2022年6月県議会 文教委員会 杉山敏夫委員の質問概要記録
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《質問》杉山俊雄 委員
 生活保護世帯の大学進学率について、全国では77%の大学進学率に対して生活保護は37.3%で半分。和歌山県は73.5%の大学進学率に対して生活保護は23.9%で3分の1以下である。非常に生活保護世帯の進学率が全国に比べて低い。何か理由はあるのか。

《答弁》 参事生涯学習課長事務取扱
 様々な理由があると思うが、これといった決め手はないと思う。

《質問》杉山俊雄 委員
 決め手はないということだが、教育の機会均等という観点から、経済力に応じて低所得世帯は大学進学ができない。それも全国よりもこんなに低いことに危機感を持ってほしい。
 生活保護世帯及び非課税世帯への給付奨学金の状況はどうなっているか。

《答弁》 参事生涯学習課長事務取扱
 大学生に関しての高等教育の修学支援は国で行っている。
 国では、令和2年度から「高等教育の修学支援」として、経済的に困難な学生の支援を目的とした授業料とか入学金の減免とか給付型奨学金の支給を実施している。
 また県では、大学生等進学支援金として年間60万円を4年間貸与している。この奨学金については大学等卒業後、3年間県内に居住し、県内外に就職すれば免除となる制度である。
 当該制度を知ることなく進学を諦めることのないよう、学校を通じて周知している。

《要望》杉山俊雄 委員
 貸与はあるが、給付奨学金の受給率は1%である。多くの方が受けられていない。100人に1人である。県に生活保護世帯の受給率を聞くも、不明であると。生活保護世帯の人がきちっと給付奨学金を受けているかどうか分かっていない。
 「給付奨学金があれば安心して行こう」「生活に困っているから大学なんて考えられない」、そんな状況ではないか。
 私の話で言えば50年前、大学の授業料は1,000円。50年前と今では物価は50倍ぐらい、賃金は5倍で、大学の授業料は50、60万円と思う。
 独り親家庭で育った者は、授業料の負担がほとんどなくて、給付奨学金があれば安心して学校に行ける。
 こういう意味では大きな差があるので、ここに注目してそういう給付奨学金を拡大してほしい。そんなふうに県としてやってほしい。
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《質問》杉山俊雄 委員
 2つ目は、教師の問題である。白浜で20年間常勤講師をして、今年もあるだろうと思ったらなかったという例がある。その2年前に和歌山市から新宮市へ行ったが、普通、中学校の常勤講師で担任なんか持つのか。紀の川市だったら持たない。だけど1年間、担任もしてアパートも借りて、来年もあるだろうと思っていたらない。確定申告で、前年度の収入で税金がかかる。講師だしほんのちょっとしかない。でも、大変な思いをした。こういうことがある。
 一つは高校や小中で、常勤講師が雇い止めになった例はあるか。

《答弁》 紀南教育事務所長
 雇い止めではないが、小中学校については定数上の理由、また本人の希望と合わなかったということによって、本年4月1日付で任用できていなかった人は10名いる。

《答弁》 教職員課長
 県立学校においては、任用に至らなかった事例はない。

《要望》杉山俊雄 委員
 私の教え子で、30年間常勤講師でずっと回っている。もうじき退職になるが、その子は30年の間に1回か2回ぐらい、ちょっと待って講師というのはあるが、ここ何年もその雇い止めはない。県は県で色々あるとしても、この人たちは生活がかかっている。ずっと一生懸命に、学校のために色々やっているのに、県の都合でパッと切られる。そういうことのないように、そういう人たちにも目配りをしていただきたいと要望する。
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《質問》杉山俊雄 委員
 知事のメッセージの視聴について伺いたい。知事は、知事になってから毎年、高校へ特別講演に行っていると聞いているが、これは高校からの要請なのかどうか、年に何回行っているのか、同じ高校に何回か行ったことがあるかを伺いたい。

《答弁》 県立学校教育課長
 知事特別講演のことだと思うが、この講演については各高等学校との協議を基に、毎年数校程度実施してきている。同じ学校があったかについては、まれにそのようなことはあったが、様々な学校で講演していただいていると記憶している。

《質問》杉山俊雄 委員
 毎年数校に10年間行っているということは、特別講演は30回ほど行っているとしたら、大体全部の高校を一巡する状況になっているか。あるいは、行っていない高校は何校くらいあるか。

《答弁》 県立学校教育課長
 知事の日程と学校の日程が合わない場合もあり、計画していても全て回れるわけではないので、年によっては1校程度しか回れない年もあった。全ての学校を回っているかというと、必ずしもそうではないが、何校かというのは今持ち合わせていない。

