2022年2月和歌山県議会 奥村規子 一般質問  概要記録

 録画中継

202234


1.ロシアのウクライナ侵略について
(1)知事の所感について
(2)核兵器共有論について

2.カジノを含むIR誘致について
(1)区域整備計画(案)について
  ・カジノへの県民の来場について
  ・MICE開催件数について
  ・クレディ・スイスについて
  ・県民負担について
  ・事業期間について
(2)カジノを含むIR計画を断念することについて
  ・カジノによるギャンブル依存症について
  ・住民投票条例の受け止めについて


1.ロシアのウクライナ侵略について
(1)知事の所感について
《質問》奥村規子 県議
 議長のお許しを得たので、通告に従いまして、今回は2点に絞ってお聞きいたします。
 一つ目は、ロシアのウクライナ侵略について、知事の所感についてお尋ねします。
 ロシアが隣国のウクライナへの侵略に踏み切ったことにより、子どもを含め一般市民など多くの人命が奪われ、建物や施設が破壊されています。国境を越え、ウクライナの人々は難民となり逃げ惑う映像に、胸がつぶれる思いです。世界からロシアの蛮行に、抗議の行動が巻き起こっています。理不尽にも争いによって命を絶たれた方々に心より哀悼の意を捧げ、一分一秒でも早く、停戦の実現を願うものです。
 これまで、ウクライナ東部では2014年から、政府軍と親ロシア武装勢力との間で武力紛争が続いていました。14年と15年には、停戦や平和解決について、関係国間で合意が結ばれていました。ロシアは、ウクライナ政府が合意を履行していないことを「独立承認」の論拠としていますが、理由にならないと思います。自ら加わった国際合意を投げ捨て、軍事力をもって現状を変更することは、決して許せるものではありません。ロシアは14年に今回同様、親ロシア派住民の意思だとして、ウクライナのクリミア半島を一方的に併合しました。度重なる主権侵害は、ウクライナをロシアの勢力圏とみなすプーチン大統領の、大国主義的立場に基づいたものだと思います。
 ロシアとウクライナはともに、ソ連邦を構成する国でした。それ以前にも9世紀ごろから深い関係があると聞いています。プーチン大統領は、歴史的関係をとらえて昨年7月、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」と題する論文を発表し、両民族は「一体不可分」だと主張しました。今回の決定に際しても、テレビ演説で持論を展開しています。私は、1991年に独立国となったウクライナの、国の針路を決めるのはウクライナ国民自身だと思います。
 ロシアの大国主義、覇権主義の立場は、ソ連を構成していた他の国にも向けられていることが心配です。2008年には、ロシアに隣接するジョージアに軍が侵攻しています。ロシアは、ウクライナとジョージアがNATOに加盟すれば、自国の安全が脅かされるとしています。軍事同盟の拡大は重大で、解消が求められる問題ですが、主権侵害を正当化する理由にならないと思います。ロシアが軍事的圧力をかける中で、ウクライナではかえってNATO加盟を望む世論が高まるのではないかと思います。
 旧ソ連の国々を勢力圏とみなし、武力侵攻したり、分裂を図ったりするロシアの行為は、平和の国際秩序を危うくさせるものです。それだけに、国際社会が危機を増幅させる軍事的対応でなく、紛争の平和的解決を定めた国連憲章と国際法に基づいて、外交的な打開の努力を尽くしてゆくことが重要だと思いますが、ロシアのウクライナ侵略について、知事の所感についてお尋ねします。

《答弁》 仁坂知事
 ウクライナ全土にわたるロシアの侵略行為によって、子どもを含む民間人にも多数の死傷者が出るなどの報道を聞くたびに、本当に心が痛みます。
 いかなる理由があるにせよ、今回のロシアによる侵略行為は、国際秩序の根幹を揺るがす行為でありまして、断じて許すことはできません。一刻も早い停戦、撤退を求めるものでございます。

(2)核兵器共有論について
《質問》奥村規子 県議
 次に、プーチン大統領が核戦力を念頭に「抑止力を特別態勢に移行」させるよう命令しました。安倍元首相は2月27日、テレビ番組で核兵器共有の議論をすべきだとの考えを示したことは大変な問題です。唯一の戦争被爆国の首相を務めた人の言葉かと、自身の耳を疑うほどでした。非核三原則は単なる政策ではなく、国の根本原則だと思います。岸田首相は非核三原則を守ると言っていますが、安倍元首相の核兵器共有論に対して、知事はどういう見解をお持ちでしょうか。

