよう、市町村を指導しているところである。

《要望》奥村規子 委員
 ぜひ、よろしくお願いする。
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《質問》奥村規子 委員
 ギャンブル依存症対策について、これまでも家族から相談を受けており、家族崩壊に至ったりすることもあるが、どういったルートで相談し、医療機関はどうなっているかなど、県のギャンブル依存症対策はどのようになっているか。

《答弁》 障害福祉課長
 県では、精神保健福祉センター、各保健所が相談を受けることとなっている。なかなか相談につながらないこともあるので、まず、ギャンブル依存症の方やその家族にギャンブル依存症についての認識を深めていただき、それを相談につなげていただくようリーフレットを作成するなど、啓発活動を行っている。
 医療機関については、ギャンブル依存症を専門に取り扱う医療機関が現在ない。そのため、県こころの医療センターをはじめ、精神科病院に専門の治療を行うための研修を受講していただくよう働きかけている。
 また、あまり多くはないがギャンブル依存の当事者の方、あるいはその家族で構成されている自助グループがあり、そのグループに対して、相談会の開催を支援するような取り組みをあわせて行っていきたい。

《要望》奥村規子 委員
 これまであまりギャンブル依存症で専門的に対応できなかったという問題があるかと思うが、そういった点で、今後、ぜひとも専門の医療機関や、医療機関だけでなく社会生活を含めて総合的な解決ができるような体制をつくっていただきたい。
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《要望》奥村規子 委員
 ここに、2018年の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査概要報告」がある。
 実際に手遅れで亡くなられたという事例が全国的にもあり、また和歌山県でも何件かあると報告を聞いている。こういった、医療機関に行きたいけれども経済的な理由によって控えてしまうことによって死亡に至ったということが和歌山県でどのようになっているのか、ぜひ実態を把握していただきたい。
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議案に対する採決

議案第109号 令和元年度和歌山県一般会計補正予算
議案第127号 財産の取得について
議案第128号 財産の取得について
は全会一致で原案可決


【環境生活部】
《質問》奥村規子 委員
 水道施設整備指導事業の翌年度繰越の理由として、想定外の湧水対策のためと部長から説明はあったが、その湧水対策について説明をお願いする。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 この事業主体が現在、浄水場の移転整備をしており、移転先の所で想定外の湧水があったということで繰越を行っている。

《質問》奥村規子 委員
 この突然の湧水というのは、移転先の工事に着工しないとわからないということか。

《答弁》 食品・生活衛生課長
 想定外だったということである。
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《質問》奥村規子 委員
 ハラスメントの問題であるが、先日ILOで暴力とか、ハラスメントを全面的に禁止する国際条約が採択されたが、それについて、政府と労働組合の関係では支持をされているということで、今後、県としても積極的に国が批准するように向けて頑張っていただきたい。
 その点で、このハラスメントの認知について、県民の中に、それがきちんと意識付いてきているのか、県としてどのように考えているか。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 ハラスメントについては、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどがあり、県においても、それぞれのハラスメントについて取り組みを行っている。子ども・女性・障害者相談センターや当部所管の男女共同参画センターでも相談を受けている。
 条約批准の話もあり、いけないことであるという認識は、かなり広がっているとは思うが、今後も、引き続き関係部局とも連携して、啓発や対策等に取り組んでいきたいと思っている。

《要望》奥村規子 委員
 セクシャルハラスメントとか、パワハラとか、相手の立場に立って考えるというようなことが根付いていくことが大事である。
 ぜひとも、和歌山県からも国に向けて、批准について頑張ってもらいたいと要望しておく。
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《質問》奥村規子 委員
 和泉山脈のメガソーラーの計画が今5ヵ所ある。環境、生物多様性保全ということから、一つ一つの事業を検討するシステムはあるが、全体として和泉山脈の自然を守っていくという県としての方向性があれば聞かせてもらいたい。

《答弁》 環境生活総務課長
 和歌山市の和泉山脈で5ヵ所計画があり、そのうち2ヵ所については既に山林を切り開いた土地で計画されている。
 千手川の東側の計画については、現在、県条例に基づく環境アセスメントを実施しており、以前、周辺の開発についても配慮して環境アセスメントを実施するよう、事業者に知事の意見として伝えている。このように、付近の開発についても配慮が必要ということは認識している。

《要望》奥村規子 委員
 和歌山県として、和泉山脈の自然を守る立場で考えてもらいたいのでよろしくお願いする。
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議案に対する採決

議案第116号 和歌山県立南紀熊野ジオパークセンター設置及び管理条例
は全会一致で原案可決



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