2019年6月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録
1.格差と貧困を広げる消費税10%増税問題について
(1)増税に伴う低所得者への緩和策の効果について
(2)インボイス制度をどのように考えるか

2.カジノを含むIR誘致について
(1)県民の意向にかかる県の取組状況について
(2)カジノを含むIR誘致活動に要した関連費用、今年度予算の内容及び今後必
   要となる費用の見込みについて

3.太陽光発電建設計画に係る住民不安への対応について

4.子供の生活実態調査について
(1)調査から見えてきた子供の生活実態、特に生活習慣や健康面をどのようにと
   らえているか
(2)今後の課題をどのように考えているか

 中継録画
2019621


1.格差と貧困を広げる消費税10%増税問題について
(1)増税に伴う低所得者への緩和策の効果について
《質問》奥村規子 県議
 みなさん、こんにちは。残すところ後2名ということで、ぜひともがんばって質問させていただきたいと思います。前期の2月議会で、またこの場に立てるようにがんばりますとみなさんにお伝えをいたしまして、今回4期目、この場に立たせていただいたこと、支援者のみなさんはじめ、当局のみなさん、先輩議員、同僚議員、後輩議員のみなさんに、これからも大変お世話になりますが、何よりも県民のいのちやくらしが大切にされる県政実現のために、共に力を合わせてがんばってまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは議長のお許しをいただいたので、通告に従って4点について質問させていただきます。
 一つ目は、格差と貧困を広げる消費税10%への増税問題についておたずねいたします。
 去る6月11日に、安倍首相を議長とする経済財政諮問会議において、経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)原案で消費税増税を予定通り実施することを改めて明記しています。
 先月13日に内閣府が発表した3月の景気動向指数からみた国内景気の基調判断は、6年2ヵ月ぶりに「悪化」となりました。様々な経済指標をみると、景気の悪化を認めざるを得なくなっています。政府公表の実質賃金指数は1年前に比べマイナスです。また、2014年の4月に消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の低迷は続いており、今年1月から3月期の国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も、昨年10月から12月期に比べ0.1%減少しました。そのうえ輸出については中国経済の不振や米中の貿易摩擦などによって2.4%も減少しています。
 県内の雇用者数をみますと、12年と17年を比較しますと微増となっています。
 これは、高齢者の雇用数の増加が一つの要因だと考えられますが、同時に非正規の雇用者の割合も増加しています。また、県内の実質賃金指数は、15年を100としますと、16年は99.3、17年は98.4と2年連続で下がっております。
 一方、消費税増税を見込んで、この春から値上げが広がっています。例えばアクエリアス2リットル340円から360円に、ブルガリアヨーグルト250円から260円、ラーメン500円から550円、和歌山県の有名お饅頭も10円値上がりしています。
 また先日、若いご夫婦から、税金が払えず分納にしてほしいといった相談を受けました。子ども4人が進学などで、ちょうどお金がいる時期で困っていました。妻は病院通いもしています。夫は看護師をしていますが、住宅・自動車などのローンの支払いが大変です。
 あるシングルマザーの方は、毎日10円単位の節約をしています。野菜は100円以下と決め、お肉や魚は割引シール付きを買っているということです。節約で一番削りやすいのは食費になっています。子どもの分は削れないため、自分の食べるものをできるだけ安くするため、どうしても栄養が偏ってしまうといいます。今でも厳しい生活が、消費税が上がればさらに厳しくなるといいます。
 私は、2月の定例議会の一般質問において、国に増税中止を求めるよう申し上げましたが、県の答弁は、消費税の逆進性を問題としながらも、国が増税に伴う影響緩和策を考えているといわれました。
 国の「対策」の中で、「低所得者に対する」支援策と位置付けられているのは、軽減税率を除けば6ヵ月に限って「プレミアム付き商品券」、「25,000円」の商品券を2万円で買えるということと、年金生活者に恒久的ですが支援給付金月5,000円、年間6万円を支給するだけです。前回の14年増税の際には低所得世帯には一人あたり1万円、4人世帯なら4万円の臨時福祉給付金を配付し、年金生活者には5,000円ずつ上乗せもしました。前回に比べると今回の「低所得者対策」はわずかです。
 その一方で、住宅や自動車を購入した人には減税です。カードで買い物した人には5%のポイント還元など、高額所得者には有利な仕組みになっていると思います。
 そこで、増税に伴う低所得者への緩和策についての効果を、どのようにお考えなのか、知事にお尋ねいたします。

