2.芦原地区連合自治会長の逮捕事件について
(1)県発注工事に関する調査結果について
(2)隣保館の運営について
(3)芦原地区特別対策協議会について
3.鉄道駅のバリアフリー化について
(1)国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」について県の認識と、バリ
アフリー化の取組状況について
(2)乗降者数が3,000人に満たない鉄道駅への支援状況と考え方について
(3)紀の川駅、宮前駅のバリアフリー化を早急に(要望)
2019年12月12日
1.カジノを含む統合型リゾート(IR)について
(1)説明会後のアンケート結果による県民の懸念について
《質問》奥村規子 県議
私はこれまで、予算委員会はじめ一般質問でカジノ含むIRの誘致について反対を表明してきました。県はこの8月から10月の間、「和歌山県IR基本構想(改訂版)」をもとに和歌山市内6ヵ所説明会を開催しました。私は和歌山市河北コミセンの説明会に参加しました。質疑応答含め1時間半の予定でしたが、フロアから質問や疑問も多く出され予定時間を超えるほどでした。
参加者からのアンケート結果はネットで公表されています。IRへの懸念事項の問いに対して、懸念することはないと回答した方は、わずか13名で、ほとんどの方が何等かのことを懸念しています。交通・環境・治安の悪化や、ギャンブル依存症の増加、未成年や地元への影響などの懸念する項目に多くの方が複数回答しています。ほかにも勤労意欲への減退や災害時の対策について回答されています。
「和歌山カジノに反対する海南の会」が漆器まつりで賑わう街中でカジノ誘致の賛否を問うシール投票を行いました。その結果、「いらない」が264名、「つくってほしい」が18名、「どちらともいえない」が19名という結果でした。このことから、もっと多くの人の声を聴くべきだと思います。
そこで、企画部長にお聞きします。このような多くの懸念の声が聞かれることについてどの様にお感じですか。
《答弁》 企画部長
県では、IRに関する県民の皆様のご理解を深めていただくために、シンポジウムや説明会などを開催しており、その際にIR設置に伴う社会的リスクへの対応策についても御説明しているところです。
これまで開催したシンポジウムや和歌山市内6ヵ所を含む県内13ヵ所での説明会、県政おはなし講座などにご参加いただいた方に、アンケートを実施し説明を聞いた後にIRをどのようにお感じになるかということを確認したところ、IR誘致については、「賛成」または「どちらかと言えば賛成」とされた方が約8割、「反対」または「どちらかと言えば反対」とされた方が約2割となっております。
また一方で、議員ご指摘のようにIRに対する懸念につきましても示されておりまして、回答が多い順に「渋滞などの交通問題」、「治安の悪化」、「反社会的勢力の介入」、「ゴミ・騒音などの環境問題」、「ギャンブル依存症の増加」という結果となっており、本運営にあたり気を付けていかないといけないと思っておりますし、まだまだご説明を続けていく必要があると感じているところです。
県としましては、引き続き、シンポジウムや説明会などあらゆる機会を捉えまして、社会的リスクへの対応策を含めた正確な情報の発信に努め、県民の皆様のご理解を得てまいりたいと考えております。
(2)事業が失敗した場合について
《質問》奥村規子 県議
県民から懸念の声が出されるのは、IRの中核がカジノであり刑法で禁じられている民営賭博であるためです。全国的な世論調査(10月時事通信)でも、反対が58%、賛成が27%で、カジノ反対が大きく上回っています。カジノ反対の声は根強いのです。
基本構想によりますと、カジノの収益は1401億円、その15%が県への納付金210億円と、入場料収入見込み額73億円、それを財源に、観光振興・社会福祉の増進・文化芸術・教育の振興に充てるとしています。
しかし、カジノ収益の原資は、庶民が汗水流して働いて得たお金です。カジノ事業者が生産活動を行って得た利益ではありません。収益が大きければ大きいほど、国民の懐からカジノ業者にお金が吸い込まれるということになります。これにより、地域の消費力へのマイナスの影響があります。ギャンブル依存症を増やし、家庭崩壊などの不幸を広げます。それはカジノからの距離が近いほど深刻な状態になるといわれています。カジノによるマイナス面は大変大きいと考えます。
また、事業が失敗すれば自治体にお金が入らず、地域の荒廃、失業者の増大、巨大な廃墟が残ることになりますが、どのように考えますか。企画部長にお伺いします。
《答弁》 企画部長
