2021年2月県議会 楠本文郎 一般質問 概要記録

   録画中継
2021310
1.洋上風力発電について
(1)ゾーニングマップとその報告書の事業者への提供について
(2)「調整エリア」の考え方について
(3)「促進地域」の指定の内容と進め方
(4)知事の現時点の見解

2.日高川水系河川整備について
(1)令和3年度の事業内容について

(2)堂閉川、下川の対策について
(3)河川砂利の採取事業者への助成方針は
(4)「流域治水プロジェクト」の取組内容について

3.御坊リサイクルセンターと紀南版フェニックス事業について
(1)御坊リサイクルセンターのとった対策についての県の評価
(2)汚染水処理施設の非常用電源はどうなっているか
(3)地下水・放流水の水質検査の実施、アスベストの管理について
(4)紀南版フェニックス事業に活かすべき教訓に

4.高校再編計画について
(1)住民意見のくみ上げと住民懇談会について


《発言》楠本文郎 県議
 忘れもしない2011年3.11。地震災害に加え、津波災害、そして原子力災害という戦後最大の未曽有の被害をもたらした東日本大震災から丸10年たちました。
 明日は11年目の3.11です。あらためて、地震・津波対策、さらに気候変動対策の強化、そしてコロナ、パンデミックの下での災害対策という課題も突き付けられているなか、人類の生存をかけて、あらたな一歩を踏み出そうという気持ちも込めて一般質問をさせていただきます。

1.洋上風力発電について
(1)ゾーニングマップとその報告書の事業者への提供について
《質問》楠本文郎 県議
 「和歌山県洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書」が作成されました。昨年度までに海棲生物、鳥類、自然公園や世界遺産からの景観等といった自然環境の観点からのとりまとめ、今年度は、漁業や船舶の航行といった先行利用者への影響など、社会的な調整が必要となる事項についての調査を行い、最終的なとりまとめをされたと思います。
 昨年の私の質問に対し、このゾーニングマップ及びゾーニング報告書を、「洋上風力発電の事業者に提示し、事業を検討する際の参考にしてもらうことを考えております」と答えられています。まず、これまでに問い合わせ等も含め、関心を示している事業者はどのぐらいあるでしょうか。また、今後それ以外の事業者にはどのようにして情報を提供していかれることになりますか、まず商工観光労働部長からお答えをいただきたいと思います。

《答弁》
商工観光労働部長
 「和歌山県洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書」の作成を受け、現在、エネルギー関係事業者など数社が関心を持っており、問い合わせ等をいただいております。
 また、マップ及び報告書につきましては、既に県ホームページに掲載しているところですが、今後、事業者向け説明会を開催するなどにより周知を図ることとしております。

(2)「調整エリア」の考え方について
《質問》楠本文郎 県議
 このゾーニングでは「保全エリア」「保全推奨エリア」「調整エリア」の3区分となっています。このうち資料として提出した地図上のブルーの面的場所の「調整エリア1」では、風況は毎秒7.5メートル~8.5メートル、水深は50メートルから200メートル、御坊発電所からの距離は7.5km、面積は約285.6K㎡という概要が紹介され、「環境影響が比較的小さく、社会的な調整が必要な事項や事業性を踏まえたうえで事業の可能性を検討していくエリア」と示されています。ブルーの斜線で示した地域は、同じ調整エリアでも水深が200メートル以上と深いので調整エリア2とされています。この文章を読む限りにおいては、「調整エリア1内では事業化をしていくことが容易ですよ」と言われているようにしか思えないのですがいかがでしょうか。

《答弁》
商工観光労働部長
 調整エリアにつきましては、今回のゾーニングでは、保全エリア、保全推奨エリア以外のエリアであり、保全エリアや保全推奨エリアに比べれば自然環境への影響が小さいと考えられるエリアでありますが、調整エリアにおいても、数多くの漁業者による活動が活発であるとともに、船舶の通行もあり、そのうえ厳しい気象・海象条件等、多くの調整事項があるエリアでございます。

