2021年6月県議会 農林水産委員会 杉山俊雄委員の質問概要記録
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《質問》杉山俊雄 委員
 国は、輸出額5兆円を目標に海外での販路開拓を推進し、輸出向けHACCP等対応施設の支援など様々な施策を用意し、もうかる農業、強い農業の支援をしているが、普通に農業をしているような人への支援はあまりないように感じる。特に、輸出や海外販路開拓については、SDGsの実現や輸送時の二酸化炭素の排出を抑えるという観点から、海外販路の拡大より、国内消費の拡大へ向かう方がいいのではないかと思っている。これについて県ではどう考えているのか。

《答弁》 食品流通課長
 国内では少子高齢化に伴う人口減少により、食の市場規模が縮小傾向にある一方、海外においては新興国の経済成長や人口増加により拡大傾向にある。本県農業の将来を見据えたときに、国内での販路拡大とともに、やはり世界にも目を向け輸出に取り組むことが重要であると考えている。
 県では、従来からJAグループと連携し、県産農産物にかかる販売促進や、「まりひめ」、「紀州てまり」といった県オリジナル品種の魅力発信に取り組んできた。さらに今年度の新政策として、農林漁業者等を対象にウェブを活用した販路拡大の取組を支援する補助制度を創設し、国内での多様な流通チャネルによる販路拡大・開拓を支援しているところ。
 また、国外にあっては、JAグループや食品事業者、輸出先国の販売事業者、さらには3月17日に県と包括連携協定を締結したドン・キホーテ等のグループ会社を海外で急拡大しているPPIH等との連携を図りながら、戦略的に県産農林水産物・食品の輸出促進にも取り組んでいるところ。
 県産農産物の販路拡大については、国内市場と海外市場を車の両輪として、ブランド力向上への取組や様々な商談機会の提供等に今後も積極的に取り組むことにより、県内農家所得の向上を目指して取り組んでまいりたい。
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《質問》杉山俊雄 委員
 米づくりについて伺いたい。
 近所で丁寧に野菜を作っている人に聞いたところ、野菜を作っても日銭が入らないというので驚いたが、米を作っている近隣の生産者に聞くと、去年は100万円の赤字で、米ではやっていけないと言う。
 私の先輩に収支の状況を教えてもらったところ、2反半の栽培面積で16俵の米がとれ、消毒を少なくしているため収量が少ないが品質は悪くないという。収入は25万円で、支出は肥料・農薬・委託料等含めて55万円。委託の刈取、乾燥、籾摺り及びJAへの輸送をいれて55万円で、差し引きで30万円の赤字とのこと。米を作って日当も出ない。普通の農業をしている人は救われないと思った。
 県は、もうからなければ、転換など新しい取組にチャレンジして収入を得るようにせよと言うが、水田で稲を作ることはそれだけで環境保全などの価値がある。そういう人を支援することが必要と感じているが、県では普通に農業をしている人や家族農業を支えるような施策があるか伺いたい。

《答弁》 果樹園芸課長
 本県の米づくりは、販売農家1戸あたりの作付面積が約50アールと、副次的な収入に留まっている。果樹や施設野菜など収益性の高い作物との複合経営を推進することで、米づくりや水田農業の経営安定を図ってきた。
 また、国の施策である産地パワーアップ事業によるライスセンターの整備をはじめ、農地や農業用水等の保全管理を支援する直接支払制度、これに加えて米の収入減少を補填する対策などを活用してきた。
 今後も、国の充実した稲作対策等を活用するとともに、安定した米づくりを実現するためにも複合経営の収益性を高める支援を実施していく。

《要望》杉山俊雄 委員
 複合と言うが、なかなかそうできない農家もたくさんある。80歳の方にチャレンジは難しい。自分の健康維持に加え、農地を守るために働いているのに日当すら入ってこないという、そのような生産者への支援もお願いしたい。
 今年度の国への施策提言にも米づくりへの支援や家族農業を守るような取組への記述はなかったように思う。そういった、農産物の価格保証や所得補償で経営が成り立つような環境づくりについて国へ提言していただきたい。EUでは最低価格保証とか収入補償があるので、そういうことを国に要望していただきたい。

《要望》杉山俊雄 委員
 国は、米が余っているので生産調整で今年は36万トンを減らすということだが、主食米を守る観点かも減反せずに何とかならないかと思う。ミニマムアクセス米77万トンには手を付けずに、国内で減反するのはあべこべではないかと思う。
 農業や米を守る観点から、ミニマムアクセス米を減らせば減反をせずに済むのに、なぜこのようなことをするのかと思う。ミニマムアクセス米の撤廃を国に要望していただきたい。

《質問》杉山俊雄 委員
 過剰米について、共産党では、国で買い取ってコロナ禍における生活困窮者や学生への支援、子ども食堂で活用することなどを国に提言している。これらのことは、販売不振に陥っている卸業や小売業あるいは困窮者の支援になる対策だと思うが、このような対策を県として実施しているか伺いたい。

《答弁》 果樹園芸課長
 県内の米に関しては、自給では足らず、他府県から買っている状況であり、県としてはそのような対策は実施していない。

《意見》杉山俊雄 委員
 果樹が中心で米が少ないので余っていないことは理解した。
 私がそう思った理由として、徳島県での取組があるので紹介したい。徳島新聞にも掲載されていたが、5月の補正予算で1200万円を学生支援に充て、900人分を目標に月2回、3か月間、学校を通して米2キロと県産保存食品を配布する取組を実施している。
 本県においても、米でなくても県産物を提供するようなことを実施いただけるとありがたいと思った。
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《質問》杉山俊雄 委員
 国営総合農地防災事業和歌山平野地区の岡田排水路は、地図のどこにあたるのか。

《答弁》 農業農村整備課長
 岩出市岡田の春日川と紀の川の合流地点の上流側である。
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《質問》杉山俊雄 委員
 指定管理のことについて伺う。
 公募に伴う債務負担行為で緑花センター1億7000万円とあるが、その内訳は。
 また、前回と比較してどうかということも伺いたい。

《答弁》 森林整備課長
 今回計上している緑花センターの指定管理にかかる経費は過去3年間の実行経費を基に算出しており、前回と比べ1393万円減少している。

《質問》杉山俊雄 委員
 例えば、学校給食については直営の方が安い、民間委託は営利目的になり内容が重視されないなどと聞くが、一般的に指定管理と県が運営するのではどちらが安くなるのか、分かれば教えていただきたい。

《答弁》 果樹園芸課長
 学校給食を運営したことがないため、詳細は分かりかねるが、自校給食と多数校をまとめたセンター方式ではセンター方式のほうが人件費や材料の大量購入面で安くなるのではと思われる。農林水産部としては、地元産農産物を安く、たくさん食べていただきたいので地元産の活用推進に取り組んでいる。
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議案に対する採決
議案第104号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
議案第111号 和歌山県国営土地改良事業負担金徴収条例の一部を改正する条例
議案第112号 和歌山県ウメ輪紋ウイルスの侵入及びまん延の防止に関する条例を廃止する
        条例

は全会一致で原案可決


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