2023年12月県議会 福祉環境委員会
 奥村規子委員長の質問概要記録
     20231214
【福祉保健部】【環境生活部

【福祉保健部】
《質問》奥村規子 委員長
 県民の賃金がなかなか上がらない中、国や県において経済対策が打ち出されているところであるが、物価高騰の影響など、生活は非常に苦しい状況である。
 このような状況の中、今回の補正予算が適切かという点において、暮らしや福祉の面でさらにできることがないのかと考え、いくつか質問する。
 まず、憲法でも示されている生活保護制度が適切に活用できるよう、周知してもらいたい。
 体を壊してしまうような大変な状況になる前に、生活保護制度を活用して、早く体を治したり、住まいを整えたりして、再び働ける状況になっていくことが大事だと感じている。
 年末も含めて相談に乗っている「何でも相談村」という団体の弁護士が、県内の生活保護制度の状況やどういったパンフレットを活用しているかを調べている。
 県にも意見を出したかと思うが、現時点の状況や今後の取組についてどのように考えているか。

《答弁》 福祉保健総務課長
 今年度、生活保護のしおりの内容にばらつきがあるという意見が提出されたが、県としでもばらつきがあったことは認識している。
 そこで、県で新たにしおりの見本となるようなものを作成するよう取り組んでおり、今年度中に配布し、来年4月から使用することを想定している。
 その中では、国民の権利であるというようなことも含めて、制度の活用にあたっての心理的なハードルを下げられるよう、記載にも配慮したいと考えている。

《意見》奥村規子 委員長
 そのようなりーフレットやパンフレットが完成すれば、まずは県民に紹介してほしい。
 非常に困難な生活状況にあっても、生活保護は受けたくないという方がいるが、そういった方は食事を制限したり、暖房など必要なものを節約したりして、健康を害してしまっている。そのような方の生活を早めに安定させて、再び仕事に就けるようにしていくことが大事である。
 また、車が利用できないと仕事探しもできないということもあるので、その方の事情に応じた形で、相談や対応をしてほしい。
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《質問》奥村規子 委員長
 次に保険料負担の問題である。後期高齢者医療制度の加入者は年金生活をされている方が多く、保険料が引き上げられると一層大変な状況となる。来年度、どのような見通しとなっているか。

《答弁》 国民健康保険課長
 後期高齢者医療制度の保険料については、現在、和歌山県後期高齢者医療広域連合で試算、算定を行っているところである。

《質問》奥村規子 委員長
 保険料決定にあたって、県との関係はどうなっているか。

《答弁》 国民健康保険課長
 和歌山県後期高齢者医療広域連合が保険料を算定し、県に協議するという関係になる。

《要望》奥村規子 委員長
 その際、後期高齢者医療財政安定化基金の活用も含め、検討してもらうよう要望する。
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《質問》奥村規子 委員長
 国民健康保険料の問題だが、これも非常に負担感が大きい。来年度、様々な変化が出てくると思うが、どうなっていくのか、大枠だけでも教えてほしい。

《答弁》 国民健康保険課長
 市町村国民健康保険料については、各市町村で決定される。
 医療費を賄うだめの財源は、国・県・市町村が負担する公費と、現役世代からの交付金が充てられており、残りの部分を保険料で賄うことになる。保険料の見込みについでは、医療費がどれだけ伸びていくかというところにかかっているが、診療報酬の改定、高額な医薬品の保険適用、高齢化に伴う押し上げ等、様々な要因により上昇傾向にあると考えている。
 県としては、できるだけこの医療費を抑えるだめに、例えば、医療費適正化計画等を定め、様々な取組を通じて、できるだけ医療費が伸びないように、適切に推移するように取り組んでいる。

《質問》奥村規子 委員長
 病気の予防、重症化予防、高齢者の骨折予防の手だてをとる等、極力健康に過ごすということに力を注いでいくことが私も大切だと思っている。
 しかし、医療費が増えていく中、非常に厳しい物価高が押し寄せており、県として、国民健康保険の負担を何とか引き下げる努力をしてもらいたいと思っている。
 全国知事会からも要望が出ていると思うが、国庫を増やしていくとか、そのようなことを考えていかないといけない。
 国民健康保険の加入者は、収入がそれほど高くない方が多い。協会けんぽと同程度の保険料負担率を目指してほしいと思うが、何かできる方法はないか。