(3)「促進地域」の指定の内容と進め方
《質問》楠本文郎 県議
 県として、今年度はどのように進めていかれるのでしょうか。国との関係で言えば「再エネ海域利用法」に基づいて応募していく流れになると思いますが、この法律の第8条1項に「促進区域」の指定基準が示されています。第1号自然的条件と出力の量、第2号航路等への影響、第3号港湾との一体的な利用、第4号系統の確保、第5号漁業への影響、第6号他の法律における海域及び水域との重複とあります。この一つひとつについて具体的な検討をしていくことになるのでしょうか。
 例えば、調整エリアにとても近い御坊火力発電所と日高港は、第3号港湾との一体的利用、4号系統の確保の指定基準を検討するにはとても有利な要素になると考えますがいかがでしょうか、続けて商工観光労働部長からお答えください。

《答弁》 商工観光労働部長
 「再エネ海域利用法」では、地方自治体等からの情報提供や地元関係者からなる協議会での検討に基づき、国が、具体的に事業を進めていくエリアを「促進区域」として指定し、この区域において公募に基づき事業者を選定することとなっております。
 議員ご指摘の御坊火力発電所や日高港については、再エネ海域利用法第8条第1項の第3号及び第4号の指定基準に関しては有利かもしれませんが、いずれにしましても、個別具体的な事業計画がない中で、気象、海象等の自然的条件や漁業への影響などの他の項目も含めて指定基準をクリアできるかどうかを現時点で判断することは困難です。

(4)知事の現時点の見解
《質問》楠本文郎 県議
 この項の最後に、知事にお尋ねします。地域における地球温暖化対策の推進や、新産業の創出が重要な課題である中で、自然環境と調和した形での再生可能エネルギーを活用した電源開発は必要不可欠です。和歌山県の周辺海域は、風況が非常に良いと言われ洋上風力発電事業への期待も高いと思います。
 一方で、この事業の導入によって、地域住民の生活環境の維持をはかれるのか、地域のためになるのかどうかの見極めをすることは容易なことではないと考えます。
 3か年のゾーニング調査の結果を受けて、あらためて知事の見解を伺っておきたいと思います。

《答弁》 仁坂知事
 議員ご指摘のとおり、再生可能エネルギー、その中でも、最近は特に洋上風力発電に関する関心が、高まっている状況でございます。
 私は、クヌッセンさんの英雄的な行為により、大変友好的な関係だと思っておるデンマークに訪問した時に、波のない単調な灰色の浅海、これに、延々と風車が立ち並んでいるという光景を目撃したことがございます。欧州とか東北地方とか、日本でもですね東北地方とか、国内外で洋上風力発電の検討が先行している、あるいは、検討だけじゃなくて実際に装備が進んでおるということも承知をしております。
 それでは、和歌山県の周辺はどうなっているか、ということを申し上げますと、黒潮の流れが速くて、まあ結構ですね、気象、海象が荒々しいというところであります。
 それから、海もそれは浅海とはとても言えないということであります。それ以上にですね、海そのものが観光資源なのでありまして、自然公園とか世界遺産からの景観、あるいは、騒音による影響、さまざまな環境上の問題も配慮しなければいけません。
また、経済的にいってもですね、ここは紀伊水道でありましてですね、それで、船舶の往来が活発な海域でもございますし、それから、様々な種類の漁業者がですね、それぞれ活動しているところであるわけであります。
 従ってですね、そういうような問題を全部うまくクリアをしていく、それで、そのうえでないと、なかなかこの問題をどうするかということは、図ることはできないということだと思います。
 再生可能エネルギーは、地球環境問題とかですね、あるいは、エネルギー資源の保全とかいう意味では、大変よろしいんでございますけれども、例えば、この議会でもですね、化石燃料系は、とにかく地球環境問題に反するから全部だめだと、例えば、メタンハイドレートもそれだからだめだと、実は、メタンハイドレートで取り込もうとしているメタンというのはですね、プルームの形でボコボコと今出てるわけでありまして、メタンが空中に放出されると、温室効果は炭酸ガスの25倍というのをですね、多分、ご存じないのであろうなというふうに思うんですが、それほど熱心に進めるというのは、何でもやってもいいというわけではなくてですね、現に県下のあらゆる所というか、かなりのところでですね、風力発電反対というような話もたくさんございます。これ、陸上でございますが。それからさらに、特に、紀北の和泉山脈などを中心にですね、大規模な太陽光発電をつくろうというプロジェクトは反対、という声もたくさん、楠本さんのご友人からも出ております。
 そういうことでですね、やっぱり大事なことは大事だ、ということはあるけれども、全てのあとの問題を犠牲にしてやればいいというものではない。いろんな面に配慮しながらですね、やっていかなきゃいけないし、それから、技術の問題も大変大事でございます。技術的にどこまで可能かということも考えながらですね、それが可能であれば適応していこうというようなことが、将来どんどん広がっていくと思いますので、そういうことを注視しながら、慎重かつ賢明にですね、我々は、この問題に対処していかなければいけない。そんなふうに思っております。

