2020年12月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録
 
   録画中継

20201211

1.新型コロナウイルス感染症対策について
(1)県内の病床確保状況、実運用数等について
(2)新型コロナウイルス対応病院への財政支援について
(3)医療従事者の心理的負担軽減に対する県の支援について
(4)「地域外来検査センター」の設置を含めた県内の相談・診療・検査体制について
(5)新型コロナウイルス感染症の後遺症への対策について

2.カジノを含むIR誘致について
(1)IR候補地における地震対策について
(2)実施協定の期間について
(3)県の財政負担について
(4)県民への説明について


1.新型コロナウイルス感染症対策について
(1)県内の病床確保状況、実運用数等について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って2点について質問いたします。
 新型コロナウイルスの感染が県内でも急拡大しています。まず感染者の入院体制についておうかがいします。厚生労働省は12月2日時点でコロナの病床使用率は18都道府県で25%を超えており、その後も大阪、北海道、兵庫などでは逼迫した状況となっています。重症病床も12月5日時点で、7都府県で使用率20%以上とされています。
 そこで、県の現時点の入院病床の確保状況とすぐに入院可能な実運用数、そして実運用数に対して入院患者数はどのようになっているかお教えください。

《答弁》 福祉保健部長
 県内で初めて感染者が確認された当初、32床の感染症病床を確保していましたが、その後の感染拡大を受け、医療機関への協力要請により順次、病床数を拡大してきたところです。現状では約230床の受入病床を確保しているところですが、今後のさらなる感染拡大に備え、重症用病床40床を含む最大400床まで拡大できる体制を構築しています。
 12月9日時点の入院患者数は71名で、実運用病床に対する入院患者数は、約30%となっています。
 なお、今後のさらなる感染の拡大に備え、県内医療機関の一層の協力をいただき、今議会にさらに70床を増床するための補正予算案をお願いしているところです。

(2)新型コロナウイルス対応病院への財政支援について
《質問》奥村規子 県議
 入院病床の状況について、お答えいただきました。病床を確保するためには、全国的にもそうですが、医療現場での人員、とくに看護師の増員が急務です。またコロナ患者の入院を受け入れた病院に対する財政的な支援が必要です。現場からは、重症患者への診療報酬は通常の3倍ですが「人手もかかり機材も必要ですから、5倍ぐらいが適切な水準ではないか」とお聞きしています。
 ある病院では軽症者を受け入れることになっていますが高齢者の場合、お世話の必要度が高いため人手を要します。現在、空床確保の場合は52,000円の補助がありますが感染患者を受け入れても、診療報酬分と16,000円の加算はあるものの、ほぼ同等額にしかなりません。コロナ患者を受け入れることで、ほかの患者さんの受診抑制につながり、それによる減収もおこっています。
 また、こうした病院経営の状況から医療従事者の年末一時金が前年より削減されているところが多いということです。緊張感のなかで懸命に感染者への対応をされている医療従事者にしわよせされているのです。
 コロナの入院患者を受け入れることによって、経営がたいへんとなっている病院に対して、県としてどの様な支援を行っているでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 新型コロナウイルス感染症患者の入院病床を確保するためには、病院においては、感染者の受け入れに備え、病床を常に空床のまま確保しておく必要があることから、国において、病床確保にかかる支援策が講じられています。
 また、実際に感染症患者を受け入れた場合には、手厚い人員配置や多くの医療資材などが必要となることから、診療報酬上の臨時的な取り扱いとして、重症・中等症の診療報酬額が大幅に引き上げられたところです。
 県では、国の支援が薄い軽症患者を受け入れる医療機関に対しても、他と同等の支援が必要であると考え、県独自で国基準単価との差額を上乗せしているところです。
 さらに、感染初期の段階から、日夜緊張の続く現場で働く医療従事者に対し、特別手当を支給する医療機関への財政支援を行っているところです。

