6月和歌山県議会 議案と請願の不採択に対する反対討論
  楠本文郎
             録画中継
(19:10~)
                                     2020
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 日本共産党県議団を代表しまして、議案第93号、95号及び96号に対する反対討論並びに議請第2号を不採択とする委員長報告に対する反対討論を行います。
 国の補正予算を受けた総額約412億円の県補正予算案には、多様で大幅な新型コロナ対策の事業が盛り込まれており賛成です。しかし、医療や福祉・介護、学校、地域の産業などどの分野をとってもコロナ禍前の状態に戻すにはまだ十分とは言えない到達点であり、支援をさらに充実させることが必要です。
 さて、議案第93号は、県税条例の改正です。
 地方税法等の一部改正により個人県民税について、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、ひとり親家庭であれば同一の控除が適用されるとともに、非課税措置の対象も広げられたことは歓迎します。
 しかし本条例改正には、現行の少額投資非課税制度、通称「NISA(ニーサ)」が2023年で終了するため、新しい制度でNISAを続けることが含まれています。NISAはもともと、株式の譲渡所得・配当所得にかかる10%税率の特例が廃止されることに代わって創設された非課税措置です。
 日本共産党県議団は、10年前の制度設計から導入、拡大のたびに反対してきました。少額といえども5年で最大600万円まで投資でき、そこで出た利益を非課税にするものです。さらに今回は、取引上限額が610万円まで引き上げられます。新型コロナ感染拡大で庶民が通常の生活を送ることさえ苦しんでいるなか、投資できる財産を持つ人への優遇措置を盛り込むのは問題です。
 以上から、今回の県税条例改正には反対します。
 続きまして、議案第95号及び96号は、高等学校等専攻科の生徒への支援金創設に伴う事務のマイナンバー利用の拡大です。
 高校等専攻科生徒への支援金創設は、家庭の教育費負担の軽減を図ることを目的に国が授業料等を補助するものであり、教育への保護者、生徒の負担が高すぎる日本においては一定の改善です。
 しかしその事務を行うにあたり、マイナンバーの利用を可能にすることは問題です。
 近年、個人情報の流出が社会問題となっています。マイナンバーの情報漏洩事案も年々増えています。そのため国民の不安がぬぐえず、マイナンバーカードを取得した人は15%にとどまっています。
 ところが政府は、健康保険法や戸籍法の改正、デジタル手続法の成立など、マイナンバーカードを使わざるをえない状況をつくり続けています。今回創設された支援金は、この条例改正がなくても受け取ることは可能です。マイナンバーの利用を拡大するこの条例改正には賛成できません。
 最後に、議請第2号「地域住民の医療・福祉を支える医療・介護従事者への支援を国に求める意見書の提出を求める請願」を不採択とする委員長報告について申し上げます。
 当請願に対する課長意見は「新型コロナ感染で影響を受ける方々に国で広く支援策が講じられている、人権への配慮を求める啓発に取り組み、人権・風評被害に配慮した対策を国に求めている、国の制度に基づき慰労金を適切に執行する」と現状の対策で取り組むと言うものです。
 しかし、医療・介護現場では患者や利用者減に伴い経営状況が悪化し、夏季一時金の大幅引き下げが実施され、年末一時金が払えないのではといった懸念も出されています。また、崇高で献身的な努力が報われない、モチベーションが下がってしまうような事態が次々と起こっています。医療・介護従事者への風評被害で保育所や学童保育の利用抑制、自宅に帰ることができず車中に泊まることなども起きていました。慰労金の支給対象がはっきりしていないことも従事者間の不安材料となっています。これらのことは、今回の「国の次補正」だけでは解決できるものではありません。
 賃金・一時金の確保、風評被害をなくすこと、すべての医療・介護従事者への慰労金支給などが実施され、第2波・第3波に向けて、医療介護の従事者が高いモチベーションを持ち続けられるよう、議請第2号の本会議での採択を求めます。
 以上で、反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。


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