《再発言》楠本文郎 県議
 今後は、事業者からの働きかけがどしどしあると考えます。それが少ないとすれば、事業化にはとても難しい場所なのだということです。いずれにしても、今回の県によるゾーニング調査を、地域における総合的、客観的な科学的知見と捉えてじっくり私たちも研究したいと思います。


2.日高川水系河川整備について
(1)令和3年度の事業内容について
《質問》楠本文郎 県議
 令和2年度2月補正予算、令和3年度当初予算はいわば15カ月予算として大きな治水予算が計上されています。全国知事会、近畿ブロック知事会等を通じての要望の中で、特に国土強靭化予算は多大な額が計上されていると考えられます。
 日高川水系には、2月補正で9億6千万円余、令和3年度当初予算では3億6千万円余が計上されました。
 このうち、日高川本川の補正予算は2億5250万円ですが、その主な整備箇所についてお示しください。河川内樹木伐採は入るのでしょうか。いま周辺住民も含め「どこまで樹木を伐採してくれるのだろう」と、「樹木伐採のあとがとてもきれいな整備をされている、何をつくるのだろう」、また「あとはすぐに樹木が生えないようにどう管理するのだろう」ということが話題となっています。検討されている内容としてお答えください。
 また、西川には2月補正で7億余、当初予算に2億6千万がつけられていると思います。寺田橋から上流への延長予算ですが、おおむねどこまでの計画になるでしょうか。県土整備部長からお答えをいただきたいと思います。

《答弁》 県土整備部長
 まず、日高川本川において、令和2年度補正予算として約2億5千万円を計上しており、支川江川との合流点付近やその上流において、既設堤防のかさ上げ等を行う予定です。
 河川内樹木の伐採につきましては、本予算では行う予定はございません。なお、令和2年度当初予算により伐採した箇所において、御坊市が樹木の再繁茂防止等のため、利活用方策を検討しているところと聞いており、県としても必要な助言を行うなど市に協力してまいります。
 次に、支川西川では、令和2年度補正予算と令和3年度予算を合わせ約9億7千万円を計上しており、令和2年度に引き続き寺田橋の架け替えを進めるとともに、寺田橋上流において護岸整備を進める予定でございます。

(2)堂閉川、下川の対策について
《質問》楠本文郎 県議
 さらに当初予算には、堂閉川付替えと、下川放水路整備への予算も計上されていると思います。金額的にはさほど大きいものでなくても、予算付けそのものが画期的だと思っています。それぞれの今年度予算の性格についてお示しください。

《答弁》 県土整備部長
 まず、堂閉川につきましては、河道を一部付け替えて斉川の下流に接続することで、流下能力を高める計画をしており、当初予算で計上している約1千万円で引き続き検討を進める予定です。
 次に、下川につきましては、日高川へ接続する放水路を県道御坊停車場線の下に整備することで、浸水被害の軽減を図る計画をしており、当初予算で計上している約2千万円で調査及び詳細設計に着手する予定です。