《要望》奥村規子 県議
 医療現場では、もともと医師・看護師不足の状況があったところに、このコロナ対応が求められているのです。現場では人員増と経営への支援なしには、入院体制の確保も診療・検査医療機関の確保もすすまない状況だと思います。病院・医療機関への県独自支援をされているということですが、さらに拡充されるよう、求めるものです。

(3)医療従事者の心理的負担軽減に対する県の支援について
《質問》奥村規子 県議
 現場でがんばっている医療従事者は、感染抑止に最新の注意をはらいながら、緊張感をもって業務にあたっています。この方々のこころのケアのために、専門家の派遣、相談体制など県として支援が必要ではないでしょうか。この点でのお考えをお聞きします。

《答弁》 福祉保健部長
 新型コロナ感染症患者への対応が長期化する中、日々業務にあたられている医療従事者の心理的負担は増加しているものと思われます。
 各医療機関が、従業員の健康管理としてメンタルヘルス相談等を実施する場合は、国の交付金を活用した「医療機関等の感染拡大防止対策事業」の支援対象となっており、県では、積極的に当該事業が活用されるよう医療機関に働きかけています。
 加えて、県単独でも、県精神保健福祉センターで、新型コロナに感染された方やその家族をはじめ県民の皆様からの、心のケアに関する相談を受け付けており、過度の緊張やストレスにさらされている医療従事者に対しましても、積極的に相談窓口を活用するよう、周知に努めております。
 県としては、今後も、県医師会および県病院協会と協力しながら、医療従事者の心理的負担の軽減に取り組む医療機関を支援してまいります。

《要望》奥村規子 県議
 医療従事者の心のケアのために、専門家の派遣をぜひ検討されたい。また相談を受け付けていることを周知されたい。
 また医療従事者の負担を軽減するための「宿泊所支援制度」については、一昨日も議論があり、条件の見直しも含め検討するよう要望されました。この制度は使い勝手が悪いとのことで、これまで延べ57日(11月末時点)しか利用されていません。制度では「感染症対策に従事した当日」しか宿泊できないとなっています。また、原則として、前日17時までの予約制といるため使えなかったということもおきています。この改善を含め、柔軟な対応をお願いし、もっと活用されるものになるよう、要望します。

(4)「地域外来検査センター」の設置を含めた県内の相談・診療・検査体制について
《質問》奥村規子 県議
 11月1日からの相談・診療・検査体制の見直しについて、インフルエンザとの同時流行に備え、かかりつけ医など地域で身近な医療機関から、県が診療・検査医療機関を指定し、その医療機関では、診療や検体採取を行うという体制がとられています。
 また、発熱患者を診ない、または検査しない医療機関が紹介するとしている、「地域外来検査センター」についても他府県では設置されています。
本県における「地域外来検査センター」の設置を含めた県内の相談・診療・検査体制についてお伺いします。

《答弁》 福祉保健部長
 季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に鑑別することは困難であることから、県においては、両方の検査を実施することができる医療機関の確保に努めてきたところです。
 インフルエンザの流行期を見据え、国の方針が変更され、従来、必要とされた保健所の判断を待つことなく、医師の判断により自院での検査が可能となったことから、より効率的に検査を受けることができるようになっています。
 具体的には、発熱等の症状がある方は、まず、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話で相談を行っていただくと、検査が可能となる「診療・検査医療機関」を紹介できる体制を構築するとともに、かかりつけ医がない場合には、県の相談窓口等で紹介する仕組みを設け、11月1日から運用を開始しているところです。
 また、12月1日現在、自院で診療・検体採取が可能となる医療機関を「診療・検査医療機関」として317か所の指定を行っているほか、かかりつけ医からの紹介を受け、検体採取のみを行う「地域外来・検査センター」は2か所設置されています。
 引き続き、県民の皆様が安心して医療機関を受診できる体制の強化に努めてまいります。

