2020年5月臨時県議会
 総務委員会 楠本文郎委員の質問概要記録
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《質問》楠本文郎 委員
 歳入の国庫支出金38億1100万円は、すべて地方創生臨時交付金と考えてよいか。

《答弁》 財政課長
 5月補正予算の国庫支出金については、38億円のうち約34億円が地方創生臨時交付金であり、残りの分については、経済産業省からの国庫補助金である。具体的には、地域企業再生事業費補助金として4億円の歳入を計上している。この補助金については、地域企業の再起に向け地方自治体が支援するための事業費に充てることができるとされており、先般成立した国の補正予算においても増額計上されている。

《質問》楠本文郎 委員
 4億円の部分については知らなかった。臨時交付金の部分が34億円との説明であった。
 4月補正の国庫支出金が50億円計上されていたが、そのうち臨時交付金の分と5月補正の臨時交付金分と合わせると、国から示されている交付上限額と比べいくら残るのか、または不足するのか。

《答弁》 財政課長
 国の予算1兆円のうち、今回配分されたのは約7000億円に係る部分で、地方単独事業に充てることができるとされているものであり、残りの3000億円は国庫補助事業の地方負担分というミシン目になっている。今回、和歌山県に対しては54億円が交付上限額として示されている。4月補正予算では国庫支出金約50億円を計上したが、そのうち約25億円が地方創生臨時交付金となっている。さらにそのうち、約14億円が地方単独事業に充当する地方創生臨時交付金となっている。今回の5月補正予算では、38億円のうち34億円が地方創生臨時交付金になっており。さらにそのうち、32億円が地方単独事業に充当するものとなっている。4月補正予算と5月補正予算の地方単独事業に充当している分を合計すると、約46億円となり、これを交付限度額の54億円から差し引くと、約8億円、正確に言うと7億9000万円の残となる。

《質問》楠本文郎 委員
 足らなくなるのであれば、財政調整基金を使わなければ仕方がないと思っていたが、今の説明で7億9000万円の残りがあるということを確認した。
 国の示している1兆円規模の配分の使い方として、大きく分けると感染症防止費用という柱と事業活動支援費用という柱の2本柱になると思う。4月補正の柱は、どちらかというと感染症防止ということに重きを置いていたが、5月補正では全てが事業活動支援費用ということに出されるものとなっている。
 ここまで予算を組んで、7億9000万円が残ったという感覚なのか、または残しておかないと後で追加しないといけない可能性があるというのか、その認識を示してほしい。

《答弁》 財政課長
 今回は事業活動支援費用をメインに歳出補正しているが、4月に補正した感染症防止費用についても、その時点では十分な額を措置している。今後、状況が急変したり長期化する可能性があることから、そういった面でさらに感染症防止費用を追加する可能性がある。5月補正の事業活動支援についても、苦境にある事業者への支援という形になっているが、今後、新型コロナ感染症が終息した後のさらなる振興といったものについてもまだまだ財源が必要となる可能性があることから、この7億9000万円だけで全てが賄えるかと言われれば、そうではないと考えているので、今後、この交付金の増額についてもしっかり要望していきたい。

《質問》楠本文郎 委員
 最後の答弁は非常にありがたい。
 財政というのは、原課から上がってきた要望に財政的な裏付けをする。裏付けのないものは出せないということだから、裏付けをした中身を教えてほしい。事業継続支援に17億7900万円。これは売上が50%以上減少の県内事業者が対象ということであるが、この17億7900万円の積算を示してほしい。

《答弁》 財政課長
 事業者へのヒアリングを担当部局で実施し、この対象になる事業者数を積算して、約8000社が事業継続支援給付金の対象になると想定してこの予算を計上している。

