2021年6月県議会 奥村規子 一般質問 概要記録
録画中継
2021年6月21日
1.IR誘致の断念を求めることについて
(1)サンシティの辞退について
(2)サンシティにかかる審査講評について
(3)選定委員会の評価の公表について
(4)クレアベストの適格性の調査とコンソーシアム構成員の追加について
・クレアベストへの予備調査結果について
・カジノ事業を行う企業について
・募集要項とコンソーシアム構成員の追加について
・クレアベストによるコンソーシアム構成員の追加発表について
(5)資金調達について
(6)法定協議について
(7)優先権者候補の選定決定について
1.IR誘致の断念を求めることについて
《質問》奥村規子 県議
仁坂知事は、6月定例議会招集にあたって、IRに関して次のように説明をしました。「6月2日に事業者公募における優先権者候補として、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベスト・グループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムを選定し、公表しました。現在、和歌山市及び県公安委員会への法定協議を行っており、終了後に優先権者として正式に決定する予定です。今後は選定した事業者とともに、区域整備計画の作成に全力を挙げて取り組んでまいります」という積極的な姿勢を示しました。
前日の6月1日には「カジノ誘致今こそ断念6.1県庁1周県民大宣伝」が行われました。多くの住民の方々が「コロナ危機から県民のいのちとくらし、営業を守る緊急対策が必要なとき、カジノ誘致に躍起になっている場合ではない」とカジノはいらん!のポスターを張ったプラカードをもってスタンディング行動に参加をされていました。知事は県民のみなさんの根強い反対の声がありながら、観光や地域振興にとって、またとないチャンスだと言うことで具体的にカジノ誘致を進めています。
県のIR基本構想では納付金の使途について観光の振興、地域経済の振興、社会福祉の増進、文化芸術の振興に関する施策等の経費に充てること、また入場料についても地域経済の振興、社会福祉の増進及び教育の振興に関する施策等の経費に充てると記されています。すべての地方自治体が、標準的な行政サービスを行うために必要な財源を保障し、調整する制度として、地方交付税制度があります。本来、地方財源を保証するには、地方交付税率の引き上げにより、社会保障やコロナをはじめ頻発する災害への対応など、財政需要が増すばかりの地方自治体の実情に見合うように、一般財源の総額を拡充するよう、国に求めることがまず重要であると考えます。
これまでも繰り返し主張してきましたが、カジノは大規模なギャンブルであり、何ら生産するわけでなく、その儲けは利用客から金を集めたものです。ギャンブルに頼ることなく、安全安心のまちづくりを進めていただきたいという立場から、今回の優先権者候補の選定にかかわり、7点にわたって質問をいたします。
(1)サンシティの辞退について
県IR設置運営事業の事業者選定委員会の審査講評(2021年4月30日)の総評のなかに「オーストラリアでのカジノ営業に関し、Suncity Group
Holdings Limited
を本社とする企業グループにマネー・ロンダジング関与疑惑があるほか、経営者と反社会的勢力との関係を示唆する報道があり」「コンプライアンスやマネー・ローダリング対策等を適切に評価できているか不安が残る旨の意見も見受けられた。この点は和歌山県においても引き続き十分に調査を実施することを強く要望する」とされています。
私は2月議会の総務委員会の場で、サンシティの最高責任者が、自身とサンシティグループは、反社会的勢力の一員ではありません、との声明を示して、こうした声明を出すということは、事業者の状況は本当はどうであるのか、と質しました。IR推進室長は「オーストラリアの件については、県としても把握している。今事業者の適格性の審査、予備調査を進めている」と答えられました。
予備調査とは、県の募集要項で、「優先権者を選定する段階においても、カジノ事業の免許の基準を踏まえ、適格性につき確認を行う」ことであり、カジノ事業の免許基準は、申請者が「カジノ事業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有するものであること」あるいは、「カジノ事業における犯罪による収益の移転防止」が万全であることなど、法で規定されています。
