2020年4月臨時県議会
改新クラブ、日本共産党県議団、公明党県議団、無所属の会、日本維新の会、代表質疑
2020423

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
 改新クラブ、日本共産党県議団、公明党県議団、無所属の会、日本維新の会を代表して登壇させていただきます。
 政府の対応を待たず、仁坂知事が強力なりーダーシップのもと、迅速な検査と感染ルートの徹底した追跡調査を行って、感染を最小限抑えていただいている手腕、そして連日連夜の和歌山県としての対応行動には感謝と敬意を表する次第です。
 4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大され、翌日には世界全体の新たな死者が1万人を超え、日本国内でも感染者数が18日に1万人を超え、大都市以外で地方でも急増地域が出てきています。感染拡大やそれに伴う事業継続と雇用維持、そして生活支援対策には何よりスピード感が求められます。
 そこで、議案第89号令和2年度和歌山県一般会計補正予算の中でいかに検討されているかどうか、以下質疑をさせていただきます。
(1)雇用の維持と事業の継続等について、知事にご答弁願います。
 本県の中小零細企業が休業一歩手前というほど売り上げが落ちていたり、宿泊業、接客の有無を問わず夜の飲食店やカラオケ店等の事業主も、お客様が激減して商売が成り立っていかないところが統出している中、国の100万円、200万円の持続化給付金や国民への一律10万円支給まで待てない状況にあります。
 国へ要請いただくとともに、県においても、感染防止のための夜間外出の自粛とともに、企業・個人事業主の事業存続と、家賃支払いや自粛のための救済、支援、あるいは協力といった火急的速やかな対策についてはいかがですか。雇用の確保にもつながるし、また5月6日までと言わず、長期戦を見越した対策はいかがでしょうか。

《答弁》 仁坂知事
 県内では、困っている事業者の方がたくさんいて、その苦境は私も毎日苛まれております。営業の休業要請をしようとしまいと、困っている事業者を救済するのは行政の大事な役割であります。
 政府においては、緊急経済対策が閣議決定され、本県においても、それがまもなく執行できると思いますので、かなり効果があると思います。
 県では、それまでの繋ぎとして、2月1日から全国に先駆けて県の融資制度、これを設けておりますので、それを活用して繋いでいただくとともに、国の措置が使えるようになったら、さらに有利な制度も作り、あるいは国の制度、機関の制度そのものを利用し、そして給付金や雇用調整助成金などありとあらゆるものをうまく活用して、県民の皆さんができるだけ潤っていくように我々もお世話を申し上げていきたい、そんなふうに思っております。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(2)県境を封鎖する等の対策について、知事にご答弁お願いいたします。
 県外からの来訪者についても、宿泊予約受付の自粛等呼び掛けていただいているとはいえ、遊興施設等への他府県からのたくさんの方々の来訪について深刻な懸念を抱いています。今後県境を封鎖する等の対策は検討されていますか。

《答弁》 仁坂知事
 新型インフルエンザ等対策特別措置法には、災害対策基本法のように、警戒区域を設定して立入を制限する根拠となる条項が存在いたしませんので、議員お話しのような県境封鎖のようなことはできません。
 一方、感染状況を見ると、県外からの感染移入が一番恐ろしいということで、県外との交流自粛が要でございます。
 このため、先に、私から兵庫県及び大阪府知事にお願いして、府県民に対して府県外の遊興施設等の外出自粛を強く呼びかけていただくとともに、県内事業者に対して県外からの訪問客の受入自粛をお願いしてまいりました。
 こうした中、政府は緊急事態措置を全国に拡大して、その時にやはり趣旨は、県間の移動、特に大都市からの地方への移動というのが一番問題だと、こういうことでございましたので、和歌山県においても、県外との交流自粛を最優先といたしまして、業界にお願いをして、またさらに、強力に行政指導をおこなって、訪問客の受入自粛をしてまいりました。
 しかし、業界の皆さんも努力はしてくれていると、わたくしは思っておりますが、どうもやっぱり限界があるかな、という風な気もしております。
 そういう時は、営業自体の休業要請を行うしかないのでございますが、本日の議会のご指摘を踏まえ、早急に考えてまいりたいと思っております。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(3)他の災害の発生時における、県民の避難や避難所生活への影響について、危機管理監にお尋ねします。
 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発出中に、本県において大規模洪水や台風、あるいは大地震が発生した時における、県民の避難や避難所生活への影響はいかがでしょうか。