《答弁》 仁坂知事
 プーチン大統領が核兵器を含む抑止戦力の警戒レベルの引き上げを命令したということはですね、ウクライナだけでなく、その周辺諸国においても、強い恐怖心を抱かせるものでありまして、厳しく非難されるべきものであります。
 政府においては、世界で唯一の戦争被爆国である日本の立場から、核兵器による威嚇や使用がないよう、国際社会に訴えていただくべきであると思います。
 その上で、核兵器の共同運用という考えについてのお尋ねについては、政府は、非核三原則を堅持していく立場からも、原子力基本法を始めとする法体系から考えても、認めることはできないとの見解を有していることは承知しておりまして、政府の立場を理解いたします。
 ただし、今回ロシアのウクライナ侵攻で分かった大事なことは、国の独立、尊厳を守ることは極めて大事なことで、そのためには、口で平和を唱え、自分たちだけが平和主義の考え方であると、それを堅持して、そのイメージに合わないことに一生懸命避けようとしても、プーチンのような人あるいはそういう国の侵略は防げないということであります。
 他国から日本を攻めるのは、難しいあるいは割に合わないと思わせるような準備をきちんとしておくことが大事であり、ご質問の特定の事項にかかわらず、そのための議論は大事だと私は思っております。

《コメント》奥村規子 県議
 知事の答弁をいただきました。前半の方は良かったんですが、私は安倍元首相が、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核シェアリング」についての議論をすべきだとしていることを、見過ごすわけにはいきません。非核三原則をタブー視してはならないと述べました。核抑止力論に固執することが、いかに世界の平和にとって有害かが、ウクライナ侵略でいっそう明らかになりました。
 昨年発行した核兵器禁止条約の参加国を増やし、核保有国をさらに追い詰めて、核のない世界を実現することがいよいよ重要になっていることを述べて、次の質問に行きます。


2.カジノを含むIR誘致について
《質問》奥村規子 県議
 大項目の2つ目は、カジノ含むIR誘致について、理事にお尋ねします。
 IR対策特別委員会では、区域整備計画案に対して、資金計画及び資金調達が不透明であると委員長談話も発表されましたが、県はパブリックコメントや説明会と公聴会の開催を決め、突き進んでいます。資料(和歌山県特定複合観光施設区域整備計画案と国申請様式版)が公表されていますので、それに関して質問させていただきます。
(1)区域整備計画(案)について
 県は昨年7月に、クレアベストを優先権者に認定しました。翌月の8月に基本協定を締結していますが、その日のうちに代表取締役が交代し、新しく長崎IRの審査に落ちたTTLリゾーツの元取締役エデイ・ウー氏が就任しています。10月8日の県IR対策特別委員会では、まだカジノを運営する事業者が決まっていませんでした。
 推進派から見ても、和歌山IRの計画はずさんなものだから、本当に実現するのか不安だという意見が出されました。融資をするという金融団の筆頭が、クレディ・スイスという銀行であることが発表されていますが、この銀行は他人の資金を集めて、和歌山IRに貸して、利ザヤを稼ぐ投資銀行といわれるもので、大阪IRのように日本のメガバンクがついているのとは大違いです。ですから、推進派の方々は、日本メガバンクや大手建設会社が入ってくれれば、今のような心配もせずに、粛々と推進する態度をとるはずです。
 カジノが儲けをあげて県や和歌山市に寺銭が入ったとしても、それは他人の不幸の上に成り立つ虚像の繁栄であり、県民の中に窮乏を広げるだけで、県内を寂れさせる道に追い込んでいくものと考えます。
・カジノへの県民の来場について
 この区域整備計画は、カジノ業者の利益の15%が県に入るとしています。年間約1800億円の利益で、270億円です。一人6,000円の入場料は日本人だけが払いますが、その半分が和歌山県に入ります。年間の入場料納付金は50億円で、そこから、日本人の入場者は年間で約167万人、1日に4,566人がカジノに入る計算になります。IR施設全体では毎日、日本人が約15,000人、外国人が約3,000人ですから、同じ比率で外国人がカジノに入るとして、カジノには毎日約5,500人が来る勘定です。
 そこで、年間1800億円のカジノ業者の利益は客の負けた金額だとすると、一人当たりの負けた金額はぴったり1日9万円になります。外国人の方が儲ける金額は大きいでしょうが、カジノで遊ぶ人の平均の負ける金額が9万円という県の出している数字を計算すると、カジノというものは利益を得るためには負けてもらわないと成り立たないということだと思いますが、いかがですか。また、何人の和歌山県民の来場を見込んでいるのでしょうか。