事業者を選定するうえで、適格性が損なわれているとなれば致命的なものと考えますが、この予備調査途中で事業者が辞退となったとお聞きしています。
サンシティの適格性については、どこまで予備調査をしておられましたか。その調査結果はありますか、お答えください。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
サンシティの予備調査についてでございますが、オーストラリアのニューサウスウェールズ州政府が大手カジノ事業者であるクラウン社に対して行った“新設カジノへのライセンス付与の適格性に関する調査”の結果報告書にサンシティの適格性について確認を要する事案が記載されたことから、予備調査として、サンシティへのヒアリングやニューサウスウェールズ州のカジノ規制当局への事実確認などを行っておりました。しかしながら、この予備調査が完了する前にサンシティから5月12日付けで辞退届が提出されたことから、調査結果は取りまとめておりません。
《再質問》奥村規子
県議
予備調査として、ニューサウスウェールズ州のカジノ規制当局への事実確認などを行ったということですが、それでどこまで明らかになっていたのでしょうか。またこの予備調査と、サンシティの辞退との関連はどうなのか、明らかにすべきと考えますが、いかがですか。ご答弁をお願いします。
《再答弁》 田嶋理事(IR担当)
まずはニューサウスウェールズ州への事実確認ですけれども、これも途中で終わってしまっておりまして、結論は出ておりません。
そして、サンシティに関する辞退の理由ですけれども、サンシティからはコロナ禍で世界の経済情勢が非常に不透明であり、今後どうなっていくかよくわからないということと、日本のIRの制度自体が、まだ不分明なところもあるといったようなことを理由にして辞退届が出されておりまして、その辞退届からはオーストラリアの問題については触れられておりません。
(2)サンシティにかかる審査講評について
《質問》奥村規子
県議
選定委員会の審査講評において、審査項目である「マネー・ロンダリング対策」についての「評価の概要」では、「いずれの提案も選定基準は概ね満たしていると評価できる」、つまりサンシティも選定基準をクリアしたとされています。
一方、同じ審査講評の「総評」ではサンシティに関する疑惑報道を受けて「マネー・ロンダリング対策等を適切に評価できているか不安が残る」との記載かおり、選定基準を満たしていると評価した点と矛盾があると言えます。
選定の在り方に問題があるのではないですか、お答えください。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
事業者の選定は、事業者選定委員会が行う「提案審査書類の評価」及び県が直接行う「予備調査の結果」を踏まえて行ったものです。
事業者選定委員会は、あくまで提案書類の内容を審査基準に基づき評価するものであり、その評価とは別に、県が行う「予備調査」があるわけです。
議員ご指摘の「審査講評の総評」は、選定委員会が、県の実施する「予備調査」において事業者の疑惑を十分に調査するよう求めたものであり、評価ではございません。
よって、「選定委員会が審査基準を満たしている」と結論づけたことと矛盾はなく、選定の在り方に何ら問題はございません。
《再質問》奥村規子
県議
選定委員会はあくまで提案書類の内容を審査基準に基づき評価するものであり、その評価とは別に、県が行う「予備調査」がある、という答弁でした。
しかし募集要項によりますと、予備調査は「参加資格審査書類提出後、提案審査終了までの期間とする」とされています。予備調査というのは、企業の適格性を調べて確認するものですから、まずそれが確認されなければ、提案審査は終了しない。これが当然だと言えます。しかし今回は、4月30日に選定委員会として審査を終了し結果を発表していますが。その時に並行して予備調査が行われていたということです。
この点が、選定の仕方として問題なかったのか、もう一度ご答弁いただきたいと思います。
《再答弁》 田嶋理事(IR担当)
先ほど答弁いたしましたように、IR事業者の選定については、選定委員会が行う提案審査書類の審査と、県が直接行う予備調査というこの2本立てで出来上がっております。
だから双方が完結して終わるという形になっておりますので、特に矛盾はございません。
(3)選定委員会の評価の公表について
《質問》奥村規子
県議
県が公表した選定委員会の評価の概要は簡略なものであり、評価の内容が十分にはわかりません。先はどのマネー・ロンダリング対策でもそうですが、どの項目も「いずれの提案も選定基準は満たしている」という評価になっています。懸念を指摘している項目もありますが、採点結果では大項目で半分を超える採点となり、合計では6割を超える点数となっています。