《質問》楠本文郎 委員
 私も商工会議所に確認して、農協や漁協は個人事業主という位置づけができないのかと思う。田舎では大変である。特に花農家は3月から4月にかけて卒業式や入学式などのいろいろなイベントがなくなっている。花は天気が良くなったらどんどん育つので、外国からの人を受け入れて、花を刈り取り、アルバイト料を払うが、同時に花を捨てている。その内容で言えば、50%どころの話ではないという農家の声を聞いて、農協に救えないのかと聞いたところ、多分いけるだろうとのことであった。
 この事業は国が持続化支援金をやらないと県の上乗せがないという仕組みになっているので、国の要綱が通るかどうかが鍵になる。今の課長の答弁で言えば、商工関係の8000社が対象ということであるが、農家が農協から、漁師が漁協からの応援があれば、対象者がぐんと膨らむ可能性がある。これは原課が判断するべきものだと思うが、財政課とすれば、17億7900万円では足らないということもありえると思うが、いかがか。

《答弁》 財政課長
 補足すると、今回の事業継続支援の給付対象には農業者も含まれており、積算には含まれている。今後、不足するのではないかということであるが、事業者へのヒアリングを基にしっかり積算を行っているので、現時点で予算が不足することは想定していない。今後状況が急変する場合があれば状況の変化に応じて検討する。

《質問》楠本文郎 委員
 農業者も対象に入っているという答弁をいただいた。
 もう1つは事業継続推進に15億円ということであるが、これは20%以上の減少で新規に3分の2の補助をくださいという申請になるが、この積算規模について説明してほしい。

《答弁》 財政課長
 15億円の積算については、補助上限額が100万円になっており、およそ1500社に対する補助を行う前提である。
 事業者数の積算については、現在、コロナとは関係なく小規模事業者持続化補助金を小規模企業に対する振興策として実施しており、その補助実績などを参考に積上げを行っている。

《質問》楠本文郎 委員
 申請をサポートすると知事の説明の中にもあった。
 そのサポートというやり方が、どうも私にはイメージが湧かない。
 財政課として、申請でまず何人分のサポーターを考えているのか。どのような形態、例えば新宮まで出張してくれるのかなどのイメージがあるが、そういうものも積算の中に入っているのか。

《答弁》 財政課長
 今回の持続化給付金申請サポートのスキームであるが、今回給付金の審査を商工会や商工会議所で実施していただくことになっているので、県内の全38カ所の商工会や商工会議所に対してサポーターを配置するということである。具体的には全県均等に支援員を商工会等に配置し、窓口に来ていただいた方にその場でweb申請などのお手伝いをさせていただくという形になっている。

《質問》楠本文郎 委員
 webヘアップしたら簡単に計算してくれる、そのやり方さえわかれば誰でもできるものだとの説明であるが、私には難しい。この補助の形態は、商工会や商工会議所に行くことを促進する。そうすると、商工会議所は人的パワーが限られているので、その補助として県から賃金を払う方を派遣するというとらえ方でいいのか。

《答弁》 財政課長
 そのとおりである。

《質問》楠本文郎 委員
 雇用調整交付金というのがあり、これは今まで企業側からはとても申請しづらいという意見が多々挙げられてきた。国は使い勝手が良いようにしようということで動いてきている。その上に、県が社会保険労務士という資格を持った方を派遣するという予算が今回の予算だと思う。社会保険労務士というのは限られた資格を持った方々であるので、地域的な偏りを心配している。
 これも各市、郡、例えば県であれば振興局単位で派遣をするなどのイメージが湧きにくいので、何人ぐらいを予定していて、どんな形態になるのかのご説明をいただきたい。

《答弁》 財政課長
 雇用調整助成金申請サポート事業のスキームであるが、まずは労働センターに電話対応を行う社会保険労務士を1名配置する。
 また、県内6カ所で対面相談を実施することとしており、具体的にはプラザホープの他、橋本、有田、御坊、田辺、新宮を考えている。さらに、きめ細かく事業者に対してアドバイザーという形で社会保険労務士を直接派遣するが、大体20名の方に事業者を回っていただき、申請書類の作成を支援していただくことを考えている。事業全体では社会保険労務士会に委託をして実施することを考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 社会保険労務士会に20名という形で派遣することについて、イメージとしたら、何月何日に社会保険労務上が行くので、雇用調整助成金を申請しようと考えている事業者の方に来てもらい、対面で具体的に支援するという形が案内されて、社会保険労務士がそこに派遣されて、その費用を社会保険労務士の日当分の賃金を払っていくという形になっているという理解でよろしいか。