議員ご質問の事業の継続が困難になる可能性につきましては、3つの観点から、そのリスクは少ないものと考えております。
まず、事業者においては、自らの調査で採算性があると判断したからこそ和歌山マリーナシティを投資先に選んだこと、次に、県においては、事業者公募の際に提出される書類を精査し、「IR事業を長期的に継続して確実に実施する能力を有する事業者」を選定すること、さらに、国においては、区域認定の評価基準として「IR事業を安定的・継続的に運営できる能力及び体制」を掲げており、この点について評価が高くなければ認定はされない、でございます。
万一、事業の継続が困難になった場合には、一義的には事業を引き継げる新たな事業者を見つけることになりますが、そのような事態に備え、今後、県と選定する事業者との間で締結する実施協定において、あらかじめ、事業の継続が困難になった場合における事業者負担などの措置に関する事項を盛り込むなど、リスク対策を講じることとしております。
《再質問》奥村規子 県議
事業者が示す事業採算性については、どのように判断しますか。
《再答弁》 企画部長
事業採算性につきましては、今議会にですね、認定の委員会を設けることを提案させていただいておりますが、そこにですね、採算性に関して分析をする専門家の方に入っていただいて、まずはそこで審査をしていただきます。そこでチェックをしていただいて、最終的にはいろんな分野の専門家の方の審査の結果を受けて県で事業者を選定すると、そういう手続になっております。
(3)子どもが育つ生活環境への影響について
《質問》奥村規子 県議
賭博が違法とされている理由には「賭博が国民に怠惰浪費の弊風を生む」「健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風を害する」ことなどがあります。兵庫県の井戸知事が記者会見で述べていますが「額に汗しないで金儲けしようというスタイルは子どもたちに大きな影響を与える」と、カジノはいけないという考えを示しました。
カジノそのものが、子どもの生活環境に悪影響を及ぼすのではないでしょうか。教育長にお尋ねします。
《答弁》 宮﨑教育長
IRにつきましては、先ほど谷口議員に対する知事答弁にもありましたように、IR整備法において厳しい規制が掛けられるとともに、本県独自の取組も計画されています。議員のおっしゃるような子どもの生活環境に悪影響を及ぼすということは考えにくいかと思います。
《再質問》奥村規子 県議
子どもへの悪影響は充分避けられるということですが、子ども自らが善悪に対し、判断する力を養うことが大事だと思いますが、カジノについて、どの様に教えるつもりですか。
《再答弁》 宮崎教育長
先ほども申しましたように、県独自の政策もあります。深刻に考えているかということですけども、深刻に考えているからこそ、今日の子どもたちの周りにあるゲームとかスマートフォンとか、また将来的には、ギャンブルとか喫煙とか薬物とかそういったものの様々な誘惑があります。そういったものに対する依存症に陥らないように実効性のある教育活動を行うということが我々の仕事だと思っていますし、そのような形で準備を進めているところです。
今、いわゆる依存症リスクと言われているものがあります。これはギャンブルだけではなくて、喫煙、薬物とか、そういったものもありますし、子どもたちにとって一番問題なのは、やっぱりゲームとかスマートフォンになります。そういったものの依存症というのがたいへん問題になっているというのはご存じだと思います。そういったことに対応するために、教育委員会としては、依存症予防教育を進めているというところでございます。
《コメント》奥村規子 県議
カジノをつくらないことが最大の予防です。
(4)IR誘致により県の活性化がはかれるのか
《質問》奥村規子 県議
県は、カジノ含むIRの誘致により「経済波及効果絶大」と宣伝しています。
しかし、IRの収益として県が明らかにされているのは、カジノ1401億円、ホテル255億円、アリーナ施設14億円、駐車場20億円、飲食代325億円などで、82%はカジノの収益と計算されています。カジノは何も生み出さず、国民の金を吸い上げるものです。
私は、県がいう経済効果、雇用創出効果があったとしても、カジノを含むIRを誘致して県の活性化をはかるのは反対であると考えますが、県当局の見解をお伺いします。
《答弁》 仁坂知事
本県がIR誘致を目指しているのは、和歌山県の将来を考えてのことであります。