《答弁》 国民健康保険課長
 公費を増やせるかということについては、国の制度であり負担率が決められているので、県単独で医療費を賄う、あるいは保険料を補填するという仕組みは難しい。
 ただし、国民健康保険においては、県及び市町村の取組によって国費が増減する保険者努力支援制度という仕組みがある。保険料をできるだけ引き下げられるように、しっかり取り組んで、国費を獲得していくことが歳入の部分での一つの取組になると思う。
 歳出の医療費については、先ほど申し上げたとおり、医療費が伸びないように様々な取組を進めていく。
 歳入の確保と歳出の抑制の両方で、できるだけ負担を少なくしていきたい。

《要望》奥村規子 委員長
 以前から、保険者努力支援制度については意見している。目標を立てて、医療費を削減するというようなことではなく、しっかり国に国費拡充を求めていってほしい。
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《質問》奥村規子 委員長
 介護保険でも、減免制度を整備するなどして、お金の心配なく必要なサービスが十分受けられて健康を保持できるよう、県としてきめ細かい施策をしてもらいたいがどうか。

《答弁》 長寿社会課長
 高齢者の健康増進は、非常に重要である。県としても通いの場を充実させるなど健康の保持を図る介護予防を推進している。また、地域ケア個別会議の取組を通じて、より改善を目指す自立支援の取組も推進してきている。さらに昨年度からは、要介護等にならないように効果的に運動機能の改善等を図る短期集中予防サービスの利用促進の取組を進めている。
 また、要介護になり、必要なサービスを受けるようになった場合は、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度などの活用が考えられる。
 いずれにしても、高齢者の健康保持・増進は大切であるので、市町村と連携して介護予防の取組を推進していきたい。

《要望》奥村規子 委員長
 高齢者への支援や働きかけ、認知症になっても環境を整えて自分で生活していけるようにするなど、より介護の力が必要になってくる。介護予防にもしっかり予算を振り向けて、十分に支援ができるような介護体制・制度を、介護保険制度だけに頼るのではなく、それ以外に介護の提供ができるように県としでも考えてもらいたい。
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《質問》奥村規子 委員長
 「和歌山県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」の(目的)第1条に「日本国憲法」と書かれているが、その後に「障害のない他の人との平等と合理的配慮の保障をうたう『国連障害者の権利条約』」を付け加えたらどうか。また、定義のところに、差別の定義を入れてはどうか。例えば不当な差別的取扱いや、合理的配慮のない状態を差別ということに定義をするとか、そのようなことを入れてはどうか。
 それから、議案書69ページのところで「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重であって合理的配慮をすることができないときは、当該意思の表明を行った者に対しその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない」とある。この表現でいけば、過重なら改善はできないという回答になるので、より負担の少ない方法をお互いに探るという建設的な代案を提案するということにする方が、より現実的ではないかと思う。

《答弁》 福祉保健部長
 定義等について、これから修正をかけるということは難しい。その上で、奥村委員長の質問について、先ほど中本委員からの質問にもあったが、まずこの条例は不当な取扱いや合理的配慮の欠如がないように、トラブルが起こらないように社会全体で障壁をなくしていこうという目的でつくった条例である。
 例えば、ある障害のある方がコンサートに行きたいとなったときに、その障害のある方はコンサートに行くことができないとなっていると、それは不当な差別的取扱いということになる。それでお困りの場合は、まずこの条例に基づいて県に相談するということになる。県のほうでは、すぐに調整委員会にかけるのではなく、なんとかこの方がコンサートに行けるような方法を一緒に考えようと当事者に対して調整を図る。それでもなかなか改善されない場合には、本人からの申出に基づいて、県に対して調整委員会によるあっせん案を提示してくださいということになる。その場合、調査を行った上で、双方折り合いのつくあっせん案を調整委員会がつくる。事業者があっせん案をのんでくれない場合は勧告をするなり、公表するなりという形で、県としては厳しい対応をしていくことになる。
 先ほどの合理的配慮が過重な負担であるとする事業者は当然ある。事業者は過重な負担であるとする一方で、県や当事者は何とか様々な工夫をしながら対応をしてもらえないかということになる。結局、先ほどの話に戻るが、調整委員会であっせん案を提示してくださいということになる。過重な負担かどうかというのは、事業者の規模にもよるし、金銭的なことや人員的なこともあり、ケースバイケースでかなり難しい。県への相談で解決ができない場合には調整委員会にかけて、様々な調査をした上であっせん案をつくっていく。そのためにこの条例をつくっている。

