2020年12月県議会 高田由一 一般質問 概要記録
   
     録画中継

                                 2020129
1.新型コロナウイルス感染症対策
(1)感染状況と拡大防止への対応
(2)社会的検査の必要性
(3)県の検査体制の充実について
(4)コロナ禍への経済対策
  ・これまでの取り組みの状況
  ・今後の取り組みについて

2.旧白浜空港の活用についての提案
(1)防災公園として整備を

3.災害時の仮設住宅として使える移動式木造住宅について
(1)移動式木造住宅の利用についての検討を

4.障害者にやさしい観光地づくり
(1)バリアフリー観光への情報発信の取り組み
(2)タンデム自転車の一般道走行解禁について

5.種苗法の一部改正について
(1)県育成品種の許諾料について


1.新型コロナウイルス感染症対策
《質問》高田由一 県議
 質問に入る前に、現在、新型コロナ感染症と闘病中の方もいらっしゃいます。お見舞いを申し上げますとともに、元気に回復されることを心からお祈りします。また、この間、亡くなられた方も増えました。ご冥福をお祈りいたしますとともに、心からお悔やみ申し上げます。さらに、医療関係者や県担当部局におかれては、県民の命と暮らしを守るために日夜奮闘いただいておりますことに敬意を表します。
(1)感染状況と拡大防止への対応
 では、質問に入ります。最初に、現時点での感染状況をどう考えているかうかがいます。和歌山県内でも、あちこちでクラスターが発生しています。現時点で県内でも直近1週間での人口10万人あたり感染者数は、6.81人、入院患者数も70名を超え、病床使用率も21%となってまさに第3波の状況です。
 また、大阪府は深刻です。少し前には、ほぼすべての指標で国が定めたステージ4つまり爆発的な感染拡大を超えているという報道もありました。大阪での感染拡大の状況からみると、本県でもさらなる拡大が懸念されます。これらの状況をどう見ていますか。また感染拡大防止への対応についてどうお考えですか。知事の答弁をお願いします。

《答弁》 仁坂知事
 全国的に新型コロナウイルスが第1波、第2波と比べ急増いたしまして、県内でも明らかに第3波といえる感染拡大がみられているところであります。
 まず、県内の最新の状況を申し上げますと、第2波と比べ、1週間の人口10万人あたりの感染者数が増加しておりますし、また、幅広い年代層に感染が見られるようになってきたところです。もっと端的に言うと、高齢者の感染者が第2波の時は少なかったんですが、今回は多くてそれが大変懸念されるところでございます。
 また、感染経路を見ると、県外由来や家族内感染は従来同様多くなっております。
 このような中、空気が乾燥し、換気状態も悪くなる冬場を迎えることから、感染者のさらなる増加が懸念されるところでございます。
 次に、大阪府の感染状況を申し上げますと、爆発的な感染拡大によりまして、府民に対して不要不急の外出自粛を要請せざるを得ない状況に立ち至っておりまして、大阪府との交流が多い本県としても非常に危惧をしております。
 更に、感染者の急増により医療体制も逼迫しております。先日、大阪府から看護師派遣要請を受けまして、本県としても感染が拡大しつつある中、特に大阪から要請されました「ICUでちゃんと働ける看護師」という派遣は大変難しいんでございますけれども、大阪府が危機的状況であることから、なんとかお願いを致しまして看護師2名の派遣を時期的には早々に決定したところでございます。他県も応援に続々と続いてきておる状態であります。
 県としては、これまでも県民の皆様へのお願いとして、特に感染が拡大している地域に出かけての会食や接待を伴った飲食はしないなど10箇条、当時は8箇条だったんですが、最近改めて10箇条について徹底した感染対策に取り組んでいただくようお願いをしております。
 加えて大阪府が府民に対して、最近でございますけども不要不急の外出自粛を要請したことから、それに合わせて本県でも去る12月4日にできる限り大阪府への不要不急の外出は控えるよう県民の皆様へお願いを申し上げました。常に申し上げている通り、感染拡大防止策は保健医療行政の努力と県民の行動自粛の努力の足し算だと考えているところでございます。ただ、あんまり県民の行動を抑制いたしますと生活や経済が破壊されてしまうという常にそういうリスクの上で考えておかなければいけないという辛いところにあります。
 本県といたしましては、従来から実施している、早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査を保健所の統合ネツトワークシステムにより進めていく和歌山方式の、和歌山方式というよりも感染症法の基本だと思いますけども、そんな感染防止対策に取り組むことで、全面的な経済生活の制約をできるだけしないように運用をしていきたいと思っているところでございますけれども、感染状況をみて、県民の皆様に対して時宜に応じた感染防止のお願いをさせていただくことによりまして、引き続き、県民の皆様と一緒になって感染防止に取り組んで参りだいと考えております。