《答弁》 仁坂知事
 本年10月の消費税率10%への引上げは、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものと言われております。
 消費税は、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高くなる、いわゆる逆進性を有しておりますが、税率引上げによる増収分は、社会保障の充実や安定化に充てられることから、その受益は一般に低所得者ほど大きくなるものと理解しております。
 また、低所得者対策について、前回の消費税率引上げの際は、臨時的措置ばかりでしたが、今回は、臨時的措置であるプレミアム付き商品券に加え、恒久的措置として、住民税非課税世帯等に対する幼児教育の無償化や年金生活者支援給付金の支給などの手厚い支援が実施されることとなっています。
 さらに、低所得者ほど家計支出に占める食料費の割合が大きいことを踏まえた食料品等を対象とする軽減税率制度の導入は、あらゆる世代が対象となり、かつ恒久的な低所得者対策であり、その効果は大きいと考えております。
 こうした措置を総合的に勘案すれば、所得の低い世帯に手厚く、全体として逆進性に対して大変効果のある緩和策であると考えております。

《再質問》奥村規子 県議
 消費税は応能負担ではなく、逆進性があることは認めていただいていると思います。「低所得に人に対する緩和策」で家計への負担は軽減されものると考えるとおっしゃいましたが、その根拠はどのようにお考えですか。

《再答弁》 仁坂知事
 質問の趣旨がちょっとわかりかねるんですが、根拠というのは、先ほど政府がなさることで、先ほど私が申し上げたり、引用した、紹介したことについての理論的なお話としては、逆進性がある消費税の値上げに対して、低所得者に対する配慮があるので緩和されると。理論的なことを申し上げた次第であります。

《要望》奥村規子 県議
 今の経済状況なので、消費税を引き上げるべきではないと思っています。今のくらしについての検証をしていただきたいと思います。
 結局、食料品などの「軽減税率」は税率8%のままなだけで、軽減ではなく据え置きです。店内か持ち帰りかで税率が違い、混乱を引き起こすこともあります。20年実施の自治体ポイントは、全国に約70自治体しかありません。不評のマイナンバーカードに付与する条件が付いています。防災や国土強靭化の公共事業を増やしても、家計にはプラスとはなりません。
 プレミアム商品券は、「低所得者」の印が押されたようなものと言わざるを得ません。住まい給付金、自動車の減税などは、高所得者者に有利な対策だと思います。
 安倍首相は「消費税の増税分をすべて国民に還元する」といっていますが、実際に消費税は1%で2.8兆円、2%で5.7兆円と計算されていますが、政府が決定した増税対策は総額で6兆円になります。増税する必要がないということを申し上げておきます。
 政府の対策は、「消費の駆け込みと反動減」をどう少なくするかということで、低所得者の生活を考えていません。消費増税の中止こそ最善の対策です。
 税金はそもそも、所得の再分配という役割があります。累進課税で、所得の多い人がより多い税を負担し、低所得者は免税・軽減します。応能負担が最も公平な税制です。
 経済的な格差、地域格差が拡大している社会では、もうけているところに課税して、福祉の向上を図ることが財政の役割ではないでしょうか。消費税に問題があるということですから、消費税のように低所得者に負担が重い逆進性の税金は、民主主義に反するものです。
 消費税ではなく、内部留保や不労所得になどに課税して、多くの国民・県民の負担を軽減する道こそが大事だと考えます。この秋に消費税を10%に増税といわれていますが、ぜひ知事として県民のくらし向きを考え、もう一度再考していただきたいと要望します。