ご承知のように、1970年代までの本県の県内総生産は全国順位のほぼ真ん中あたりで推移しておりましたけれども、日本の産業構造が大きく変化する中で、本県では大きな転換がなされず、その順位をじわじわと下げてきて高齢化が進んでいるというのが現状であります。なんでそうなったか、いろいろ個々の原因はあるんでございますが、基本は、まずまずうまくいっているときは何もしなくてもこのままうまくいくはずだ、人間というのは必ずそういうふうに思いがちであります。うまくいっていなくても何もしなかったらもっとひどいことになるだろうと誰も思わない。誰もというか大体の人は思わない。これがですね、こういう想像力が乏しかったことがいろんなところで今日の和歌山のつらいところに表してきているのではないかというふうに思います。
県では、このような状況を背景に、これまでの和歌山の足を絞ってきた問題を一つ一つ解決しながら様々な分野の企業誘致や県内産業の振興に取り組んでまいりました。その結果、県内総生産は若干持ち直しつつありますけれども、まだ過去の衰退トレンドを払拭したわけではありませんし、今少しよさそうに見えることでも、申し上げたとおり将来ずっと続くという保障はないわけであります。その結果、今後本県がさらに発展していくためには、これまでの取組に加えて、できるだけ多く新たな試みもしていかないといけないということが必要だと考えております。
IRは滞在型観光の核として本県の観光振興に貢献し、その投資額は非常に大きくて、多くの職種で雇用の増加が見込まれます。経済活性化の起爆剤と言えると思います。さらに、これによって新たな雇用により定住者が生まれる。他所からも来てくれるということでございますので、人口減少対策としても大いに期待できるというふうに思います。シンクタンクに調べてもらいました。そうしたら、約3000億円弱の投資で毎年波及効果が約3000億円、現在和歌山のGDPが3兆5千億円ですから、だいたい10%強底上げされる。すなわち、それによって直接間接にいろんなところでチャンスが増えるということが予想されます。
ただし、経済活性化や雇用創出効果があるからといって、ギャンブル依存症などの課題をないがしろにするのであったら、これはいかんということが明らかでございますので、必要な対策をちゃんとしたうえでIR誘致に取り組んでいるわけでございます。
《再質問》奥村規子 県議
経済効果、雇用創出効果について述べられました。その中身にかかわって、再度質問します。
施行令で、ホテルは客室の床面積合計が概ね10万平方メートル以上という、日本最大クラスを上回る巨大なもの、また国際会議場と展示場についても、2,000人収容の国際会議場と12万平方メートルの展示場、6,000人収容の国際会議場と6万平方メートルの展示場など、今日本にはない規模のものを要件とすることが決められました。これは、県の基本構想の想定より大きなものを作らなければなりません。和歌山にできたら、どれだけ使われるのか、はたして運営できるものなのか、ちょっと考えられないような巨大な施設です。
知事は、以前には記者会見で「現実問題、大都市圏でしか、ああいうものすごく大きい国際展示場とか国際会議場とかの総合施設って立地できないのではないか」と言われています。県から国への要望書でも「国際会議場、劇場、宿泊施設等の施設要件が大規模かつ高度なものとなった場合、地方都市ではその要件を満たすことは極めて困難」などとしていました。そのとおりだといえます。
しかし、施行令は大都市でも地方都市でも、統一基準でホテルやMICEの規模を決めました。現実問題、地方都市にこんな巨大施設をつくっても、まったく空虚なものになってしまうのではないでしょうか。
知事は、巨大な施設が要件とされた施行令の基準について、今、どのように考えられていますか。
もう一点、日本の最高水準のホテルやMICEが施設要件となれば、投資規模がきわめて大きくなり、その収益エンジンとしてのカジノに、より一層大きな負荷がかかることになります。高収益をあげ、それを継続しなければならなくなります。
カジノとは、客と胴元が賭けあうもので、カジノが高収益を上げるということは、いかに客を賭け続けさせることができるかどうか、にかかっています。
カジノが高収益を上げるということは、より多くの国民をギャンブル漬けにし、国民のお金や資産をカジノ収益に吸い上げることにほかならず、より多くの依存症患者を生むことになるが、そのことについてどう考えますか。
《再答弁》 仁坂知事
第一の質問に関しましては、私の印象でございますが、奥村議員はどうもカジノ反対というか、IR反対かと思ったら、事業の成否を心配してくださっているように聞こえますが、私の考え方を申し述べます。
この法律ができる前でございますけれども、ヨーロッパ各国にあるようなホテルの中にあるカジノでもいいじゃないかと、観光の手段としてちゃんとやっているんだから、そういうのを認めてもらえないかという運動をしていたことも事実でございます。