(2)社会的検査の必要性
《質問》高田由一 県議
 次に、高齢者施設等への社会的検査についてうかがいます。
 今回の感染拡大を受けて厚生労働省は、従来からだしていた高齢者施設等の入所者、介護従事者に対する検査の徹底について、再度の要請を11月19日付け、20日付けの事務連絡で出しました。
 その内容は要するに、一つ、高齢者施設等の入所者や介護従事者等で発熱した人は必ず新型コロナの検査をすること、それで陽性者がでたら施設全員の検査をすること。二つ、保健所管内で複数のクラスターが発生している地域では、高齢者施設等や医療機関等に積極的な検査をする、つまり症状の有無にかかわらず検査をしていこうと、こういう2点だと私はとらえています。この政府方針は検査の徹底について初めて客観的基準を示した点において、従来の方針を大きくバージョンアップしたものです。
 和歌山県において、この政府方針にもとづき社会的検査を実施していくべきではないでしょうか。また、高齢者施設等の「等」には障害者の入所施設なども含まれると思いますが、これらの施設も含めて実施するべきではないでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 新規感染者を確認した場合、行動履歴等の調査を徹底的に行い、濃厚接触者はもとより少しでも感染の疑いがある者を検査対象者として特定し、症状の有無にかかわらず広範囲にPCR検査を徹底して実施することが、感染の拡大を抑え込む最善の方法です。
 本県では、県内で感染者が確認された当初から、保健所が徹底して調査を行った上で検査対象者を特定し、早期発見、早期隔離に繋げる和歌山方式による取組を継続してきたことで、感染拡大を最小限に抑え込んでいるものと認識しています。
 また、感染拡大を抑えていくためには、大規模な集団感染の発生を抑えることが重要ですので、医療機関や高齢者・障害者施設など、感染すると重症化リスクの高い方が利用する施設においては、感染者が確認された場合、広く迅速に徹底したPCR検査を行い、早期発見、早期隔離に繋げることで感染者を最小限にくい止めてきたところです。
 社会的検査の実施にかかる国からの通知に関し照会したところ、その趣旨は、感染がまん延し感染者の行動履歴等の把握や検査対象者の特定ができない状況に陥った地域を対象に、最低限高齢者施設等を守るために発出されたものであり、本県は対象となるものではないことを確認しているところです。
 実際に、いわゆる「世田谷方式」のように、施設関係者の一斉検査を実施している都市部の地域もありますが、限られた保健所のマンパワーでは施設内の入所者を守ることはできても、施設外の感染拡大を抑えることができず、多数の感染者が発生している現実もあります。
 本県がこれまで実施してきた和歌山方式を継続していかなければ、一気に感染がまん延するような状況になることは明らかであることから、引き続き、和歌山方式による感染防止対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

《再質問》高田由一 県議
 答弁では、高齢者施設等の社会的検査について、本県はやらないとのことですが、すでに先行して社会的な検査に踏み出している自治体もあります。
 東京都世田谷区の保坂区長は「症状が出てから検査をしていたら、もっと感染が広がっていたかもしれない。――重大になる前に感染者集団を見つけ、未然に防ぐことができた」としています。
 このように、社会的検査に国の方針よりも先行して踏み出したところで、クラスターを未然に防いでいるという事実があります。
 部長、なぜ国は高齢者施設等を最優先に検査せよとしているのですか。それは、クラスターが発生してからでは重症化して手遅れになるからです。命にかかわるからです。和歌山方式で感染を防いできたのですから、継続をしていただいたらいいと思います。ただ、高齢者施設等には上乗せしてほしいと思います。確認しますが、国は「和歌山県は社会的検査の対象となるものではない」といったのですか。

