2021年6月県議会 福祉環境委員会 高田由一委員の質問概要記録
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【福祉保健部】【環境生活部

【福祉保健部】
《質問》高田由一 委員
 まず、新型コロナウイルス対策について、一般質問も行ったが県の取組のうち、5月に配付した抗原検査キットがしっかり活用されて検査が広がったことについては大変よかったと考えている。
 現在、新型コロナの第5波の心配もある中で、市町村から、例えば保育園や学童保育の先生などにも抗原検査キットを使用したいという話を聞く。
 そこで、抗原検査キットにもいろいろなものがあるようだが、きちんとしたものを使う場合、どのような手続をすれば、市町村でも活用できるのか教えてほしい。

《答弁》 薬務課長
 現在流通している抗原検査キットには、医薬品でないものと国が承認した医療用の体外診断用医薬品のものがある。医薬品でないものは研究用などとして販売されており、唾液で検査ができるものもある。販売や使用に際しては規制がないため、市町村や個人でも購入して活用することは可能である。
 次に、体外診断用医薬品は診断に用いるものであることから医師の関与が必要となる。県が高齢者施設に配付したものは、医師である保健所長が各施設の従事者に検査の実施を指示したものである。市町村においても医療機関との連携によって同様に実施することは可能と考えている。具体的には市町村あるいは連携した医療機関が抗原検査キットを購入し、当該医療機関の医師の指示により使用することになる。
 判定が陽性の場合は、連携した医療機関において診断・診療が行われることになる。また、判定が陰性であっても症状がある場合は、検出できていないだけの場合もあるので、注意が必要となる。

《質問》高田由一 委員
 市町村でも活用できるという話だったが、抗原検査キットにも様々な種類があるので、体外診断用医薬品である抗原検査キットを購入しようとした場合、市町村でも購入できるような流通状況にあるのか。

《答弁》 薬務課長
 現在、体外診断用医薬品の抗原検査キットには多くの種類があり、流通量も多いと思う。一度に多くの数量を確保することは難しいかもしれないが、購入することは可能と考えている。

《意見》高田由一 委員
 市町村でも抗原検査キットを使うよう提言していきたいと思う。
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《質問》高田由一 委員
 新型コロナワクチンの職域接種については、一般質問でも議論があったが、実は私の地元の白浜の旅館組合でも、これをやっていこうということで、5月の末からアンケートを取るなどの取組を始めている。
 今朝のニュースを見ても、有馬温泉では既に職域接種を始めたということで、やはり観光業をなりわいにしている町では、安心してお客さんに来ていただけるという点からも、しっかりと職域接種を進めていきたいということが、関係者からも述べられていた。
 そこで、この職域接種の推進にあたり、和歌山県で、どのような課題があるのか伺いたい。

《答弁》 医務課長
 職域接種について、今の最新の数値を申し上げると、11事業所から申請が出てきており、総接種予定人数は、約3万5,000人となっている。
 職域接種をする場合の課題について、基本的なフレームは、厚労省から示されているが、実際にどのように接種すればいいのか、例えば、会場運営の具体的なイメージや注意事項、そういうところについては国から示された資料だけでは非常に分かりにくい点がある。
 間合せがあった場合には、丁寧に説明をして、我々も説明に行くということを心がけて、後々実施する際に支障のないような体制を取っている。承認された事業所とも定期的に連絡を取って、安全に接種が進むようにしたい。

《質問》高田由一 委員
 関連して、先日、地元の組合員の方から、県から大変丁寧に指導いただいてありがたいというお話もあったが、私が心配しているのは、市町村で新型コロナワクチン接種ができる医師や看護師等の医療スタッフの数である。今は、高齢者向けの接種を7月に向けて行っているが、そことのすみ分け、競合がないのかというのが心配の1つである。
 もう1つは、職域接種はモデルナを使用し、別の会場を設定して実施するということだが、例えば他の自治体でやっているように、家族まで含めるとファイザーとモデルナの区別が難しいのではないかと心配している。この2つの心配点について、見解をお答えいただきたい。

《答弁》 医務課長
 まず、医療従事者の関係については、新型コロナウイルスの感染拡大が少し落ち着いてきたので、医師に協力していただいている。
 看護師については看護協会、いわゆるナースセンターで登録制としており、今回の新型コロナワクチン接種ということで募集を出したところ、非常に多くの方に登録していただいた。それを市町村と共有しながら確保しているところである。
 新型コロナワクチンについては、職域接種はモデルナとなっているが、ファイザーと混在しないよう、VRSなど厚生労働省のシステムを使用し、関係機関と情報を共有している。

《意見》高田由一 委員
 どこの地域でも初めてのことなので、しっかりご指導いただきたい。
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《質問》高田由一 委員
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策と地域医療構想の関係についてである。6月19日に出された知事会の緊急提言の中で、公立・公的病院に係る地域医療構想について、新型コロナウイルス感染症対策に支障のないよう慎重な対応を図ってほしいというような記述があった。
 この慎重な対応を図ってほしいという知事会の意図は、どういうところにあるのか。

《答弁》 医務課長
 将来的に医療機能の分化、そして連携の強化を進めていくということは非常に重要なことである。現在、医療機関、医療現場については、新型コロナウイルス感染症対策にかかり切りのところが全国的にある。
 そうした中で、病院の再編あるいは統合の協議を進めるには、今は好ましくないということで、新型コロナウイルス感染症対策に専念し、将来的に地域の実情や人材確保などを総合的に考え、議論をしていこうという意味である。