ところが、国は明らかにそういう議論をいろいろ吸い上げたうえででございましょうが、シンガポール型の巨大なIR、統合型のリゾートを作ってその巨大な投資の力で日本を成長させようと多分思ったんだろうと思います。そういうようなものでないとダメというふうに言われたわけでございまして、それならそれで、それに合わせて我々も考えるしかないなと、我々も成長は望むところだからというふうに思っているわけです。
しかしながら、整備法の基準がですね、和歌山ではとても作れんなというようなことになるとですね、これは和歌山としてはちょっとつらいというのがございますので、その中身については、いろいろ意見を言ったりしたり、お願いをしたりしてきたところです。もっと具体的に言いますと、例えば、商業施設あるいは商業機能、これが巨大なものでなければならないとすれば、和歌山は大都会でもなく商業の中心でもありませんから、やっぱり商業の中心のところでしか作れないような施設ができれば、ちょっと和歌山はつらいねということになりますので、その辺はきちんとやってくださいよという話をしておりましたら、実際は、出来上がったMICE基準は、例えば商業ばかりでなくても、観光型のですね、あるいはレジャー型のMICEを中心とするような施設でもよろしいというふうになりましたので、いいかなというふうに思っているわけであります。
次に、IRは民設民営事業でありまして、日本は資本主義ですから、国家がすべての経営を塩梅するようないつかの体制とは違うわけでございますね。したがって、本県に投資を希望するような事業者がいないと成立しない中で、事業者の意向がどうかというところが大事になってくるわけです。
本県に投資意向のある複数の事業者に対して、IR整備法 施行令で示されたMICEやホテルの施設基準についてどうですかというふうに意見を求めたところ、事業者からは、現状の事業用地の規模で政令基準を満たす施設の設置・運営は可能であるという意見をいただいているところなので、我々にとっては、現状の施設基準に対して奥村さんのような心配はしていないということでございます。
第二にですね、カジノの採算はですね、必ずしも、これ現状なのですけれども、料金の決まっている博物館の入場料収入みたいなものではないんですね。すなわち、たくさんの人を動員しなきゃいけないんだということでは必ずしもなくて、決められたルールの下に誰かが参加して、それで料金を払ってもらえればよろしいということになります。したがって、今言われた多くの国民を動員してなんとかかんとかという話はですね、必ずしも当たらないかもしれない、当たるかもしれませんが当たらないかもしれません。それで決めつけるのは論理的に間違っているというふうに思います。すなわち、カジノ施設の入場者数の多寡によってカジノの採算が、あるいはIRの採算が決まるわけではない。
もうーつ、もっと大事なことは、ギャンブル依存症対策は、カジノ施設への入場者数の多寡で揺らぐものではないわけでございます。これは、1人入ろうとたくさん入ろうとですね、守るものは守ってもらわないと困るので、したがって従来から申し上げているとおり法律によって「マイナンバーカードを利用した入場回数制限」、「入場料の設定」、「本人・家族申告による入場制限措置」、「クレジットカードの使用不可」それから「キャッシュディスペンサーを置かない」とかですね、そういうことによって重層的な規制でカジノに起因する弊害は防げるかなというふうに思いますが、更にですね、破産リスクも防ぎたいと私たちは思っておりますので、使用上限額を設定してですね、現金をチャージする「IRカード」の導入とか、あるいは賭け事に熱くなっている人に休憩や退場を促す「依存症対策専門員の配置」など、これは法律ではありませんので、事業者に求めて、これらの運用を行っていただくことにより、ギャンブル依存症に加えて一回の賭け事で全財産をなくしてしまうような破産リスクについても防ぐことができると考えています。ギャンブル依存症は現に和歌山でもあります。全世界的にあります。それは良くないことであります。現にあるわけでありますから、当然カジノとは、和歌山のカジノとは関係ありません。だけど、良くないことであります。カジノ、韓国の一部みたいに何の規制もなくですね、認めたらそれはもう大変なことになります。いわば、一回ごとの球を買うお金ですね、パチンコは賭けと言ってはいけないのかもしれませんが、賭ける行為のお金が何百倍とか何千倍になったようなものを想像すればですね、それはもう恐るべきものになってしまうわけですが、そんなことをしてはいけないわけです。ちゃんと規制をしないといけないわけです。人間は想像力があるから立派なので、したがって、依存症問題もだいたい効果を考えるということも人間として、しうることであります。現にシンガポールはIRを導入した2010年以降、依存症の人は急減してしまいました。