《再答弁》 福祉保健部長
 先日通知を受け取ったときに、20日付けの文書によりますと、クラスターが発生した地域によると優先的に高齢者施設等を検査するようにとの趣旨が読み取れる文書でありました。
 少し先ほどの答弁を補足させていただきますと、高齢者施設を優先的にしないということではなく、我々がずっとやっている検査の方式というものは、1人の陽性患者が出たら一定のその方の行動履歴を徹底的に把握して、どんな場所でどんな方と接触したといったことを徹底的に把握し、その中で関連性で、確認をすべきだと判断した人は全て検査をする、そういう中で、高齢者施設の人が少し関わると、国を上回るぐらい特定して全てやっているということであります。
 ですから、特別にそれを別にやるというより、今までの方針に全てそれが含まれていると考えております。そういったことをずっとやってきましたから、国の通知である全く感染の要因が無いところまでするというよりは、危険の高いところを優先的に我々はずっとやっているわけですから、その中で特に、福祉施設などは、慎重により広く特定しているわけです。
 そうしてきた上で、国に確認したところは、和歌山の方式を続けてください、和歌山の判断に任せます、特にそのようなところ、出来ていないところについては調整をしていきたいというふうな回答をいただいたところです。

《要望》高田由一 県議
 重要な答弁だと思います。ここに国の資料がありますが、どこにも都道府県で判断してとは書いてない。それで、問い合わせたら解釈はこうだと。これはちょっと、政府の分科会の専門家の先生たちと厚労省の役人との間で認識にギャップがあるのではないか。ぜひこれは、年明けの国会でわが党の国会議員団とも連携して、国の方で修正をしてもらいたいと思います。
 最後にこの間、私どもは高齢者施設や障害者施設のみなさんからも意見をうかがいました。どの方からも、新しい国の検査方針を歓迎する声が出されていました。お年寄りや障害者に感染させてはならないと、日々、神経をすり減らしながら勤務をされています。こうしたみなさんの心配に応えるためにも、国の方針どおりの社会的検査を強く要望しておきます。

(3)県の検査体制の充実について
《質問》高田由一 県議
 次に、県の検査体制の充実についてうかがいます。10月27日の知事記者会見で発表したこのPCR検査体制等という資料があります。行政、病院、民間検査機関別に検査能力が分類されていて、たとえば10月1日現在では、民間で一日415検体の検査が可能で、それがピーク時の能力では2,870件にまで拡大できるとしています。約7倍に増やせる目論見です。こんなに急に増やせるのか疑問符がつきます。
 やはり私は、国も言い始めた高齢者施設等への徹底的な検査をやろうと思ったら、大手の民間検査機関がある都会ではともかく、和歌山県では保健所で実際の検査をできる機材の配備と臨時的な人員体制の増強がどうしても必要になってくるのではないでしょうか。
 そこで福祉保健部長にうかがいます。
 行政、病院、民間と分けたこの検査体制の分類の内容はどういうものでしょうか。また、ピーク時の検査可能数の根拠は何でしょうか。
 さらに、ピーク時の検査数は、現在の県や病院の人員体制で可能なのかどうか。病院への人員支援の体制が必要だと考えますが、行政検査の一部を担ってもらう病院との事前調整はどうなっているでしょうか。
 加えて、必要な県保健所には県が検査機器と人員を配置してはどうでしょうか。以上、答弁をお願いします。