(3)河川砂利の採取事業者への助成方針は
《質問》楠本文郎 県議
 この質問の3点目に、河川砂利の採取についてお尋ねしてします。つい最近まで、河川内の砂利は民間の会社等によりどんどん取られていました。それがいつごろから無くなったのかを調べてみました。和歌山県では、河床低下による堤防や橋梁等への影響から、昭和61年に制定した許可方針により原則として禁止されていました。平成の期間の採取がないわけです。
 それが平成25年以降、それまでの土砂堆積を踏まえ、治水安全度の向上を期待して、河川における砂利の一般採取再開と採取区域の拡大を行ってきているということです。
 日高川でも、和歌山県河川砂利採取許可方針に基づき、平成30年5月14日から6月13日まで河川砂利採取希望者の募集を行いましたが、1社の申請でした。砂利採取予定者の選定が行われていない区域については、採取計画の認可申請を随時受け付けているということですが、それほど事業者がいない状況のようです。
 住民からすると、砂利を取り除けばもっと流下能力が増えるのではと考えるのですが、県として助成をしてでもこの事業者を増やしていく必要があるのではないかと思います。考え方をお示しください。

《答弁》 県土整備部長
 一般砂利採取は、民間事業者の採算に合う箇所については民間活力を導入し、河川における堆積土砂を効率的に撤去することを目的として取り組んでいるものです。
 しかしながら、議員ご指摘のとおり、公募をしても応募する砂利採取事業者が少なく、日高川では1社のみが実施しているところです。
 この主な原因としましては、砂利採取事業者が昭和61年の砂利採取許可方針制定以降、骨材資源を河川砂利依存から陸砂利や砕石等へ多様化させており採算のとれる供給体制が別に出来上がっていること、河川における砂利採取箇所や採取可能量が自然条件に左右され計画的な採取が困難なこと等が考えられます。
 つきましては、より深く課題を把握するため、日高川や他の河川で既に一般砂利採取を行っている業者にヒアリング等を行ってまいりたいと考えてございます。

(4)「流域治水プロジェクト」の取組内容について
《質問》楠本文郎 県議
 昨年7月、社会資本整備審議会が出した答申では、あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換という副題がついています。例えば、パリ協定が目標としているものの場合で、降雨量変化倍率は約1.1倍と試算する「見直し」なども提起されているところです。
 また近年の、ダムや堤防などの施設能力を超過する甚大な水災害気候変動の影響や社会状況の変化などを踏まえ、あらゆる関係者が協働して流域全体で対応する「流域治水」へ転換するとしています。和歌山県として、この答申を受けて令和2年度中に1級河川対応を含め「流域治水プロジェクト」を立ち上げてきていると思いますが、河川整備計画の見直しもあり得るのかを含め、今後どのような取り組みをしていくのかお答えください。
 また、2級河川への対応では日高川プロジェクトがいち早く立ち上がりましたが、その到達と今後の手順をお示しください。

《答弁》 県土整備部長
 まず、流域治水プロジェクトは、河川区域内で完結していた従来の河川整備計画に基づく治水対策に追加して、森林などの集水域や都市部の田畑など浸水しやすい地域を対象とした対策も含まれる計画ですので、河川整備計画そのものを変更することにはならないと考えます。
 次に、日高川水系における流域治水プロジェクトにつきましては、令和2年10月に検討に着手し、令和3年2月に中間とりまとめを行ったところであり、令和3年の出水期までに対策メニューなどの最終とりまとめを行う予定です。

《再発言》楠本文郎 県議
 流域治水プロジェクトの考え方については、国土交通省からの具体的な指標がまだまだ足らないと感じています。ただ、流域面積がもっとも大きくて、ダムがあり、平成23年紀州大水害での大きな被害があった地域ですから、しっかり取り組むべき地域の一つと感じています。県土整備としての知恵と力を向けていただけるようお願いして、2項目の質問はおきます。