《コメント》奥村規子 県議
何度も言うように、カジノは刑法で違法とされる民営賭博ですから、公益性がなければ合法化されません。だから巨大なホテルやMICEが要件とされているのです。私はこれで合法化されるとは思いませんが、しかし、法律の理屈としてはそうなっている。それで、エンジンとしてのカジノが高収益なものになってしまうのです。
カジノの収益、1401億円とされていますが、これをパチンコの粗利と比較してみます。2017年時点のデーターですが、県内にはパチンコ店87店舗、パチンコ台は2万5,362台、スロット1万2,796台あります。業界誌の計算で、それぞれ1台当たり、1日の粗利は全国平均で、パチンコ台1,790円、スロット1台2,260円。年間営業日数330日で計算すると、245億円です。県内中のパチンコ店で、客の負け分の合計が245億円です。
カジノは1店で1401億円。パチンコの5.7倍のもうけ、逆にいえば客の負け金の規模が5.7倍ということです。そういう規模の賭博がおこなわれることになるんです。
県の試算では、7割は外国人からの収益だといいます。仮にこの試算どおりとしても、県民はじめ日本人から381億円を儲ける、これはパチンコの1.5倍です。これだけの規模で客のお金が吸い上げられていく。このことは地域経済にとって、巨大なマイナスの経済効果を生み出すことになると考えます。
2.芦原地区連合自治会長の逮捕事件について
(1)県発注工事に関する調査結果について
《質問》奥村規子 県議
「芦原地区連合自治会長が詐欺容疑で逮捕」されました。連合自治会長が和歌山市の公共事業を請け負った業者から「協力金」名目で現金をだまし取ったというもので、市職員が請け負い業者を同自治会長に挨拶に連れて行くなどしていることが明らかになりました。尾花市長は、市職員が不適切な対応をしたことを認めました。
県でも、発注工事での調査をしたということです。その結果について、説明を求めます。県土整備部長お答えください。
《答弁》 県土整備部長
和歌山市発注工事に関連し、芦原地区連合自治会長が詐欺容疑で逮捕されましたことを受けて、県におきましても県発注工事等について調査を行ったところでございます。
調査につきましては、平成26年度から令和元年度の間の工事等31件につきまして、36名の職員、25の業者から聞き取りを行ったところでございます。
調査結果でございますけれども、職員と施工業者等の双方からの聞き取り結果といたしまして、職員と業者が一緒にあいさつに行ったのは、31件のうち22件、このうち業者のみが残ったのが15件でございます。不当な要求があった旨の相談が業者から職員に対してなされていた事例はございませんでした。
さらに職員に対する聞き取りでは、芦原地区連合自治会長の妻が経営していたスナックのパーティー券の販売に関与したり購入した職員もいませんでしたので、和歌山市では不適切とされた事例がございましたけれども、和歌山県としては不適切な対応はなかったということでございます。
一方、施工業者等に対する聞き取りでは、寄付が行われていたのは、25業者のうちの10の業者、そのうち寄付の要請を受けたのは6業者、自ら寄付を行ったのは4つの業者でございました。
その内容につきましては、祭りの寄付や地区への協力金などで、寄付額は、3万円以下が6業者、3万円~5万円が1業者、30万円が2業者、回答無しが1業者でございました。寄付を行った業者につきましては、不当な要求であると受け止めた業者はありませんでした。また、不当な要求を受けたと感じた業者はいましたが、金品等の支払いは行われておらず、その数は、2つの業者でございました。
以上の調査結果につきまして、先月11月29日に今後の対応と併せまして発表をしたところでございます。
《再質問》奥村規子 県議
県も業者といっしょに連合自治会長のところに挨拶に行っていたということですが、いつから何故、あいさつに行っていたのでしょうか。また、連合自治会会長へのあいさつは芦原地区だけでしょうか。県土整備部長にお尋ねします。
《再答弁》 県土整備部長
まず1点目でございますけれども、芦原地区連合自治会長へ職員が業者と一緒にあいさつに行った経緯でございますけれども、職員への聞き取りでは、この地区の工事等につきましては落札業者等とあいさつに行くよう前任者から引き継がれており、いつからかといったことや理由といった経緯などについてはわかりませんでした。