《答弁》 福祉保健部長
 本県の検査体制については、県及び市の地方衛生研究所による検査を「行政」、院内PCRを配備し自院で検査分析を行う地域の中核病院による検査を「病院」、主に民間検査機関で検査分析を行うクリニック等による検査を「民間」と分類し、それらを合わせ、感染まん延期のピーク時には約3,800件の検査が可能となる体制を確保したところです。
 この検査数は、それぞれの医療機関において実施する検査種別や人員体制も調査の上、県で算出したものであり、現在の県や医療機関の検査体制でも十分対応可能となる数値を見込んでいるものです。
 次に、議員ご質問の保健所への検査機器と人員の配置についてですが、保健所は感染の拡大を抑え込む最善の方法である行動履歴等の調査を徹底的に行い、検査対象者を特定するなど、感染症対策の中核となる役割を担っており、その業務量は、第3波といえる感染者の急増により著しく増大しています。こうした中、まさに極限の状態で業務を遂行している保健所に、本来業務ではない検査業務による負荷をかけてしまうと、感染症対策の仕組みそのものが破綻してしまうことは明らかです。
 そこで、このような極限状態の保健所の機能を維持していくため、保健所間の相互応援体制の整備や市町村等との協定による人員体制の強化を図っているところです。
 このようなことから、保健所に検査機能を持たせることは不可能です。
 一方で、検査体制の強化・拡充については、保健所機能と同じく感染防止対策に不可欠であることは言うまでもありません。このため、これまで、県環境衛生研究センターにおける検査機器の増設・人員体制の強化や地域の中核病院への機器配備などによる体制整備を図ってきたところです。
 これに加え、県内の検査体制をさらに拡充するため、今議会に一般社団法人和歌山市医師会成人病センターにPCR検査機器を整備する予算案をお願いしているところです。
 いずれにしましても、徹底した調査をもとにした検査対象者の特定と、特定された対象者に対し適正に判定を行う検査、これら双方の取組をしつかりと継続し、感染拡大防止に努めてまいります。

《要望》高田由一 県議
 保健所のヘルスセンターの本来業務に負荷をかけてしまうとのことですが、私は臨時の人員も配置してから対応すべき、少なくとも紀南地方の県保健所にはそうした検査機能を持たせることが必要だということを強調しておきたいと思います。
 京都府や福岡県ではヘルスセンターで検査をはじめました。感染が拡大してきたら病院の業務も手一杯になってきます。病院でやるのか、ヘルスセンターでやるのか、ということではありません。どちらも力を増強し、乗り越えましょうという提案なので、ご理解いただきたいと思います。

(4)コロナ禍への経済対策
・これまでの取り組みの状況
《質問》高田由一 県議
 次に、県内中小業者への経済対策についてうかがいます。政府は「経済を回さなければならない」といっていますが、日本医師会の中川会長が言うとおり「感染防止策が、結果的には一番の経済対策」だと思います。県内では感染拡大の第2波もすぎ、ようやく商売への活気も取り戻せるかとなってきた時に、今回の第3波は大きな打撃となります。そこでまず、新型コロナ感染症によって県内の中小業者へどのような影響があったのか、また国や県の支援策がどのような効果をあげたのか、商工観光労働部長の答弁をお願いします。

《答弁》 商工観光労働部長
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、5月の調査では、前年から売上げが半分以下となった事業者が、宿泊・観光業においては全体の98%、飲食業においては80%を占めるなど、県内事業者は甚大な影響を受けていました。
 その中で、本県では、事業者の方々に対する支援策として、全国に先駆けて融資制度の要件緩和を行い、資金需要に迅速に対応しました。さらに、4月臨時会、5月臨時会、6月定例会、9月定例会において議決いただき、事業者の事業継続を目的に融資制度の拡充や事業継続支援金などを創設するとともに、甚大な影響を受けた観光関連事業者への観光需要喚起策「わかやまリフレッシュプラン」などの支援策を包括的にとりまとめ実施してまいりました。
 各施策の活用状況として、融資制度の11月末現在の実績は約9,800件で約1570億円、事業継続支援金については、約27,000件で約55億円の申請を受け付けるなど、事業者の方々の事業継続に寄与し、また「わかやまリフレッシュプラン」については、300以上の事業者が参加され、延べ約14万人、直接消費額約16億円と、多くの県民の皆様にご利用いただき、夏場の観光関連産業の下支えに寄与するものとなりました。

・今後の取り組みについて
《質問》高田由一 県議
 では、いま答弁いただいたような認識に基づき、今後、どのような対策を打っていこうとお考えでしょうか。財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は中小業者向けの持続化給付金や家賃支援給付金などの支援措置について、「長期化はモラルハザードを生む」、「政府の支援への依存を招く」などとして予定通り終了させるべきと提言しました。これではやっていけません。国に対しても持続化給付金などの直接支援策の継続を求める必要があるのではないでしょうか。また、そのためにも中小業者のみなさんの状況を把握するための特別の取り組みが必要ではないでしょうか。部長の答弁をお願いします。