(2)インボイス制度をどのように考えるか
《質問》奥村規子 県議
 次に、インボイス制度の導入についてどう考えるか、総務部長にお尋ねします。
 インボイス制度というのは、税金計算のベースとなる商標制度です。正式名は「適確請求書等保存方式」といわれています。適確請求書等の保存を仕入れ税額の控除の要件とする制度となっています。
 中小零細業者にとっては、消費税増税が導入されれば、それだけでも消費が落ち込み、業者にとっては売り上げの減少につながります。さらに、複数税率の導入によって事務が複雑化し、レジの入れ替えなどの負担も生じます。政府が「対策」として打ち出した内容も、「2%還元セール」の奨励や、ポイント還元のためのキャッシュレス決済システムの導入、カード会社への手数料など、事業者の負担を増すばかりです。そして、増税から4年後には、インボイス制度の導入が予定されています。これは、消費税の納税を免除されている業者が、新たに課税業者とならざるを得ないことにもつながります。日本商工会議所、中小企業団体中央会、日本税理士会連合会などは消費税増税については様々なスタンスがあると思いますが、インボイス制度導入にはこぞって反対していると聞いてます。
 県として、インボイス制度をどのように考えていますか。総務部長にお尋ねします。

《答弁》 総務部長
 軽減税率制度が導入され複数税率となった場合、事業者間の取引において、仕入れ額に含まれる消費税額を買手が正確に把握するためには、税率毎の税額が売手から伝えられることが不可欠となってまいります。
 そのため、このような情報を請求書等に記載し、その書類の保存を義務づけるインボイス制度の導入が必要となってきます。
 しかし、制度導入に伴い、区分経理やインボイスの発行等に係る事務負担が増えるのではないか、あるいは、免税事業者が取引から排除されるのではないかといった懸念の声もあります。
 このため、政府では、インボイス制度の導入までに4年間の準備期間を設け、直ちに税率毎に区分することが困難な中小事業者に対しては、売上げの一定割合を軽減税率対象品目の売上げと見なすなどの特例を設けております。
 また、インボイス制度導入後においても、6年間は、免税事業者からの仕入れについて、一定の仕入れ税額控除を認めるなどの経過措置を設けております。
 さらに、中小企業や小規模事業者の方々に対しては、複数税率対応のレジ導入費用等の補助制度もあり、これらの対策により、個々の事業者への影響は緩和されるものと考えております。

《再質問》奥村規子 県議
 昨日の質問のなかでも、和歌山県の企業はは99.9が中小零細企業であるとおっしゃられました。インボイス制度についての説明や周知などに取り組んでいらっしゃると思いますが、県内業者さんからの反応や歓迎する声を、県としてお聞きしていますか。

《再答弁》 総務部長
 今のお尋ねでございますけれども、国税庁、それからこちらの県税のほうでも、制度の周知に向けましてただいま努力しているところでございます。そういったなかで、先ほど議員がおっしゃいますように懸念の声があるところでございます。そのなかでこういった制度がありますよ、ということで周知しておるところでございまして、事業者さんたちも今後の動向を見ているのかなと思いまして、この措置に対して批判も歓迎、両方の声を特に受けないところでございます。様子を見ているのではないかと考えるところでございます。