県民には概要でなく、提案書類と審査会の議事録など詳細を公表すべきと考えますが、いかがですか。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
まず、「審査講評」については、事業者選定委員会が、計3回の委員会の開催結果を踏まえて取りまとめ、県に提出されたものであり、概要資料ではございません。
そのうえで、事業者から提出された提案審査書類、委員会の詳細な議事録については、現時点で公表しますと事業計画内容の詳細が明らかになり、他のIR誘致自治体との競争上不利となる恐れがあるため現時点では公表はいたしません。
《要望》奥村規子
県議
これはカジノという、これまで日本では禁止されていた賭博を解禁する事業ですから、普通の企業間競争とか、誘致の競争とかとは違います。その事業者や事業内容を審査するわけですから、違法性の阻却や事業者の「廉潔性」が問題になるわけです。その点から審査の内容、検討の経過が県民にも明らかにされるべきだと考えます。重ねて詳細の公表を求めます。
(4)クレアベストの適格性の調査とコンソーシアム構成員の追加について
・クレアベストへの予備調査結果について
《質問》奥村規子
県議
サンシティの適格性の調査について問題にしましたが、クレアベストについても適格性を判断しなければなりません。クレアペストヘの予備調査結果に、問題はなかったのでしょうか。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
予備調査についてですが、県では、IR事業者の役員予定者や株主が暴力団員等に該当しない者であるかどうかについての和歌山県公安委員会への照会、事業者へのヒアリング、公示情報の精査、無犯罪証明書の提出等、カジノ免許を取得する上での欠格事由等が存在しないことを確認するため、世界的な監査法人であるEY新日本有限責任監査法人とアドバイザリー契約を結び、その協力を得ながら、調査を進めてきたところです。その結果として、クレアベストについては、問題はないと判断しております。
《再質問》奥村規子
県議
海外の事業者に対して、マネーロンダリングヘの関与や海外の反社会的勢力との関係などを含め、調査をされたのでしょうか。どういう調査をされて、問題ないと判断されたのか、お聞きします。
《再答弁》 田嶋理事(IR担当)
海外でのカジノ事業を行っていて何か不祥事等がございますと、まず規制当局がそれを指摘して、そういったことが公になってまいります。そういった公示情報をつぶさに見ていって、クレアベストに関してはそういった情報が、我々が調べる範囲内でないということでございます。
・カジノ事業を行う企業について
《質問》奥村規子
県議
世界的にカジノは、マネーロングリングに使われたり、反社会的勢力と関わるという問題が起こっています。だからこそ、カジノ事業者には高い「廉潔性」を課しているわけです。そこまで事業者の調査が果たしてできるのか、大変疑問に思います。
また、コンソーシアムの構成員についても適格性が問題となります。クレアベストは投資会社であり、コンソーシアムとしているのもクレアベストグループです。カジノ事業や国際会議場、展示場、ホテルなどの運営を行う企業がコンソーシアム構成員として、提案審査書類提出の際に明らかにされ、その構成員についても適格性の審査が行わなければならないはずですが、その点、どの企業がカジノ事業を行うとされていたのでしょうか。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
県に提出されました提案書類では、カジノ運営事業者としては、クレアベストニームベンチャーズ株式会社およびクレアベストグループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムとなっております。
・募集要項とコンソーシアム構成員の追加について
《質問》奥村規子
県議
募集要項では、「提案審査書類の提出までの間、コンソーシアム構成員を追加することができるものとする。提案審査書類の提出以降、応募企業、代表企業及びコンソーシアム構成員の変更は原則として認めない」とあります。