《答弁》 商工観光労働部長
 今後も、新型コロナウイルスとの闘いは続くものと思われることから、コロナウイルスの感染に気を付けながら、安全な営業、安全な生活、そして安全な外出に努め、うまく折り合いをつけてやっていくしかないと考えております。
 その中で、県経済を持続・発展させるため、雇用を守り、競争力を高めていくことができるよう、国や県の施策を総動員し、県内事業者が実施する生産性向上や販売促進などの新たな取組を支援するとともに、コロナ禍がもたらした現状と社会変化に対応できるようデジタル化を推進し、社会環境に応じたビジネスモデルを構築できるよう取り組んでいきます。

 一方で、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、資金繰り支援など、県内事業者が事業を継続し発展できるよう、国に対して必要に応じ要望してまいります。
 また、県内事業者の実態把握については、現在、県独自の制度である産業別担当者などを活用し行っているところですが、今後も引き続き、実態の把握に努め、施策に反映していく所存であります。

《要望》高田由一 県議
 中小業者からは家賃や地代、リース料などの固定費への継続的な支援をしてほしいとの声があがっています。また、持続化給付金については継続することとともに、団体からも要望がでている「みなし法人」についても対象となるようぜひ国にも要請していただきたい。以上、要望しておきます。


2.旧白浜空港の活用についての提案
(1)防災公園として整備を
《質問》高田由一 県議
 次に、旧白浜空港の活用についてうかがいます。この問題については以前から県議会でも何度か議論がありました。今回の提案は、地域のみなさんの声をもとにさらにバージョンアップしています。その内容は、防災機能と公園を兼ね備えた防災公園ということです。現在、県が旧空港に設定している広域防災拠点という機能と矛盾させることなく、普段は県民はもちろん、白浜に来られる観光客やワーケーション関係の方の憩いの場として活用しながら、いざ大規模災害時には、防災機能をもつ公園として整備するという提案です。
 知事はこれまで、旧空港の活用については「紀南地域全体の経済発展や活性化を考えるうえでも重要な土地。経済発展とか雇用増とかにつかわないともったいない」という考えを示され、そのような施設の誘致を推進するとしてきました。ただ、私はいま県も推進している空港を核とした地域活性化で、周辺地域へオフィスなどを誘致する動きや交通の拠点とする動きも出てきていることから、広い意味では、企業が来たくなる地域づくりの核となるという点で防災公園としての整備も「あり」ではないかと思います。
 今回、私が参考にさせていただいたのが、国営明石海峡公園です。神戸地区と淡路地区の2か所に分かれた形の公園ですが、そのうち淡路地区の公園は、関西空港建設にも使われた土取り場の跡地を利用したものです。年間を通じて美しい花の景色を創りだすとともに、広い芝生広場や駐車場を活かした地域の大規模イベントの会場としても活用されています。もちろん南海トラフの巨大地震にも対応できる広域防災拠点としても位置付けられています。近年の入園者数は年間50万人を超えるまでになっています。白浜のアドベンチャーワールドの年間入場者数は100万人を超えると言われていますが、それと比べても公園の集客力は十分あると思います。
 すでに新空港となってから25年が経過しています。企業誘致の努力について否定するものではありませんが、新たな視点にたった旧白浜空港の利活用について、私の提案も含めて知事のお考えを聞かせてください。