2点目でございますけれども、芦原地区のみだったのかというご質問でしたけれども、連合自治会長にこのような形であいさつに行った事例は、芦原地区のみでございました。
(2)隣保館の運営について
《質問》奥村規子 県議
連合自治会長が、芦原文化会館の一室を私物化していたということですが、これまで市民団体の方が会議室を借りに行った際に、使用拒否されました。最近のことですが、いったん文化会館の使用申し込みを受け付けたのにも関わらず、館長は尾花市長名で「不許可通知」を突き付けてきました。通知内容は2019年11月14日付けで、申請のあった隣保館の使用については、次の理由により許可しないことになりました。不許可の理由は「地域外の人が、会議で使用することができないため」ということでした。
芦原文化会館は「隣保館事業」と位置づけられていて、国から予算上の措置も行われています。国の運営方針では「広く地域住民が利用できるよう運営しなくてはならない」としています。隣保館について、県はどのような見解をお持ちでしょうか。福祉保健部長にお尋ねします。
《答弁》 福祉保健部長
隣保館は、社会福祉法並びに隣保館設置運営要綱に基づき、周辺地域も含めた地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行うことを目的として設置運営されている施設です。
そのため、隣保館の運営にあたっては、隣保館設置運営要綱に基づき、地域社会に密着した社会福祉施設として、広く住民に利用されるべきものと考えています。
《再質問》奥村規子 県議
「周辺地区を含め広く住民に利用されるべき」とお答えになりました。まったくそのとおりだと思います。
ところが、芦原文化会館は「地域外の人が使用できないため」という理由で使用を断ってきたのです。このことは、福祉保健部長がお答えいただいたこととはちがっていると思いますが、どうお考えでしょうか。
《再答弁》 福祉保健部長
議員からご質問いただいた状況によりますと、全ての状況を克明に把握するところまでは私は至っておりません。
ただ、そもそも公の施設というものは、その設置主体である自治体が責任を持って管理すべきものと考えておりますから、県が個別の案件個々について、意見を申し上げる立場にないというふうに考えています。隣保館は先程も申し上げましたとおり、各種相談事業や人権課題の解決をはじめとして、福祉の向上のために広く施策を展開する施設でありますから、その施設管理者が責任をもって、利用条件、利用目的も含めて適正な判断をされているものと考えますし、またそうあるべきと考えます。
《コメント》奥村規子 県議
隣保館事業は同和対策特別措置法に位置付けられて国補助のもとに進められてきましたが、2002年度の法期限後は一般施策として、先ほど答弁のあった運営の在り方で行われるはずです。地域を限定するような線引きはやめるべきだと指摘しおきます。
(3)芦原地区特別対策協議会について
《質問》奥村規子 県議
今回の事件は、芦原地区連合自治会長が引き起こした事件ですが、自治会長は「芦原地区特別対策協議会」の会長でもあります。和歌山市長は市議会の場で議員質問に答え、今回の事件の起こった背景と原因について、芦対協との交渉の場において職員が糾弾されることを過度に恐れていたことが背景にあり、不当な要求にも対応せざるを得なかったことが原因と考えていると答弁しました。
芦対協という組織は、県庁内に最初につくられ、その後、和歌山市と地元にもつくられたものだとお聞きしましたが、県庁内につくられた芦対協は、いつ、どのような目的で、どのようなメンバーで設置され、いつ、どのような理由で解散しましたか。
また、地元につくられた芦対協は、どういった組織で、今までこの協議会に対し、県は、どのような対応をしていましたか。
この事件を受け、和歌山市は芦対協と今後交渉しないことを明言しましたが、県として今後どのように対応するのかお答えください。企画部長にお尋ねします。
《答弁》 企画部長
ご質問のありました点で、まず、県の庁内組織である「芦原地区特別対策協議会」につきましては、昭和52年2月に芦原地区の生活環境等の諸問題の解決に向けて必要な施策を協議するため設置し、その後、所期の目的を達したため、平成12年度には解散しておりましたが、公文書の保存期間が過ぎていますので、具体的な所掌事務や構成メンバー等の詳細は不明です。
また、地元に作られた「芦原地区特別対策協議会」につきましては、昭和54年11月に地元住民が、芦原地区の生活環境等の諸問題の解決に向けて、必要な施策を協議するために設置された組織です。
