2020年2月議会 議案に対する反対討論 杉山 俊雄
     録画中継(29:10~)
                                            2020317

 日本共産党県議団を代表しまして、議案第1号、3号、7号、8号、16号、43号、50号、76号及び84号に対する反対討論を行います。

 議案第1号は、令和2年度和歌山県一般会計予算です。前年度比6.8%増となる5905億円で過去3番目、ここ10年で最も高い水準です。
 歳入では、2020年度地方財政計画にもとづき、消費税増税により地方消費税が前年度比14.8%増を見込み、個人県民税は1.7%減、法人二税は4.9%減として、増税による景気の落ち込みを一定想定しています。しかし、新型コロナウイルスによる財政への影響は予断を許さない状況を呈しており、国に対し、地方財源確保のための必要な措置を提起していく必要があります。
 県債は40.9%増の756億円、臨時財政対策債を含めた県債残高は過去最高を更新し続け1兆906億円、県民1人あたり118万円の借金を背負うことになります。
 
歳出では、例えば、和歌山県の基幹産業である、農林水産業の担い手を育成するために県独自の支援を行う予算や、国の「国土強靭化のための3か年緊急対策」の予算を活用し、県全域で49河川の浸水対策を実施することなどは評価できます。
 そうした一方で、人件費が職員の減少などにより13億円減少、特に教員は、19年度の38人を上回る、46人を減らします。過労死ラインを超える教員の長時間労働を是正するためにも、非正規での雇用を減らし、正規教員を増やしていくべきです。また、国の学力テストに加え、県独自の学力テストを行います。年中学力テスト対策に追われ、子どもも教員も悲鳴をあげています。障害児教育では、特別支援学校の施設整備が追いついていない状況です。体育館への空調設備も、他府県のように支援学校を優先し整備するべきです。
 18年度に、子どもの生活実態調査が実施され、現在その課題について対策が行われていることは評価します。また20年度からは、ひとり親家庭に支援員が全戸訪問し、相談活動が行われます。様々な悩みによりそい支援していただける制度だと期待します。
 しかし、子どもの医療費は、すべての市町村の努力で中学校または高校卒業まで無料にしていますが、県の制度は就学前のままです。県として対象年齢を引き上げるべきです。
 高齢化率が全国6位の和歌山県では、年金の削減や消費税増税により、高齢者の生活がたいへん厳しい状況です。後期高齢者医療保険料では所得割で0.71%、均等割で4,492円の引き上げとなります。
 介護保険料も上がり続けています。制度導入時の県平均基準額は2,910円でしたが、第7期の2018年度から20年度は、6,538円と2.25倍です。30年度には9,117円になると推計され、公的負担を増やす以外に解決策はありません。また、介護職員の処遇は、依然として改善されていません。国に求めるだけでなく、県独自の支援策で抜本的に処遇を改善し、介護人材を大幅に確保していくことが急務です。
 県は2014年、国の方針そのままに地域医療構想を策定し、2025年までに2割以上の、約2,600病床の削減を進める計画です。これまで618病床を削減してきました。新型コロナウイルス感染拡大への対応でも、地域医療体制の充実が重要なことは明らかです。
 むだな公共事業では、和歌山北港沖の関電LNG発電所計画のための南防波堤建設は、総事業費300億円で、県は50億円を負担します。全長1,000メートルのうち640メートルがすでに建設済みで、これまで県は35億円を負担しました。18年の台風被害により、県の負担が7億円余り増えました。しかし、発電所着工のめどはたっておらず、防波堤建設だけが進められています。
 関西空港の埋め立てに、土砂を売った跡地である「コスモパーク加太」は、借金を440億円残しました。20年度も6億2000万円を支出し、土地開発公社への賃料にあてます。県は、コスモパーク加太の101ヘクタールの土地を、土地開発公社から1平方メートルあたり年580円で借り、その一部を20億円かけて用地造成して、カゴメ加太菜園に100円という破格の安値で貸していました。しかし、加太菜園は事業計画の縮小を繰り返し、賃料支払いが部分的に中断され減収が続き、ついには、18年9月の台風被害を受け操業を停止となりました。大型開発を優先してきた県の姿勢がもたらした、県民負担のおしつけです。
 カジノIR誘致予算では、7700万円を計上します。賭博であるカジノの誘致には反対します。
 以上のことから、議案第1号には反対します。
 なお、和歌山市において、地域子ども会活動支援事業及び人権啓発市町村助成事業での、補助金不正使用が明らかになりました。現在、調査中とのことですが、全容が明らかになった段階で、適切に対応されることを求めます。

 続きまして、議案第3号は、中小企業振興資金特別会計予算です。ゆがんだ同和行政のもとで行われた、中小企業高度化資金貸付では、ずさんな融資審査と債権管理により、82億円以上ものこげつきを残しています。また、それとは別に、これまで7件、30億円近くの債権を放棄してきました。今回も、議案第84号「権利の放棄」で14億8000万円を放棄します。とても県民の理解を得ることはできません。

 議案第7号は、国民健康保険特別会計予算です。高すぎる国保料・税の負担は、限界を超えています。県が市町村に示す、20年度の標準保険料率は、所得割も均等割も県平均で上がっており、また市町村の一般会計からの繰入をなくすという県の指導のもとで、今後も多くの市町村で値上がりすることが懸念されます。

 議案第8号は、県営競輪事業特別会計予算です。県が公営ギャンブルを運営することには反対します。


 議案第16号は、土地造成事業会計予算です。呼び込み型開発の失敗を反省し、説明責任を果たすことなしに、県民の税金から、毎年損失補てんを続けることには賛成できません。

 議案第43号は、部落差別の解消の推進に関する条例です。今回の条例で部落差別だけを特別扱いすることは、これまで関係者や行政などが長年努力してきたあゆみに逆行するおそれがあります。すでに和歌山県には「人権尊重の社会づくり条例」があります。こうした条例を生かして、県民一人ひとりが人として、尊重される社会を目指すことが大切だと考えます。

 議案第50号、認定こども園の認定の要件に関する条例の改正では、副園長または教頭の、資格要件緩和を5年間延長します。もともと設置目的が違う、保育所と幼稚園を一元化したこども園では、原則、職員は保育士と幼稚園教諭の両方の資格が必要ですが、現在は、人材不足を理由に、どちらか一方でよいとされています。安心・安全に子どもを預けられる環境を保障するため、両資格をもつ職員の養成を急ぐべきです。

 議案第76号の財産の取得では、カジノIRを誘致するための用地を取得するための議決であり反対です。

 以上で、議案に対する反対討論を終わります。



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