《要望》奥村規子 県議
 私は街で、インボイス制度導入になればいろんな事務が煩雑になり大変だといういろんな声を聞いていますので、県としてもそういう声を聞いていただきたいと思います。
 中小零細業者をはじめとした広い層に、多大な経済的・事務的負担が生じ、消費税の滞納や廃業などの増加をもたらす恐れが強いと考えます。
 消費税が増税されれば、それだけでも消費が落ち込み、業者にとっては売り上げの減少になります。複数税率の税率によって事務が複雑化します。さらにインボイス制度です。現在、消費税の納税を免除されている業者が、新たに課税業者とならざるを得なくなります。商店などの自営業者だけではなく、個人タクシー、大工さん、商品の販売員、家庭でパソコン作業を請け負う主婦、駐車場を経営する地主、副業を持つサラリーマンなど多岐にわたります。政府は副業などを含め、雇用によらない多様な働き方を広げる方向ですから、将来は「一億総インボイス」時代になってしまうかもしれないと心配しす。
 非課税の低所得の層であっても、インボイスを発行するために10%の消費税を払わなければなりません。所得税ならば、扶養家族が多いとか、障害を持っているとかの事情に合わせて負担が軽減されますが、消費税にはそんな配慮がありません。しかも、消費税を納税した後の残りの所得で買い物したら、今度は「消費者」として消費税を負担させられます。まさに「弱いものいじめ」の税制です。


2.カジノを含むIR誘致について
(1)県民の意向にかかる県の取組状況について
《質問》奥村規子 県議
 2つ目は、カジノ含むIR誘致について、企画部長にお尋ねいたします。
 カジノ施設面積はIR全体からすると一部ですが、どの国のIRも収益全体の7割から8割をカジノが稼ぎ出しています。カジノにホテルを併設するのは、お客さんを24時間ギャンブル漬けにするためではないかと思います。
 IRの施設はすべて、カジノに人を呼び込むための集客装置としてつくられています。賭博は犯罪です。刑法で禁止されているものです。国民の多くは反社会性を見抜き、カジノ実施法に反対しました。
 今、IR誘致の説明会が開かれていると思います。これまでも質問してまいりましたが、その中で県民には丁寧に説明し理解を得るとしてきました。県民の意向をどのように考えているのか、県民への説明について県の散り組み状況についてお聞きします。

《答弁》 企画部長
 これまで和歌山市でIRシンポジウムを3回、振興局単位でIR説明会を7回開催しているほか、「出張!県政おはなし講座」等を利用しての説明を、現時点で50回以上実施するなど、IR誘致に対する理解促進に努めているところです。
 これまでの説明会等で3,500名を超える方々に御参加いただいているところですが、今後も引き続き、IRに関する正確な情報の提供を行うため、シンポジウムや説明会、おはなし講座などにおいて、丁寧に御説明するとともに、より多くの県民の皆様から御理解を得るため、「県民の友」等を利用した広報活動にも積極的に取り組んでまいります。

《再質問》奥村規子 県議
 説明会で説明されている内容は、IR基本構想のパンフレットで経済波及効果などを説明されていると思いますが、私はカジノは経済政策にすべきでないと思います。
 正確な情報の提供を行うといわれていますが、賭博を和歌山県の経済の柱にしていく、カジノそのものに対する意見も含めて説明していただいていますか。

《再答弁》 企画部長
 議員御質問にございましたように、IRはカジノを含むIRです。当然丁寧に説明させていただいておりますし、カジノに対する御懸念は県民の皆様にあることは十分承知しておりまして、それに対する国の対策でありますとか、和歌山県が考えております独自の対策について、そういった懸念を払拭するための取り組みについて御説明をしているところです。

(2)カジノを含むIR誘致活動に要した関連費用、今年度予算の内容及び今
   後必要となる費用の見込みについて
《質問》奥村規子 県議
 次に、2017年度からIR誘致活動に要した関連費用と、今年度の当初予算の内容についてすべてお教えください。また、今後必要な費用の見込みなどもお教えください。

《答弁》 企画部長
 これまで県では、平成29年度に約1100万円、平成30年度に約4500万円を執行しております。
 主な内訳は、平成29年度では「和歌山県IR基本構想策定に係るアドバイザリー業務」や「土地権利関係調査」の委託に係る経費等。平成30年度では「投資意向調査(RFI)実施支援」や「交通量調査」の委託に係る経費等となっております。
 次に、今年度当初予算として、2億3187万5千円を計上させていただいておりますが、これは、今後、区域認定申請までの事務作業において専門的観点から助言をいただく「アドバイザリー契約の締結」や「渋滞対策に係る検討」のほか、シンポジウムを開催するための経費等でございます。
 また、アドバイザリー契約が3年間となることから、令和2年度及び3年度の2ヵ年で8581万1千円の債務負担行為を設定しているところです。
 今後必要な費用の見込みにつきましては、誘致を進めていく上で費用が必要となった場合には、改めて御説明をさせていただきたいと考えております。
 なお、これまでも申し上げておりますように、IRそのものは民設民営事業でございますので、IRの設置運営に係る費用はすべて民間事業者の負担となります。県が負担することは一切ないことを申し添えさせていただきます。