《答弁》 仁坂知事
 旧南紀白浜空港跡地は、紀南地方に残された数少ない広大な土地でありまして、本県を代表する観光地である白浜温泉の中心に立地しているところから、紀南地域全体の経済発展や活性化を考える上でも大変重要な土地であると思います。
 防災公園として整備することが広い意味で周辺地域の企業誘致に良い影響を及ぼすとのご意見でございますが、白浜においては、観光が中核産業でありますので、地元白浜町と連携を図りながら、観光地としての価値をより高めることを第一に考え、観光産業との相乗効果が図れ、出来るだけ高い集客力を持ち、地元雇用の貢献も見込まれる施設を誘致することが紀南地域の経済発展や活性化に最も効果を与えるものと考えてきました。
 これまで、県内でIRでもいいですよとか、あるいはアウトレットモールどうですかとか、宿泊施設等の立地を検討している企業や関係機関に対し、候補地のつとして紹介をいたしまして、進出の働きかけを積極的に、これはあの、積極的にのところは別にIRが入るわけではありません、積極的に行ってきましたが、しかし今のところ、すんでのところでうまくいかなかったという状況でありました。今後も白浜空港の運営民営化や新ターミナルの整備、白浜空港フラワーラインの全線開通の影響を踏まえ、従来よりももっと立地条件が良くなっておりますので、関係部局及び白浜町と連携を図り、集客力の高い施設の誘致に向けて取り組んでいくのが王道であろうと思います。
 この地域ではご指摘のように、大規模な災害が発生した場合に必要になる広域防災拠点として、白浜空港が紀南・紀中の代表として指定されておりまして、一旦、大規模災害が発生した場合は、自衛隊や緊急消防援助隊をはじめ、多数の防災関係機関の航空機が全国から結集する、また資材もここに貯めておくということになるわけであります。隣接する旧空港跡地のスペースも、こういうことになったときは活用するのがよろしい、ということでございますので、理想の誘致が実現するまでの間は、空港と一体として活用したいと思っております。
 また、議員ご指摘にありましたイベントとかですね、今コロナですからそういうことは無理ですが、そういうことも色々な用途はあるなあという風に、ご質問をお聞きして思っておりますので、また参考にさせていただきながら、用途を色々考えて参りたい、そういうことを思っております。


3.災害時の仮設住宅として使える移動式木造住宅について
(1)移動式木造住宅の利用についての検討を
《質問》高田由一 県議
 次に、災害時の仮設住宅として使える移動式木造住宅についてうかがいます。この移動式木造住宅は、最近、住友林業などの大手も含め民間事業者の間で開発と普及が進められようとしています。移動式というのは、住宅そのものの規格が海上輸送コンテナと同じ大きさになっており、解体することなくそのままの形でトレーラーなどでどこへでも運ぶことができ、電気、水道、ガスをつなげばすぐに快適な生活を営むことができるものです。今年の7月豪雨で大きな被害を受けた熊本県球磨村でも、すでに68棟が活用されていると聞いています。
 私は、さきほどの防災公園の整備についての提案ともあわせて「移動式木造住宅」の活用について提案したいと思います。
 この移動式木造住宅がこれまでの仮設住宅とちがうのは、社会的備蓄という考えに基づき、普段から宿泊施設やオフィスなどとして活用しながら、いざ災害時には仮設住宅や福祉避難所としても利用できることです。災害にあってから応急仮設住宅が完成するには、従来のやり方では早くても1か月以上かかっています。この移動式木造住宅だと普段から利用しているのですから、そのまま活用することもできるし、また、移動させて他の被災地で応急仮設住宅として支援に使うこともできます。そのうえで県産材の利用促進にもなるし、新しい集成材であるCLTの活用もできるとされています。
 ぜひ、この移動式木造住宅の仮設住宅への利用について、検討を始めていただきたいと思いますが、県土整備部長の答弁をお願いします。

《答弁》 県土整備部長
 議員ご指摘の「移動式木造住宅」は、平時には宿泊施設に、災害時には応急仮設住宅に活用できるトラック輸送可能なコンテナ型の住宅です。これまで、平成30年7月の西日本豪雨や令和2年7月豪雨において、岡山県や熊本県の応急仮設住宅に採用されるなど、全国で100基程度の活用実績があると聞いてございます。
 県では、災害時の応急仮設住宅の供給については、まずは既存の公営住宅や民間賃貸住宅の空室を一定期間借り上げることで、被災された県民の方々の居住の安定を確保することとしています。その上で、必要な戸数が確保困難な場合などにおいて、応急仮設住宅を建設し、戸数を確保することとしています。また、そのために一般社団法人プレハブ建築協会や和歌山県応急木造仮設住宅建設協議会など関係業界団体と、あらかじめ建設従事者や資材の迅速な提供に係る協定を締結しています。
 県といたしましては、災害時において現在の仕組みが最大限機能するよう体制を整えることに注力することとし、「移動式木造住宅」の応急仮設住宅への導入については、当面、活用実績の推移の把握、平時における活用事例の収集、災害時における輸送方法や据付方法などの検討を実施してまいります。