《答弁》 危機管理監
 県ではこれまでに災害が発生した場合、県民の皆様に迅速な避難所等への避難をお願いするとともに「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」を作成し、その中で感染症対策として、手洗いや換気、施設内の消毒など、主に衛生管理の徹底についても市町村に助言してきたところでございます。
 一方、新型コロナウイルス感染症が発生している状況下では、今まで以上に感染予防及び感染拡大の防止を徹底する必要があると考えています。特に感染予防等には3つの密をできる限り避けることとされており、従来の避難所では、この「3密」を発生させる可能性が高く、そのような環境を生じさせない避難行動や避難所運営が必要となります。
 そのため住民の皆様には、災害が発生した場合、躊躇なく避難していただくことが大前提となりますが、そのような揚合でも、あらかじめ親類や友人の家等への避難や垂直避難など避難所以外への分散避難を検討いただくことも必要となります。また、市町村においては、可能な限り多くの避難所を開設し、十分なスペースを確保するとともに、避難された方々の健康状態を確認し、咳や発熱等の症状のある避難者に専用スペースを確保するなどの取組も必要と考えています。
 今後、出水期を迎えることもあり、住民の皆様に呼びかけを行うとともに、速やかに「市町村避難所運営マニュアル作成モデル」の改定を行い、避難所におけるさらなる感染症対策についてマニュアルに登載するよう市町村に助言してまいりたいと考えております。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(4)医療提供体制の整備と感染拡大の防止等について、以下福祉保健部長にご答弁願います。
 マスク、消毒液、手袋等衛生用品が依然入手困難な状態が続いています。特に医療従事者や介護・障害者福祉従事者に安定供給が確保できるよう、さらなるご検討はされているのでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 衛生用品の安定供給についてですが、世界各国における新型コロナウイルス感染症に伴う急激な衛生用品の需要増の影響により、本県においても医療施設等において、マスクや消毒薬などの衛生用品が十分確保できない状態が続いています。
 マスクにつきましては、従来の調達業者に加え、独自の流通ルートをもった業者の把握に努め、調達を強く働きかけたところ、一定数量を確保できる見込みとなっています。
 また、消毒液につきましても、県内の製造業者に対して、直接供給を働きかけ、一定量が確保できる見込みとなっています。
 引き続き、衛生用品の更なる確保を進めてまいります。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
 感染症の検査件数が増えています。その現状をまずお答えいただきます。また、早急にPCR検査体制をいっそう充実いただきたいし、併せて簡易抗体検査キット等の導入とかドライブスルー方式のさらなる採用もご検討されているでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 県内初の感染が確認された済生会有田病院の院内感染への対策を実施した2月には1日最大件数85件を実施したこともありましたが、事態が収束した3月では、1日の平均の検査件数は約24件となっています。
 4月以降、県外からの感染移入が疑われる事例の増加により検査件数も増加傾向を示しているものの、早期発見、早期隔離のいわゆる「和歌山方式」により、4月19日までの1日平均検査件数は約44件にとどまっているところです。
 議員からお話しのあったドライブスルー方式ですが、多数の希望者を検査したとしても、陽性患者をきちんと隔離できないと却って感染を拡大させることになりかねません。むしろ、一人ひとりの患者を医師が診断した上で検査を行い、陽性の場合は隔離し、陰性の場合でも一定期間健康観察をするというように、見極めをつけていく現在の方法が良いと考えます。
 ただし、医療機関内で患者の安全なスペースや動線が確保できない場合で、屋外での検体採取が可能なときは、ドライブスルー方式は1つのテクニックとして取り得ると考えます。
 また、簡易抗体検査キットによる検査については、本県で試行的に実施をしているところでありますが、その有効性がまだ確立されていないことから、国の動向を注視してまいります。
 今後の感染者数の増加に備えた取組としては、県の検査機関である環境衛生研究センターにおいて、遺伝子検査用前処理設備など検査機器の増設や、県庁内他部局からの技術職員の増員など、検査体制の更なる強化を図り、引き続き、確実な検査の実施に取り組んでまいります。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(5)学校休校に関わる児童手当について、福祉保健部長にお願いいたします。
 学校の休校が長引く中、児童生徒の在宅による家計支出が増加していますが、攻府の児童手当臨時特別給付金に上乗せして、本県における児童手当の臨時特別給付といった支援はいかがですか。

