2021年2月県議会 文教委員会 杉山俊雄委員の質問概要記録
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《質問》杉山俊雄 委員
 学校建設費の大規模改修の予算について、橋本高校と和歌山北高校体育館を今回計上しているが、トイレの大規模改修や大規模まではいかない改修の計画があるか。

《答弁》 教育総務課長
 高等学校のトイレ整備については、教室などの大規模改造工事とセットで行うようにしている。

《質問》杉山俊雄 委員
 計画はあるか。

《答弁》 教育総務課長
 来年度は、教室の大規模改造を行う学校がないが、和歌山ろう学校でトイレ改修を行う。また今年度は、和歌山高校で大規模改造を行っており、併せてトイレも改修している。

《質問》杉山俊雄 委員
 今年、紀北工業高校の入学式に出席した保護者から、廊下を通るとおしっこをしているのが丸見えなので、どうにかならないかという相談を受けた。私も行ったことがあるが、トイレに入る扉は下が空いたものになっている。紀北工業高校は、昔は男子が中心であったが、今は、女子が3割から4割近くいる。女子が通ると顔をそむけ、男子も恥ずかしいような状況になっている。女子トイレも簡易に造っているようだが、どうにかならないのか。

《答弁》 教育総務課長
 毎年、各学校からヒアリングを行っており、軽微な改修については、随時行っていきたいと考えている。
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《質問》杉山俊雄 委員
 藤本議員が本会議で質問した高校生の就職ルールについて伺う。県教育委員会は県内での就職を勧めており、就職率が上がって、教育長が就職指導をほめていたと記憶している。もし、一人一社制度のルールが廃止されたら、県内就職が不利になることはないのか。担当課からは、メリットばかりでデメリットはないと説明を受けたが、改めて聞きたい。

《答弁》 県立学校教育課長
 県内には優れた企業が多くあり、生徒は自ら企業を研究し、選ぶことになる。よって県内就職率が下がるとは考えていない。

《質問》杉山俊雄 委員
 例えば、大阪の企業と和歌山の企業を受け、両方に合格した場合、どちらの企業に行くと思うか。

《答弁》 県立学校教育課長
 2社以上合格した場合、県内企業、県外企業に関わらず、自分が働きたい企業を熟慮して判断すると考える。

《質問》杉山俊雄 委員
 大阪は当初、一人一社制度を廃止するとしていたが、結局、現行制度を維持することになった。和歌山が一人一社制度を廃止すると、必然的に大阪の企業を選ぶことになる。すなわち、和歌山の企業には就職しないことになり、和歌山への就職率は低くなるのではないか。

《答弁》 県立学校教育課長
 あくまでも複数応募制度に変えていきたいのは県内のことである。大阪の動向は、報道では聞いているが、正式には承知していない。
 他府県の企業を受ける際は、そめ他府県のルールにのっとって対応しなければならない。従って、大阪が一人一社制度とするのであれば、大阪の企業と和歌山の企業を同時に受けることは、想定しにくいと考えている。

《質問》杉山俊雄 委員
 指定校求人に係る校内選考では、生徒の自主性や選択の自由が奪われ、早期離職につながり、企業に望む人材が来ないとか、企業が高卒求人に消極的になるという話があった。
 県内の高校に求人を出している企業は、現在のルールに反対しているのか。また、アンケート等を取り、自主性が奪われるとか、自由にさせてほしいという生徒や保護者の声が実際にあるのか。現制度の下で、自主性が奪われたり、早期離職につながったりしているという根拠があるのか聞きたい。

《答弁》 県立学校教育課長
 学校や経済団体等関係者に説明し、意見を伺ってきた。企業側には制度に賛成、反対、両方の意見がある。
 反対の理由として、小規模の企業では、計画どおり採用できるのかという危惧がある。また、企業側からは、求人数の枠内の生徒だけでなく、もっと多くの生徒を見て、求める生徒を採用したいという声も聞いている。
 生徒への調査は、直接的には行っていないが、国においても一人一社制度か複数応募制度かの議論が行われており、そのワーキング会議での報告書や、日本財団等の調査においても、複数応募できた方がよいという生徒の声が少なからずある。理由として、内定を得られなかった際、新たな求人が残っていないかもしれないとか、難関の会社にも挑戦できることや、滑り止めを受けられる方が安心、というものがある。そのような生徒の意見等も参考とし、制度の変更を考えている。

