2020年12月和歌山県議会
   議案と請願の不採択に対する反対討論 奥村規子
       録画中継2320~)

 日本共産党県議団を代表いたしまして、議案第144号及び145号と、議請第6号の委員会不採択に対する反対討論を行います。
 議案第144号は「和歌山県部落差別解消推進条例の改正」です。私たち日本共産党県議団は今年の2月議会で、同条例の制定についてはすでに「人権尊重の社会づくり条例」があり、新たに条例を制定する必要はないという立場から反対しました。今回は制定から1年もたたないうちに改正しようというものです。
 改正案では、ネット上に部落差別書き込みがあった場合に、プロバイダに削除要請しても8割近くが削除されていないとして、プロバイダへの責務規定が追加されます。しかし、プロバイダ責任制限法や業界団体の自主規制において削除要請対応をとるのは権利侵害があった場合に限られています。県のプロバイダへの削除要請はお願いに留まらざるを得ず、削除するかどうかはプロバイダの任意となります。さらに、県の条例が県外・海外プロバイダにどれだけ影響力があるのかも疑問です。これでは、同条例に責務規定を追加する必要性はなく、先ほど挙げた人権尊重社会づくり条例でもできる対応であると考えます。
 また改正案では、県が説示・促しをしても部落差別をやめない者に対して勧告することが追加されました。この条例には部落差別の定義はなく、表現の自由とも密接にかかわる問題について、県の主観的判断により差別が認定される危険があります。いま国で、ネットでの誹謗中傷に対する新たな法制度の検討が進められています。そうした中、県の判断で県民に対し勧告する本条例は適切ではないと考えます。
 以上のことから144号には反対です。
 続きまして、議案第145号は「新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷対策に関する条例」の制定です。
 新型コロナ感染者等に対する誹謗中傷は、決して許されるものではありません。しかし、プロバイダへの責務規定に対する法の下での条例の権限や、プロバイダの任意性、人権尊重社会づくり条例でも対応可能であること、誹謗中傷に対する県の主観的判断など、先ほどの議案第144号と共通の問題があります。
 加えて、女性や性的マイノリティ、障害者、高齢者、人種などあらゆる差別・誹謗中傷問題があるなかで、新型コロナ感染に特化した条例を制定し、県民に勧告等を行うやり方では真の解決につながりません。正しい知識と理解を深め広げることこそ重要です。
 以上のことから、145号には賛成できません。
 最後に、議請第6号「国に対して消費税5%への引き下げを求める意見書を提出することを求める請願」が、総務委員会で不採択とされたことについて申し上げます。
 コロナ禍により苦しい生活状況が続くなかで、消費者、中小業者、農業者など多くの県民にとって重い負担となっている消費税は早急に引き下げるべきです。世界では、日本の消費税にあたる付加価値税を減税する国が増えています。国内でも、自民党を含む国会議員237人が消費税の引き下げを求めています。さらに、5%への引き下げを求める意見書をあげる自治体も増えています。和歌山県においても、県民生活と県内事業者を支えるために、議請第6号を本会議で採択するよう求めます。
 以上で反対討論を終わります。



 
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