《答弁》 田嶋理事
 カジノは何かというご質問でございますが、全体参加者の投資に対して配当が少なく、その差額を主催者等で分けるのが基本的な考え方であり、カジノに限らず、公益目的で賭博の違法性が阻却されている公営競技や宝くじについても仕組みは同じです。
 カジノについて、IR整備法案の国会審議に参考人として出席された美原大阪商業大学教授は、「先進諸国では健全、安全、安心な、成人が自己責任で楽しむ遊興の一つであり、しっかりとした規制と監視の枠組みがあれば、健全なエンターテイメントでしかないことが先進諸国では実証されている」と説明されております。
 カジノは、余裕のある資金を持つ人が娯楽で楽しんでいただくことが本来のあり方であり、そのような施設にするために、IR整備法において世界最高水準の規制がなされています。
 なお、来場者数については、IR施設からの距離等に応じて算出を行っており、県単位での算出はしていないと事業者から聞いております。

・MICE開催件数について
《質問》奥村規子 県議
 区域整備計画案国申請様式版の、MICE(マイス)の催事種別・規模別の開催件数の見込みでは、規模区分300名以上というのが少ない試算となっていますが、どれだけの人がMICEに来場するとしているのでしょうか。

《答弁》 田嶋理事
 区域整備計画(案)で記載している「IR施設内の催事種類・規模別のMICE開催件数」については、全ての大規模な催事を記載しているものではございません。
 MICEの中、特にEですが、Eはエクシビションとイベントがあるわけです。議員ご指摘のページの部分は、エクシビション、いわゆる展示会や見本市などの開催件数を書いておりまして、コンサートや演劇などエンターテイメント関連のイベントについては含まれていません。なお、イベント開催を含むMICE施設の来場者数については、年間約120万人~150万人を見込んでいるところです。

《再質問》奥村規子 県議
 「県IR設置運営事業実施方針」では、MICE誘致のための施策措置として「県では和歌山IR/MICE推進協議会が関係民間事業者、高等教育機関等の協力を得ながらMICE誘致を推進してゆく。IR事業者は上記の施策に連携・協力をして取り組む」となっていることから、県行政の負担が大きいのではないでしょうか。
 イベントの誘致や来場者の誘客は、事業者がやるのですか。県が行うのですか。

《再答弁》 田嶋理事
 MICEの誘致に関してですが、MICE施設を設置しているIR事業者が自らやる、それももちろんあるわけですが、MICEを開催することの意義というのは、どういうことかと。国際会議にしろ、インセンティブツアーにしても、そこの会議に来た人達が会議が終わって帰って、それでよしというものではないんです。何のためにするか。そこに来た人達はその後、例えば県内に旅行するなどして、県内に出て行ってお金を消費してくれるわけです。
 MICE施設に来る人を呼び込むこと自体はIR事業者だけに利益があるわけではなくて、和歌山県全体に利益を及ぼすものです。ですから、MICE施設についてはIR事業者だけに任せるのではなくて、和歌山県とか、関係経済団体とか、そういった方々と協力して誘致に取り組むということを考えています。
 特に政府機関の、国際会議などの場合は、行政が誘致に出て行かなければなかなか進まないという部分もありますので、ターゲットに合わせてきめ細かく対応していきたいと考えています。

・クレディ・スイスについて
《質問》奥村規子 県議
 主幹銀行のクレディ・スイスについてお尋ねします。
 ロイター通信で「クレディ・スイスに『汚れたマネー』疑惑、調査報道受け当局も対応」という見出しがネットで報道されました。
 ハイリーコンフィデントレターはすでに提出されているということですが、このような事態との関係で信頼できるのでしょうか。銀行に対しては予備調査の対象になっていないとお聞きしていますが、経営状況や資金調達への影響など、どのようにお考えでしょうか。
 また、今回の報道は、前回の特別委員会後に明らかになったものです。すでに取得しているハイリーコンフィデントレターの状況に変化はないのでしょうか。そのことは確認できていますか。