3.御坊リサイクルセンターと紀南版フェニックス事業について
《質問》楠本文郎 県議
 大きな項目の3点目として、2017年3月に操業を始めた御坊リサイクルセンター産業廃棄物最終処分場の問題についてお尋ねします。先日、御坊市塩屋町の現場にお邪魔をして視察し、所長以下職員の方から丁寧なご説明をいただきました。
 昨年の9月ごろから、御坊市塩屋地区と名田町祓井戸・野島地区でのきつい悪臭による苦情があちこちから起きました。苦情が殺到する中で発生源の調査が始まり、結果当該事業所からのものと特定されました。事業者は10月20日からほぼ2週間で上面が開放となっていた浸出水調整池No.2に「活性炭フィルター付き建屋」を設置し、調整池内の浸出水から発生する臭気を抑制する工事を実施しました。
 この後、真夏の熱気が和らいだこともあり、住民からの苦情は沈静化しましたが、さらに年末に事業者から追加の臭気対策として、大気散気装置を設置する旨の報告が地元住民に回覧されました。この報告を受けて、私は2月9日に大栄環境株式会社御坊リサイクルセンターの現場に視察させていただいたわけです。調査時には大規模なタンクと大型脱臭装置が一応の完了の様子でしたが、リース機器類を自前で作成する作業も進められていました。これは、産業廃棄物が埋め立てられた最終処分場から出る硫化水素、メチルメルカプタンなどの硫黄系悪臭物質を集め、分解し、脱臭する大型の装置ということです。
 単なる臭気対策だけでなく、有機物を含む産業廃棄物から出る有毒ガスなどの徹底的な除去対策を追加したのだと思います。
 何故、こうした対策が必要になる悪臭が出たのでしょうか。昨年の夏、近くの川辺観測所では7月雨量680.5mmの降雨がありました。汚染水を処理するための貯水槽にも予想以上の流量があったでしょう。汚染水処理施設の一日当たりの処理量は200m³しかありませんから、大量の汚染水が貯水槽に残されたことになります。埋立地内にも雨は浸透していきますから、全体として嫌気性となり、大量の腐食状況の臭気が発生したことになります。
 これらが、長雨後のきつい夏の日差し、8月ひと月の雨量は川辺観測所でわずか45mmのカンカン照りとなり、特に第2貯水槽の汚染水と埋立最終処分場では、大きな「異臭発生の原因」になったのではないかと考えます。
(1)御坊リサイクルセンターのとった対策についての県の評価
 こうした中で、御坊リサイクルセンターでは、先に申し上げた対策を徹底しました。この対策は、法令での対策を超えていると説明されていますが、私は、御坊市と事業者によって結ばれた「環境保全協定」第2条の規定に基づく協定順守の姿勢により行われたものと理解しています。
 産業廃棄物の適正な処理の許認可権を持つ県行政としては、どのように評価されるでしょうか。この項目については、環境生活部長のほうからお答えをいただきたいと思います。

《答弁》 環境生活部長
 最終処分場の整備にあたって、施設設備や管理運営等に関して地元市町村や住民等と事業者が協定や覚書を結んでいる例がございます。
 こうした協定等は、法令上決められたものではありませんが、御坊リサイクルセンターにおいても御坊市と事業者が環境保全協定を結び、水質等の環境保全対策や自然環境への配慮などの取り決めを行っています。
 追加の臭気対策などはこの協定に基づき実施されたものであり、協定によって事業者の主体的な環境保全対策が促され、地域の安全確保、良好な生活環境の保全につながっていると考えています。

《再発言》楠本文郎 県議
 御坊市長と大栄環境株式会社代表取締役が結んだ、環境保全協定の第2条、責務の2項に「公害防止及び環境保全が企業の社会的責務であることを強く認識し、施設の建設及び運営に当たっては、周辺地域の自然環境及び河川環境の保全に配慮し、御坊市立給食センターへの影響はもとより、地域住民等の生活環境に影響を与えないよう常に細心の注意を払い、公害防止技術の向上に努め、適切な維持管理を行う責務を有する」にあることを、誠実に実行されていることになるという点を確認しておきたいと思います。