《要望》奥村規子 県議
 県内で指定されている診療・検査医療機関は317カ所、地域外来検査センターは2カ所ということでした。地域医師会や医療機関の協力で、さらに地域に応じた外来検査センターを設けることをぜひ、検討されたいと思います。

(5)新型コロナウイルス感染症の後遺症への対策について
《質問》奥村規子 県議
 県は県内で新型コロナウイルスに感染して入院し、その後退院した人の約半数に、後遺症とみられる症状があったとの調査結果を発表しました。退院から2か月以上たった人のうち約3割の方が体調が回復されていないと回答、退院して5か月以上症状が残っている方もあります。中には一生コロナと付き合っていかなければいけない、いつどのようなことになるかもわからないと、不安が付きまとっていて鬱状態を引き起こしている人もあります。後遺症に対しての対応や対策はどのようにお考えでしょうか。

《答弁》 福祉保健部長
 本県では、新型コロナウイルス感染症患者の退院後の症状や生活状況等を把握し、予防の重要性や感染症への理解を深めるための啓発や対策に繋げることを目的として、全国に先駆けて9月中旬に退院後2週間以上を経過した方を対象にアンケート調査を実施しました。調査結果では、回答者の約46%の方から、嗅覚障害や倦怠感、呼吸困難感や脱毛など、退院後も残存する何らかの症状があると回答があったところです。
 感染症患者の退院後のケアについて、国の基準では4週間、自身での健康観察を行うこととなっていますが、本県においては、退院後の症状や心身の健康状態を把握するため、県独自の運用として、保健所による2週間の健康観察を行っているところです。
 さらに、2週間経過後についても、健康面に不調がある場合は、保健所での健康相談のほか、症状に応じた専門の医療機関への受診を促すなどの対応を行っています。
 新型コロナウイルス感染症については、感染症に対する理解を深め、罹患しないよう感染予防を啓発することが何よりも重要であることから、県においては、今回の調査結果を医療機関に情報提供するとともに、引き続き、県民への呼びかけや、広報、チラシ等による周知に努めてまいります。

《要望》奥村規子 県議
 この点でも保健所の役割が発揮されています。12月10日、13時時点では、感染者数の累計は538人です。感染症患者の方のその後について、保健所の体制を強化して、状況の把握や相談にとりくまれるよう、要望しておきます。


2.カジノを含むIR誘致について
《質問》奥村規子 県議
 次に、カジノ含むIR誘致についてお聞きします。
 今、何よりも優先すべきなのは、先ほどからお聞きしたように、コロナ感染拡大を抑え、検査・診療体制を整備することであり、県として人の配置もお金も、カジノ誘致につぎこむことはやめ、コロナ対策にまわすべきだと考えます。
 しかしながら、県は誘致に向かって、国の基本方針改定案を受けて県のIR設置運営事業実施方針(案)を見直し、事業者の選定、さらには協定にすすもうとしています。そのIR計画の危険性と県の将来にわたる負担について、お聞きします。
(1)IR候補地における地震対策について
《質問》奥村規子 県議
 南海、東南海、東海の3連動地震の発生について、今後30年間に70~80%と評価されています。県はカジノの開業を2026年と予定しているようですが、そうなれば事業期間の40年間の間に、大きな地震と津波が発生して、県土の海岸部に大きな被害を与えることが心配されます。マリーナシティは、陸と2本の橋で結ばれているだけです。津波の高さは、実際は何メートルになるかはわかりませんが、マリーナシティから陸に向かって大勢の人が避難しなければなりません。
 今年8月に湯浅町で業者がおこなったIR説明会のパンフには、年間1300万人の客が訪れると書いています。1300万人がIR施設にくるとすれば、1日あたり平均で3万5千人ということになります。それほどの人数がアリーナシティにいるときに、大津波が襲来すれば、人命の安全を守るための対策がとれるのか、心配するのは当然だと思います。
 そして被災したIR施設、カジノ施設の復旧に、県民の税金がつぎ込まれるような事態は避けなければならないと考えます。県土全体に地震と津波の被害が広がっているときに、県財政をカジノ業者への支援に使われるような可能性がある協定は結ぶべきではありません。
 そこで、お聞きします。三連動地震や南海トラフ地震が発生した場合に、県はIRを来訪する人々の命を守る責任があると思いますが、そのために事業者に求めている条件は何でしょうか。防災対策、避難体制について、計画のなかでどう義務付けていくのか、お聞きします。