《質問》杉山俊雄 委員
 今の話でいえば、学校と教育委員会が協議をして、学校へ要請するなどしてOKすれば行っている。しかし、行っていない高校も何校かあるはず。聞くと、紀北農芸や東高校も行っていない。他にもあると思うが、知事部局側は、協議してこうしたいと学校を色々選んでいると思う。
 問題は、4月15日に知事部局の政策審議課から県立学校教育課長あてに、コロナであるから特別講演をオンラインで実施し、全生徒に視聴してほしいので、視聴計画を提出するようにと話があった。全生徒を対象に、5月末までに視聴するよう設定して、視聴計画を4月中に報告しなさいということであった。
 4月は大変忙しい時期で、学校からの要請ではなく上から「しなさい」という、これは教育基本法16条の「教育は、不当な支配に服することなく」という条文に反してはいないか。

《答弁》 県立学校教育課長
 今年度の4月に政策審議課から依頼のあった知事特別講演は、今回は視聴という形である。政策審議課からは、全員ではなく、各学校へ周知をお願いしますということで、私どもの課でそれを確認して、キャリア教育の一環というところで実施してほしいとのことであった。4月は様々な行事等も決めるため、年間行事計画の中で、できるだけ高校3年生などには早い段階で考えてもらいたいということであった。その実施の日程や方法については、各学校長の判断でやっていると考えている。

《質問》杉山俊雄 委員
 「全生徒に視聴するように」ということではなかったのか。

《答弁》 県立学校教育課長
 私どもからは、各校長に全ての生徒にキャリア教育の観点で見せていただきたいということはお願いしている。最終判断するのは校長だと考えている。

《質問》杉山俊雄 委員
 全ての学校から報告があったか。

《答弁》 県立学校教育課長
 その日程等については、ロングホームルームの一部を利用するなどの計画を、全ての学校から報告を受けている。特にこのことについで校長から問合せはない。

《質問》杉山俊雄 委員
 全ての高校から報告を求めているということだが、学校では判断できないのではないか。知事のメッセージの内容などではなく、子どもにとって良いことか、学校が判断することであり、判断できない状況をつくっているという認識はないか。

《答弁》 県立学校教育課長
 趣旨は県立学校教育課から伝えている。最終、学校行事をどうするかを決定するのは、学校長の判断であると考えている。

《意見》杉山俊雄 委員
 学校が判断できない状況であるのは事実だと思う。こういうことは、不当な教育介入だと思う。教育行政でも不当な圧力、不当な支配になり得るということが教育基本法の趣旨であると思う。また、そういうことがあると思うので、よろしくお願いする。
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《質問》杉山俊雄 委員
 教育長の今日の説明の中で、2つ聞きたいことがある。
 1つは、高校生の就職に関わって、複数応募制導入について、教育長は大きな混乱がなく、複数応募受験生徒の満足度が高かったと言っていた。複数応募生徒はどの程度あったのか。また、3社応募した生徒数と、どんな満足度であったかを伺いたい。

《答弁》 県立学校教育課長
 昨年度から始まった複数応募制度であるが、昨年度は、複数応募をした生徒は59名いた。3社受けた生徒は、はっきりした数字はないが、数名いたと記憶している。新聞でも取り上げられたが、全てに内定をもらったわけではなく、色々な会社を検討して、自分が就職するならばと選んだ会社が3社や2社であった生徒がいた。その中で、しっかりと将来を考える機会になったとして、進路指導についての研究会の中でも、非常によかったという意見があった。

《意見》杉山俊雄 委員
 私の教え子に、商業高校の先生がいる。昨年11月にメールで就職状況がどうであったか、問題がなかったかを聞くと、複数応募不可の会社が多く、指定校求人については複数応募をした生徒は少なかったと聞いた。複数応募の試験日が重なり、第2希望の企業に日程の変更をお願いしたところ、複数応募がばれたのか、複数応募ができないとして不合格となった。複数応募で合格をしたのは1人であった。
 昨日、勉強会の中で満足と聞いたので、改めてメールで聞いた。複数応募をしたのは各校で5名くらい、3社受けたのは県内で1名と聞いた。複数応募不可の企業を選べば、1社しか受験できない。生徒は能力を考えると不安があった。
 また、成績上位者は指定校推薦を根こそぎ取って、成績下位の者はいい企業が残っていない。成績のいい生徒はいくらでも行けるが、下位の者にとっては大変であるという話だから、能力のある生徒にとっては良い制度かもしれないが、競争が激化してあまり行けない。下位の生徒にとっては中々選択できない状況であったという話なので、知事が言っているように「将来を考えるよい機会となった」というのは、本当にできる生徒ではないかと今の答弁で思った。

《答弁》 宮﨑教育長
 成績上位の者が、1社1人の縛りだと成績上位の者から順々に入っていくわけである。このような制度を見直したいと思い、成績下位かもしれないが元気のある子など、そのような子どもたちが競争できるような土壌をつくってほしいと企業にお願いした。昨年の場合、急遽ということもあったので、あまり皆さん方に無理を言わずにきた。今年度に関しては、やはりこのような制度があるからには、1人1社というふうにしていく企業が、逆に得になるというふうにならないように、なるべくみんなと一緒に複数応募を了解してほしいということで今回、丁寧に何社も何社も回ってきたわけである。その中で、先ほども申したようにたくさん複数応募可の会社が出てきた。そういった中で、今年はぜひ見ていただければ、満足度は皆さんに通じる話だと思う。決して成績上位の人だけが得をする制度ではない。