《答弁》 田嶋理事
 クレディ・スイスにつきまして、議員ご指摘の報道があったことは承知しています。その報道によりますと、クレディ・スイスは問題とされた口座の90%はすでに閉鎖または閉鎖手続きに入っており、残りの口座もチェックしたと記載されております。
 そもそも、クレディ・スイスは世界50カ国以上で業務を展開し、スイスやニューヨーク市場に上場している世界的な企業であり、日本においても、1977年(昭和52年)から銀行免許を取得しており、40年以上の実績があります。
 報道以降も、それらの業務活動や銀行免許等に影響を与えたなどの事実はなく、議員ご発言のハイリーコンフィデントレター等和歌山IRへの影響も、現時点では特段ないものと考えています。

・県民負担について
《質問》奥村規子 県議
 県民の負担についてお尋ねします。
 観光振興などのための施策・措置については17項目のうち、事業者負担が7項目となっていますが、後の10項目については県が負担するということでしょうか。例えば、開業まで「和歌山マリーナシティに隣接する和歌浦湾周辺をリゾート空間として一体的に整備」することや、「和歌山下津港本港区に、CIQ(税関・出入国管理・検疫)対応が可能なターミナルを整備し、インバウンドの誘客の促進」などと記されています。今後、県民負担についてどのようにお考えでしょうか。

《答弁》 田嶋理事
 IR区域の整備による誘客効果を、IR区域外にも広げていくためには、和歌山県内の受け入れ環境の整備などが必要です。
 そのために取り組む施策を区域整備計画(案)では17項目記載しており、そのうちIR事業者にも直接的なメリットのある7項目については、IR事業者の負担を求めています。
 その他の、議員のご質問にもありました、和歌浦湾周辺の一体的整備ですとか、大型旅客船のターミナル整備、県内各地の観光基盤を整備するための補助金などは、和歌山県の魅力向上やIR誘致の効果を県内全域に波及させ、最大限地域経済の振興につなげるために県として必要な施策ですので、IR事業者の負担を求めていません。
 ただし、これらの施策の財源には入場料納入金や納付金を充てる計画となっておりますので、新たな県民負担が発生するわけではありません。

《コメント》奥村規子 県議
 防災・減災のための取り組みでは、復旧費用はどのように考慮されていますか。
 万が一の事態に遭遇すれば、復旧費用が考慮されなければ事業継続が困難になるということです。建物が完成すれば、現事業者が子会社に売却して投資資金を回収し、カジノ事業から撤退することができ、「わが亡き後に、洪水よきたれ」ということになるのではないでしょうか。

・事業期間について
《質問》奥村規子 県議
 運営事業実施方針では、事業期間についてお尋ねします。
 40年間の事業継続が可能としていますが、土地を売却するのですから、要件が満たされれば半永久的にカジノ事業が継続できるということになりかねませんか。大変大きなリスクを背負うことになりますがいかがですか。
 今後、コロナなどの感染症や経済状況の変化などの影響もあり、協定を結ぶことのリスクは大きいと考えます。例えば、加太コスモパークは経済状況の変化によって、造成地が売れずに多額の借金返済が続いている事業などがあります。コロナによるカジノの閉鎖や規制強化で、カジノの財務状況を悪化させたカジノ企業の日本撤退も相次ぎました。横浜や大阪など大手のカジノ業者が撤退しました。そのうえ、新型コロナウイルスの世界的大流行により、典型的な3密空間であるカジノに客を詰め込み、延々と賭博を続けさせるというビジネスモデルは成り立ちません。
 そのような状況で、40年間も事業継続を可能にするのは、和歌山の将来に大きなリスクを背負うことになると思いますが、いかがですか。