「和歌山IR、事業選定後の手続き」として出した文書のなかで。「募集要項等では、下記のとおり記載しており、事業計画の変更、コンソーシアム構成員の追加が可能」としていますが、これはどこに記載していますか。また「コンソーシアム構成員のみならず、協力企業や委託先などに対しても、必要に応じて徹底的な背面調査を実施」はどこに記載されていますか。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
県が優先権者候補発表時に示した「和歌山IR事業者選定後の手続き」の根拠ですが、募集要項の37ページに、優先権者選定後の手続きとして「コンソーシアム構成員又はSPCの株主の変更又は追加については、基本協定又は実施協定に定める要件及び手続に従ってのみ行うことができる」と定めているところです。
また、徹底的な背面調査については募集要項の32ページに記載された予備調査のみならず、IR整備法や国の基本方針において厳格な規定がなされているところです。
・クレアベストによるコンソーシアム構成員の追加発表について
《質問》奥村規子
県議
説明がありましたが、募集要項には、コンソーシアム構成員の追加などは「基本協定及び実施協定に定める要件及び手続に従ってのみ行うことができる」ということです。どういう基本協定を結ぶのかわかりませんが、追加の仕方についても手続きを決めた後でなければ、追加できないということです。文書にある「県の事前の承諾がある場合、コンソーシアム構成員の追加を行うことができる」というのとは、意味が違うと思います。
選定委員会の講評のなかでは「事業運営体制等」の審査のポイントは「出資者になることが想定されるコンソーシアム構成員及び業務委託が想定される受託者が具体的に示されており、体制上の役割分担が明確になっているか」という点があげられています。これはコンソーシアム構成員や受託者を提案書類提出の際に明らかにしておくべきだということだと思います。
優先権者候補として選定された直後に、報道によるとクレアベストは、コンソーシアム構成員の追加を発表しました。「株式会社AMSEリゾーツジャパン」と「グループ・パルトゥーシュ」が新たに中心的なメンバーとして参加すると発表しました。当然、県も把握されていると思いますが、県として認めたものですか。お聞きします。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
クレアベストが6月7日に発表したコンソーシアム構成員の追加につきましては、現時点において県が認めたものではございません。
今後クレアベストから正式に申請があれば、事業実施体制の強化につながるものであるのか、また適格性に問題はないか、について確認するなど所要の手続きを行った上で判断いたしてまいります。
《再質問》奥村規子
県議
県が認めたものではない、ということです。しかし県の文書をみると、構成員が追加されることは想定されていたように思われます。
そして、適格性に問題ないか、確認する所要の手続きを行ったうえで判断する、ということです。それでいいのでしょうか。本来は、提案書類提出の時点でコンソーシアム構成員、受託者まで明らかにし、それに対しての予備調査、選定審査が行われるべきものです。
選定審査後に追加するというようなことで、今出している提案書類の選定審査の結論を出していいのでしょうか。選定すべきではなかったのではないでしょうか。
《再答弁》 田嶋理事(IR担当)
コンソーシアム構成員ですが、協力企業に関してですが、クレアベストは確かに6月7日に新たなメンバーというのを出しているわけですが、提案審査書類の段階でも将来のコンソーシアム候補である企業や事業を受託する企業、この具体的な名称というのは明らかになっております。
ただ、その企業名を公表することについて、それぞれの企業からまだ合意が得られていませんので、私たちは発表はしておりませんが、選定委員会の審査の段階で、コンソーシアムの将来の候補企業であるとか受託事業であるとかの名称を見たうえで、一定の中身を見て判断をしております。
6月7日の発表は提案審査書類とは別に新たに出てきているものだということです。ただ、提案審査書類に書かれているコンソーシアム候補であったり、受託事業者候補についても、これはあくまで候補ですので、今後実際にこれからSPCというIR事業者を作っていきますが、その作っていく過程で、正式に入ってくるかどうかという、申請があった時点で改めて予備調査といったものを行うと、そういう流れになっております。
(5)資金調達について
《質問》奥村規子
県議
「和歌山IR 事業者選定後の手続き」のなかに、3項目を優先権者に求めるとして、事業者提案書の内容の変更、コンソーシアム構成員の追加、資金調達の確実性を担保する融資確約書の提出を上げています。これらは選定委員会で意見をいただいたとしていますが、選定委員会の議事録なり、審査会の全体を示してもらう必要があると考えます。
