議案に対する反対討論
 日本共産党和歌山県会議員 奥村規子

    録画中継 (23::00~)
2023
1219


 日本共産党から、議案第126号、第132号、第138号、第140号及び第143号に対する反対討論を行います。
 最初に議案第126号は、令和5年度和歌山県一般会計補正予算です。

 今回の補正予算は総額約336億円と、10年間で3番目の規模です。そのうち、国土強靭化、防災・減災対策が297億円と9割近くを占めています。一方、電力・物価高騰対策は5億1900万円と、あまりにも少なすぎます。物価高騰などで苦しい生活を余儀なくされている県民への直接支援を強力にすすめるよう求めます。
 続きまして議案第132号は、知事や副知事、議員、教育長、常勤監査委員の期末手当支給の引き上げです。物価高騰が県民生活をおそうなかで、職員の給与を引き上げることには賛成ですが、高額所得者である知事等の手当を引き上げることは県民理解を得られないと考えます。
 次に議案第138号は、県税条例の一部改正です。森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律等の施行に伴い、来年度より住民一人ひとりから年間一律1,000円の森林環境税を徴収するためのものです。森林整備は、安定的な財源である国の一般会計における林業予算と、需要のある自治体への地方交付税の拡充ですすめるべきです。森林環境税の徴収に反対の立場から、今回の県税条例改正には賛成できません。
 次に議案第140号は、部落差別の解消の推進に関する条例及び人権尊重の社会づくり条例の一部改正です。
 「部落差別の解消の推進に関する条例」そのものが部落差別解消に逆行するものであり、私ども日本共産党は反対してきましたが、今回の条例改正はさらに混乱を招くものとなっています。
 まず、勧告・公表を行う対象である「県内事業者」については「県内に事務所又は事業所を有する事業者」となっていますが、定義がはっきりしていません。企業や事業団体、NPO法人、個人事業主、個人農家、個人建設業、フリーランスなど、どこまで広がるのかわかりません。
 また結婚や就職の際の身元調査や、不動産取引の不動産に係る調査において、勧告まで至った実績がありません。そもそも勧告に従わない事態が起こっていません。さらに、県が行なった調査からも、今回の改正の必要性があるのか不明です。例えば、県がまとめている「宅地建物取引業者に対する人権問題に関する実態調査結果(令和4年度)」でも「3年間で同和地区あるいは同じ小学校区である理由で取引が不調になったことはない」が5年前より11ポイント増の94%、「話題になったことはあるが取引は成立した」3%と合わせると97%であり、「不調になった」は明らかに減っています。そのもとでなぜ、重大な公表制度を創設する必要があるのでしょうか。
 改正案では「調査による部落差別を行った場合」となっていますが、調査した結果を使って差別を行ったことを指しているのか、調査そのものを差別と捉えるのかもあいまいです。
 今議会では「障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」も上程されています。こちらの方では、具体的な個人に対する権利侵害があった場合を、差別的な取扱いと定義しています。また、差別を受けた当事者や家族などから相談があって初めて県が動く仕組みになっています。さらに、相談による解決の見込みがないと認められるときは「あっせん」の申し立てを行うことができ、勧告に至るまでに「あっせん」による紛争事案の解決を図ることができます。しかし、部落差別解消の条例の方は、差別をしたとされる者の意見を聴くことになっていません。差別の定義もないもとで、県と人権施策推進審議会が、差別があったと断定することができるのでしょうか。
 人権尊重の社会づくり条例における人権施策推進審議会は、すべての人権問題を取り扱うはずですが、部落問題だけを取り上げることは特別扱いといわざるを得ません。
 その人権施策推進審議会の議論でも、部落差別とは何かの説明なしにネット上の差別や結婚・就職の際の身元調査を取り上げていることへの違和感や、審議会の位置づけが明確でなく、結局は県が差別か否かを判断するのではという意見が出されています。
 条例制定時も反対しましたが、今回の改正でもさらに強権的になっており、部落差別の解消にますます逆行する改悪であり反対です。
 最後に議案第143号は、県土地改良事業分担金等徴収条例の一部改正です。土地所有者が農地中間管理機構に15年間土地を預けることで、基盤整備の費用負担を求めないものですが、土地所有者が工事期間中に用途以外の用途に供した場合には、特別徴収金が課されます。しかし、最初の契約時に具体的な計画は示されません。工事内容が示されないまま途中で転用すれば特別徴収金が課されるというのは土地所有者の不利益になると考え、賛成できません。
 以上で反対討論を終わります。


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