(2)汚染水処理施設の非常用電源はどうなっているか
《質問》楠本文郎 県議
 見逃せないのは、地域からの要望と審議会の意見で、第2貯水槽7,000m³が設置されていたことです。当初計画では、この第2貯水槽はなくても県からは認可されたのだと思います。
 しかし、今回の事態から見えるのは、これがなければ敷地外、地域に汚染水が流れ出したかもしれない事です。それだけ気候変動の元で、想定外の雨は降るということ、それに対応するためには余分と思えるほどの対策が必要というのが教訓ではないかと思います。
 それと関連して、一昨年御坊市のこの地域で、7日間もの停電がありました。これだけ長期の停電は、やはり想定外です。現地で確認したのですが、この停電の結果1日200の汚染水処理能力が落ちていたということです。汚染水処理施設の現状の対策として、非常用電源はどうなっているでしょうか。

《答弁》 環境生活部長
 御坊リサイクルセンターにおいては、平成30年9月の台風第21号による停電に伴い汚水処理施設が稼働できなくなりました。
 そのため、汚染水を処理できないという事態が生じましたが、外部への流出はありませんでした。
 しかしながら、このことをきっかけに停電により汚水処理ができず、汚染水が外部に流出するという危険を排除するため、御坊リサイクルセンターでは、梅雨から台風シーズンにかけての降雨量の多い期間中、非常用電源を常時設置しています。

(3)地下水・放流水の水質検査の実施、アスベストの管理について
《質問》楠本文郎 県議
 このセンターの運営について、もう2点申し上げます。
 1点は、地下水のモニタリング水質検査と、排水処理施設からの放流水についてです。これは事業者も御坊市も、日常的に管理されていると思います。県行政として調査報告を受けているかどうか、また上流・下流の観測井戸の現場確認もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 2点目は、アスベストの廃棄についてです。御坊リサイクルセンター建設前の地元説明会で、「最終処分場のなかでも場所を特定するため立札を立てて、手作業で丁寧に廃棄する」と発言しています。現実はそうなっていないのですが、このアスベスト廃棄物の管理について、県の対応はどのようにされているでしょうか。

《答弁》 環境生活部長
 御坊リサイクルセンターにおける地下水及び放流水の水質検査の実施についてでございますが、事業者は廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、最終処分場の上流と下流に位置する2か所の観測井戸から採取した地下水及び汚水処理施設からの放流水の水質を検査し、遮水シートの破損や汚水処理施設に異常がないかを確認しています。その結果について、県への報告義務はございませんが、インターネットで公表されております。
 また、県では、最終処分場は環境に与える影響が大きいことから、許可をしているすべての最終処分場に毎月立入検査を行い、放流水等の検査を行っております。御坊リサイクルセンターについても、県と御坊市において毎月立入検査により現場確認を行い、地下水及び放流水の水質についての基準適合状況を確認しており、これまでのところ問題は認められておりません。
 次にアスベストの廃棄でございますが、事業者において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令、及び環境省の石綿含有廃棄物等処理マニュアルに基づき、石綿含有産業廃棄物を一定の場所に埋め立て、その埋立場所を記録、保存しています。
 県としましては、毎月の立入検査の際に、アスベストの埋立てについても適正に行われていることを確認しております。

(4)紀南版フェニックス事業に活かすべき教訓に
《質問》楠本文郎 県議
 この項目の最後に、令和3年度夏頃から供用開始されようとしている「紀南広域廃棄物最終処分場」、いわゆる紀南版フェニックス事業での備えは大丈夫でしょうか。
 県下で初めての大規模な管理型最終処分場として、御坊リサイクルセンターが創業されています。今回、特に申し上げたいことは、気候変動の下で、想定外といわれることが起こりうるという点です。だからこそ、生かすべきところは生かしていく姿勢が大事だと考えます。
 それぞれの件で、紀南版フェニックス事業ではどう計画されているでしょうか、御坊リサイクルセンターの事例を教訓として、県として操業までに改善の必要はないかの検証をお願いしたいと思います。環境生活部長からの答弁をいただきたいと思います。