《答弁》 企画部長
 IRの誘致候補地である「和歌山マリーナシティ」は、3連動地震や南海ドラフ地震発生時に津波による浸水被害を一定程度受けることが想定されていることから、本県では募集要項において、特定複合観光施設の設置及び運営については、「南海卜ラフ巨大地震等自然災害に対して強靭かつ『津波による死者ゼ口』を充足する施設及び運営とする」ことを事業者に求めており、当該条件に即した提案が事業者からなされるものと考えております。
 なお、事業者の提案を踏まえた防災対策、避難体制につきましては、区域整備計画に記載することでその確実な履行を義務付けでまいります。

《再質問》奥村規子 県議
 「津波による死者ゼロ」を充足する施設を求めるということでしたが、どういう施設なのでしょうか。また集客人数は1日35,000人といえば、旧海南市の人口にも及ぶほどの人数ですから、果たしてどういう避難体制をとるのでしょうか。たいへん心配されるところです。
 また、災害で被害をこうむった場合などについて、IR事業者は不可抗力によって和歌山IRの全部または一部を実施することができなかった場合、和歌山県に対して速やかに通知するとともに、復旧に向けて協議する」、「和歌山県はIR事業者による復旧継続に最大限協力する」となっています。この点も心配です。県が復旧継続に最大限努力するということは、県財政からカジノの復旧継続に税金が投入されるということではありませんか。企画部長の答弁を求めます。


《再答弁》 企画部長
 今、議員のご質問にありました復旧に最大限協力するということですが、例えばマリーナシティが津波を受けて公共岸壁が壊れてしまうとか、2つの橋が落ちてしまう、道路が損傷といった場合、当然IR事業だけでなくてあそこには人も住んでおられますので、そういった所に対して復旧のため財政負担が生じる、こういったことを意味しております。

(2)実施協定の期間について
《質問》奥村規子 県議
 実施方針(案)のなかで事業期間が40年間とされています。IR区域整備法では国土交通大臣による区域整備計画の認定の有効期間は、はじめは10年でありその後は5年とされています。そして更新にあたっては最初の認定時と同じく県議会の議決や立地市町村の同意を得なければならないとされています。そうでありながら事業期間を県は40年とした理由はなにか。

《答弁》 企画部長
 国の基本方針(案)では、IR誘致を行う都道府県において、長期間にわたって、安定的で継続的なIRの運営を確保することが極めて重要な前提条件であるとされております。本県の実施協定期間については、「海外における先進事例」、「他のIR誘致候補地における実施協定期間」等を参考に検討を行いました。
 まず、海外における先進事例ですが、日本とは制度が異なるため一概に比較はできないものの、巨大な複合観光施設であるIRの建設には、多額の初期投資が必要となり、その投資回収に一定の期間を要することなどから、例えば、シンガポールでは土地の賃借権が60年、営業権が30年とされています。
 また、他のIR誘致候補地である大阪、長崎の実施方針案では実施協定期間を35年間と定めております。
 これらの諸要素を勘案し、実施方針(案)において実施協定期間を40年間とお示ししたところです。