優先権者候補に選定されたクレアベストは投資会社であり、今回クレアベストから提出された事業計画概要によれば、初期投資額4700億円と非常に大規模です。その資金の出所がどこなのか、明らかにしてもらう必要があります。
審査講評の附帯意見では「県が求める水準の資金調達の確実性を裏付ける資料の提出には至らなかった」と指摘されています。
今、コロナ禍のもと、世界のカジノ事業は完全に行き詰まっており、目本に進出しようとしてきた大手カジノ事業者も撤退が相次いでいます。
こうしたなかで、資金調達の確実性が担保されていない事業者を選定することには、無理があるのではないでしょうか。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
資金調達の確実性についてでございますが、一般論として、資金調達の確実性を裏付ける資料を、地方における事業者選定、いわば地方予選の段階において都道府県等に提出することは非常に高いハードルであったと考えております。
審査講評の「全体収支・資金調達」の項目において「いずれの提案とも、県の求めるコミットメントレターいわゆる融資確約書の提出はなかったものの、現時点でできる努力はみられた。ただし、資金調達の確実性については引き続き留意が必要である」と評価されております。つまり融資確約書までは出ていないけれども、一定それに代わるものは出ているということでございます。とはいうものの、コミットメントレターまでは出ておりませんので、こういう評価になっております。こういった一項目の評価が低いからといって、直ちに失格となるものではございません。
選定委員会において、この項目を含むその他多くの審査項目全てを評価したうえで、評価点が全体として6割を超えていたことから、「両者ともに審査基準を満たしている」と報告されており、クレアベストの選定に何ら問題はございません。
ただし、議員ご指摘の資金調達の確実性を裏付ける資料につきましては、今後、区域整備計画を作成し、事業実施体制の強化を図る中で、融資確約書などの提出を求めてまいります。
《再質問》奥村規子
県議
答弁のなかで、選定委員会の評価があげられましたが、同じ項目の評価の概要では「クレアベストは配当が『適切な水準』であるか、また、日本の会計基準に基づいた計画となっているかという点で懸念があった」とあります。分かりにくい言葉ですが、これ以上の詳しいことは分かりません。どういう懸念なのか、資金調達計画全体の懸念なのか、この点をお答えください。
《再答弁》 田嶋理事(IR担当)
議員ご指摘の部分ですが、資金調達全体の確実性の問題というよりは、その後どのようにして運営していくかという考え方について、和歌山県が求めるものについてはまだ足らない。もっと積極的にどんどん投資に回してほしいというところについて、提案がやや不十分であるというところや、会計基準の考え方が、十分に日本の会計基準に沿ったものになっていないという部分。こういった部分は修正が可能な部分でございまして、ただ、提案書上、そういったことが書いてあることは事実ですので、そこを指摘されているということでございます。
(6)法定協議について
《質問》奥村規子
県議
現在、和歌山市と公安委員会との協議中ということですが、具体的な協議事項内容についてご説明ください。
《答弁》 田嶋理事(IR担当)
IR整備法では、都道府県等は実施方針に即して、民間事業者を公募の方法により選定をしようとするときには、立地市町村等及び公安委員会との協議をしなければならないとされているところです。
国からは、審査項目や配点基準のみならず、選定の理由、民間事業者の適切性について、協議をしなければならないとの考えが示されており、事業者選定のプロセス、提案の概要、審査講評の内容について和歌山市及び公安委員会への協議を実施しているところです。
《再質問》奥村規子
県議
事業選定のプロセスや提案の概要、審査講評などについて、協議するということでした。和歌山市や公安委員会には、和歌山県に提出されているすべての資料を渡しているのですか。協議は何回にわたっておこなわれるのでしょうか。しっかりと議論することになっているのでしょうか。お答えください。
《再答弁》 田嶋理事(IR担当)
先ほど申し上げましたように、国からの考えに基づき提案の概要をお示しています。ただ、和歌山市に関しては提案書類を渡しています。
法定協議というものは1回行います。事業者の選定に関しての協議というものは1度です。