《答弁》 田嶋理事
 和歌山IRの事業期間は、公募の段階で、区域整備計画の認定日から40年間としています。このことは、IR事業者に無条件で40年間事業を継続することを認めたものではありません。その過程において様々な制約があります。
 まず、IR整備法において、区域整備計画の認定期間は、最初は10年、その後5年ごとに更新の手続きが必要となっています。更新の度に、公聴会等の住民意見を反映させるための措置、立地市及び公安委員会の同意、県議会の議決等の手続きが必要となっています。
 また、カジノ事業の実施にあたってはカジノ管理委員会による世界最高水準の厳格な免許審査を受ける必要があり、こちらも3年ごとに更新する必要があります。
 さらに、国は毎年度、区域整備計画の実施状況を評価することとなっています。併せて、県が、ギャンブル等依存症対策、来訪者数、経済波及効果、雇用者数などについて、モニタリングを行い、水準を満たしていないと判断した場合、事業者に対して是正の勧告を行います。事業者が勧告に従わない場合は、事業の継続を認めないこととしています。
 次に、コロナなどの感染症や経済状況の変化などの影響への対応についてですが、事業者公募の段階で、「和歌山IRの業績不振、災害の発生などにより、和歌山IRの継続が困難となる場合でも、IR事業者は、まずは事業を継続する努力をしなければならない」としています。
 今、お示ししている区域整備計画(案)でも、こういった経営にリスクを与える事象に対してどのように取り組むかということを書かせていただいておりまして、例えば先ほどお話があった、災害などにあったときに備えて一定金額の積み立てを毎年しておくとか、保険に入っておく、ということで経営上の突然のリスクに備えるようなことを計画上も書かせていただいております。
 それでも、なおかつ、IR事業の継続が困難となって、事業者が撤退するといったことになった場合には、施設の撤去義務を課すことなどにより廃墟が残らないような措置を講じたいと考えております。

(2)カジノを含むIR計画を断念することについて
・カジノによるギャンブル依存症について
《質問》奥村規子 県議
 私は、2020年3月10日の予算特別委員会で「カジノが高収益上げることは、ギャンブル依存症を必ず伴い、県の依存症対策と矛盾する」と指摘しました。知事は国の対策に加え、県独自の取り組みとして依存症専門対策員の配置や、あらかじめ利用上限額を設定するチャージ式のIRカードの導入などで「論理的にはカジノに起因するギャンブル依存症は排除できる」と述べられています。
 一方、パチンコなどのギャンブル依存症、また海外カジノでも依存症は現に発生しています。知事が言う「発生しない」というのは無理があると思いますが、いかがですか。

《答弁》 仁坂知事
 そもそもカジノは、2013年時点で127の国・地域で合法化されておりまして、カジノができることによる依存症の発生を抑える取組も進んでおります。127の国で依存症だらけになり大変なことになっているというのは聞いたことがありません。日本でも先行事例を参考にして、それだけでは我慢できないので、やはり安全ということで、さらに工夫して、世界最高水準の規制が設けられているわけでございます。
 具体的には、国が定めるIR整備法において、国が、マイナンバーカードを利用した入場回数制限や入場料の設定、本人・家族申告による入場制限措置、クレジットカードの使用不可など、重層的で多段階的な規制を設けており、加えて、本県独自の取組として、使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入や、賭け事に熱くなっている人に休憩や退場を促す依存症対策専門員の配置などを事業者に求めているところであります。これらの運用を行うことによって、論理的には、力ジノに起因する「ギャンブル依存症」や「破産リスク」は排除できると考えております。
 先ほど、他の事例で依存症が出ているではないか、だから力ジノもできるのだというのは間違いでありまして、他のいろいろなところで、このような規制がなされているかといえば、よく考えれば分かることです。
 これらの対策を行って、なお、カジノに起因する「ギャンブル依存症」や「破産リスク」が発生するというのであれば.具体的に、どう発生するのか、何が問題なのかをご指摘いただきたいと考えております。私も、このIR、カジノで依存症がたくさん発生するようなことはあってはならないので、必死で頭を使いまして、想像力を掻き立てて、穴が開いているようなところは防いでいくということはやってきたわけでございまして、それでも、どこでどうやって発生するのだということを言ってほしいと、ずっと言っておったのですが、そういう議論はございません。
 一方、依存症はカジノに関わらず、既存のギャンブル、あるいはスマートフォンの過剰使用や飲酒、その他多岐にわたるわけでございます。これがあるからIRで起こるというのは、先ほど申し上げたように、論理的に間違いでありますけれども、この問題がどうでもいいというわけではないわけであります。
 したがって、IRのカジノから新たな依存症が出ないというだけでは不十分でありまして、その点、先日開催した有識者会議において、IR誘致を契機として既存のギャンブル依存症対策を強化することで、全体的な依存症患者の減少に寄与することが期待できるのではないかとご意見をいただきました。
 実例といたしましては、2010年にIRが開業したシンガポールにおきまして、カジノの議論が起こったことを契機に、既存のギャンブルが原因の依存症対策が行われました。その前はIRがないわけですから、IR以外の依存症があったわけです。依存症が大変だということで、依存症対策を熱心にやった結果、IR誘致が決定した2005年のギャンブル依存症有病率は4.1%であったが、カジノ開業直前ですでに2.9%に下がっていて、さらに開業後の2014年には0.7%とかなり下がっているというのが、シンガポール政府が発表しているところです。
 和歌山県においても、行政、関係団体とIR事業者が連携して、「和歌山県ギャンブル等依存症対策推進計画」に基づき、予防、相談、治療、回復の各段階での取組を強化することで、ギャンブル等依存症の方を減らしていきたいと考えているわけでございます。