(3)県の財政負担について
《質問》奥村規子 県議
 40年間の事業期間中に、IR事業を中止せざるをえない事由などが起こった場合に県は財政負担を行うのか、という問題です。
 先ほどあげた国の基本方針案では、「IR事業の継続が困難となる事由として、IR事業の業績不振、カジノ事業の免許が取得または更新できない場合、国土交通大臣による区域整備計画の認定が取り消される場合または認定の更新がなされない場合、災害の発生等が考えられる」としてこれらの事由をできる限り具体的に、網羅的に列挙したうえで、それぞれの場合に都道府県等及びIR事業者が採るべき措置を定めておくことが求められるとしています。
 IR事業を中止せざるを得ない事由が起こった場合を列挙して、それぞれの措置を決めておくことが必要だとされているわけです。そのなかには、区域整備計画の更新に際して、議会の議決や立地市の同意なくして、更新されない場合も、どう補償するのか、ということも含まれています。
 ところが実施方針では、和歌山IRの継続が困難となった場合の措置の詳細は、資産の処分方法も含め実施協定書(案)において示す。とされています。またリスクの分担の在り方についての項でも、詳細については実施協定書(案)に示すとなっています。
 ところが実施協定書(案)の開示をお願いしましたところ、まったく1ページも明らかにされていませんから、これについて県としての考えをお聞きします。IR事業を中止せざるを得ない事由が起こった場合に、それぞれの事由によって、県は財政負担を行うことがあるのかどうか、お聞きします。

《答弁》 企画部長
 実施方針(案)では、和歌山IRにおけるリスクは、実施協定等に特段の定めのない限り、IR事業者が負うものとしています。議員のご質問にありました例えばIR事業の不振であるとか、カジノの免許が取れないとか大部分の場合は全てIR事業者にリスクを負えと書いてあるわけであります。ただ、例外的に和歌山県がリスクを分担することがある場合として、不可抗力事象が発生した場合並びに法令等変更及び特定条例等変更が行われた場合について記載しております。
 まず、和歌山県及びIR事業者のいずれの責めにも帰すことができない自然災害又は騒乱、暴動その他の人為的な事象であって、和歌山IRの実施に直接かつ不利な影響を与える等、いわゆる不可抗力事象が発生した場合、この場合も原則として、IR事業者に生じた損害は事業者自らが負担することとしています。ただ先ほど議員のご質問でありましたように、本県では、このような場合、IR事業者による復旧及び継続に最大限協力することとしており、事象によっては先ほどご説明したような合理的な範囲で財政負担が生じる可能性がございます。
 次に、法令等が変更された場合、例えば、国がIR推進の方針を変更し、IR制度を廃止するなどの法律の新設等が行われ、和歌山県又はIR事業者に損失が生じた場合には、IR事業者が投資した費用については事業者が、県が投じた費用については県が各々負担すると、そういったことになります。
 また、県の方針の転換、つまり、IRが県とIR事業者が共同で作成した区域整備計画に基づき順調に運営されており、IR事業者に何ら瑕疵がないにも関わらず、県が一方的にIR事業を継続できないような条例を制定すること等により、IR事業者に損失が生じた場合には、こういった場合にはIR事業者には責めがないわけですから、県が一定の財政負担を行うことと書いております。

《意見》奥村規子 県議
 県が財政負担を行う場合もあるという答弁でした。区域認定を更新しない場合には事業者の損失を補償するとなると計り知れない県の財政負担になるのではないでしょうか。この点についても、県民にきちんと説明すべきです。そして実施方針案には明記せず、実際は県の負担を想定しているような計画は、やめておくべきだということを指摘します。

(4)県民への説明について
《質問》奥村規子 県議
 県は県民への説明会でIR誘致について、経済波及効果や人口減少抑制の効果などを説明してきました。9月議会において、市民団体からカジノ反対署名が届けられたことについて知事は「反対している人も代わりに再興策を示さないと一人前の意見とは言えない」と発言をされました。
 これまでもくりかえしてきましたが、刑法で賭博行為が禁止されており、公益性を口実にカジノが解禁されたとしても、その害悪はなくなるものではありません。反対する人は、安心して住める地域という願いと対立するものとして、カジノをとらえているのです。
 「再興策を示さないと一人前の意見とはいえない」というのは、カジノを経済振興の一方法としてしか見ず、その危険性をまともにみない、すり替えだと思います。カジノに反対する県民の意見を切ってすてるような態度は、県民の間に分断を持ち込むことになるのではないかと思い、その発言の撤回を求めるものですが、いかがですか。