《要望》奥村規子 委員長
 私の心配する点も含めて、障害者が差別されない状況を社会でつくっていけるよう、啓発等してもらいたい。
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《質問》奥村規子 委員長
 医大の中期計画の中で、医師確保が非常に困難なことや、地域の偏在問題があり、医師派遣をしてもらうなど、その地域地域での苦労があると思う。中期計画議案書151ページに、県の保健医療計画におけるがんや救急医療などのことが書かれている。
 産科のことでは、条例にもあるように今回提案されているのが、産科医が非常に地域に不足している問題で、偏在があることや、地域の求めていることに対して、大学での医師養成や学生が専攻する際のマッチングなど、大変だろうと思う。それらに対して、どのような工夫や課題に取り組んでいるのか聞きたい。

《答弁》 福祉保健部長
 今回、提出している中期目標というのは、次年度以降、県立医科大学として取り組んでもらいたいことを、県として指針を示したということになる。この指針に基づいて、医大は具体的な計画を立てていく。その上で、奥村委員長から指摘のあった地域医療に関して、議案書161ページの第3の3の(2)のところを言ったと思うが、ここに書いているように、地域医療を支えるために医師派遣をするのは、本来、県立医科大学の使命であるということを改めて書いている。産科の問題もあるが、きちんと大学として、地域の公立病院、中核病院を中心に、必要な医師をこれからも派遣してほしいということを記載している。

《質問》奥村規子 委員長
 様々な地域から求められている医師と、産科を専攻してくれることや、卒業後選択していく医師とのマッチングが難しいのではないかと思う。学生の意思が尊重される中で、地域医療体制をつくっていく工夫の一つとして、産科の奨学金制度をもう少し利用しやすい形にということから、今回提出されているのだと思う。
 大学として何か取り組んでいくとか、課題があれば教えてもらいたい。

《答弁》 県立医科大学事務局長
 委員長が言っている産科に関して、本学でも地域の周産期医療体制を堅持していくために、今非常に危機的な状況だという認識は既にある。今年から、県といろいろ相談の上、入学時から産科を目指す県民医療枠に定員を3名設定して募集をするなど、少し長期の取組になるが、そのようなことも含めて現在対応している。そのような具体的な計画を、今後、この中期目標に沿って、我々は中期計画で6年間の取組として、先はどの奨学金は県の制度であるが、併せて活用周知をする。そのようなものも含めて、本学でも、産婦人科の入局者を増やす取組をやりつつ、県内の医療体制を堅持していきたい。

《質問》奥村規子 委員長
 産科の場合、3名が多いのか少ないのか、私には分からないが、3名という根拠は何か。

《答弁》 県立医科大学事務局長
 何か計算式があって出てくるようなものではないが、1名、2名の入学というのもなかなか大変である。実際、定員3名を設定していたが、今年度の入学者は2名ということになったので、枠を広げたところで、全ては国家試験を通らなければならないので、ある程度適正な規模に収れんしていくと考えている。取りあえず3名で開始したが、今年は2名入学したという状況である。
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議案に対する採決
議案第126号 令和5年度和歌山県一般会計補正予算
議案第128号 令和5年度和歌山県立こころの医療センター事業会計補正予算
議案第141号 和歌山県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例
議案第142号 修学資金等の返還に係る債務の免除に関する条例の一部を改正する条例
議案第166号 公立大学法人和歌山県立医科大学中期目標の策定について
は全会一致で原案可決


【環境生活部】
《質問》奥村規子 委員長
 パートナーシップ宣誓制度について、私は歓迎すべきことだと思っている。パブリックコメントを実施して、反対意見の主な理由を教えてほしい。