《答弁》 環境生活部長
 紀南広域廃棄物最終処分場につきましては、「施設の安全と安心の確保」という基本方針に基づき、防災対策や環境保全対策が行われています。
 地震に対する備えとして、埋め立てた廃棄物を将来にわたって安全に貯留できるよう、おおむね数百年に1度起こりうる最大級の地震に対し、周辺環境や地域住民の生命・生活に影響を及ぼす被災が生じないレベルの耐震性を備えた貯留構造物が整備されております。
 次に、大雨に対する備えとして、公益社団法人全国都市清掃会議が定めた「廃棄物最終処分場整備の計画・設計・管理要領」に基づき汚水処理施設と調整槽が整備されており、当該地域で記録をとり始めてから最も降水量の多かった平成23年、紀伊半島大水害が発生した年の降水量にも対応できるものになっております。
 県としましては、あらゆる事象に対応できるよう、御坊リサイクルセンターをはじめ他の最終処分場における知見を活かし、紀南広域廃棄物最終処分場が安全に運営されるよう、紀南環境広域施設組合に対し必要な指導、助言を行ってまいります。


4.高校再編計画について
《質問》楠本文郎 県議
 大きな項目の4点目に、高校再編問題についてお尋ねします。
 去る2月23日、「日高地方の高校教育を考える会準備会」が開かれました。いずれの方も元職ですが、御坊市教育長、日高川教育委員長、小学校長、御坊商工校長、日高高校双会会長の5氏が呼びかけ、当日は40名近くが参加されました。会の呼びかけでは、「高校の再編整備について拙速にすすめるのではなく、地域住民方々の様々な声をもとに十分に議論をする必要があると考えています。将来の日高地方の高校教育を考える会(仮称)を立ち上げ、皆さんとともに高校教育について考え、将来の子どもたち、地域のためにできる対策をすすめていきたい」とされています。参加者から様々な意見が出されました。
(1)住民意見のくみ上げと住民懇談会について
 そこで2点お尋ねします。1つは、こうした住民と会の意見をどう受け止められますか。2つは、今後一斉説明会が終了した中で、こうした任意の会にも出かけて県教委の考え方を含め、懇談に応じる姿勢はありますか。教育長からお答えいただけたらと思います。

《答弁》 宮﨑教育長
 県教育委員会としましては、本県の高等学校教育の在り方を含めた、教育の充実振興について、県民の関心が高まり、前向きな議論が進むことを願っています。議員ご紹介の「日高地方の高校教育を考える会準備会」は、そのような趣旨の会合であると期待しております。
 準備会では「県教委は地域等の声を聞こうとしていない」等の発言があったということですが、県教育委員会は、昨年秋から先月にかけて、市町村長と協議をする機会を含め、県立高校の在り方に関して説明や懇談の機会を計40回以上設け、地域の声を丁寧に伺うことに努めてまいりました。
 また、それらの機会を通して、県民の期待と信頼に応える、多様性と活気あふれる高校を、地域の方々の理解を得ながら整備していくという県教育委員会の考え方を、繰り返し説明しております。
 今後、県教育委員会が提示する論点に対して現実的かつ具体的な御提言をいただきながら、再編整備の方向性を固めていきたいと考えており、様々な団体や個人の方々に、前向きな協議に積極的に加わっていただけることを期待しております。

《再発言》楠本文郎 県議
 高校教育の問題に、幅広く、たくさんの、それぞれの地域から、これだけの関心を寄せられていること自体がとても素晴らしいことです。
 教育権は国民にある。そして高校教育は、地域の財産である、ということだと思います。



                                                 仁坂知事の答弁を聞く、楠本文郎県議(右)
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