《再質問》奥村規子 県議
 IR基本構想では集客見込みということで、来場者が年間約400万人と書いています。集客見込みの内容と根拠というのは、どのように算出していますか。また、アドバイザリー契約の締結に要した費用はおいくらですか。

《再答弁》 企画部長
 まず、基本構想に書いてある入場者数の見込みですけれども、これは平成29年度に実施いたしまして、以前御説明しましたけれども、トーマツという監査法人でございまして、そちらの方に委託をしまして、諸外国のIR施設の状況ですとか、今現在和歌山県に来られている旅行者などを基本に計算をしまして、400万人程度、今のところそれ位だろうというふうな計算をしているところでございます。
 議員御質問の今年度のアドバイザリー契約がいくらになるのかということだと思うんですけども、債務負担行為等を合わせますと2億8000万円程度になります。

《再々質問》奥村規子 県議
 アドバイザリー契約2億8000万円ということですが、契約先の事業者の応札は何件でしたか。

《再々答弁》 企画部長
 今年度のアドバイザリー契約につきましては、結果的には1者となっております。

《意見》奥村規子 県議
 1者ということです。これだけ高額の契約をすることで、様々な議論もあるかと思いますので、しっかりと県民に説明機会をもっていただきたいと思います。
 今の状況をお聞きすると、3,500人に説明会を行い、まだこれからも説明会を進めていっているなか、一方ではアドバイザリー契約をして進めています。
 県民の合意の問題や、カジノ誘致反対という意見もたくさんあるなかで、いったん凍結するべきと意見します。


3.太陽光発電建設計画に係る住民不安への対応について
《質問》奥村規子 県議
 3つ目は、太陽光発電建設計画についてお尋ねいたします。
 現在、和泉山脈において、大規模に山林を開発する複数のメガソーラー計画があり、土砂災害や環境破壊の懸念があることから、住民の不安が高まっています。
 県民の友6月号では、近年の総雨量が1000ミリを超える大雨など集中豪雨の発生回数が増加し、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化していることで、和歌山県においても、一時間雨量で5.0ミリを超える豪雨の発生回数が40年前と比べて約2.2倍に増加しており、台風や豪雨による被害が頻発していると述べられています。このような気候変動に伴って、いっそう住民のみなさんの不安が深まっています。
 そこで、お手元に配布しておりますのが、専門家の協力を得て、いま認定申請書を提出している事業所の計画地を調査した資料です。「千手川流域の土砂災害予測図」です。以前の質問の時にも示させていただいた地層図も含めて、「千手川流域の地形・地質」というパンフレットを南畑和歌山市会議員と協力して作りました。それも含めて今回もまた、専門家にお願いして報告書を作っていただいたものです。
 昨年7月5日~6日の、西月本豪雨の災害を調査報告にも載せているように、岩盤のゆるんだ斜面や地滑りで崩壊が多く発生しています。千手川上流で、やや規模の大きな土石流が発生して一時的に千手川をせき止め、その結果、川の水位が急上昇して危険な状態になりました。計画地内でも、2つの谷で土石流が発生して土砂の流出が起こり、市道をふせぐ災害が発生しました。事業者が区域を立ち入り禁止にしているため、崩壊地点を特定できませんが、2つの谷で崩壊土石流が発生したと推定されます。以上が、昨年の報告書の通りです。
 この調査に引き続いて、この地域の地形地質、土砂災害洪水の危険性について、調査と検討を専門家に依顕しました。この資料が、その結果と報告書の要約です。計画地斜面では岩盤地すべり・地すべりで岩盤のゆるみが多く発生しています。この黄色の所で矢印が地すべりの方向です。それぞれ右方上に印がありますが、例えば業者さんが作業道路を作ると、作業道路を作った後の土を残土や盛土にすることになっていますが、その下が地すべりの崩壊をして土石流の位置になる計画を考えられています。
 そういう岩盤の緩みがたくさんあるということで、新規の崩壊あとが随所に見られます。さらに、崩壊した土砂が谷底や谷の出口に堆積しています。千手川流域の滝谷、和歌山県と和歌山市が土石流危険区域に指定しています。計画地の4つの谷は、大規模な土石流が発生する可能性のある谷で、千手川をせき止めるおそれがあります。
 このような所の大規模な太陽光発電の建設計画については、大変危険な箇所での計画と考えられます。事業計画地周辺で生活している住民の方からも、土砂崩れが発生するのではないかという不安の声が私のところにも届いています。
 こうした状況のなか、「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」において、住民の不安の声や計画への意見の反映について、県としての対応をお聞かせください。