《質問》杉山俊雄 委員
 ワーキングチームのアンケートでは、一人一社制度を支持しているのは、高校側で9割、企業側で約7.5割、生徒は7割近くある。一人一社制度への反対が多いわけではない。
 現在のルールでは自分が希望する企業に就職できないので早期離職につながっている、とする根拠はあるか。

《答弁》 県立学校教育課長
 本県の高校卒業後3年以内の離職率は約4割である。また、「応募前職場見学」には、高校生と共に高等学校の教員も一緒に行くことがあり、先に就職した卒業生等から話を聞くことがある。その中で、「希望していた企業ではなかった」「思い描いた仕事と違った」という話を聞くことがあり、離職率に直結しているとは思わないが、一因になっていると捉えている。

《質問》杉山俊雄 委員
 先ほどのワーキングチームの報告に分析があり、年齢が低くなるほど、離職率が高い。離職率は、高卒・大卒を問わず、発達段階及び事業規模による。千人規模の企業であれば、大卒も高卒も離職率は変わらないが、小規模の企業で離職率が高い。高校生は、小規模の企業に行く率が高いので、離職率は高くなる。離職理由についても、労働環境や給料などの条件がよくないというのが、上位2つを占めており、大卒も高卒も、男女問わず、同じ理由である。 自分がやりたい仕事がなかったというミスマッチが起因しているという理由は、3位ぐらいである。
 この報告によると、現在のルールでは、自分の意思が尊重されないと断じることはできない。報告を読む限り、一人―社制度や指定校推薦の制度によって離職率が高くなるわけではないと考える。教育委員会もこの資料をもっているはずだが、なぜ、そういうことを説明してくれなかったのか。きちんとした情報を提供してほしかった。担当者は、デメリットはなくメリットだけとの説明に終始していた。

《答弁》 県立学校教育課長
 その資料も読んでいる。様々な意見はあるが、現実問題として、現在の一人一社制度の下では、生徒は行きたい企業よりも、校内選考で受かりやすい企業を希望するという現状がある。そこを打破していきたい。自ら企業を研究し、考え、職業あるいは企業を選んでいくという姿勢を育てていきたいという思いで、制度の変更を考えている。

《意見》杉山俊雄 委員
 現場の先生は、生徒が離職することを一番嫌がる。校内選考を行う際も、成績だけを材料とはせず、企業が希望する生徒像も勘案する。生徒の希望が重なる時もあるが、学校の指導が一番ではないかと思う。
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《質問》杉山俊雄 委員
 長期休業中の影響について、教育長は「過度な負担なく終えられた」というが、本当に子ども達の心や体や健康に、リスクや過度な負担はなかったのか聞かせてほしい。

《答弁》 義務教育課長
 各学校の教育課程の進捗状況については、何回も各市町村教育委員会に確認を行った。行事の精選等はあったが、議員ご心配の点も含めていろいろ聞き取りを進め、結果、今年度の教育課程は予定通り修了できると聞いている。

《質問》杉山俊雄 委員
 国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」では、72%の子どもが、何らかのストレス反応や症状を示しているということや、すぐにイライラしたり、集中できなかったり、寝つけないとか、何度も目が覚めるという症状があることが示されている。また、鬱病にかかっている子どもが小学校高学年15%、中学生26%、高校生30%、親も3割くらいあるというアンケート結果であった。
 その鬱病が、外に向かえばイライラとか攻撃性、すなわち、いじめや暴力に発展する。内に向かえば、不登校やひきこもりになる。暴力が増えたり、自殺も今年多くなっていると言われているが、県内で今言ったような状況が起こっているのかどうか把握しているか。

《答弁》 教育支援副課長
 委員ご指摘の、コロナ禍における子ども達の学校生活の様子については、教師をはじめ、スクールカウンセラー等から聞いている。子ども達がコロナにかかったらどうしようかという不安を抱きながら学校生活を送っていたということについては、スクールカウンセラー等の報告からも把握している。ただ、委員ご指摘のような、例えば、自殺した者がいるかどうかについての報告は届いていない。

