2022年2月和歌山議会
  議案に対する反対討論 杉山俊雄
   録画中継2900~)
                                                      2022318

 日本共産党県議団を代表して、議案第1号、第3号、第7号、第8号、第16号、第42号、第52号及び第60号に対する反対討論を行います。

 議案第1号「令和4年度和歌山県一般会計予算」は、過去2番目となる6044億円で、歳入は、国庫支出金が前年度比14.1%増の1055億円となり、うち313億円は新型コロナウイルス感染症対策です。県民のいのちとくらしを守る取組を迅速に実施するようお願い致します。

 歳出について申し上げます。総務部関係では、県・市町村が一体となった行政のデジタル化を進めます。国・県・市町村のデジタル化による情報の共有化は、自治体の自主的施策の後退や、企業への個人情報提供など大きな問題を抱えており、検証が必要です。
 またコロナ禍において、月に約200時間の時間外労働が確認されています。勤務実態を十分把握し、パンデミックや災害に備える体制を強化し、職員の増員を図るべきです。

 企画部関係では、コロナ禍で社会・経済のあり方が大きく変化し、ロシアのウクライナ侵略による日本経済への影響がはかり知れない中でも、カジノIR誘致を続けています。この際、きっぱり断念すべきです。
 関西国際空港建設の土取り跡地・コスモパーク加太では、莫大な借金を抱えました。県土地開発公社の借金返済のための財源を、2022年度も5億6700万円計上しています。議案第43号の反対討論でも指摘しましたが、近い将来には231億円の債務保証がせまっています。見通しの甘い大型開発失敗の後処理を県民に背負わせることは許されません。
 「同和問題に関する県民意識調査」が行われようとしています。様々な差別問題があるなかで、同和問題だけを取り出して県民の意識を調査することには反対です。

 福祉保健部関係では、積極的疫学調査を行い、保健医療行政への人的増員支援も行いながら奮闘してきた和歌山県のコロナ感染症対策は全国的に評価されています。しかし、オミクロン株で毎日100名以上の感染が続いており、高齢者施設や学校等でもクラスターが発生しています。全体の感染者数が低下傾向になったときにこそ社会的検査を行い、無症状の感染者を発見保護するための無料検査を幅広く、継続することを改めて求めておきたいと思います。
 また、感染症病床の確保に苦労してきた中、「再編」名目で県内約2割の病床を削減する「地域医療構想」は許されません。
 合わせて、子どもの医療費無料化を県内全市町村が苦労して中学・高校まで実施していますが、県はいまだに小学校入学前までしか負担していないのは残念でなりません。

 商工観光労働部関係では「飲食・宿泊・サービス業等支援金」が継続されたことは評価します。さらに、業種を問わずコロナ禍で売上が減少した全事業者に対象を広げ、家賃などの固定費も含めた支援への拡大を求めます。

 農林水産部関係では、大規模化、機械化、ICT技術化による高収益性を重視するばかりではなく、環境にやさしく持続可能な小規模・家族農林漁業の振興を本格的に進めるよう求めます。

 県土整備部関係では、昨年の熱海の土砂災害を教訓にした県内盛土の総点検や、和歌山市六十谷の水管橋崩落事故を受けたライフラインの点検と課題の洗い出しは評価でき、今後の早急な対策を求めます。
 一方で、下津港湾和歌山北港区において、関西電力LNG発電所計画が進まないままに南防波堤建設だけが進められ、これまで県は約38億円を負担してきました。2022年度も約1億円が計上されています。ムダな大型工事であるとともに、LNGは化石燃料であり、気候危機の打開に逆行するものと指摘しておきます。

 教育委員会関係では、学校の独自活動を保障し、地域の教育力を増すことにつながるスクールパワーアップ事業、県立博物館3館の文化遺産のデータベース化、紀伊風土記の丘・自然博物館の新館建設に向けた基本設計予算などは歓迎です。
 しかし、この間、全国学力テストをやめるべきという声が、保護者・教員からたくさん寄せられてきた中で、県独自のテストを継続し、中学校においては年2回も実施するとしています。日本の教育は、国連子どもの権利委員会から、過度に競争的でストレスが多いと指摘されています。学力テストそのものを見直すべきです。
 以上の意見をのべて、一般会計当初予算への反対討論とします。

 以下、その他の議案について申し上げます。
 まず議案第3号は、中小企業振興資金特別会計です。ゆがんだ同和行政のもとで行われた中小企業高度化資金貸付では、ずさんな融資審査と債権管理により、58億7000万円の未償還額となっています。粘り強い努力で回収の成果が出ていることは十分承知していますが、これまで10件45億円もの債権を放棄してきたことを合わせると、県民の理解は得られません。

 次に議案第7号は、国民健康保険特別会計です。高すぎる国保料・税は限界をこえています。統一保険料にしてくことが示されてから、一般会計からの繰り入れをやめざるを得なくなった市町村では、保険料の値上げが相次いでいます。
 保険料・税を無理に統一するのではなく、減らされてきた国庫負担の増額で住民負担軽減を求める立場から、国保特別会計には反対します。

 次に議案第8号は、県営競輪事業特別会計です。県が公営ギャンブルを運営することには反対です。

 次に議案第16号は、土地造成事業会計です。呼び込み型開発失敗の反省なしに、県民の税金から毎年、損失補てんすることには賛成できません。

 次に議案第42号は、会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の改正です。昨年12月の一般職員等に引き続き、期末手当が引き下げられます。会計年度任用職員は、非正規自治体職員の低すぎる処遇を改善するために始められた制度のはずです。これ以上、引き下げるべきではありません。

 次に議案第52号は、県立学校等教職員定数条例の改正です。5年間で定数内講師を半減し、正規教員に置き換えていく最終年ですが、来年度予算で約束を実現できる状況ではありません。ここ数年、正規教員を増やしていますが、支援学校・支援学級に係る編成予測等が難しい状況は承知しています。一刻も早く、不正常な状態を克服すべきです。

 最後に議案第60号は、使用料及び手数料条例の改正です。
 国はコロナ禍による雇用保険の財源不足を理由に、技能検定試験の手数料減額対象者を、現行35歳未満から25歳未満の在職者に縮小します。25歳未満の在校生については県単独で減免を維持したことは評価しますが、若い世代の技能と地位の向上にしわ寄せがいくことには賛成できません。
 もう一つは、畜舎等の建築基準の緩和に伴い、審査の手数料が新設されることです。県内で働く畜産農家や労働者の安全確保の基準を緩和する手続きには反対します。

 以上で反対討論を終わります。


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