《質問》杉山俊雄 委員
 複数応募を不可にする企業は、何社も受けさせると落とすことになるため、例年のように1社でいい子を採りたい。これも受け、あれも受けとなると、断ったりしなければならなくなる。そうなるので不利ではないのかと思うのだが、そういったことはないか。

《答弁》 宮﨑教育長
 行きたい所にどこへでも手を挙げられる、いくつでも受けられる、そこを受けることができる。企業も全て複数応募OKだと言ってくれれば、そういうふうにできる。だから、全て公平である。企業にとっては、採用を決めても辞退される可能性があるので、企業にとっては重荷になるかなというふうには思う。生徒にとっては企業を研究しなければならないということで、行きたい企業を選んで研究するという、これが負担になるか、いい方向に向くかというのは、考え方次第である。私たちは、生徒がしっかりと企業を選べるという良い面を評価したいと考えている。

《要望》杉山俊雄 委員
 複数不可の企業を選ぶと、1社しか受験できないとなっている。どこでも行けるとはなっていないし、生徒も自分の能力を考えて、複数受験することに不安を感じているという声があるということを、聞いでもらいたい。
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《質問》杉山俊雄 委員
 高校入試における特色化選抜とあるが、これはどういうことか。

《答弁》 県立学校教育課長
 特色化選抜については、昨年度までは特別選抜と言っており、農業科特別選抜を昨年度から導入した。この農業科の選抜、そして以前から行っていた南部龍神分校と地元の龍神中学校との連携型中高一貫選抜は、2月に行っていた。今年度、スポーツの分野も加えて各学校の特色化に向けて、来年度の入学者選抜の要項を整えているところである。

《質問》杉山俊雄 委員
 高校入試におけるスポーツ分野の特色化選抜は、どのように募集を行おうと考えているのか。

《答弁》 スポーツ課長
 スポーツに関しては5月末に公表し、その後、各県立学校に要望調査を行っている。最近、集計できたので、それを基に希望校に対して聞き取りを行っているところである。それらをまとめたものを、7月末をめどに公表する予定にしている。

《質問》杉山俊雄 委員
 特色化選抜のスポーツについて、全国募集をかけるという話を聞いたが、そのような内容になっているのか。

《答弁》 スポーツ課長
 特色化選抜については、全国募集を行うことになっている。

《質問》杉山俊雄 委員
 全国から良い者を選抜してとなると、先ほどのような色々な問題が起こらないか。

《答弁》 県立学校教育課長
 ここ数年、県立学校の高校入学者選抜については、競争倍率が0.9倍を少し下回るようなところが何年間か続いているので、定員的には十分余裕がある。色々学校の特色化を考え、全国募集も含めて、県内の中学校出身の生徒とも切磋琢磨して高校生活が送れるようにしたいと考えている。

《意見》杉山俊雄 委員
 私の持論は、生徒が少ないのだから、高校選抜はやめて地元の生徒を入れると、このようなことが戦後始まった改革だと思っているので、高校3原則という制度が大切だと思っている。
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《質問》杉山俊雄 委員
 以前、生理の貧困で一般質問したときに、今までどおり保健室ということであったが、昨日の森議員の質問にあった、国体等県外から人を迎えるときのきれいなトイレ大作戦は中々すごい。700か所のトイレを改修して、衛生的で非常にきれいなトイレになった。
 それを聞いて、お金をかけておもてなしをするのであれば、和歌山県内の女子高校生におもてなしトイレをしたらどうかと思った。100万円もかからない。女性では、急に生理になって困った人が約2割、その中で用意できなくて困った人が90何%もいる。以前も言ったが、設置してほしい場所として9割はトイレであり、保健室は1%しかない。本当に困って何とかしてほしいときは、保健室ではなく、トイレにあったらトイレットペーパー等を使用しなくてもよいので安心して生活できる。
 県立学校は30校ほどであるため、このようなおもてなしの女子トイレをしたらどうかと思うが無理か。

《答弁》 教育支援課長
 生理用品の件について、昨年9月の一般質問と同様に、県立学校では保健室で準備をしている。生徒が生理に関ずる悩みを相談しやすい雰囲気づくりや、必要なときに入手しやすくするなど、安心して学校生活が送れるよう取り組んでいるところである。なお、トイレに設置している幾つかの市町からは、いたずらをされて取りやめた学校があったり、利用は増えたが貧困等背景にある事情を把握できないなど、一長一短もあると聞いている。

《要望》杉山俊雄 委員
 アンケートを実施すると、貧困で生理用品が買えないというのは5%もないが、急になって困ったというのは95%もある。つまり、生理の貧困の問題ではなく、女生徒の問題である。和歌山市や海南市等大きな市や県が実施すれば、各市町村に波及していくのではないかという気持ちで質問した。また考えていただきたい。
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議案に対する採決
議案第第76号 令和4年度和歌山県一般会計補正予算
は全会一致で原案可決


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