《答弁》 環境生活部長
 「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」では、事業者から事業計画の認定申請があった際には、県が申請書等を縦覧し、関係自治会や住民等利害関係者は自然環境、生活環境、景観等、環境保全上及び災害の発生の防止上の見地から意見を述べることができることとしております。
 認定の可否の決定に当たっては、こうした意見や事業者の見解、さらに市町村長の意見、和歌山県太陽光発電事業調査審議会の意見も踏まえ、安全面、環境面、景観面及び市町村の条例等も含めた法令上の認定基準に適合しているか、科学的かつ総合的に判断することとしております。
 従いまして、地元の方が、不安を感じたり、計画が不適当だと思われる場合は、条例にのっとって意見を提出していただきたいと、このように思います。

《要望》奥村規子 県議
 太陽光条例にのっとって意見をいうということで、専門家の十分な慎重な検討をしていただけるように、よろしくお願いしたいと思います。
 一事業ずつ、認定審査をやっていくという今の仕組みの中で、前にも申し上げましたが、和泉山脈に何ヵ所か申請をされるところ、今縦覧しているところもあると思いますが、何ヵ所もあるということに対する環境破壊や、そういったことをどうするのかということが課題にあるかと思います。でも審査は一つずつの事業ごとにやっていくということですので、その点について和歌山市とも十分相談しながら環境を守って、より良い自然エネルギーの施策を進めていくということでしていかないといけないと思います。ただ住民にこんなに不安を与える計画については認定しないようにしていただきたいと思います。
 最後に、災害防止区域・開発抑制区域などをぜひ考えていただきたいと申し上げます。


