2023年9月和歌山県議会
  議案と請願の委員会不採択に対する反対討論 奥村規子
     録画中継2030~)
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 日本共産党の私、奥村規子から、議案第106号、第107号及び第119号並びに議請第1号の委員会不採択に対する反対討論を行います。
 まず議案第106号は「本人確認情報の利用及び提供に関する条例の改正」、第107号は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例改正」で、いずれもマイナンバーの利用を拡大するものです。
 現在、全国でマイナンバーをめぐる混乱が深まっています。新聞報道によると、本人以外の公的給付金の受取口座の誤登録が14万件、マイナ保険証に他人の情報が登録されたケースが7,400件をこえ、他人の年金記録が閲覧されたケースが170件、障害者手帳の誤登録が62件など、トラブルは多方面で多数に及んでおり、個人情報の漏えいが重大な問題となっています。
 岸田政権は、現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化することを強引に進めています。しかし、全国保険医団体連合会の調査では、医療機関でマイナ保険証のトラブルが5,493件も発生し、いったん医療費10割を徴収した例が1,291件あり、それが払えず診察を受けずに帰った人もいた、といったことが分かっています。このまま保険証廃止を強行すれば、トラブルは108万件以上にのぼるという推計もあります。他人の医療情報がひも付けされていたなどは、命の危険に関わる、絶対にあってはならないことです。
 マイナンバーカードには、納税状況、医療、年金などの保険料納付と受けたサービスの状況、公金受取口座、健康診断とその結果、生活保護、児童扶養手当の支給、雇用保険の支給状況などがひも付けられています。膨大な個人情報とつながるマイナンバーカードを、性急かつ強制的に国民に持たせようとして大混乱を招いたことに、国民の不信と怒りが広がっています。どの世論調査でも「延期・中止」が7割を超えています。
 このような情勢のもとで、今県議会では外国人の生活保護の決定と実施等の事務にマイナンバーを利用するための条例改正が提案されました。その効果として、現在の外国人生活保護受給者の手続き負担軽減と、行政事務の効率化をあげています。
 しかし、それらわずかなメリットに比べ、マイナンバーがもつ膨大なリスクは計り知れません。先には、医療扶助のオンライン資格確認や、高校等就学支援金等の支給状況の確認、年金情報の確認、地方税関係情報の確認などとの情報連携が可能とされ、混乱や情報漏えいなどのリスクはさらに高いものとなります。
 マイナンバー制度の根本からの再検討と、廃止を含めた白紙からの見直しを求める立場から、マイナンバーの利用拡大のための2議案には反対します。
 併せて、和歌山県社会保障推進協議会から提出された議請第1号「現行の健康保険証を残すことを求める請願」が福祉環境委員会で不採択とすべきとされたことは、非常に残念です。マイナ保険証の危険性を重ねて指摘し、本会議での採択を求めます。
 最後に、議案第119号「権利の放棄について」は、和歌山県中小企業高度化資金で貸し付けた元金の残高約9700万円の債権を放棄するものです。ゆがんだ同和行政のもとで行われた中小企業高度化資金貸付では、ずさんな融資審査と債権管理により、これまでも多額の債権を放棄してきました。とても県民の理解を得られるものではありません。
 以上で、反対討論を終わります。


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