2019年6月県議会 農林水産委員会
 高田由一委員長の質問概要記録
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《質問》高田由一 委員長
 和歌山南漁協の問題について、田辺市から提出された第三者委員会の報告によると、5つの支所毎に組合長の印鑑があるが、押印する決裁規定がないなど、組織のガバナンスの問題であると思う。県としても調査し助言をしておくべきだったと感じたので、この点問題意識として伝えておく。
 和歌山南漁協は、平成19年4月に5つの漁協が合併した漁協であるが、合併後も支所運営のための補助金を行政が支出していたことが問題であると考える。支所の運営が苦しければ漁協全体で考えるべき問題であって、支所単位で「運営が苦しいから」という理由で、地元の行政に運営のための補助金を出させるというのは間違ったやり方だと考えるが、県の見解はどうか。

《答弁》 水産振興課長
 市町の補助金については、それぞれの自治体が公益上の必要性等を判断して支出されているところである。県としては、市町の個々の補助金の必要性についてはコメントする立場にはないと考える。

《意見》高田由一 委員長
 漁協運営のあり方を県の強力な指導のもと改善していくということなので、推移も見守りながら引き続きこの問題は関心を持って取り組んでいきたい。
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《質問》高田由一 委員長
 いせえび、まだい、いさきの放流事業について、効果の検証が十分できているのか。

《答弁》 水産振興課長
 まだい、いさきについては、県で放流効果の調査をしている。
 まだいについては、漁獲量が300トン弱で安定しており、放流が天然資源の安定化に一定の役割を担ってきたと推測される。
 いさきについては、平成15年度から漁獲された小型個体の放流を実施したことと、稚魚の放流により、平成20年以降漁獲量が比較的安定している。
 いせえびについては、放流効果の調査をしていないが、各地先でそれぞれの実情に応じた資源管理を行っており、その中で禁漁区にいせえびを放流する地域もあると聞いている。このような取組から安定した漁獲量を維持していると考えられる。
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《質問》高田由一 委員長
 東南アジアや中国などでプラスチック類の輸入禁止が拡がる中で、施設園芸産地の本県では、農業用廃プラスチックの処分について今後の見通しが大変懸念されるが、現在の処分状況と今後の見通しについて伺いたい。

《答弁》 果樹園芸課長
 本県の農業用廃プラスチックの処理量は、平成28年度で716トン、うち490トンが土木建設用資材に再生利用されている。
 また、中国が廃プラスチックの輸入を禁止としたことから、全国的に廃プラの処理価格は上昇傾向にあり、処理価格が上昇することと危惧しているが、今後とも、JAグループと連携し、廃プラスチックの適正処理に取り組んでいく。
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《質問》高田由一 委員長
 蜜蜂に大変な影響があると言われているネオニコチノイド系農薬の使用について、ヨーロッパでは既に規制をされていると聞いているが、国内での規制状況、また、他国を含めた状況などをお伺いしたい。

《答弁》 農業環境・鳥獣害対策室長
 ネオニコチノイド系農薬は多種の害虫に対し殺虫効果を有し、残効期間も高く、人や水性動物に対する毒性が弱いことから、果樹、野菜、稲等の害虫防除に使用されている。
 欧州委員会は、3種類のネオニコチノイド系農薬について、EU内において屋外での使用を禁止している。
 日本では、農林水産省が蜜蜂の農薬被害に関する調査を行った結果、蜂群崩壊症候群の発生は報告されておらず、ネオニコチノイド系農薬は他の殺虫剤に比べても毒性が強いものではないと判断しており、農薬の使用基準に基づく使用を認めている。

《要望》高田由一 委員長
 ヨーロッパでは蜜蜂との関係が危惧されて屋外使用が禁止されていることから、予防原則に基づき、ネオニコチノイド系農薬について、和歌山県は全国に先駆け、何らかの取組をしてほしい。
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《質問》高田由一 委員長
 松くい虫被害に係る薬剤の使用状況と効果の検証について説明願いたい。

《答弁》 森林整備課長
 県では、保安林などの公益的機能の高い松林やその周辺松林などへの被害を防ぐため、薬剤の予防散布と枯損木の伐倒駆除を併用した防除を実施している。
 なお、予防散布については、主に有機リン系薬剤を使用しており、ネオニコチノイド系農薬は県内の薬剤散布面積の約10%未満となっている。
 過去に一部の地域で薬剤散布をやめた時に被害が広がった事例があり、全国的にも同様の事例が報告されていることや、近年の被害量が横ばいで推移していることから、一定の効果があったものと認識している。
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《質問》高田由一 委員長
 16万立方メートル程度であった林業の素材生産量が近年ふえてきたと伺っている。今後の見通しと、生産量がふえた理由を聞きたい。

《答弁》 林業振興課長
 戦後植栽された森林が伐採期を迎え、県では平成29年に「森林・林業総合戦略」を策定し、増産を進めている。
 これにより、基準年の平成27年18万立方メートルだった生産量が、集成材用、合板用材の増加等により平成30年には25万立方メートルと増加している。
 今後、公共施設等非住宅での木材利用を進め、製材用材の需要を促進していくとともに、新たに建設される上富田町や新宮市での木質バイオマス発電所向けの燃料用材の需要がさらに増加する見込みであることから、素材の増産が見込まれる。

《質問》高田由一 委員長
 現在、上富田町岩田でCLT工法の公民館の建設が行われているが、構造材にも使えるCLTについて今後の県内での普及等をどう考えるか。

《答弁》 林業振興課長
 県内初のCLT工法による上富田町の岩田公民館建て替え工事が昨年度着工し、来月竣工の予定である。CLT工法については、在来工法に比べコスト高となるが、現場での施工期間の短縮や、軽量のため基礎工事が簡素化でき、多くの木材を使用することで木材需要の拡大につながる。県としては、県内加工場の特性から、木造の場合は、無垢材を優先使用することとしているが、非住宅建築物を計画する場合の工法の1つとしてCLT工法を活用し、紀州材の利用拡大を進めていきたい。
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《質問》高田由一 委員長
 南紀白浜ICを降りると、空港までの道路は「フラワーロード」と言われている。周辺は水田が多いが、収穫後に景観作物を植えることで来県者等に喜んでもらえると思う。景観作物導入に対する支援策はあるのか。

《答弁》 里地・里山振興室長
 多面的機能支払交付金の活用が考えられる。本交付金では農村環境保全活動の一環として景観作物の植栽活動に対し、10アール当たり2,000円の交付金を受けることができる。この場合、農業者以外の団体も含めた地域ぐるみの取組が必要であるため、地域での話し合いや合意形成が重要となる。
 取組内容等で交付単価が異なるため、具体的な話があれば当方に相談願いたい。
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《質問》高田由一 委員長
 農業次世代人材投資事業の国の予算が突然減額され、現場に混乱が広がっているとのことだが、本県への影響はないのか。

《答弁》 経営支援課長
 国の本年度予算は154億円で、昨年より20億円減額。和歌山県への配分額は約2億円で、昨年と同程度の新規就農があった場合、約1000万円不足する。
 このため、5月31日に近畿農政局幹部との意見交換会において、県より近畿農政局長に直接、必要な予算の確保について強く要望を行った結果、事業額を再度調査すると聞いており、引き続き国に対し要望していく。

《要望》高田由一 委員長
 しっかり要望していただいたということなので、よろしくお願いしたい。私たちも政治の立場から物を申していく。
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議案に対する採決
議案第109号 令和元年度和歌山県一般会計補正予算
議案第122号 令和元年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第131号 工事請負契約の締結について
は全会一致で原案可決



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