《答弁》 青少年・男女共同参画課長
 パートナーシップ宣誓制度について、9月1日から9月30日までの間、パブリックコメントを実施し、24者57件の意見があった。反対の意見では「伝統的な家庭観や家族制度の崩壊につながる」とか、「少子化を加速させる」といったものが多くあった。県の考え方については、既に県ホームページにアップしている。今回のパートナーシップ宣誓制度は、国の婚姻制度とは別のものであり、性的少数者が抱える生活上の不便を軽減して、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげるために導入が必要と考えている。

《要望》奥村規子 委員長
 反対の意見もあるということだが、LGBTQの皆さんの社会生活がもっと安心できるようにならないといけないし、ジェンダー平等の課題もある。県の考え方についても、日常生活でもっと広まっていくようにしてほしい。反対の意見も尊重し、認識して、啓発を丁寧に、また熱心に取り組んでほしいので、よろしくお願いする。
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《質問》奥村規子 委員長
 太陽光発電で県が不認定にした案件が和歌山市西庄であったが、事業者が再度、事前協議申出書を提出したと聞いた。また、風力発電についても大変心配をされている方もあり、そこに移住された方が、また移住しないといけないような思いにならないよう、ぜひ住民の声を聞いてもらいたい。
 現在、和歌山市西庄の太陽光発電事業計画はどういう状況なのか。
 また、有田川と白馬山脈の風力発電事業の状況はどうなっているのか。

《答弁》 環境生活総務課長
 まず、和歌山市西庄における太陽光発電施設の計画については、令和元年8月22日に旭メガソーラー和歌山西庄発電株式会社から、県太陽光条例に基づく認定申請があり、令和4年6月23日付で不認定処分を行った。
 本年11月29日に、同じ事業者から改めて事前協議申出書の提出があり、今回の計画では、面積は24.9ヘクタールで前回の計画と同じで、出力は前回の9.52メガワットから9.6メガワットに若干の変更となっている。
 現在、提出された協議申出書の形式審査を行っており、不備があれば事業者に補正を指示することになる。また、不備がなければ、関係課室や和歌山市に意見照会を行い、今後必要な協議事項を取りまとめて、事業者に通知することになる。いずれにしても、県太陽光条例に基づき適切に事前協議を進め、その後、正式な認定申請があった際は、厳正に審査していきたい。
 もう一方の白馬山脈で計画中の風力発電事業は2つある。
 中紀第2ウィンドファーム事業については、有田川町と日高川町の境界付近に1基2,000キロワットから3,400キロワットの風車を最大15基合計5万1,000キロワットの設置をする計画となっている。この環境影響評価の進捗状況については、配慮書、方法書の段階を経て、事業者か環境影響調査を踏まえて作成した準備書に対し、令和3年10月1日に、環境保全上の見地から知事意見を提出している。今後、事業者は、知事意見を勘案し、経済産業大臣勧告を踏まえ、環境影響評価書を作成することになる。
 DREAM Wind和歌山有田川・日高川風力発電事業については、同じく日高川町と有田川町の境界付近に1基3,200キロワット級の風車を最大11基、合計3万5,070キロワットを設置する計画となっている。この環境影響評価の進捗状況については、事業者から提出された方法書に対し、令和3年7月12日に知事意見を提出している。今後、事業者から準備書が提出された場合は、住民の方々や関係市町村の意見、環境影響評価審査会の意見を踏まえ、経済産業大臣に知事意見を提出していきたい。

《要望》奥村規子 委員長
 風力発電について国へ提出した知事意見では、環境を守る観点から厳しい意見を出している。仁坂知事の考えを引き継いで、岸本知事もその立場で意見を出していると思う。
 太陽光発電については、地元の私の知り合いの方によると、事業者が再び和歌山市西庄で計画し事前協議を申し出ていることを、一部なのかどうか分からないが、近接・隣接している住宅地の方が、全く知らなかったと聞いている。以前、不認定になっていることから住民の皆さんの不安感もあり、やはり住民同意が義務化されるなど、法的に位置づけられることが必要なのではないかと思う。風力発電についても、やはり住民同意が必要だと思う。これは国の法律のことだが、きちんとしたほうが住民の皆さんが安心できると思うので、ぜひとも県から国に対し、意見を上げてほしい。
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議案に対する採決
議案第126号 令和5年度和歌山県一般会計補正予算
議案第154号 和歌山県NPOサポートセンターの指定管理者の指定について
は全会一致で原案可決


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