4.障害者にやさしい観光地づくり
(1)バリアフリー観光への情報発信の取り組み
《質問》高田由一 県議
 次に、障害者にやさしい観光地づくりについてうかがいます。
 1番目、バリアフリー観光への情報発信の取り組みについてうかがいます。とくに今回は、車椅子利用者が安心して移動、観光できるような情報提供と歩道などの整備に力を入れてほしいとの思いから質問します。
 自転車を利用した観光については「サイクリング王国わかやま」ということで、サイクリングロードを県内全域に整備され、県も国も力を入れています。道路に青い線ブルーラインや矢羽根印をつけたり、看板を整備したりすることによって、和歌山県全体で力を入れていることが内外にアピールされ、自転車で観光される方も増えています。このこと自体、いい取り組みだと思いますが、今回、私が提案したいのは、同様の取り組みを車椅子の方むけにも実施できないものだろうかということです。
 私もたまに車椅子の方の移動支援をすることがありますが、地元白浜の観光施設や景勝地周辺でも、歩道であっても車椅子利用者が絶対に通れないような構造になっているところもあります。風光明媚な観光地において、観光スポットをタクシーを使って巡るのも楽しみでしょう。しかし、歩いて散歩を楽しむのと同様に、サイクリングも風を切っての移動そのものが楽しみです。こうした移動の楽しみを観光に取り入れることは、とくに障害のある方にとっては他であじわえない大きな楽しみになると考えます。
 こうした点をふまえて、バリアフリー観光への情報発信の取り組みについて、商工観光労働部長の答弁をお願いします。

《答弁》 商工観光労働部長
 本県に訪れるすべての観光客が、安全・安心・快適に観光地で過ごすためには、受入地域の宿泊施設や観光施設等のバリアフリー情報は重要です。
 このため、県では、公式ホームページ「福祉のまちづくりマップ」において、障害のある方が安全かつ円滑に利用できる宿泊施設や観光関連施設、トイレ、文化施設などの整備状況や位置等を案内しています。
 また、飲食店やお土産、温泉施設等を紹介し、観光客の皆様に県内周遊していただくために実施している「和みわかやまっぷwithスタンプラリー」の冊子においても、参加施設のバリアフリー情報を掲載しているところです。
 今後も、車椅子を利用される方にも安心して本県で観光していただけるよう、県が作成する観光パンフレットの、例えばモデルコースで紹介している施設に車椅子マークを表示することや、可能なところでは車椅子での移動ルートを明示するなど、バリアフリー情報を充実させていきます。
 また、パンフレットの作成にあたっては、市町村にも協力いただきながら、掲載施設等のバリアフリー状況の点検及び調査を実施していきます。
 加えて、県内の観光関係者を対象に実施している「おもてなしセミナー」においても、車椅子を利用される方をはじめすべての方が楽しめるよう、バリアフリー観光を研修テーマに組み入れ、関係者のバリアフリー観光に対する意識を高めてまいりたいと考えております。

《要望》高田由一 県議
 バリアフリー観光推進のためには、全県おしなべて均一の取り組みをするというよりは、どこかモデルコースのようなものを作って、成功例をそれぞれの観光関連のみなさんに体験してもらうことが大切だと思います。それが新たな顧客を獲得することにもつながると思います。ハードの整備が必要な箇所もあるでしょう。ボランティアの助けが必要なところもあるかもしれません。私も地元のみなさんや車椅子利用のみなさんとも連携しながら、今後も問題提起していきたいと思います。サイクリングのブルーラインのように、車椅子観光にはハートフルラインでお願いします。

(2)タンデム自転車の一般道走行解禁について
《質問》高田由一 県議
 次に、タンデム自転車の一般道走行解禁についてうかがいます。タンデム自転車とは以前、岩田議員も取り上げておられましたが、二人分の座席があり、ペダルも二人でこぐのですが、後部座席の人はハンドル操作をする必要がないため、視覚障害や他の障害を持った方などもサイクリングを楽しむことができるものです。また、パラリンピックの競技種目にもなっています。今回、この問題を取り上げたのは、視覚障害者のマラソンの伴走やタンデム自転車での走行についてボランティアをされているみなさんから要望をいただいたことがきっかけです。今年になって次々と一般道走行が解禁される県が増えました。和歌山県では、これまで紀ノ川自転車道など自転車専用道路のみでの走行に限られていたタンデム自転車ですが、12月20日からは一般道路でも走行が可能となったようで、たいへん喜ばしいことです。
 ただ、最近、ペダル装置が縦列に(縦に)設けられたものではないタイプのタンデム自転車もでてきています(写真資料配付)。こういうのが使えれば、本当に観光地での気軽な楽しみが増えると思います。
 そこでうかがいます。和歌山県でのタンデム自転車の一般道路走行解禁にむけたこれまでの検討経過ならびにさきほど紹介したような新しいタイプのタンデム自転車は走行可能なのかどうか、警察本部長の答弁をお願いします。