《答弁》 財政課長
 そのとおりである。

《質問》楠本文郎 委員
 先に記者会見のメモをいただいたが、今日の本会議でも知事がこう言われている。
 1つ目は全業種を対象にするのは、全国でも初めてという表現をされた。
 2つ目は困っている人を助けるというフレーズである。
 3つ目は、和歌山県は生き延びないといけない、事業を継続するためのサポートをするという、この3つの原則の流れの中で、今質問申し上げた中身の予算化が図られたと理解している。
 これは当然賛成するべき中身であるが、これに残念ながら乗れない方がまだいる。
 去年、開業準備をして資金を借り、1月からオープンを予定していたが、コロナで営業自粛となった方々がおられる。この方々は前年の実績がない。お尋ねしたら、12月に少しでもオープンして営業していれば実績になったが、12月にオープンしたところでそんなに大きな実績は出ないから、年明けてからがんばろうと思っていた方々が、この持続化給付金の制度に乗らない。国の制度に乗らないということは和歌山県も上乗せできないという狭間があるが、ここを救う必要があるから、7億9000万円ある中をどうフォローしていくかということは原課でしっかり考えていただき、財政当局の審査という形になるかと思う。
 そのような狭間があるということを理解していただきたい。
 もう1つ、部長に何らかのコメン'卜を出していただきたい質問になるが、和歌山県内に学生がたくさんいらっしゃる。学生の方にお聞きしたら、親からの仕送りが全くなく、アルバイトをして大学の授業料や生活費を払っている。飲食店のアルバイトが多いから休業でアルバイトがなくなり、収入はないがアパートの家賃を払わないといけないので、その家賃の支払は滞納になる。親から家賃をもらう訳にもいかず、大学を辞めないといけないかもしれないという話を聞いた。
 学費ということだけで考えれば教育委員会になるが、生活費をどうするのかといえば和歌山県として担当の部局を決め、相談窓口を作るというような方向がいるのではないかと思うがいかがか。

《答弁》 総務部長
 学生の方で生計をアルバイト中心にされている方、この方がアルバイトができず生計を立てるのが難しくなる。こういった方をどうするのかという話だと思うが、既存の制度、県の整備しているものだけでなくて国の制度もある。
 その中で例えば、生活福祉資金というのがあり、社会福祉協議会の方を窓口として、1カ月20万円、単身だと15万円を借り、それで何とかつないでもらうということで、貸付けの制度がある。
 この貸付けもなかなかすぐ返せないようであれば。返さなくてもいいというような話になっていると聞いている。こういったところでまず対応していただく形だと考えている。既存の制度の中でまずは対応できるものについて、周知広報しているところであり、活用していただくということで何とかしていく。
 さらに、その中でやはり救われない、困っているという声があれば、そういったところについていろいろな部局で入ってきた話というものから予算化するものについては、こちらの方も対応させていただく。次の6月議会で対応させていただきたいと考えている。

《質問》楠本文郎 委員
 生活福祉資金で入口は緊急小口の10万円であるが、今、大学は閉鎖されているが授業料は待ってくれないので、10万円は授業料にほとんど消えてしまう。さらに家賃がある。だから20万円申し込まないといけない。この緊急小口はポッキリ20万円である。一方、総合支援資金は、単身であれば15万円の45万円であるが、受給には一定の制約があるので、休業、失業、アルバイトというのは、この制度を受けるのが難しい。
 だから、社会福祉協議会や県で相談をしてもらわないといけないが、この道筋をつけてくれる部局はどこなのかというのが私の質問の趣旨である。
 制度があることは私も存じ上げている。それがものすごく制約が大きいから、融通を利かして幅広く対応するという調整役の部局がやっぱり必要ではないか。こういうのは、どこの部局が担当してくれるのか、ということだけ最後にお答えいただきたい。

《答弁》 総務部長
 どこにどう落ちるかということについては、最終的にその仕事の振りのところについて総務部でやっていくこともあるが、個別のところも見て、適切なところへ落とさないといけないということがあれば考えていきたい。


議案に対する採決
議案第90号 令和2年度和歌山県一般会計補正予算
は、全会一致で原案可決




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