2021年2月和歌山県議会
   議案と請願の不採択に対する反対討論 高田由一

     録画中継
27:40~)
2021318

 日本共産党県議団を代表しまして、議案第1号、3号、7号、8号、16号、42号、81号には反対の立場から、また議案第53号と54号については賛成の立場から、さらに議請第7号については採択を求める立場から反対討論を行います。

 議案第1号は、令和3年度和歌山県一般会計予算です。
 一般会計は過去最大の6120億円となりました。歳入では、新型コロナの影響として企業収益の悪化等により、法人2税や個人県民税は減少する見込みの一方、地方消費税は8億円増を見込んでいます。コロナ禍で苦しい中でも消費税が県民生活に重くのしかかります。

 歳出の福祉保健部関係では、新型コロナウイルス感染症対策に544億円を計上しました。この間、各機関の検査体制が拡充されてきました。また、新年度予算では環境衛生研究センターの再整備が計画されています。いずれも歓迎するものです。
 和歌山県のコロナ感染拡大防止対策は、国の基準にとらわれずひろく対象者を検査する「和歌山方式」として大きな成果をあげました。しかし、今後のことを考えるなら、無症状感染者を発見・保護するためのPCR等検査の抜本的拡充や、クラスター発生によるリスクの高い高齢者施設・福祉施設等への社会的検査に踏み出すことも必要です。その点で補正予算で抗原検査キットを配付することになったのは大切だと思います。
 ただ、感染症病床確保の重要性が浮き彫りになるなかでも、再編の名で県内の約2割の病床を削減していく「地域医療構想」が見直されていないことは問題です。
 県子ども・女性・障害者相談センターについては体育館など設備の更新が予算化されたことは歓迎するものです。さらに農業によるメンタルヘルスケア推進事業が創設されたことも新しいチャレンジだと思います。
 続いて企画部関係では、これは補正予算でしたがコロナ禍で大きな影響を受けた交通・運輸事業者を支援する地域交通運行継続給付金など県の独自施策を打ち出したことは評価できます。
 いっぽうIRの推進には反対です。コロナ禍で、世界のIRは存続の危機に陥っており今からでも考え直すべきです。
 県IR実施方針には、インフラ整備や事業者が受けた損失への負担、業績不振や災害で事業が継続できない場合に最大限協力することなど、県の負担が想定される事項が明記されています。さらに、IRは一度できてしまえば事業実施協定に基づき最低でも40年間は事業を続けると言われています。県財政にリスクをもたらすではないでしょうか。21年度もIRの推進に6900万円計上しています。このような予算には反対です。
 「同和問題(部落差別)に関する県民意識調査」という名称の調査を実施するための予算が新たに計上されています。115万円と少額ですが、22年度に調査を実施するための経費とされています。高齢者や障害者、女性、性的マイノリティ、人種、民族など様々な差別問題があるなかで、同和問題だけを取り出して調査する予算には反対です。
 商工労働部関係では、これは補正予算でしたが、県独自の飲食・宿泊・旅行業給付金など独自施策を打ち出したことは歓迎するものです。また、就職氷河期世代の正社員雇用促進事業など新たな視点からの取り組みは期待するものです。
 農林水産部関係では産地の振興策とともに、後継者対策、新しい害虫クビアカツヤカミキリの防除、木材の利用・販売促進などに取り組まれることを評価したいと思います。
 県土整備部関係では防災・減災のための予算措置に異論をはさむものではありません。しかし従来から申し上げてきたように国の事業である和歌山北港区の関西電力LNG発電所計画のための南防波堤建設にこれまで県は36億円負担してきました。地球温暖化防止という大きな課題が突き付けられているいま、発電所着工をすべきではないし、その目途もたっていません。中止すべきではないでしょうか。
 教育委員会関係では、大学生等進学支援金の制度を見直し、より使いやすいものにしたことは評価できます。また、紀の国わかやま文化祭2021の開催に併せ、県立の3つの博物館で大規模展、特別展に相応の予算措置がされていることも歓迎するものです。
 高校再編計画について申し上げます。この間、多くの地域で不安や反対の声があがりました。教育長は一定の見直しについて言及されており、県民世論の反映だと思います。しかし、その内容については「特に期待される使命を達成する」として「特任高校」を設けるなど、高校間の格差をより拡大するものです。どの地域でも必要な教育を受けることができる権利を保障するためにも、さらなる見直しを求めます。
 続いて教職員数では定数を減らす一方、非正規で雇用する「定数内講師」は計画どおり減少していません。また、定数外の非常勤講師は年々増員しています。過労死ラインをこえる教員の長時間労働を是正するためにも、少人数学級推進のためにも、県独自でも正規教員を増やすよう求めます。
 以上の意見を述べて、一般会計当初予算への反対討論とします。

 次に議案第3号は、中小企業振興資金特別会計予算です。ゆがんだ同和行政のもとで行われた中小企業高度化資金貸付では、ずさんな融資審査と債権管理により、63億円近くの未償還額となっています。またそれとは別に、これまで8件、45億円近くの債権を放棄してきました。今議会の議案第81号「権利の放棄」でも約2400万円を放棄します。とても県民の理解を得ることはできません。


 議案第7号は、国民健康保険特別会計予算です。高すぎる国保料・税は限界をこえています。国保の財政運営が県単位化された18年度に策定された運営方針では、国保料・税の値上がりを抑えるための市町村一般会計からの法定外繰入をなくし、統一保険料にしてくことが示されました。その後、一般会計からの繰り入れをやめた市町村ではほとんどが保険料の値上げとなっています。
 市町村によって差がある保険料・税を無理に統一するのではなく、減らされてきた国庫負担の増額で住民負担軽減を求める立場から、国保特別会計には反対します。

 議案第8号は、県営競輪事業特別会計予算です。県が公営ギャンブルを運営することには反対します。

 議案第16号は、土地造成事業会計予算です。呼び込み型開発の失敗を反省することなしに、県民の税金から毎年損失補てんすることには賛成できません。


 議案第42号は、会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の改正です。これにより、会計年度任用職員の期末手当が減額されます。この制度の目的は、非正規職員の処遇改善であったはずです。県でも知事部局、教育委員会、警察合わせて約3200人の方がいる会計年度任用職員の処遇の改善を求める立場から反対します。


 議案第53号と54号が継続審議されることについては、議案に賛成の立場から反対です。


 最後に議請第7号、「後期高齢者の医療費窓口自己負担2割化方針の撤回を国に求める意見書の提出を求める請願」が、委員会で不採択とされたことについて申し上げます。

 政府は、後期高齢者医療制度を導入した際の「1割負担で心配なく医療が受けられる」としてきた説明を反故にし、75歳以上の年収200万円以上の方約370万人の負担を2割に引き上げることを閣議決定しました。年金支給額の削減、後期高齢者医療保険の大幅引き上げと軽減特例の縮小に加え、コロナ禍で受診控えも起こるなかで、医療費窓口負担の引き上げは後期高齢者を必要な医療から遠ざけ、生活と健康に大きな悪影響を及ぼすことになります。
 当請願の本会議での採択を求めます。

 以上で、議案と請願の委員会不採択に対する反対討論を終わります。


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