(7)優先権者候補の選定決定について
《質問》奥村規子
県議
県の選定委員会と、適格性に対する予備調査についてお聞きしました。サンシティの予備調査がどうだったのか、明らかにはされませんでした。地方自治体が、国外のカジノ事業者の疑惑についての調査がどこまでできるのか、懸念するところです。
また、選定後にコンソーシアム構成員が追加される可能性があるという点についても、募集要項での規定とは違うということや、適格性の確認という点から、問題だと指摘しました。
資金調達の確実性も、担保されていません。
今回の、優先権者候補の選定過程における決定には、無理があると思います。改めて、知事の見解をお聞かせください。
《答弁》 仁坂知事
先ほどからの質問と答弁のやり取りを聞いていて、奥村議員が選定過程における決定のどこに無理があるとお考えなのか、私は全く分かりません。ただ、国外のカジノ事業者の疑惑への調査をどこまでできるのかという点については、先ほど田嶋理事が答弁いたしましたとおり、世界的な監査法人であるEY新日本有限責任監査法人とアドバイザリー契約を結んでおりまして、その協力を得ながらカジノ免許を取得する上での欠格事由等が存在しないことを確認しているわけでございます。
追加されるかもしれないコンソーシアムの構成員の企業に対しても、当然きちんと調査をして、問題のある企業は入るのをやめてもらうということになるわけでございます。
また、資金調達の確実性の問題についても、一般論として、いわゆる融資確約書といった資料を、いわば地方予選の段階において、都道府県等に提出することは非常に高いハードルであったことなど、先ほど田嶋理事から丁寧に説明をしたとおりでございまして、この時点で100点を取る必要はなくて、私は選定の過程に何ら問題はないと考えております。
これまでの答弁を聞いたうえで、無理があるという指摘でございますけれども、具体的にどの部分に問題があって、どこが間違っているのか、もしそう主張されるのであれば理由と共にまず明確にしてもらいたいと私は思います。それをせずに、「選定過程には問題があり、その決定には無理がある」と主張されるのはどうかなというふうに考えるわけでございます。今までの質問と答弁を聞いて無理があると主張される人は、ひょっとしたら説明には常に耳を塞いでいるのではないか、と世の中の人は思うのではないでしょうか。
奥村議員におかれましては、仮に党中央という上位の機関がそう決定されたとしても、それに盲従するのではなく、和歌山県人であるならば、長期に衰退をしてきたこの和歌山県が、将来さらに一層衰退して行かないように、雇用機会と所得増進機会を無くしてしまっても良いのか、自分の目と耳でよく考えてくださると幸いであると私は思います。
《要望》奥村規子
県議
大変、失礼な答弁だったと思います。これまで質問してきた疑問や、お答えしていただいたことについて、まだまだはっきりしない点が多々あると思います。その点について説明を求めてきたわけですが、何が無理があるとお考えなのかと言われても、質問をしている中できちっと聞いていただけていないということが、非常に残念です。
クレアベスト1社となった段階で、審査して選定したことについて、5月18日の知事の記者会見では、選定しない可能性も否定していません。その適格性やコンソーシアム構成員、また資金の担保など、選定するうえで様々な問題があることを聞いてきました。問題ないと言われましたが、その審査の中身や検討の経過は、十分公表されていないわけです。このことは、県民に知らせるべきことだと思います。選定に至った経過は、すべて公表されるべきです。
県という地方自治体が、カジノというギャンブルに県の発展をかけるという、それこそギャンブルを打つようなことは、絶対にやってはいけないと思います。ギャンブル施設を誘致して和歌山県を荒廃させてしまったときに、知事をはじめ県幹部が反省しても、取り返しがつきません。
和歌山県民のくらし、経済を発展させる力は、今の和歌山県がもっている産業、歴史、文化、風土の中にこそあると考えます。またコロナ禍のなか、県民のいのちとくらしを守るために、感染拡大や医療体制、大変な営業への直接支援などに、全力を尽くすことが求められています。そのことこそ、地方自治体の仕事だということ強<訴えて、質問を終わります。
仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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