《質問》杉山俊雄 委員
 低学年の子ども同士の暴力事件がすごく増えたと聞いた。イライラするとかそういうことが起因するのではないのかと思い、質問した。
 長期休業で子ども達が成長する機会、学びの機会が奪われたのではないかと思う。できるとか、分かるとかを実感する学び、深い学びになっていない。この間、中紀で懇談会をしたとき、ある校長が深い学びになっていないという発言をしたと思う。そういうことがないのかどうかを聞きたい。

《答弁》 義務教育課長
 学習指導については、小学校は今年度から、中学校は来年度から、新学習指導要領が全面実施され、主体的で対話的で深い学びという形で行っている。長期休業期間を終えてから、各学校では主体的で対話的で深い学びとなるよう意識し、工夫して授業を行っていると聞いている。

《意見》杉山俊雄 委員
 子どもは、グループ活動ができないとか、音楽で歌うとかリコーダーができないとか、体育の実技ができないとか、座学中心でしんどい、だるい、眠い、息切れが起こるというような話をしている。
 中学3年生については、行事を中心に1・2年生を指導することで大きく成長するが、行事が精選され、そのような機会も奪われたということもある。
 ある教員から、生徒作文に「長期休業で毎日が天国だった。何でも自分の好きなことができて天国だったが、そういうのが続くと、心がすり減ってきた。毎日が同じという点では学校も同じだが、自粛の日々は本当に刺激がなかった。あんなに行くことが嫌で面倒で憂鬱であった学校が再開されると、本当によかった。すり減った心が満たされた。なぜなら、授業ではなくて、何げない友達や先生方との触れ合いで満たされたからだ」とあったと聞いた。
 要は、授業ではなくて、友達や先生との触れ合いの中で生徒は成長していく。やはり、長期休業は子どもの生活の質を低下させているのだと思った。
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《質問》杉山俊雄 委員
 読書習慣をつけるのに、タブレットに記録するというが、どんな活用をするのか。

《答弁》 義務教育課長
 1人1台端末が今年度中に整備される。それを活用し、自分の読んだ本を記録していく。小学校では、たくさん読んだ学校を表彰することも考えている。各自で記録する中で、読書意欲が向上すればよいと考えている。

《意見》杉山俊雄 委員
 一つ心配するのは、個人情報を公開しないようにしてほしいということ。
 こういう本を読んだという中で、漫画しか読んでいないのかというようなことを言われると、子どもはそれで読書嫌いになることがある。個人情報については、きちんと管理してほしい。
 やはり、読書習慣をつけるには、司書の役割が重要である。ある学校の司書は、図書室を寝そべって本を読めたり、読まなくても寝そべったりできるようこした。そうすると、図書室が学校のオアシスになって、子ども達がよく来るようになった。そのような話を聞くと、タブレットも大切だが、司書をきちんと入れていくことが読書習慣につながっていくと思う。
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《質問》杉山俊雄 委員
 高校再編について、教育長も長いスパンで検討して、計画的に取り組み、多方面からの議論や寄せられた意見・要望を基に、丁寧かつ慎重にやっていくと言ってくれており、今年度中に結論を出すと言っていたことが修正されたのは評価されると思うが、実施計画はいつごろ出るのか。

《答弁》 教育企画監
 今は、様々な方のご意見を聞いている最中で、今後、段階的に進めたいと考えている。ただ、時間があるかといえば、地域によっては厳しいところもあるので、できるだけ早く、当初の計画に近い段階で提示していければ、と考えている。計画・プログラム(案)の提示も「これで完成です」という形ではなく、前の段階から示していくことになると思う。

《質問》杉山俊雄 委員
 では、実施計画(案)なるものができて再度説明してもらえるのか。

《答弁》 教育企画監
 案を示してご意見を聞くこともあるかもしれないし、その前の段階で意見を聞くことがあるかもしれない。

《質問》杉山俊雄 委員
 来年度中のどの時期に案を出すのか、予定はあるか。

《答弁》 教育企画監
 これだけ県民の関心が高まっているので、できるだけ早く、何らかの形で示したい。それに尽きると思っている。
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議案に対する採決
議案第55号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
議案第56号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
議案第57号 和歌山県本人確認情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
議案第58号 和歌山県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法
       律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正す
       る条例

議案第59号 和歌山県大学生等進学支援金貸与条例
議案第68号 訴訟の提起について
は全会一致で原案可決



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