令和4年度決算の認定に対する反対討論  奥村規子
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                                   2023
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 日本共産党から、議案第123号及び第124号に対する反対討論を行います。
 まず議案第123号、令和4年度和歌山県歳入歳出決算の認定について申し上げます。
 令和4年度、2022年度では、新型コロナウイルス感染症はまだ2類相当でしたが、感染患者の全数把握をやめる方針が政府から出されました。和歌山県でも陽性者登録センターに感染者が自主的に登録し健康観察を自ら報告する方式がとられました。感染第8波では感染拡大を正確に把握することができず、高齢者施設のクラスター発生件数、死亡者数は過去最多となり、緊急搬送も急増する事態となりました。評価されてきた「和歌山方式」を続けるのが困難になったためと理解していますが、同時に感染の把握や対策に不十分さがあったと考えます。
 コロナ禍で県民生活が苦しいもとで、2022年度の国民健康保険料・税は、40代夫婦と中1と高1の子ども世帯のモデルケースにおいて14市町村で引き上げられ、県平均でも引き上げとなりました。子どもの医療費助成も県として拡充することはしませんでした。
 また、75歳以上で年収200万円以上の方の医療費窓口負担が1割から2割に引き上げられるもとで、後期高齢者医療保険料が引き上げられました。保険料を決定する際に県が積極的に関与して引き下げるために努力するよう求めます。
 また、昨年4月の臨時議会では、IR区域整備計画の認定申請が否決されました。和歌山カジノIR計画では、撤退したサンシティ代表の逮捕や、選定業者クレアベストの取締役・株主が県との協定直後に変わっていたこと、主幹銀行クレディ・スイスの疑惑報道など資金調達の不確実性、巨大なMICE施設の不採算性、計画地の災害の危険性など、様々な問題が指摘されてきました。私ども日本共産党はこれらの問題の以前に、ギャンブル依存症の増加や、治安と生活環境の悪化、周辺地域の荒廃と経済の衰退、青少年への悪影響などからギャンブルであるカジノの収益にたよるIR計画そのものに反対してきました。県はIR推進のため、2017年度から22年度までの6年間で約4億3700万円のお金を費やしてきました。のべ72人の職員の労力を注いできたことも問題であると指摘します。
 さらに、2022年度では「日本国際博覧会基金」が創設され、約17億円が積み立てられました。私ども日本共産党は大阪・関西万博について、建設業の時間外労働の上限撤廃や、当初の1.9倍に膨れ上がった会場建設費2350億円や万博に合わせたインフラ整備7500億円に対する国民負担、計画地・夢洲の土壌汚染や地盤沈下と災害時の避難の問題、カジノ誘致とともに推し進めていることなどから、「地球環境保全」や「持続可能な開発目標の達成」という万博の理念にも背くとして計画の中止を訴えています。和歌山県における、万博基金の設置や計画推進にも反対です。
 基金設置としてはもう一つ、今年2月に「財政危機警報」を発出したうえで「公債費臨時対策基金」を設置し、83.5億円を積み立てました。公債費増加分の半分を基金から取り崩して充て、残る半分は予算編成の段階で捻出し、さらに2024年度以降の増加分については既存事業の精査や予算組み替えなどで対応するというものです。2022年3月に策定された「新中期行財政経営プラン」では150億円規模を維持するとしていた財政調整基金と県債管理基金が、今年2月の試算では2025年度にはマイナス5億円、26年度にはマイナス120億円となっています。1年で試算がこれだけ変わるのは理解できないとして、私どもは2月議会で拙速な基金設置に反対しました。また、財政危機の要因として物価高騰や金利上昇が強調されていますが、国直轄事業負担金など投資的経費の増額に伴う県債借入金の増加が影響しているのではないかと指摘しておきます。
 教育では、相変わらず教員不足が解消されていません。子ども一人ひとりに向き合うためにも少人数学級を進めていくことが急がれますが、今の教員不足は欠員が出た場合に現状の教室を維持することさえできない状況です。非正規教員を正規教員に置き換えていくとともに、県独自で教員定数を増やすべきです。また、児童・生徒が増え続けている特別支援学校・学級の教室と教職員を早急に増やすようお願いします。
 コスモパーク加太対策事業では、毎年6億円規模で県土地開発公社に賃借料を支払ってきましたが、2022年度は土地が売れたこともあり5億6000万円と少し減額しました。今年度の土地の売却もあり、今後の対策事業費は1億円台に下がるということです。しかし、近い将来231億円の債務保証が待っていることに変わりありません。見通しの甘い大型開発失敗の後処理を県民に背負わせることは許されません。
 先ほども指摘した国直轄事業負担金は2022年度も130億円にのぼり、県財政の将来の大きな負担となります。国に廃止や減額を引き続き求めていただきたいと思います。
 なかでも下津港湾和歌山北港区では、関西電力LNG発電所計画が行き詰まるなか南防波堤建設だけが進められ、2022年度までに39億円を負担しました。ムダな大型工事であるとともに、発電所ができたとしてもLNGは化石燃料であり、気候危機の打開に逆行するものと指摘しておきます。
 中小企業振興資金特別会計では、収入未済額のほとんどが、かつての同和行政のゆがみによる中小企業高度化資金によるものです。その未償還額は依然として57億円近くにのぼっています。償還にむけ懸命に取り組まれていることは理解していますが、これまで44億円以上を債権放棄してきたことは、県民理解を得られません。
 次に議案第124号、令和4年度和歌山県公営企業決算の認定について申し上げます。
 土地造成事業会計では、呼び込み型開発の失敗で出た損失に一般会計から毎年1億5700万円を繰り入れ、工業用水道事業会計からの長期借入金15億円も残ったままです。売れない造成地を抱えてきた総括と反省が必要であり、認められません。
 以上で反対討論を終わります。


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