県の対応状況につきましては、和歌山市を通じて、芦原地区特別対策協議会と和歌山市の交渉に、県職員の出席依頼があり、要望項目の担当部署職員数名と企画部職員1名が出席し、要望への回答や意見交換を行っていました。
今後の対応については、和歌山市と芦原地区特別対策協議会との関係の見直しを踏まえて、芦原地区特別対策協議会との交渉は行いません。
《コメント》奥村規子 県議
今後、芦対協とは交渉せず、特別な対応をしないということを確認したいと思います。
3.鉄道駅のバリアフリー化について
(1)国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」について県の認識と、
バリアフリー化の取組状況について
《質問》奥村規子 県議
国は2006年、新しいバリアフリー法を制定しました。2018年には、理念として「共生社会の実現」「社会的障壁の除去」を明示するなど改正しました。県としては、鉄道駅のバリアフリー化について、だれもが安心して鉄道を利用できるよう県も推進しているところと聞いています。1日当たりの利用者数が3,000人以上の駅については、令和2年度までに原則としてすべてについて、エレベーターやスロープを設置することをはじめとした段差の解消など、移動等の円滑化を可能な限り実施することが国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」で定められており、鉄道事業者と地元市町村と連携し、鉄道駅のバリアフリー化を推進するということです。
県の長期総合計画においては、地域公共交通を利用しましょう、電車やバスなどはみなさんの利用によって成り立っており、車中心のライフスタイルを見直し、積極的に活用しましょうと呼びかけています。利用者には、高齢者や病気の方、障害者、妊婦さん、子ども連れなど、移動に支障や困難な方がいらっしゃいます。
駅の乗降客数の調査に参加したとき、お年寄りの方などが、急な階段の昇降に何度も休憩しがら上っていました。手荷物があれば、さらに大変です。ベビーカーなどの場合も、階段を降りる時が大変です。
そこでお聞きします。県として、国の基本方針についてどのように認識し、バリアフリー化に取り組まれていますか。直近の支援状況を含めてお答えください。
《答弁》 企画部長
議員ご指摘のとおり、国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」では、1日当たりの乗降者数が3,000人以上の駅については、令和2年度までに原則として全てについて、エレベーターまたはスロープを設置することを始めとした段差の解消などの移動等の円滑化を実施することとし、その場合、地域の要請及び支援の下、鉄道駅の構造等の制約条件を踏まえ可能な限りの整備を行うこととされています。
この方針を受け、県では、誰もが安心して鉄道を利用できるよう、鉄道事業者が行う鉄道駅のバリアフリー化事業について補助する市町に対し、支援を行っているところです。
なお、直近の取組状況につきましては、JR岩出駅、紀三井寺駅及び湯浅駅で現在進められているバリアフリー化整備に対して、支援を行うこととしております。
(2)乗降者数が3,000人に満たない鉄道駅への支援状況と考え方
について
《質問》奥村規子 県議
これまでバリアフリー化を施行した中で、1日当たり乗降者数が3,000人に満たないところもありますが、3,000人未満の場合の支援状況と考え方についてお聞きします。
《答弁》 企画部長
1日当たりの乗降者数が3,000人未満の鉄道駅につきましては、平成25年度にJR紀伊勝浦駅で、今年度は湯浅駅で支援を実施しております。
国の基本方針では、1日当たりの乗降者数が3,000人未満の鉄道駅についても、乗降者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、可能な限りバリアフリー化を実施することとしており、地域の強い要望があり、地元市町も補助を要行う場合には、県も支援を行っています。
県といたしましても、今後も引き続き、鉄道駅のバリアフリー化が推進されるよう、鉄道事業者及び地元市町と連携しながら取り組んでまいります。
(3)紀の川駅、宮前駅のバリアフリー化を早急に
《要望》奥村規子 県議
こちらのパネルは「紀ノ川駅をよくする会」のみなさんが、紀ノ川駅にエレベーター設置を求める要請書名を提出している写真です。
特に利用客の多い、紀の川駅へのエレベーター設置や、乗降者数3,000人を超えているのにトイレがない宮前駅へのトイレ設置など、バリアフリー化等の整備を強めることを要望します。