《再質問》奥村規子 県議
 ギャンブル依存症は、世界保健機構でも精神疾患と定義しています。やめることができないという大前提がありますが、その点について知事も理解されていますか。

《再答弁》 仁坂知事
 ギャンブル等依存症というのは、病気であるということはそうだと思う。それからギャンブル等が付かなくても、実は依存症があって、それは飲酒とかあるいはスマホとかそういうのがあるわけでございます。
 それは全てやっぱり、問題なんですね。だけど、やはり2つのことが大事で、1つは新しくできたIR、カジノでギャンブル等依存症が発生しないようにするというのが1つ。
 もう1つは元々あるんだから、そういう人たちをやっぱり治すようにお金も使って、―生懸命やろうじゃないかというのが2つ目の問題であります。

・住民投票条例の受け止めについて
《質問》奥村規子 県議
 本計画は「少子化の中において、産業や観光振興の起爆剤として絶好のチャンス」ということで取り組まれてきました。
 しかし、カジノ誘致については様々な意見があることも明らかになっています。立地市の和歌山市の住民の方々が「カジノの是非を住民投票で」と2万余の署名を短期間で集めました。市議会では残念ながら否決されましたが、自治体にとって重要なことだから住民により直接意思表示できるようにと、取り組まれました。拘束力はないということですが、代議制を補うものとして政治的にも大切なことだと考えますが、どのように受け止めますか。

《答弁》 仁坂知事
 私は、前回の県知事選挙で「IRは絶対に必要であり断固推進します」とずっと宣言をいたしまして、多数の支持を得て知事になったわけでございまして、それを今一生懸命やっているわけでございます。したがって、民意は十分に反映されていると考えている。
 IRに反対して住民投票を求めた方々も市民でございます。しかし、その方々だけが市民である、市民の声を聞け、だから投票は必要だというのはいささか論理的ではないと思います。
 また、IR整備法では、県と民間事業者が共同で区域整備計画を作成する段階において、立地市町村に協議するとともに、公聴会の開催とかパブリックコメントの実施など住民の意見を反映する措置を講ずるように義務づけられております。
 さらに、区域整備計画を作成し、国土交通大臣に区域認定の申請を行うに当たっては、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である県議会の議決を得るという非常に民主的な制度が実現できているわけでございます。
 これらの手続きを通じて、立地市町村や住民も含めて地域における合意形成は十分に図れるように措置されていると考えております。

《コメント》奥村規子 県議
 私は、県民の暮らしを支え、人間らしい生活を保障する政治、経済、社会への転換で、少子化を克服することが大事だと考えます。人口がこのままのペースで減少してゆけば、社会の存続にかかわってきます。少子化傾向の克服には、まともな労働と生活の環境を整備すること、あらゆる分野で女性差別をなくしてジェンダー平等の社会を実現し、生活不安・将来不安を解消することではないでしょうか。真に持続可能な経済・社会にしてゆくことが必要です。
 非正規雇用が増加し、若い世代の収入が低く抑えられています。派遣・契約社員には常に雇止めの不安がつきまといます。これでは、結婚と子育てへの希望を見出すことができません。男女ともに子育てできる雇用のルールとまともな賃上げをすることではないでしょうか。そして、安心して働き、子育てできる環境をつくるため、国と自治体の責任で保育所整備に力を注ぐことだと思います。子育ての経済的負担も軽減し、お金の心配なく学び、子育てできる県政が求められているのではないでしょうか。
 現にパチンコなどのギャンブル依存症対策が、これまで十分取り組まれてきたといえるでしょうか。県民の不幸につながることを、自治体が率先してやるべきではないと思います。


 
                                            仁坂知事の答弁を聞く、奥村規子県議(右)
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