《答弁》 福祉保健部長
 今般の国の緊急経済対策においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた子育て世帯を支援する取組のひとつとして、児童手当を受給する世帯に対し、臨時の特別給付金を1万円支給することとしています。
 この給付金は、国において全国一律の制度として設計しているものであり、県としては上乗せすることは考えていませんが、対象となる世帯にできるだけ速やかに支給するために市町村が必要な準備を円滑に進められるよう県としても各市町村に助言してまいります。
 なお、家計への経済的支援としては、この給付金とは別に、子どもも含めてすべての人に一人あたり10万円の給付も行われる予定であると承知しています。また、県としても、収入が減少した世帯に対する生活福祉資金の貸し付け原資の増額を本補正予算に計上するなど、生活支援が必要な方への取組をしつかり行ってまいります。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(6)介護・障害者福祉従事者の保育の確保について、福祉保健部長にお尋ねします。
 保育所や放課後児童クラブ等について、保育の縮小や臨時休園等の流れがありますが、警察・医療従事者のみならず、同じく社会の機能を維持するための就業継続が必要な介護・障害者福祉従事者についても優先的に受け入れる対象とするべきであると思います。保育園に預けておられる家族の実態もしっかり把握していただいた、保育等の確保はいかがですか。

《答弁》 福祉保健部長
 本県においては、4月17日に「和歌山県を含む全都道府県に緊急事態宣言が発出されたことに伴う県民の皆様へのお願い」を出したところであり、これに併せて、緊急事態宣言後の保育所等の対応について、改めて市町村に通知をしたところです。
 具体的には、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、国の通知に基づき、「仕事を休んで家にいて、家で保育が可能な保護者に対して、園児の登園を控えるようお願いする」ことを検討するよう、依頼しています。
 その際、就業を継続することが必要な方、ひとり親家庭などで仕事を休むことが困難な方など「保育が必要な方に保育を提供する」ことが大前提であるため、必要な保育が提供されないことがないよう、併せて対応を依頼しているところです。
 県としましては、警察・医療従事者などの業種に限らず、介護・障害福祉従事者をはじめ、保育が必要な方に保育の場を確保することが重要であると考えており、引き続き、新型コロナウイルス感染防止と保育の確保を両立するよう市町村に周知徹底してまいります。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(7)医療従事者への宿泊費支援について、福祉保健部長におうかがいいたします。
 新型コロナウイルス感染に関わる医療従事者が、不眠不休で頑張っておられる中で、感染患者対応のためのホテル等宿泊費の支援をしていただけるということですが、どのような内容になっていますか。

《答弁》 福祉保健部長
 医療従事者への宿泊費支援についてですが、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている医療機関では、院内感染防止のため、当該感染患者の治療には、原則的に特定の医師や看護師等が対応することとなります。
 従事期間中、医療従事者は、高い使命感から、勤務時間は長くなる傾向があり、また、緊張の続く状況下で高い集中力を求められる医療現場となっています。
 この様な中では、病院近隣のホテル等に宿泊することで、できる限り多くの休養時間を確保し、心身の負担軽減を図ることも必要であると考えております。
 そのため、そうした医療従事者を支援するため、その宿泊費用の一部を県が負担するものです。

《質疑》改新クラブ・長坂隆司県議
(8)誹謗中傷や風評被害について、知事にお尋ねいたします。
 誤解や偏見、忌避意識などにより、新型コロナウイルスに感染した人はもちろんのこと、医療機関や福祉施設、また学校等の教育関係者、海外からの帰国者等、並びにそれらの家族の方々に対する誹謗中傷や風評被害が起こりはじめています。新型コロナウイルス感染症からの不安が、不当な偏見、差別、いじめ、SNS等での差別的な書き込みにつながるので、こんな時こそ、冷静な判断と行動を県民の皆様に呼びかけていただく対策は講じられていますか。

《答弁》 仁坂知事
 議員ご指摘のように、全国的にも、感染症患者やそのご家族及び対策に携わった方々等に対する、誤解や偏見からくる差別やいじめ、個人情報の詮索が散見されております。
 誤った情報や不確かな情報による不当な差別、偏見、いじめ、SNSでの誹謗中傷等の人権侵害が起こってはならないと思っております。
 本県では、4月7日に「皆様にお願い」ということで、是非そういう.ことをしないようにということをお願いしたところでございます。
 ただ、紀の川市の打田中学校に対して、酷い内容の電話やメ-ルが大量に届いた事例もあります。また、事態収束のために懸命に働いている医療関係者やその御家族に対して、心ない言葉を投げつけたり、子弟に学校に来ないように言ったりする事例などもあると聞いております。
 このような恥ずかしいことは是非やめて、立派な県民であると言うことを、是非自ら証明していただきたい、そんなふうに心から思っております。


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