《質問》高田由一 委員
 前から申し上げているとおり、医療の提供体制は平時でも一定の余力がないといけない。公立・公的病院は今回の新型コロナウイルス感染症対策でも大活躍している。地域医療構想でこうした再編統合の検討等について撤回していただきたいということを国に対しても提言していきたいと考えている。
 それと、地域医療構想どおりとした場合、全国で看護師は1割削減、約5万人が削減され、病床数は3,200床が削減されると聞いている。
 今回の新型コロナウイルス感染症対策の経験を通じて、これだけ医療現場のマンパワーの大切さが言われている中で、看護師が減るということを大変危惧しているところだが、この点については、どういう見解を持っているのか。

《答弁》 医務課長
 地域医療構想は、将来の医療需要に応じた適切な医療提供体制を構築するというものである。いわゆる2025年問題を見据え、本県は少子高齢化の進展、人口減少が続いており、医療機関が安定して経営を続けるため、病床機能の転換や、過剰となっているベッドの削減を進めていかなければならないと考えている。
 一方、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大については、病床や、委員ご指摘のとおり、医療従事者の確保、あるいは地域医療体制の様々な課題を浮き彫りにしたところである。
 このような突発的な医療需要に機動的に対応するため、国は医療法を改正し、都道府県が作成する医療計画に「平時からの取組」と「感染拡大時の取組」を記載することが義務づけられた。
 県としては、ます新型コロナウイルス感染症対策に全力を注ぎつつ、知見を基にして、各医療機関と丁寧に議論を行い、合意形成を図りながら、県民が住み慣れた地域で安心して医療が受けられるよう体制づくりに取り組んでいく。
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議案に対する採決
議案第104号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
議案第108号 和歌山県介護保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例
議案第109号 和歌山県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
議案第114号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
は全会一致で原案可決


【環境生活部】
《質問》高田由一 委員
 関西広域連合は、2019年に関西プラスチックごみゼロ宣言を発出し、県でもプラスチックごみ対策として和歌山県ごみの散乱防止に関する条例を制定し、運用も始まっているが、その運用状況について聞きたい。

《答弁》 参事廃棄物指導室長事務取扱
 条例の運用については、令和2年10月1日から条例が完全施行し、取締りについては、6月14日現在で口頭による注意が172件、命令が1件、過料の徴収実績がなしである。

《質問》高田由一 委員
 口頭注意の件数が多い地域はどこか。

《答弁》 参事廃棄物指導室長事務取扱
 件数が一番多いのは、和歌山市であり約半分を占めている。次に多いのは、湯浅保健所管内、田辺保健所管内の順である。岩出保健所管内と串本支所管内は件数が少ない。

《質問》高田由一 委員
 和歌山市か半数程度を占め、各保健所管内でばらつきがあるようだが、対象となる事案が少ないのか、それとも監視員の取組に差異が出ているのか。

《答弁》 参事廃棄物指導室長事務取扱
 湯浅保健所管内については、海岸線等でのごみの散乱が多く見受けられている。
 パトロールについては、環境監視員9名全員が各地域に出てパトロールをしているので、パトロール件数が少ないということではない。
 比較的違反者を発見しやすい地域において、口頭注意等が多いということになる。
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《質問》高田由一 委員
 今年度から始まる新政策の「生物多様性の保全を担う人材の育成」事業について、今年度はどのように進めていくのか。

《答弁》 自然環境室長
 本事業では、まず子どもたちに、本県の豊かな自然に触れ合うきっかけを作っていくことから始め、その中で興味や関心を持った子どもたちを、屋外に誘導する取組につなげた後、自主研究あるいは自主調査の活動を表彰、展示することにより、やる気をさらに高めるという流れで事業を進める。
 具体的な取組としては、今年度は3つのことを計画している。
 1つ目は、本県の自然や生物に関する動画の作成、2つ目は、専門家と一緒に屋外へ出て、指導を受けながら観察体験を行うネイチャーキャンプ、3つ目は、子どもたちの自主的な活動を表彰、展示するネイチャーアワードである。
 いずれの取組も、教育現場との連携が非常に大事であるため、現在、教育委員会や学校関係者の方々と協議をしながら、準備を進めている。テレビや新聞で生物に詳しい大人顔負けの子ども博士が紹介されており、そうした子どもたちを本県でも多く輩出できるように頑張っていきたいと考えている。

《質問》高田由一 委員
 今年度は新政策ということで約1400万円の予算規模だが、来年度以降はどの程度の規模か。

《答弁》 自然環境室長
 来年度予算は、これから検討していくところだが、基本的には、今年度の取組の基礎を固め、次年度はさらにステップアップをしていきたいと考えている。

《要望》高田由一 委員
 和歌山大学もいろいろと頑張っていただいてはいるが、自然科学系の学部という点では不足しているところがあり、例えば、白浜には京都大学の瀬戸臨海実験所、古座川には北海道大学の和歌山研究林があるので、県外の大学ともしっかり連携し、そのフィールドも活用しながら進めていくことを模索してほしい。
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議案に対する採決
議案第104号 令和3年度和歌山県一般会計補正予算
は全会一致で原案可決



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