4.子供の生活実態調査について
(1)調査から見えてきた子供の生活実態、特に生活習慣や健康面をどのよう
   にとらえているか
《質問》奥村規子 県議
 質問の最後の項目は、子供の生活実態調査についてお聞きします。福祉保健部長にお尋ねします。
 県では、「子供の貧困対策の推進に関する法律」に基づき、2017年3月に「和歌山県子供の貧困対策推進計画」を策定しました。そして昨年、子供の生活実態や学習環境、支援制度の利用状況やニーズを把握し、県計画に基づき取り組む各施策や支援制度の検証を行い、県の子供の貧困対策をより効果的に推進してゆくことを目的として、実態調査されました。
 調査の対象は、子どもと保護者、そして、子どもの支援にかかわる機関の従事者に対しても、調査が実施されました。今回、資料提供にもいただいた、和歌山県子供の生活実態調査結果報告書は各議員に送られたと思います。そしてかなり厚い報告書がみなさんのいろいろなご苦労やいろんな方のご協力のもとで、報告書ができたことについてhじゃ敬意を表していきたいと思います。これを今後どう政策の中でいかすのかということになってくると思います。
 調査から見えてきた子どもの生活実態、特に生活習慣や健康面をどのようにとらえているかお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 まず実態でわかったことですが、昨年度実施した「和歌山県子供の生活実態調査」では、小学5年生及び中学2年生の全員及びその保護者に対するアンケート調査を実施し、家庭の経済状況が子どもの学習状況や社会性、生活習慣等にどのような影響を及ぼしているのかを分析しました。
 調査結果から、経済的に厳しい世帯の子どもほど「学校の授業がいつもわかる」と答える子どもの割合が低いこと、「自分には良いところがある」、「頑張ればよいことがある」等の自尊感情が低い子どもの割合が高いこと、また、経済的に厳しい世帯であっても、保護者の精神的健康状態が良好である場合は、子どもの自尊感情が高い傾向にあること等が明らかになりました。
 また、議員御指摘の子どもの生活習慣については、経済的に厳しい世帯の子どもほど、歯磨きをしたり朝食を摂ったり、決まった時間に寝起きするといった基本的な生活習慣が備わっていない傾向が見られました。
 加えて、「受診する時間がなかった」等の理由により医療機関を受診させなかった経験がある割合や、未治療の虫歯がある子どもの割合も高くなっているなど、世帯の経済状況は子どもの健康面でも影響を与えていることが明らかになったところです。

(2)今後の課題をどのように考えているか
《質問》奥村規子 県議
 今後の課題をどう考えているかもお答えください。

《答弁》 福祉保健部長
 今後の課題をどのように考えているかということですが、今回の調査では、経済的に厳しい世帯ほど、自尊感情が低い子どもの割合が高いこと、また、就労上などの理由により子どもと関わる時間の確保が難しく、保護者が子どもの悩み事の相談相手になっていることが少ない傾向が見られるなど、家庭における子どもへの関わり方に課題があることが明らかになりました。
 子どもの自尊感情を高めるためには、学校において、それぞれの子どもの良いところを見つけ、褒めることが重要であることから、子どもが自分に自信を持てるような取組をより一層充実してまいります。
 また、子どもへの直接的な働きかけはもちろんのこと、保護者の子育てに対する意識を高めることも重要であると考えます。
 このため、基本的な生活習慣の確立については、学校、家庭、地域で取り組んでいる「早ね・早おき・朝ごほん」運動を引き続き推進していくとともに、学校における個人面談等の機会を活用し、保護者に対し規則正しい生活リズムを身につけさせることの重要性や子どもとの対話の必要性を伝えてまいります。
 さらに、民生委員児童委員や放課後児童クラブ支援員、ひとり親家庭見守り支援員等に対しても、保護者の子どもへの適切な関わり方について研修を実施し、日頃の業務において保護者との関わりの中で活用していただくようにするなど、教育委員会とも連携を密にしながら更に取組をすすめてまいります。
 また、今回、子育て支援制度や相談窓口について十分認知されていない傾向が見られたため、必要な世帯に支援が行き渡るよう、市町村との連携をより密にし、児童扶養手当の現況届出の機会を活用するとともに、県のホームページをはじめ、テレビ、ラジオ等様々な媒体を通じ、各種支援策の周知徹底を図ります。
 現在、9部局24課室で構成する庁内会議において、新たな事業の展開も含め、既存事業の点検、見直しを行っているところであり、引き続き全庁挙げて取り組んでまいります。

《要望》奥村規子 県議
 かなり大がかりな調査だった思います。また報告をまとめていく上でも大変だったと思います。こういった中から課題が、先ほど部長がおっしゃった課題を和歌山県民あげてという形で子どもたちを将来、和歌山を担っていく子どもたちが健やかに成長していけるように私たちもがんばっていきたいと思います。
 全庁あげてということの中で、実質課題を推し進めていけるような、全庁の会議ということだけなく、いろんな課題を解決していくような、ある程度権限も持つ中での全庁的な会議をよろしくお願いしたいと、これは知事にもお願いしたいと思います。
 以上で一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。



                                      仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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