《答弁》 警察本部長
 県内の一般道路において、いわゆるタンデム自転車の走行を認めるか否かにつきましては、関係団体からの要望等も踏まえてこれまで検討をしてきたところですが、先般、2人乗り用としての構造を有し、かつ、ペダル装置が縦列に設けられた自転車について、県内の一般道路で運転することが可能となるよう和歌山県公安委員会規則である「和歌山県道路交通法施行細則」を改正し、昨日(12月8日)の県報により公布がなされたところであります。
 改正規定は、本年12月20日から施行となりますが、このタンデム車については、乗車時のバランス等について一般的な自転車とは異なる特性を有していることから、利用者の安全を確保する観点からは、その取扱いに慣れた上で運転する必要があると考えておりますので、県警察といたしましては、関係団体等とも協力の上、安全面で必要な広報・啓発に努めてまいりたいと考えております。
 また、議員お示しの新しいタイプのタンデム自転車につきましては、配布資料の写真を拝見しますと、2人乗りではありますが、ペダル装置が1つであるように見受けられます。そうであれば、今回の改正により一般道路における運転が可能となる自転車には該当いたしません。こうした自転車につきましても、県民等からの要望があれば、他府県の状況や安全性等を勘案し、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。


5.種苗法の一部改正について
(1)県育成品種の許諾料について
《質問》高田由一 県議
 最後に、種苗法の一部改正についてうかがいます。今国会で成立した種苗法の改正については、6月県議会でも議論しましたが、農林水産省の言う登録品種の海外流出の防止という理由が、本当に実効性があるものとは到底、思えません。今回の改正で、登録品種を意図的に海外などに持ち出した農家は処罰できたとしても、圃場から盗まれるなどして流出したらどうしようもありません。海外での品種登録こそ真の意味での育成者権の保護になります。
 今回の改正で、登録品種であっても基本的には農家に認められてきた自家増殖の権利がまったく否定され、育成者権者の許諾がなければ自家増殖はできなくなります。しかし、長年、種を育ててきたのは農民です。もとになる種があるからこそ、研究機関や企業などが新品種を開発し登録できています。品種開発の最後の段階だけすくい取って、新品種として登録し、農家の自家増殖を認めないというのは、育ての親である農民の権利をまったくないがしろにするものではないかと思います。
 自家増殖の否定によって、やはり将来、大手の種子企業に種の権利が独占されていくのではないかという心配は国会審議を見ても消えることはありませんでした。
 以上のような理由で、今回の法改正には私は反対の立場ですが、一部改正が成立してしまったからには、両院の付帯決議の1番最初に書かれているように、農家負担が重くならないことが重要です。
 そこで農林水産部長にうかがいます。これまで県が育成した登録品種の許諾料について今後、どのようにしていくのでしょうか。いったん登録品種を買った農家が自家増殖をする場合、新たに許諾料を取るのかどうか、答弁をお願いします。

《答弁》 農林水産部長
 県が育成した登録品種は、みかん、うめ、かきなどの果樹をはじめ、いちご、えんどう、スターチス等、現時点で申請中のものも含めて22品種ございます。
 許諾料については、和歌山県所有登録品種等利用許諾要領に基づき、登録に要する費用を勘案して定めており、農家が種苗を購入する際に、例えば、いちごの「まりひめ」は1株あたり2円、「紀のゆらら」の商標で販売されているみかんの「YN26」は苗木1本あたり17円を種苗代に上乗せして許諾料をいただいております。
 今回の種苗法改正後も、現時点では許諾料を変更せず、自家増殖の許諾に伴う新たな費用負担が発生しないようにしていきたいというふうに考えております。

《意見》高田由一 県議
 県品種については、新たな農家負担は発生しないということで確認しました。以上で私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


 
                                                    仁坂知事の答弁を聞く、高田由一県議(右)
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