《答弁》 仁坂知事
 県では、これまでシンポジウムや説明会等でIRに関する正確な情報をお伝えするとともに、IR誘致に反対されている方々の意見にも真摯に耳を傾け、寄せられた疑問や質問に対しても誠実に対応し、お答えし、ご不安やご懸念を払拭するための手立てを十分にとることを具体的に説明してきたところであります。
 また、頂いた署名については、賛成・反対に関わらず、県民の皆様のご意思であり、もとより謙虚に受け止めているところでございます。また、この議会をはじめ、あらゆるところでの議論に対しても、頭ごなしに聞かないなどということを言った覚えはないし、そういうつもりもございません。
 9月議会で奥村議員に対して申し上げたのは、どうしても反対だと心に固く決めていで、社会的リスクを排除するための手立てを十分にとることを何度説明しても、県の危険予防措置などの説明のどの部分に問題があり、何故理解できないのか、どこが間違っているのか、どこが不十分なのか、そういうことを具体的に説明いただけない方々に対して、これはどうしようもないなあと感じることがございます。そういう具体的なことをおっしゃらないで、とにかく自分は納得できない、説明不足だというばかりに見えるような方は困ったなと思っているわけです。
 例えば、先ほど田嶋部長から県負担について答弁がありました。これを聞いた後にも関わらず、まったくお聞きになっておられなかったかのようなご発言がありましたが、これはどうかなと思っているわけでございます。こういう時には困ったなと思っております。
 また、IRも和歌山を発展させるための政策の1つですから、「IRではない方法で和歌山を発展させたい」との考えであれば、「IRに代わって雇用や、将来の生活を守り、県の将来の発展に通じる代替案があれば是非意見を頂戴したい」という趣旨であって、今でもそのように思っております。
 和歌山県の将来を考えたら、当然すべての人が考慮しないといけないことを指摘したのが、なんでいけないことなのかなと思いまして、これを撤回しろというのであれば、和歌山の将来を構想するなと言ってるのと同じなので、ここまでお聞きになれば、良識ある奥村議員は撤回しろというのを撤回されるのではないかというふうに考えます。
 もうちょっと具体的に申し上げますと、奥村議員は今、ご発言で、IRのカジノについて、刑法で賭博行為は禁止されておりということで、論理を展開されました。賢明な奥村議員は違うと信じますが、現に、IR整備法で認められたものは刑法の禁止の対象外として国会で議決された法律で決まっているということを全く理解しないで、私に刑法違反はやめなさいとか言ってくる人がいるのはその一例であります。
 また、最後に危険性をまともに見ない、すり替えだとおっしゃいましたが、私たちは人後に落ちないほど、何もしないと危ない、賭け事は何もしないと危ないということについてまともにみているからこそ、こういう工夫を法律ではされているからかなりいいですよとか、県ではそれにプラスアルファしてこういう運営でやるので完璧ですよとか、世界一の水準だと思われるような危険予防策を考えて提案、発表して、何度も説明しているわけですが、いきなり、すり替えでけしからんと言われたら立つ瀬がないと思うわけでございます。
 なお、一人前という言葉を申し上げました。県知事である私とか県の将来のことを考える県議会の議員さんは一人前でなければならないということが求められると私は思います。ただし、県民一人ひとりが全部同じことを求められるということではないと私は思います。従って、反対してはいけないなどということは言っておりません。ただし、繰り返しになりますが、その時には、県の提案のどこが間違っているか、どこが不十分か、ここがおかしいんじゃないかと具体的に言ってほしいということを強く願望しています。

《意見》奥村規子 県議
 県民のくらしと健康をまもり、安全、安心な道で県経済を発展させるために、力をあわせて探求するのが、地方自治体の長としての在り方ではないでしょうか。


 
                                                      仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)

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